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[一言]
やどかりの生々しい描写があまりに印象的でした。
文章や梓の思いそのものが塗り込んだ油絵のようでした。
なんども上書きされて剥がれそうになって、そしてまた上書きするような。
そうしてたどり着いたところだったのでしょう、と思います。
やどかりの生々しい描写があまりに印象的でした。
文章や梓の思いそのものが塗り込んだ油絵のようでした。
なんども上書きされて剥がれそうになって、そしてまた上書きするような。
そうしてたどり着いたところだったのでしょう、と思います。
- 投稿者: 遠宮 にけ ❤️ nilce
- 2017年 08月11日 11時32分
こちらもありがとうございます!
「やどかり」はいつもと違う作品(と自分では思っています)です。
ハッピーエンドを好んでいますし、世の中に対する不安とか不満とか……そういうものが溢れているのに、諦めている系? が唯一、私の嫌う作品でして……。
なのに、何故これを書いたのか? と言われると謎です。
どんな絵が描かれていたのでしょうね。
「やどかり」はいつもと違う作品(と自分では思っています)です。
ハッピーエンドを好んでいますし、世の中に対する不安とか不満とか……そういうものが溢れているのに、諦めている系? が唯一、私の嫌う作品でして……。
なのに、何故これを書いたのか? と言われると謎です。
どんな絵が描かれていたのでしょうね。
- タカノケイ
- 2017年 08月11日 17時43分
[一言]
リライトお疲れ様でした。
短編集に収録された旧版を先に拝読していましたが、単独の中編として十分に読み応えのある内容でした。タカノさんの凄味は登場人物の心情のリアリティと、それを必要最小限の説明で描き切る筆致の鋭さだと個人的に思っています。本作では特にその鋭さが顕著で、重苦しい話にも拘わらず、過剰に引き摺られずに読めた気がします。犯罪ノンフィクションを読んでいる感覚に近かったです。
登場人物への容赦ない描写がいいですね。母親はヒモ男はもちろん友人恵梨の母親に至るまで、心の中にある悪意が透けて見えるよう。この目ざとさが梓の感性だとしたら、彼女が置かれた環境のどうしようもない閉塞感・残酷さが分かります。
実は梓自身の心情はさほど吐露されてないんですよね。場面場面で「気持ち悪い」とか「嫌だ」とか生理的な感想は述べても、奥で渦巻く感情はあまり外に出てこない。したたかに実行された計略を通じて、彼女がいかに憎悪を滾らせていたか怒りを募らせていたか知ることになり、衝撃が倍増します。心底追い詰められた人間の恐ろしさと言いますか……饒舌に語るばかりが心理描写ではないのだなあと勉強になりました。
梓にとって直接の加害者はヒモ男であり実父だったわけですが、彼女がいちばん憎んでいたのは母親であった気がします。憎しみというより嫌悪感でしょうか。夫を亡くして裕福な生活を手放した後も、外面だけは卒のない母親を演じ、ごてごてと飾り立てた借り物の巻貝に隠れている。引き摺り出した醜い本体をトイレに流すように突き放した後、梓がさほど幸せそうに見えないところが複雑です。自分もまた同類だと考えているから「ああはなりたくない」ではなく「自分はもっと上手くやれる」と負の連鎖に嵌ってしまうのですね。
状況に応じて住まいを替えるやどかりは(比喩表現として)本来とても軽やかな生き方のはずなのですが、何でだろう、梓が自由になれたとは思えないんですよ……彼女もまた母親のように、外面を取り繕って生きなければならなくなったからかもしれません。お人好しお坊ちゃんの陽介に受け留めれれる度量があればよいのですが。
ギリギリR15範囲の表現だったのではないでしょうか(笑)。そのうちミッドナイトでタカノさんのダークでバイオレンスな作品を読んでみたい気がします。
リライトお疲れ様でした。
短編集に収録された旧版を先に拝読していましたが、単独の中編として十分に読み応えのある内容でした。タカノさんの凄味は登場人物の心情のリアリティと、それを必要最小限の説明で描き切る筆致の鋭さだと個人的に思っています。本作では特にその鋭さが顕著で、重苦しい話にも拘わらず、過剰に引き摺られずに読めた気がします。犯罪ノンフィクションを読んでいる感覚に近かったです。
登場人物への容赦ない描写がいいですね。母親はヒモ男はもちろん友人恵梨の母親に至るまで、心の中にある悪意が透けて見えるよう。この目ざとさが梓の感性だとしたら、彼女が置かれた環境のどうしようもない閉塞感・残酷さが分かります。
実は梓自身の心情はさほど吐露されてないんですよね。場面場面で「気持ち悪い」とか「嫌だ」とか生理的な感想は述べても、奥で渦巻く感情はあまり外に出てこない。したたかに実行された計略を通じて、彼女がいかに憎悪を滾らせていたか怒りを募らせていたか知ることになり、衝撃が倍増します。心底追い詰められた人間の恐ろしさと言いますか……饒舌に語るばかりが心理描写ではないのだなあと勉強になりました。
梓にとって直接の加害者はヒモ男であり実父だったわけですが、彼女がいちばん憎んでいたのは母親であった気がします。憎しみというより嫌悪感でしょうか。夫を亡くして裕福な生活を手放した後も、外面だけは卒のない母親を演じ、ごてごてと飾り立てた借り物の巻貝に隠れている。引き摺り出した醜い本体をトイレに流すように突き放した後、梓がさほど幸せそうに見えないところが複雑です。自分もまた同類だと考えているから「ああはなりたくない」ではなく「自分はもっと上手くやれる」と負の連鎖に嵌ってしまうのですね。
状況に応じて住まいを替えるやどかりは(比喩表現として)本来とても軽やかな生き方のはずなのですが、何でだろう、梓が自由になれたとは思えないんですよ……彼女もまた母親のように、外面を取り繕って生きなければならなくなったからかもしれません。お人好しお坊ちゃんの陽介に受け留めれれる度量があればよいのですが。
ギリギリR15範囲の表現だったのではないでしょうか(笑)。そのうちミッドナイトでタカノさんのダークでバイオレンスな作品を読んでみたい気がします。
ありがとうございます!
