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[良い点]
「三国志演義」では脇役というか、ハッキリ言って曹操や劉備の引き立て役の袁紹を主役に据えている点が新鮮です。

彼の人生をそのまま描くのではなく、死後も我執に囚われ続ける霊魂の物語にしている点も興味深いです。

「出自への劣等感と名家生まれのプライド」という点では父親と同じ業を背負わされたと言える息子袁譚との愛憎を描いた件が印象的です。
[気になる点]
まず、物語の視点が本来の主役である袁紹と各章に登場する他の人物たちとの間を行き来するので、
読んでいて「これは誰目線での認識?」としばしば混乱します。

率直に言って前書きと後書きの解説を読まなければ、場面の状況自体が把握しづらい話が殆どです。

死後もなお苦しめられる袁紹の闇を描きたいのであれば、徹底して袁紹の視点で書き進めるか、
あるいは袁紹本人の内面は敢えて描かず、他の人物の目線で描くかした方がよろしいかと思われます。

更に言えば、袁紹の苦悩を「実母は娼妓である出生の秘密、それによる不遇な幼少期」に結び付けた作者様の意図は理解できますが、
そればかり劇中で繰り返し強調されるとしつこい印象になりますし、当時の時代背景や袁紹その人が置かれた状況を鑑みても、違和感を覚えます。

曹操や劉備三兄弟は客観的な出自から言えば袁紹より明らかに劣っていますし
(曹操も宦官の血筋ですが、劉備に至っては実質な育ちとしては百姓の息子ですよ!)、
異母弟の袁術を見れば高貴な出自が優れた資質を約束しないのも明白です。
何より、皇帝が「暗愚」を理由に臣下からいとも簡単に殺され、王朝そのものが浮き草の様に儚い存在と化した時代ですから、
そうした状況にあって片親が卑しい身分だという一点に延々と懊悩するのはいかにもナンセンスに思えます。

細かい点になりますが、「クリア」「チャンス」「カーテン」等、カタカナ用語が地の文のみならず、人物の話し言葉でも使われている点も気になりました。

現代人が歴史上の人物に転生した設定ではなく、飽くまで三国時代の人物その人として描くのであれば、
「突破」「機会」「帷(とばり)」等、極力カタカナは避けてその時代らしさを意識した書き方をされるべきではないでしょうか。

「平民」「娼婦」といった身分を表す言葉も三国時代の中国ならば、「卑賤の者」「舞妓」「歌妓」といった言い回しをされた方が似つかわしく思えます。
[一言]
色々書きましたが、興味深く拝読した結果としての感想であることをご理解いただきたいです。
 いろいろと詳しいご指摘ありがとうございました。

 悪い点について、カタカナ語が多いのはこれを書く際にサイレントヒル的な世界観を時代考証より重視した結果です。この小説は内容が歴史ではなく、間違いなくホラーに含まれるので、ジャンル分類もホラーとしてあります。その結果、三国志を知らない人が読みに来ることも大いに考えられます。そうなったときに、時代らしさを重視して言葉を選ぶとそれだけで「読みづらい」と感じられるような気がして、分かりやすい現代語で書いています。
 最初に2ちゃんねるで書いていた時からそうだったので、途中から急に修正するのも面倒だったという惰性もありますが。

 目線の移動についても、サイレントヒルの小説を読んでそうなっていたので、それでいいのかなと思ってそのスタイルを鵜呑みにしたのが始まりです。それに、一人の視点だけで続けるのは思った以上に難しく、それだけで事件の全体を表現することは私の文章力では無理があります。当事者と傍観者(巻き込まれた人)のさまざまな視点で見て、多角的に捉えようとしたのも原因でしょう。

 また、身分については確かにやりすぎな感がありますが、袁紹の悪夢の真の原因は身分を口実にした人間関係にあるので、身分が全てではありません。また、さまざまなメディアの三国志で血筋を鼻にかける袁紹のイメージが強かったので、そういう意識を自分が持っているからこそ自分の生まれを必要以上に思い悩むという感じで書きました。

 いろいろと言い訳させていただきましたが、ここまでしっかり読んでいただいてありがとうございました。これからも、時々気が向いたら読みに来ていただけると嬉しいです。
  • 青蓮
  • 2012年 08月13日 17時02分
[一言]
2ちゃんねる投稿の時から楽しみに読んでます。
続きが読めるところはどこかと探していたので、ここが分かって良かったです。
続きを心待ちにしています。
  • 投稿者: 朽縄
  • 2011年 10月10日 21時06分
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