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『鏡』の感想
投稿者:
有坂りさこ
[2009年 12月 07日 (月) 12時 08分 47秒] ---- ----
▼一言
なつきさん、いま全部読み終えました!
私も今では文学作品の絶対的な評価などできないという懐疑の念を強くしているので、感想という形で失礼させていただきますね。
でも、作品と人との関わりは常に主観的なものであって、特に私にとってはそれを離れた客観的な関係のありようなんて体験として無意味なの。だから、私と『鏡』という唯一の関係性から、私の気持ちを書かせていただきますね。
最後の数話分、特に私にはつらく感じられました。なんだか私自身のことのように感じられて、そして、なつきさんの……。それに……。
ごめんなさい、うまく言えなくて。
いろいろあったんです。鏡が告白する前に沙耶が彼に話したこと、いろいろな想いをもって読みました。
男の人が怖いという気持ち。普段はそれを見せていなくても、そういう気持ちを抱えて隠している人、たくさんいると思うから……。
本当に、私とあなたが辿った道。あなたは今、幸せなのですか?
幸せであってほしいの……。
「鏡」という本は、『1Q84』での高速道路の非常階段の役割を担っていたんですね。そこから「空気さなぎ」の世界に入っていくように。世界は不断の創造の過程にあって、観測者の意識内容が外的に投影されたいくつかの世界の混淆によって成り立っている……
あなたはきっと『1Q84』を読んでいないと思うんです。けれど、これは時代の共有する感覚なのかも知れないですね。文学作品にはそういうことがしばしばあって、全く接触のないところから同じ主題をもった作品が同時的に生まれるの……。
『1Q84』のヒロインの青豆さんもそうだったの。その底辺には男性に対する恐怖と不信があって。そして、最後は唯一愛した男の子の世界の中に入り込んで抱かれてゆくの。その中で世界によって孕まれ、生まれなおしてゆくんです。
沙希の喪失と、沙耶との出会いは、鏡の生まれなおしの過程なのだと思います。ユング的な「死と再生」、「真夜中の航海」の類型、抱え込んで理想化されたアニマが引き離され、投影され、再び沙耶と一つになることで同化されてゆく「統合」の物語。分裂していた世界がもとの一つの世界へと戻ってゆく個性化の物語。宇宙的なもの(外的世界)と人間存在の描き出す内的世界(ミクロコスモス)が本質的に不可分であり、世界を生み出しているのが自分自身の意識なのだという神秘的な直観が「鏡」という本の機能として表現されているように見えました。
村上春樹はその結末を希望とも絶望ともとれる仕方で結んでいますが、なつきさんの場合は個人の恋愛の成就という形で幸せのうちに締めくくっているのですね。村上の場合も基本は恋愛なんです。それを男性原理と女性原理の結合、神とシェキナの結婚と捉え、宇宙の再生、運命を前進させる大いなる力として考えているように見えます。ロマン主義的なポエジーなのでしょうね。私も文学的にも、現実生活的にも、そういう観念で動いていることがしばしばあるんです。もし、分析心理学的なファンタジー、あるいは元型論のようなものが妥当な表象なのだとしたら、私はそれをあらゆるものに見つけ出すことができるの……。
(もっとも、その特質は、私の全年齢向けオンライン小説にはほとんど見いだされないのだけれど……いつもいい加減でごめんなさい。だっていい加減なのだもの)
相変わらず、個々の描写が丁寧で、細やかな愛情に満ちているのが素晴らしいですね。一生懸命書いているのが伝わってきました。紙幅にとらわれず、自分の好きに書けるところがオンライン小説の良さなのだと思います。でも、私はせっかくの利点を生かそうとせず、ほとんど実験劇場みたいになっちゃってて……これも向き不向きなのでしょうか? それとも性格? 芸術観?
