感想一覧
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[一言]
少し切なく、そして温かい気持になれる作品でした。
突然に開いた異世界への窓、そして始まった異世界の友達との交流、そんなほのぼのとした物語の中で、徐々に離れてゆきやがては通行不能になってしまう運命を示した窓の変化は、相当に暗い影を物語に落しそうに思えましたが、登場人物たちの前向きな姿勢が、最後までそれほどの悲愴感をもたらさなかったことは救いであったと思います。
それでも最後は、やはり陽樹たちと陽華たちは永遠の別離となってしまう結末なのか、とやや寂しくはありました。しかしあくまでも明るい別れとなった彼らは、いつかどこかで、再会を果すことが出来そうな気もしますね。
本作の主人公的存在である陽樹の成長はやはり目を引くものでした。それでもすぐに泣き出してしまったり、テストでは平然と零点を取ったり、大事な場面で夏海を放り出してどら焼きを買いに行ってしまったりと、余りに子供っぽさが目につき、一寸苛々させられる存在ではありましたが、秋兎や夏海からの叱咤を受けて、立ち直ったことは良かったと思います。颱風の中で陽華を助ける場面は、彼の成長がよく現れていたと感じました。
もう一人特に目を引いたのは、その彼を叱った夏海です。火事によって家の和菓子屋と共に両親を失ってしまった彼女は、本作品の中で最も暗い影を持つ存在ですが、そんな彼女が異世界ではごく当り前に存在する和菓子屋と両親を目の当りにしたときの感情を思うと実に切ない気持にさせられます。異世界へ行けなくなったことで折角友人となった陽華とも別れることとなってしまった彼女ですが、どうか今回の出来事によって過去を乗り越えられていればいいなと思います。その性格を含めて、読者の心に残る登場人物であると感じました。
気になった点としては、陽樹よりはずっとしっかり者でありそうな陽華が、運動会の種目を陽樹に代って貰うということで、そんなことをしていいのかと一寸引っかかったのと、「陽華の成長」の話で彼女がどう変化したのか今一つ分からなかったこと、辺りでしょうか。陽樹の成長が明瞭に分かる一方で、こちらはやや稀薄であったような気がしました。それでも最後は代走予定だった陽樹に代って、自分自身の脚で走ることとなったのは一種の成長としても捉えられ、良かったと思います。
それからこれはやや細かい点ですが、陽華が川へと転落しそうになった、土手に張られたフェンスの向こうの崖っぷちというのがどういう場所なのか、情景を上手く想像できませんでした。私が堤防改修の工事現場というのをまともに見たことがないからかも知れませんが……。
全体の感想としてはこのような感じですが、諸所に出てくるどら焼きも上手く機能していましたし、窓の分析、登場人物のそれぞれの立ち位置など、よく気の配られた小説であると感じました。この長篇を五年間かけてまとめ上げ、完結させたのは素晴らしいことだと思います。次回作も是非拝読させて頂きたいと思います。
少し切なく、そして温かい気持になれる作品でした。
突然に開いた異世界への窓、そして始まった異世界の友達との交流、そんなほのぼのとした物語の中で、徐々に離れてゆきやがては通行不能になってしまう運命を示した窓の変化は、相当に暗い影を物語に落しそうに思えましたが、登場人物たちの前向きな姿勢が、最後までそれほどの悲愴感をもたらさなかったことは救いであったと思います。
それでも最後は、やはり陽樹たちと陽華たちは永遠の別離となってしまう結末なのか、とやや寂しくはありました。しかしあくまでも明るい別れとなった彼らは、いつかどこかで、再会を果すことが出来そうな気もしますね。
本作の主人公的存在である陽樹の成長はやはり目を引くものでした。それでもすぐに泣き出してしまったり、テストでは平然と零点を取ったり、大事な場面で夏海を放り出してどら焼きを買いに行ってしまったりと、余りに子供っぽさが目につき、一寸苛々させられる存在ではありましたが、秋兎や夏海からの叱咤を受けて、立ち直ったことは良かったと思います。颱風の中で陽華を助ける場面は、彼の成長がよく現れていたと感じました。
もう一人特に目を引いたのは、その彼を叱った夏海です。火事によって家の和菓子屋と共に両親を失ってしまった彼女は、本作品の中で最も暗い影を持つ存在ですが、そんな彼女が異世界ではごく当り前に存在する和菓子屋と両親を目の当りにしたときの感情を思うと実に切ない気持にさせられます。異世界へ行けなくなったことで折角友人となった陽華とも別れることとなってしまった彼女ですが、どうか今回の出来事によって過去を乗り越えられていればいいなと思います。その性格を含めて、読者の心に残る登場人物であると感じました。
気になった点としては、陽樹よりはずっとしっかり者でありそうな陽華が、運動会の種目を陽樹に代って貰うということで、そんなことをしていいのかと一寸引っかかったのと、「陽華の成長」の話で彼女がどう変化したのか今一つ分からなかったこと、辺りでしょうか。陽樹の成長が明瞭に分かる一方で、こちらはやや稀薄であったような気がしました。それでも最後は代走予定だった陽樹に代って、自分自身の脚で走ることとなったのは一種の成長としても捉えられ、良かったと思います。
それからこれはやや細かい点ですが、陽華が川へと転落しそうになった、土手に張られたフェンスの向こうの崖っぷちというのがどういう場所なのか、情景を上手く想像できませんでした。私が堤防改修の工事現場というのをまともに見たことがないからかも知れませんが……。
全体の感想としてはこのような感じですが、諸所に出てくるどら焼きも上手く機能していましたし、窓の分析、登場人物のそれぞれの立ち位置など、よく気の配られた小説であると感じました。この長篇を五年間かけてまとめ上げ、完結させたのは素晴らしいことだと思います。次回作も是非拝読させて頂きたいと思います。
[良い点]
挿絵から柔らかい印象をうけるのと、登場人物の描写が細かいのでイメージしやすいところ。
[気になる点]
1話あたりの文字数がちょっと少なめかなと感じました。
挿絵から柔らかい印象をうけるのと、登場人物の描写が細かいのでイメージしやすいところ。
[気になる点]
1話あたりの文字数がちょっと少なめかなと感じました。
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