そしてふたりでワルツを

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かくも陰惨な世界に輝く愛

投稿者: 天界音楽 [2017年 06月 12日 18時 41分]
 世界は優しくなどない。だが、そこに真実の愛があれば、その見え方は変わってくるかもしれない。これは愛を知らない男たちと、ある純真な少女の物語だ。

 両親に愛され、大切に育てられてきたカミィ・セシルは十七という年齢よりも少し幼い印象を抱かせる。ふわふわと甘く優しく、強く握れば壊れてしまいそうだ。泣き虫で甘えんぼ。でも彼女は強い。辛い境遇に置かれても、真っ直ぐに前を向いて微笑むのだ。彼女は温室の薔薇ではない、種が落ちた場所で芽吹き花咲く強さとしなやかさを持っている。

 彼女は信じている。愛は届けることができると。
 彼女は願っている。愛が届けばとげとげのハリネズミの寂しい心も癒されると。

 たとえ彼女自身は恋した相手と結ばれることはなくても。自分を愛してくれる両親が選んでくれた相手だから。彼女は微笑むのだ。涙を払い落として。


 すべては彼女を中心に回る。
 まるで、ワルツのように。

読んだ後にワルツを踊りたくなる☆

投稿者: うっしー^^ [2017年 06月 11日 09時 35分]
この作品のいいところは何といっても喜怒哀楽を一つの作品で全て味わえることでしょう!
主人公が…ではありません。

読者が、です。

悪役には本気で怒りを覚え、友情には心がほんわかとなり、恋愛にドキドキし、ある場面では恐怖を感じます。
自分自身がこのストーリーによって高揚する感覚をぜひ味わってみてください。

しかし、ここでひとつ言っておきます。
本編を読み終わり、悪に怒りを抱いたまま終わらないでください。
必ず外伝の隅々までしっかりと読んでください。
キャラクターに対するイメージががらりと変わります。
これもこの作品のいいところなのです!

そしてこの作品は完結した今でも成長しています。
一度だけでなく、何度も読み直してみると面白いのではないでしょうか。

そしてふたりでワルツを

投稿者: てこ [2017年 06月 05日 22時 54分]
「例の殺人鬼が来たのかと思ったじゃないか」
「生き物はいつか死ぬよ。足掻いても仕方ない事だ。さようならお母様」
「もしかしてお兄様達や王様を殺したのは……」




「ゲツエイ……お前……やったのか?」
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演者は一人。
月明かりによってできる影と同じ色の服を着た【何か】。
踊るように死体から肉と血を撒き散らし静かに笑っている。

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『そしてふたりでワルツを』
……一体犯人は誰なんだ!?

そしてふたりでワルツを

投稿者: はなだ(ゴミ) [2017年 05月 24日 12時 50分]

限られた登場人物に、長すぎず中だるみのない話はまるで一曲の音楽を聴いているようです。
それもオーケストラのような、大人しくまとまったクラシックではありません。

ロックになったり、ポップスになったり、演歌(!?)になったり、ハチャメチャなのに違和感がない。
個性あふれる登場人物(みんなが主役)がそれぞれに奏でるメロディを、シンフォニーにまとめあげている指揮者。それが作者なのです。そういう意味では作者もまた、登場人物と言えます。

まさに神。神死んでないやん。

夢中になった1周目と違って、2周目は様々な伏線に注目しながら読んだし、結末も知っているにも関わらず、やっぱり面白い。面白い。大事だからもう一回、面白い!!!

とにかく読んで。いいから読んで。絶対面白い。私嘘言わない。サクラでもない。

最終章を読んだ時にはこう叫びたくなるでしょう。

「そしてふたりでワルツを!」

今宵は、トーマス殿下主催の舞踏会にようこそおいでくださいました。

投稿者: 古川アモロ [2017年 05月 10日 15時 34分]
おそれながら、招待状を拝見……おお、お待ちしておりました。ささ、会場にご案内いたしましょう。

いやはや大変失礼を。
仮面舞踏会と申しますのは、われわれ使用人泣かせでございまして。どなたさまも、マスクをしておられましょう?
お名前をお伺いしまして、飛び上がることなどしょっちゅうでございまして……

おやおや、あちらの可愛らしいマスクのレディでございますか?セシル伯爵のご息女でございますよ。
たしかお名前はカミィ様でらっしゃいますな。17歳になられたとか……本日が社交界デビューというわけですな。

はて?カミィ様とおはなしをされている御仁でございますか?
ああ……あの……ガスマスクをかぶった方でございましょう?
吾妻侯爵でございますよ。さよう、変人とうわさに名高い、あの……
いやはや、いささか場違い……おっと、これは失礼をいたしました。

