イチオシレビュー一覧

主人公　佐藤 恭一郎は崖の下へと身を投げた。
本来ならば、ここで死ぬはずだったが気がついたら異世界にいて、助けてくれたメオの為に潰れかけていたねこのしっぽ亭を再建する。それがこの物語のメインストーリーだ。

従来のファンタジーと違い、食がメインに物語を盛り上げている。
その食に関しても地球では当たり前のことが異世界では当たり前ではない。だから、主人公のような普通の人間でも重宝される。
この手法は見事だ。何もチートだけが活躍できるわけではない。
文章も易しく書かれているので、ちょっとした時間で読めるハートフルなお話なのでぜひとも読んでもらいたい。

この物語は、最強を求める人には向かない。
地球とは異なる世界の片隅で、
常識や文化の違いを乗り越えながら、
恩人を助けたいと奮闘する何処にでもいる日本人の青年を中心にした、連続テレビ小説のような物語である。

某国の復員兵のような葛藤に悩む人もいれば、
役目を果たして棄てられた人もいる。
主人公の周りには華が集うが、華自身も訳ありが多く。
知らぬ間に主人公に救われている場合も多い。

又、客観的立場から異世界から見た日本の良さを再確認できる。

ファンを飽きさせない良作と思います。

”コンシェルジュ”この単語を見た瞬間に少し堅苦しい印象やサービス業を思い出す方がいるでしょう、しかしそれを覆す”ねこのしっぽ亭”という力が抜ける副題、この取り合わせがこの小説を表現してます。

非常に読みやすい文章で物語は進みます。
個性的なキャラクターが主人公にアプローチを仕掛けていくのですが…

ちょっとお馬鹿な登場人物の心理描写がお気に入りになってしまうと主人公はどうするのだろうと考えながら展開を待ち望むことでしょう。

単純なハーレムストーリーでは味わえない心が温まるお話が盛りだくさんです。この後もきっとそんな話が続くのでしょうか、非常に楽しみにしている自分がいますね。
ほのぼの、異世界ファンタジーだけじゃない、お勧めの物語です。

この作品は、戦闘マシーンのように登場人物が戦いに明け暮れる物語ではない。
異世界に飛ばされた主人公が、一食の飯に涙を流したり、異世界の文化に頭を抱えたり、時には少しだけ閃く、そんな物語である。

主人公の「恭一郎」は、何か抜群に秀でた才能があるという訳ではない。
専門的な知識もないし、異世界に飛ばされて特別な力が発現したという訳でもない。
あるのは、ちょっとした現代の知識だけ。

潰れかけの飲食店「ねこのしっぽ亭」は、メニューが一つしかない。
店を商う猫耳娘「メオ」が作れる唯一のメニューがそれだったからだ。

そんな恭一郎とメオという歯車がかみ合い、さらりと読める素晴らしい文章と共に、物語は進んでいく。