なつきさんはしっかり書いてて偉いな、っていつも感心させられます。自分の書きたいことをしっかり書いていて。人気取りとかに走らないで。だから素敵。
Hの描写もとても繊細できれいだった。でも、なぜか少し切なさが……どうしてだろう? なつきさんの描くHはいつもきれいすぎて、そのため、かえって現実が醜く見えて絶望的になってしまうのかしら……皮肉にも。それが怖いような気もして……。って、私の性体験って、そんなに暗くつらいものばかりだったってゆーの!? えーっ。
一年くらいかけて読ませていただいたので、全体のバランスについてはまだ認識できていない部分が多くて、最初から通しで読まないと真価はわからないのかも知れないです、ごめんなさい。また時間のある時に読んでみたいです。でも、沙希がいなくなった時の薄気味悪いような、切ないような不思議な感覚に引き込まれました。そこからラストにかけて伏線がどのように展開され、違和感なく種明かしに結びついてゆくかがむずかしいのでしょうね。村上のような思わせぶりな(でも、実は明快な論理がなく、わりと雰囲気で読ませている部分の大きい)作家の場合は、本当に自由に何でもできる柔軟さをもちあるのだけれど、なつきさんのような地に足の着いた現実思考の強い方の場合、そこが一番むずかしいところのような気がしています。きっと、村上はなつきさんよりもスケールの大きい世界を対象としているため、読者個人の現実的な創造力の範囲を超えられるのでしょう。それでだまされてしまうの。なつきさんは本当に身近な日常を掘り下げてゆくので、現実と空想の壁を超えるのが意外とむずかしいと思うんです。それだけにチャレンジのし甲斐があるのも知れないですね。私もどちかというと村上のように大風呂敷を広げるタイプなので、そこになつきさんのような日常の細やかさを嵌め込んでゆくのがテーマなの。でも、本質的には私も私小説的なもののほうが得意なのかも知れません。それが大風呂敷を広げるからバランスを欠くのかも知れませんね。どっちなのしらね。もちろん、村上にも地味な日常の連続を書いたような作品もあります。『ノルウェイの森』などはまだ上巻の途中までしか読んでいないけれど、そんな雰囲気の箇所が続いています。って、私、村上春樹なんて初めて読んだのが数ヶ月前なのにね。二、三冊読んだだけでここまで語るのってふざけてますよね! でも、だいたいわかるの。文学って人間の心理的なものの産物だから、人間が書いたものならだいたいわかるの。それに、私も似たようなことを書き、似たような体験をしてきたから……。
ごめんなさい、私的なことをつらつらと。
でも、素敵な作品にめぐり合えてよかったと思います。
ところどころ、好きな表現に出会えたり。
「その先には恥ずかしそうにしている小さいピンク色の粒」「指がお湯にでもつけたみたいに熱く、とろとろとしていた」「淡い桃色のすじが少しだけ開いて、濡れて光っている。すじの先には芍薬の蕾のような小さな突起が覗かせていた」「無数の襞のトンネルが俺を包み、握っている」……
って、ぜんぶHなところ!?
でも、Hなところになるとなつきさんの描写が一際ていねいになるのだもの。なんだか心地よさそう☆
でも、本当に鏡は沙希のこと、忘れられたのかな? うーん、嘘だな、ぜったい!!
沙希ともしたかったなー、とか上の空で考えてるんだ、ぜったい!!
ハァハァ……男ってこれだから!
悲しいですよね。
って、勝手にまとめるなよ、私……
では、これからもがんばってくださいね。
なつきさんにはきっとまだまだいろいろな力があると思うから。
とても楽しみにしています。
長くなってしまって、ごめんね。
投稿者:
有坂りさこ
[2008年 11月 21日 (金) 05時 04分 55秒] ---- ----
▼一言
おはようございます☆
12話まで読みました。まだ途中なので感想にしますね。
「心の情景」の時と同じで、サスペンスとしての側面が私好みでした。それに前作よりも伏線が面白くて、後半は一気に読んでしまいました。
実は、私も似たような(まだ似ているかわからないけれど)問題について扱った小説を以前に書いたんです。「あなたは誰、そしてどこへ?」「私は誰、そしてどこへ?」という問題は単なるファンタジー以上に奥深い問題で、佐山と鏡、そして『鏡』の関係にとても惹きこまれました。いい作品だと思います。和藤さんがわりに辛口だったのが不思議……。好みの問題かしら?
また寄らせていただきますね<(_ _)>
では☆
星桜なつき。
[2008年 12月 12日 (金) 23時 51分 01秒]
りさこさん、感想ありがとうございます!
