ライトな設定と作風ばかりで飽き飽きしている方にお勧め
投稿者:
黒木露火
[2009年 12月 06日 (日) 11時 21分 18秒]
「忘却〜その境界と恩恵」という哲学書か何かのような堅苦しいタイトルで敬遠する向きもあるかと思うが、恐らくこれは「彼」が残した論文のタイトルなのだろう。
一応SFではあるが、設定自体はハードではなく、特別な知識も必要としないし、ストーリー自体もさほど込み入ったものではない。
しかし、しっかりと描き込まれた登場人物ひとりひとりの個性とその思惑は、ライトな設定と作風ばかりで飽き飽きしているオンライン小説愛好家にはお勧め。
とはいえ、陰謀術数寄りの陰険な話ではない。
人間というどうしようもない生き物に対する作者の愛情と優しさが、透けて見えるような読後感のよい作品である。