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[良い点]
序盤の機械の音量を操作して夫の声のボリュームも上げるという発想の面白さと千代子のお嬢様然とした口調に少し不思議で可愛いお話だなと思いましたが異性の片親を持つ夫婦二人の抱える深い鬱屈とほんの少しの希望に、自らも闇中で微かな光を探し求めるような思いがしました。
ひとりむすめである女子二人は勿論、零と五十嵐もまた対比のようになっていて、他人から見て不幸かどうか、何を抱えて生きてきたのかにも拘らず人には人の人生があり、それは自分で選んでいくものなのだと、生き様で語っているように感じますね。
千代子と零は一緒にいるのか、京たちと再会するのか気になりました。
今後の活動を応援しております。
ネット小説大賞(旧:なろうコン)様

感想を残してくださいまして、どうもありがとうございました。

特にこの手のジャンルのは、もちろん面白さや技量などの他の要素が大切で、必要なのですが、誰かに読んでいただくということ自体が難しく感じていましたので、こうやってコメントをいただけることを嬉しく思います。

メインの登場人物たちの旅は、読者の心の中で続いていきます。彼らが、そして読み手の方が、今後どんな未来を切り拓いていくのかと思いを馳せつつ、たくさんの可能性と祈りをラストに込めました。

[一言]
読み終わって、その余韻に浸って、自分が抱いている感情をなんとかすくいあげようとしているのですが、もどかしいところです。
感想が上手く言葉にならなくて、何を言っても違う気がしているのですが、それでも、この作品を書いてくださった作者さまに何かをお伝えしたいなあと思って、書いております。

登場人物たち、それぞれが歪で、五十嵐さんのように恵まれすぎていることも、やはりどこか正常ではないような気もしていて。
ああ、もう本当に、「普通」ってなんなのでしょうね。
人を形作るのは「環境」であると思いますが、幼い頃から与えられたものが歪んでいたのならば、歪みを歪みとして知らないままに育ち、それらを正すことは困難であると思います。あるいは、おかしいとわかってはいても、抜け出すことが難しい。その方法がわからないこともあるのでしょう。
九鬼くんの行動もまた、彼なりの足掻きで、それは彼自身を救うことにはならなかったのかもしれませんが、そのことで千代子はキッカケを得た。
誰が正しくて、誰がおかしいとも言い切れない。
人の感情は複雑ですね。
言葉にしなければ伝わらない思いもありますが、言葉にしたからといって、許容されるわけでもない。
愛情の示し方、受け取り方。
どれだけ年を重ねても、うまくできる気がしません。

「物語」としてみれば、千代子や零が、再び手を取り合って生きていけたら素敵ですが、現実的に考えると、べつにそれはゴールではない。
彼らが彼らなりに、一歩一歩、進んでいけるようになれたならば、読者としても救われた気持ちになります。
ちいさくてもいいから、幸いを見つけて欲しいと、願ってやみません。

とっちらかった雑文で申し訳ありません。
波紋が広がるように、胸のなかに何かが残る物語でした。
彩瀬あいり様

ご感想をお寄せくださいまして、どうもありがとうございました。
この作品をとても丁寧に読んでくださっているのが、ひしひしと伝わってきます。

本作は、生きにくさを感じる方への様々なメッセージを載せています。社会通念としての固定概念を打ち砕き、少しでも楽に息継ぎしながら長い人生という名の旅を泳ぎ切ることができますように、と思いまして、いろいろな捉え方ができそうなラストとなっております。
ふと考えると、普通なんてものはなかなか無くて、皆大なり小なりの歪さを抱えて生きていますが、時にそれらは命を刈り取る勢いで首を絞めてくることもあります。それでも、どこかへ、できれば前へ進むために、私が考えた答えのいくつかを込めてあります。

おそらく物語自体は、完全なハッピーエンドではありません。真のハッピーエンドは、読み手の方々の生活の中で、ささやかでも良いですから、何か幸せに思える体験を手にすることで、締めくくっていただければと思います。



物語が完結して長く経ってからも、こうしてご感想をいただけた事は、本当に大きな喜びでした。
重ねて御礼申し上げます。


[一言]
「家族」ってとても難しくて、重たいものだなあと時々思ってしまいます。悲しいことに日本的な「当たり前」として押し付けられる価値観そのものが、肩にのしかかってきてしまう。ここまでガチガチに型にはめようとしなければ、壊れずに済む家族だってあるでしょうに。