お飲み物はなにをお持ちいたしましょう。読者様。

恋愛あり、アクションあり、グロありの総合エンターテイメント

投稿者: 浦登 みっひ [2017年 05月 07日 17時 50分]
 一話の冒頭がいきなりおどろおどろしいシーンから始まり、場面が切り替わると今度は一転して脳内お花畑のお嬢様が登場。このギャップについていけたならば、必ず最後まで読む価値があると保証できます。
 脳味噌ふわとろのお嬢様とマッドサイエンティストの侯爵の間に芽生えた恋を主軸に据えつつ、二面性のある暴君、猟奇的な忍者、スラムの王などが入り乱れる、混沌とした、しかし王道のストーリー。これを総合エンターテイメントと呼ばずしてなんと呼びましょう?

ハマる人はとことんハマる、「愛」に溢れた群像劇

投稿者: LED [2017年 04月 15日 12時 40分]
世の中には二種類の物語がある。
広く浅く、多くの人に受け入れられるモノと、人によって好みがハッキリ分かれるモノだ。

この話は間違いなく後者。しかしその振り幅は凄まじい。
物語が秘める魅力に憑りつかれた人は、夢中になってどハマリしてしまう事だろう。

人間らしい感情を持たないと思われていた天才ジュンイチが、天真爛漫なヒロイン・カミィと出会い、物語を経て「人間」になる過程は必見。
読み終えた時に気づく。この二人は惹かれ合うべくして惹かれたベストカップルなのだという事を!

脇を固める人々も、非情なる悪役たちも、それぞれにドラマがあり、群像劇にも関わらず、それぞれ違った魅力を放ち読者を惹きつけて離さない。

未読の方、もしおられるならまず目を通して欲しい。
もし「食わず嫌い」だったなら、もっと早くに読むべきだったと、きっと後悔するはず。
物語にふんだんに盛り込まれた「愛」をご堪能あれ!

それぞれのキャラが繋がる時、あなたはもう物語に入り込んでいる!

投稿者: 桔梗 [2017年 04月 03日 14時 28分]
――お花畑にいそうな、可愛らしい少女。

――人間味のないマッドサイエンティスト。

――非の打ち所のないイケメン王子。

――スラム街に住む金貸しの男。

――ふらっとこの国へやってきた謎の旅人。



それぞれ彼らの物語を読んでいると、
いつの間にか事件の中心に立っていた!

猟奇的な内容もありますが、主人公が柔らかいからでしょうか。
ずっしり重くならず、うまく調和がとれています。

どのキャラも個性的で好きになる要素たっぷり!
悪役もまた魅力的です!!



主人公カミィの周りでうごめく何か。
彼女は目の前の現実をどう捉えてどう動く?


彼らの物語は始まったばかり……。

食わず嫌い、ダメゼッタイ

投稿者: 石川 翠 [2017年 03月 16日 21時 33分]
世間知らずな少女と猟奇的な天才科学者の恋物語……というあらすじ部分に注目して読むと、第一話の冒頭で横っ面をぶっ叩かれたような気持ちになるでしょう。ですが大丈夫、問題ありません。安心してどうぞそのまま読み進めてください。

恐らく次々に出てくる個性豊かな登場人物たちに、あなたは翻弄されるはずです。視点も切り替わり、様々な情報に惑わされる。けれどいつしかあなたにも、しっくりわかる時がきます。彼らが取った行動の背景に気づいたときの爽快感は見事です。

この作品は、出てくる人々誰もが主役の群像劇。誰か一人が欠けても、オーケストラは曲を奏でることができなくなってしまいます。最終話では、きっとこの物語のキーフレーズに鳥肌が立つはず。さあ、お手を。あなたも一緒にワルツを踊りましょう。

正しい「独特な世界観」の作り方

投稿者: 菱川あいず [2017年 03月 14日 08時 53分]
卵が先かニワトリが先か。
この議論以上に、執筆家にとって悩ましい議論は、
ストーリーが先かキャラクターが先か、
だと思う。

実際に作者に確認したわけではないが、「そして二人でワルツを」はおそらく「キャラクターが先」の小説だと思う。

というのも、登場人物は本来混じり合わない位置にいる者たちなのである。

天然フワフワ系の娘。
人の心が分からない天才科学者。
スラムを統べる男。
出生に関するコンプレックスから圧政を行う王。
無言で人を殺し続ける殺戮忍者。

こんなめちゃくちゃなキャスティングなのに、この作品は決してとっ散らかっていない。
登場人物一人一人に確固とした意思とヒストリーがあるからだ。

この作者は個性的なキャラクターを描くことに関して一級品だと思う。そして、そのことが魅力的なストーリー、すなわち「独特な世界観」に直結している。

見事としか言いようがない傑作だ。
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