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[良い点]
「シリアス百合」と作者様自身が仰ってますが、それ以上に私は「現実に根ざした百合」を追求した作品であるように思いました。
不自然なことが何一つ起こらず、こういうことは実際に、この現実世界でも起こっているであろうと確信しながら読めるようなリアリティが、とても見事だと思います。
続きが気になって、自分の読むペースの遅さに腹が立つという体験は、久しぶりのことでした(笑)

脇を固める面々も個性派ぞろいながらも、人生のなかで、どこかで見たことがあるなあと、微笑ましくなれるような人物たちなんですよね。

物語の終末もまた、はっきりとしたハッピーエンド・バッドエンドにしてしまわず、苦しい状況はあまり変わらないものの、お兄さんのメモや琴子の変化など、希望の種を撒きつつ、現実を受け入れるように終わるところが魅力的だと思いました。
私は現実というのは、こういうものだと思うんです。
なにもかもが綺麗に解決! というようなことは現実にはあまりなくて、なんとか希望のカケラを見つけながら、耐えて生きる……という場合がほとんどだと思いますので。

美奈子が元気で面倒見のいい性格でありながら、問題を体当たりで解決していってしまうスーパーマンになっていないところも好ましいです。
どんなに強気でも、強い正義感を持っていても、十代の女の子には、人の世の闇へ立ち向かっていけるだけの強靭さはないのが普通だと思うので……。
[気になる点]
リアルなのがこの小説の長所ではありますが、それは諸刃のやいばのようでもありまして……
主に琴子の母親が発する狂気が、あまりにも現実的でヘヴィすぎて、物語全体が彼女の色で染まってしまっている印象を、私は受けました。
琴子ママの行動は、常識を逸しながらもとてもリアルで、これもまた、現実に起こっていることなんだなあと、重たい気分になります(これは良い意味で)。

真由子さんが出てきたあたりでやっとホッと一息つけたのも束の間、彼女にもまた琴子ママによって苦しめられた過去があったと語られる部分は、逃げ場を塞がれるようでした……。

そして、こうした現実的な要素の前には、美奈子と琴子の純真で透明な想いはあまりに儚すぎ、
「この二人は、琴子ママをはじめとするヘヴィな現実の問題たちに、打ち勝つことができるのだろうか?」
と、一人の読み手としてはとても不安に思ってしまいました。
美奈子が琴子を意識しているなんて、琴子ママが知ってしまったらたぶん、血の雨が降るでしょうし(;^ω^)

校庭のシーンにしても、描写はとても美しくて切なくて、すごく感動的な場面なのですが、そこでも常に琴子ママの狂気が支配しているようで、恐怖政治の元に生まれてしまった恋の儚さに、ただただ胸が痛くなるばかりでした(泣)
[一言]
「悪い面」に色々書かせていただきましたが、この小説の場合はすべて、長所の裏返しという意味での短所みたいなものなので、あくまでも、百合に成就を求めてしまう者の意見としてお受け取り下さい。

最後に。
金八 泥水
でグーグル検索して、一番上に出てくるページをぜひ見てみて下さい。
このセリフを、琴子ママに言ってあげたい気持ちでいっぱいでした(笑)
  • 投稿者: 退会済み
  • 女性
  • 2013年 09月18日 17時03分
管理
ジューン・ファーレンさん、丁寧に読み込んでくださり、ありがとうございます。
百合読み視点からのアプローチ、とても参考になりました。

実はGOING UNDERを書いた最初の動機ですが、web小説を捜して読み漁った中に「読みたいタイプの百合がない」と思ったのがきっかけでした。
当時のウェブ小説事情では百合作品というのは、リアルだけれど結構ディープな性愛をつづったものか、夢のようにふわふわの現実感に乏しい少女小説かの両極端でした。生々しい愛憎劇やもつれた感情をリアルにシビアに描写したものも、少女たちの夢のような綺麗な恋愛も、それぞれに面白くはあるのですが、中間どころがなかなかなくて。

けれども自分の内側から出てきたものに対して公正な見方ができるわけもなく、百合として見たときに、どこが問題なのか、など感覚的にはよくわからない部分もありました。

しかし、琴子ママの存在感が、そこまで物語全体を圧迫していたとは……。
琴子と美奈子、2人の恋の行く末に対して、不安な気持ちにさせてしまってごめんなさい。
そして2人の未来を願ってくださってありがとうございます。

このおはなしの結末は、確かに恋愛ファンタジーにおけるハッピーエンドではないかもしれませんね。
物語の続きは、読んでくださった方が好きに思い描いていただいていいのですが、2人がお互いへの思いや絆を深め合いながら、困難を乗り越えて確かな未来をつかみとっていってくれるだろうと私は信じ、願っています。
とはいえ、これからの苦難がいろいろと具体的に想像できてしまうあたりが、物語としての問題なのですね、きっと。(笑)

今度おはなしをつくるときは、もう少しビターテイストは抑えて、百合ファンタジー的に満足度の高い甘酸っぱいラブストーリーを目指してみたいなあ、なんて思いました。

グーグル検索で辿りつくのは、金八先生の言葉でしょうか。
該当のページに飛んで確認しました。
琴子の生い立ちと境遇に心をかけてくださって、ありがとうございます。
素敵な感想を、ありがとうございました。
[一言]
まさかなろうでこの作品に再開するとは思いませんでした。
4年?6年?7年?何年ぶりでしょうか。

ふと、何故かはわからないのですが、久しぶりにこの作品が読みたくなり、しかし題名も、どのサイトで出会ったかも記憶しておらず、
ただ、「琴子」という名前と医師を目指していたという記憶を便りにGoogle検索したところなろうに投稿されたこの作品がヒットしました。
見つかって本当に良かった。

数年前大好きだったこの作品ですが、久しぶりに読んでやはり大好きな作品だと再確認いたしました。
なろうに投稿して下さり本当にありがとうございました。
笹くじらさん、はじめまして。
以前サイトに来てくださっていたんですね。
昔読んでくださっていた方がまた読みにきてくださるなんて!
感激です!
覚えにくい、しかも検索しづらいタイトルでごめんなさい。
当時からおはなしのタイトルを決めるのがとても苦手だったんです。
登場人物の名前と医師というキーワードから捜してくださったんですね。
お手数おかけしました。本当にありがとうございます。

数年ぶりにネットに復帰したのですが、当時に比べて携帯やスマホからアクセスするユーザーが圧倒的に増えているので、自サイトを携帯対応にカスタマイズするにはタグの勉強をやり直さなければならず。
手間を考えていっそ、と思い、こちらに置かせていただくことにしました。
なろうに投稿していてよかったです。

拙いところも多い作品ですが、少しでも心に触れる何かが描けていたなら嬉しいです。
ご感想ありがとうございました。
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