返信がめっさ遅くなってしまってごめんなさい。
感想、本当嬉しいです。
この作品、ちょと連載止まっていてごめんなさい。
思うところがあって、演出にノクターンの方にしようかと悩み、執筆が止まってしまっています……。
また少ししたら書き始めますので、またどうぞよろしくお願いします!
投稿者:
和藤渚
[2008年 10月 05日 (日) 00時 50分 56秒] 18歳~22歳 男性
▼一言
どうもはじめまして和藤渚です。
どこにでもある内容でした。なのでおそらく断念するだろうと思ってました。しかしその中にとても独特の世界を持ってるなと思いました。おそらくこの世界観で読み進められるのかな?とも思いました。なのでこの世界観(星桜ワールド)を大切にしてこれからも頑張ってくださいね^^
佐山さんとてもかわいかったです。
文章評価: ★★★☆☆
作品評価: ★★★★☆
信頼度:S5
出版:わからない
星桜なつき。
[2008年 10月 13日 (月) 23時 23分 25秒]
和藤渚さん。初めまして! 返事が遅くなりまして、申し訳ありませんでした。評価感想本当にありがとうございます! この作品はすっごく昔に書いた話をプロットからリライトして書き始めたものなのです。そこに私の世界観があると言われて、本当に嬉しいです! すごく励みになります。ちょと更新は遅めになっちゃってますが、また見に来ていただけると嬉しいです!
本当にありがとうございました!
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私も今では文学作品の絶対的な評価などできないという懐疑の念を強くしているので、感想という形で失礼させていただきますね。
でも、作品と人との関わりは常に主観的なものであって、特に私にとってはそれを離れた客観的な関係のありようなんて体験として無意味なの。だから、私と『鏡』という唯一の関係性から、私の気持ちを書かせていただきますね。
最後の数話分、特に私にはつらく感じられました。なんだか私自身のことのように感じられて、そして、なつきさんの……。それに……。
ごめんなさい、うまく言えなくて。
いろいろあったんです。鏡が告白する前に沙耶が彼に話したこと、いろいろな想いをもって読みました。
男の人が怖いという気持ち。普段はそれを見せていなくても、そういう気持ちを抱えて隠している人、たくさんいると思うから……。
本当に、私とあなたが辿った道。あなたは今、幸せなのですか?
幸せであってほしいの……。
「鏡」という本は、『1Q84』での高速道路の非常階段の役割を担っていたんですね。そこから「空気さなぎ」の世界に入っていくように。世界は不断の創造の過程にあって、観測者の意識内容が外的に投影されたいくつかの世界の混淆によって成り立っている……
あなたはきっと『1Q84』を読んでいないと思うんです。けれど、これは時代の共有する感覚なのかも知れないですね。文学作品にはそういうことがしばしばあって、全く接触のないところから同じ主題をもった作品が同時的に生まれるの……。
『1Q84』のヒロインの青豆さんもそうだったの。その底辺には男性に対する恐怖と不信があって。そして、最後は唯一愛した男の子の世界の中に入り込んで抱かれてゆくの。その中で世界によって孕まれ、生まれなおしてゆくんです。
沙希の喪失と、沙耶との出会いは、鏡の生まれなおしの過程なのだと思います。ユング的な「死と再生」、「真夜中の航海」の類型、抱え込んで理想化されたアニマが引き離され、投影され、再び沙耶と一つになることで同化されてゆく「統合」の物語。分裂していた世界がもとの一つの世界へと戻ってゆく個性化の物語。宇宙的なもの(外的世界)と人間存在の描き出す内的世界(ミクロコスモス)が本質的に不可分であり、世界を生み出しているのが自分自身の意識なのだという神秘的な直観が「鏡」という本の機能として表現されているように見えました。
村上春樹はその結末を希望とも絶望ともとれる仕方で結んでいますが、なつきさんの場合は個人の恋愛の成就という形で幸せのうちに締めくくっているのですね。村上の場合も基本は恋愛なんです。それを男性原理と女性原理の結合、神とシェキナの結婚と捉え、宇宙の再生、運命を前進させる大いなる力として考えているように見えます。ロマン主義的なポエジーなのでしょうね。私も文学的にも、現実生活的にも、そういう観念で動いていることがしばしばあるんです。もし、分析心理学的なファンタジー、あるいは元型論のようなものが妥当な表象なのだとしたら、私はそれをあらゆるものに見つけ出すことができるの……。
(もっとも、その特質は、私の全年齢向けオンライン小説にはほとんど見いだされないのだけれど……いつもいい加減でごめんなさい。だっていい加減なのだもの)
相変わらず、個々の描写が丁寧で、細やかな愛情に満ちているのが素晴らしいですね。一生懸命書いているのが伝わってきました。紙幅にとらわれず、自分の好きに書けるところがオンライン小説の良さなのだと思います。でも、私はせっかくの利点を生かそうとせず、ほとんど実験劇場みたいになっちゃってて……これも向き不向きなのでしょうか? それとも性格? 芸術観?
