嵐谷イサミの十戒

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『僕』は、少年から少し男の子を引きずった大人になり。 他者に自己を投影し始めたイサミは、人から人 間になる。秀才と天才が紡ぐ恋愛小説

投稿者: 中村はちす [2017年 03月 21日 07時 14分]
 ヒロインのイサミは、一見すると支離滅裂にみえる行動を取っていますが、世間の枠組みに入っていないだけで、行動の動機には彼女独自の価値観が明確に存在しています。
 それを発見した、ちょっと小生意気で秀才肌の主人公、『僕』は、彼女の行動から規則性を見いだし分析することで、距離を縮めようとします。されども『僕』は中三、彼女は高三の天才。アプローチは空回りするばかり。
 やがてイサミにも変化が訪れます。風のように生きてきた彼女は『僕』が何を考えているのか、気になりはじめます。
 序盤は、魅力的な女性に振り回される秀才の『僕』と、天真爛漫なイサミがひょんな事から交際を始めてからの【二人の日々】を切り取ったエピソード。
 中盤以降から双方に価値観の変化が訪れ、【二人の、かけがえのない日々】の物語が積み重なっていきます。
 関係の変化が丁寧に描かれているのが、この作品の魅力だと思います。

少年の真摯な愛に触れ、少女は恋心を育んでいく。心のふれあいが、温かく優しい音色を奏でる、珠玉の恋愛小説!

投稿者: [2017年 03月 18日 00時 39分]
 容姿端麗の上にあふれんばかりの才能をもつ、嵐谷イサミ。何に挑戦しても人並み以上にやりこなしてしまう為、すぐに飽きて興味を失ってしまう。心のままに生きる彼女は、常人の枠に嵌まらない。そんな彼女に告白し、晴れて付き合うことになった「僕」。彼は彼女を理解しようと、その行動から考え方を推測しつつ、言葉を重ね同じ月日を生きる。
 彼の根底にあるのは、彼女に対する純粋な愛。時間をともに過ごす度に、思いは強く深く、成長していく。そして少女もまた、自分に向けられる愛情に触れて、少しずつ変わっていく――。

 心の変化。繊細な情感を綴る、精妙な文章。それは雨上がりの空にかかる虹に似た、豊かな色彩と輝きを放っている。
 ありふれた恋愛小説では満足できない。そう思っているあなたにこそ、読んでほしい作品である。
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