こんなに丁寧な感想をいただいて……いつも本当にありがとうございます。
文体について、褒めていただいてありがとうございます(/ω\)
やどかりに関しては、意識して遠くから見ているような描写を心がけました。
梓の本当の心のままだったら壊れてしまうから「誰かがされている」ようにシャッターの向こう側から見るように世の中を見ているというか。
それは「自棄になって、逆恨みで陽介を殺して自殺する」という計画と見せかけて実は、の実の部分を隠す為でもありました。(うまく隠せていませんでしたが)
普段の作品ではそんなに意識して書いていないのですが、薄いのが私のクセなのでしょうか; メリハリが付けられるよう「盛る」ことも覚えたいと思い始めた今日この頃です。
直接の加害者はその通り、ヒモと父なんですが……母に対しては愛情があったのだと思います。愛情があったからこそ、その見返りが手に入らないからこそ、憎しみも一番感じていた、のではないかと。
洗面所でのシーンの前までは梓は(無意識にでも)やめることも考えていたと思うのです。最後だからと吐露した「自分を一番に考えてほしい」という想いが踏みにじられ、決行してしまったのです。
全てが明るみに出て尚、自分のことしか考えていない母に、ようやく踏ん切りがついたでしょうか。そしておっしゃる通り「あれは失敗したけど、私は大丈夫」と思ったのではないかと思います。
どうにかなったかもしれない時代は過ぎ去ってしまって、同じことの繰り返しになる、という暗示に気づいてもらえたら、もう思い残すことはありません(笑)
ギリギリでしたかね!?
ミッドナイト系が得意だろうな~自分、とは薄々……だが、書かぬ(✧≖‿ゝ≖)
私も感想をしっかり書かなくちゃなあ、と毎回思わされます。これが、上達への近道なのではないかと感じる次第です。
このたびは本当にありがとうございました☆
こんなに丁寧な感想をいただいて……いつも本当にありがとうございます。
文体について、褒めていただいてありがとうございます(/ω\)
やどかりに関しては、意識して遠くから見ているような描写を心がけました。
梓の本当の心のままだったら壊れてしまうから「誰かがされている」ようにシャッターの向こう側から見るように世の中を見ているというか。
それは「自棄になって、逆恨みで陽介を殺して自殺する」という計画と見せかけて実は、の実の部分を隠す為でもありました。(うまく隠せていませんでしたが)
普段の作品ではそんなに意識して書いていないのですが、薄いのが私のクセなのでしょうか; メリハリが付けられるよう「盛る」ことも覚えたいと思い始めた今日この頃です。
直接の加害者はその通り、ヒモと父なんですが……母に対しては愛情があったのだと思います。愛情があったからこそ、その見返りが手に入らないからこそ、憎しみも一番感じていた、のではないかと。
洗面所でのシーンの前までは梓は(無意識にでも)やめることも考えていたと思うのです。最後だからと吐露した「自分を一番に考えてほしい」という想いが踏みにじられ、決行してしまったのです。
全てが明るみに出て尚、自分のことしか考えていない母に、ようやく踏ん切りがついたでしょうか。そしておっしゃる通り「あれは失敗したけど、私は大丈夫」と思ったのではないかと思います。
どうにかなったかもしれない時代は過ぎ去ってしまって、同じことの繰り返しになる、という暗示に気づいてもらえたら、もう思い残すことはありません(笑)
ギリギリでしたかね!?
ミッドナイト系が得意だろうな~自分、とは薄々……だが、書かぬ(✧≖‿ゝ≖)
私も感想をしっかり書かなくちゃなあ、と毎回思わされます。これが、上達への近道なのではないかと感じる次第です。
このたびは本当にありがとうございました☆
- タカノケイ
- 2017年 06月09日 07時05分
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