なつきさんはしっかり書いてて偉いな、っていつも感心させられます。自分の書きたいことをしっかり書いていて。人気取りとかに走らないで。だから素敵。
Hの描写もとても繊細できれいだった。でも、なぜか少し切なさが……どうしてだろう? なつきさんの描くHはいつもきれいすぎて、そのため、かえって現実が醜く見えて絶望的になってしまうのかしら……皮肉にも。それが怖いような気もして……。って、私の性体験って、そんなに暗くつらいものばかりだったってゆーの!? えーっ。
一年くらいかけて読ませていただいたので、全体のバランスについてはまだ認識できていない部分が多くて、最初から通しで読まないと真価はわからないのかも知れないです、ごめんなさい。また時間のある時に読んでみたいです。でも、沙希がいなくなった時の薄気味悪いような、切ないような不思議な感覚に引き込まれました。そこからラストにかけて伏線がどのように展開され、違和感なく種明かしに結びついてゆくかがむずかしいのでしょうね。村上のような思わせぶりな(でも、実は明快な論理がなく、わりと雰囲気で読ませている部分の大きい)作家の場合は、本当に自由に何でもできる柔軟さをもちあるのだけれど、なつきさんのような地に足の着いた現実思考の強い方の場合、そこが一番むずかしいところのような気がしています。きっと、村上はなつきさんよりもスケールの大きい世界を対象としているため、読者個人の現実的な創造力の範囲を超えられるのでしょう。それでだまされてしまうの。なつきさんは本当に身近な日常を掘り下げてゆくので、現実と空想の壁を超えるのが意外とむずかしいと思うんです。それだけにチャレンジのし甲斐があるのも知れないですね。私もどちかというと村上のように大風呂敷を広げるタイプなので、そこになつきさんのような日常の細やかさを嵌め込んでゆくのがテーマなの。でも、本質的には私も私小説的なもののほうが得意なのかも知れません。それが大風呂敷を広げるからバランスを欠くのかも知れませんね。どっちなのしらね。もちろん、村上にも地味な日常の連続を書いたような作品もあります。『ノルウェイの森』などはまだ上巻の途中までしか読んでいないけれど、そんな雰囲気の箇所が続いています。って、私、村上春樹なんて初めて読んだのが数ヶ月前なのにね。二、三冊読んだだけでここまで語るのってふざけてますよね! でも、だいたいわかるの。文学って人間の心理的なものの産物だから、人間が書いたものならだいたいわかるの。それに、私も似たようなことを書き、似たような体験をしてきたから……。
ごめんなさい、私的なことをつらつらと。
でも、素敵な作品にめぐり合えてよかったと思います。
ところどころ、好きな表現に出会えたり。
「その先には恥ずかしそうにしている小さいピンク色の粒」「指がお湯にでもつけたみたいに熱く、とろとろとしていた」「淡い桃色のすじが少しだけ開いて、濡れて光っている。すじの先には芍薬の蕾のような小さな突起が覗かせていた」「無数の襞のトンネルが俺を包み、握っている」……
って、ぜんぶHなところ!?
でも、Hなところになるとなつきさんの描写が一際ていねいになるのだもの。なんだか心地よさそう☆
でも、本当に鏡は沙希のこと、忘れられたのかな? うーん、嘘だな、ぜったい!!
沙希ともしたかったなー、とか上の空で考えてるんだ、ぜったい!!
ハァハァ……男ってこれだから!
悲しいですよね。
って、勝手にまとめるなよ、私……
では、これからもがんばってくださいね。
なつきさんにはきっとまだまだいろいろな力があると思うから。
とても楽しみにしています。
長くなってしまって、ごめんね。