千代子に象徴されるように、家族間の力関係って一方向で一方的になりがちです。本来なら循環して環になるべきなのに、求めている人は常に要求を口にしていて、それに応えようとしている人は相手の気持ちを受け止め続けて、すり減っている気がします。それは物理的な虐待とかではなくて、思いやりとか尊厳とかそういう目に見えないものが消耗してしまうイメージです。

それをどうやり過ごすかと言えば、「耐える」というコマンドがどうしても選択されがちなんですよね。でも、作中で千代子たちがそうだったように、「手放す」という選択肢があっても良いと思うんです。それは単純に「捨てる」というのは違っていて、自分を大切にするために相手との境界線を引きなおす作業かもしれないし、あるいは相手との間にピンと張られた糸のテンションを緩める作業かもしれません。

海に足を踏み入れ、また水族館で魚を眺めていた千代子たちは、新しい世界に踏み出す勇気を得て、もう一度生まれ直したのでしょう。友人関係と同じように緩やかな家族関係を選ぶことができたなら、人はもう少し自由に、より自分らしく生きることができるような気がします。そこに、自分のことを大切に想ってくれる人がいれば、きっと大丈夫。

息苦しいと考えている人にそっと寄り添ってくれるような、優しい小説でした。ありがとうございました。
石川 翠様

この度も私の作品をお読みくださり、ありがとうございます。
私自身が長年家族のことで悩み続け、昨年大きな行動に移しました。
その本当の結果はずっとずっと後にならないと分からないものなのでしょうが、約一年経った今、私は初めて自分のきちんとした意思をもって下した決断に納得しています。人がいれば人の数だけ、背負っている事情は異なると思いますが、きっと私のように一生懸命に悩んでいる人も多いのではないかなと思い、書きました。
そういったことから、家族絶対神聖伝説に浸りきった方には何とも理解しがたい展開、そして結末にはなっておりますが、そうであっても何か人生で行き詰った時にヒントになるような言葉を私なりに残したいと思い、力を込めて書き綴っています。
価値観って、世間体や生き方などいろんなところに繋がるもので、無難にやり過ごすことができればそれが良いのですが、どうしてもテンプレにおさまらない場合があるんです。決して喜んでこういった選択をするわけでもないのに、所謂『普通』に生きられないことがあるというか。
もしかしたら非難されるべき内容を書いているかもしれないのに、とても優しくて温かなご感想をいただいてしまいました。
少し許されたような、自分がこういった考えをもって、まだここに生きていもいいよって言ってもらえたような気がして、ほくほくしています。

決して楽しい話ではなかったと思います。
それなのに、丁寧なご感想から、素晴らしいレビューまで、本当にありがとうございました。
私の財産が、また一つ増えました。

[良い点]
面白かったです。

行きている限り、本人が意図するか意図しないかは別としていて、呪いや罪の連鎖は続くものと思います。そして、おそらくそういったものを持った人はなぜだか引き合ってしまう。

けれどもたとえそうであったとしても、そこから一歩を踏み出してどこかへいけたなら、少しだけ前に進んだ自分になれて、そしてそれが自由であることの証明だと思います。その過程は一人で越えられるものではないかもしれませんが、近くに悪意なく寄り添える人がいたならきっと大丈夫。たとえその人とぶつかることがあったとしても。そして私たちを縛る当たり前の家族の形も、もっと自由であってよいと思いました。

なんとなくですが、そのようなことを思いました。面白かったです。
  • 投稿者: 退会済み
  • 2018年 04月22日 08時09分
管理
うみのまぐろ様

どうもありがとうございます。

そう、それ!と思えることを分かりやすく感想の形でまとめてくださっていて、ほれぼれします。

今は一昔と違って、一家族の人数が少なくなってきたりして、家や家族の役割も変化している気がします。ということは、本来家族でない人にも家族的役割を部分的に担うところもでてきているのかな?と思っています。そんな中で、精神的な健康をそれなりに維持するために、家や家族の形の多様性を私自身が望んでいることもあり、少なくない影響が作品にも出ているのでしょう。
私の親世代ではなかなか受け入れてもらえないような感覚にはなるかもしれませんが、それも一つの選択肢だと思っています。

家族のことを含め、人間関係に悩む人は多いと思うので、そういった方に響く言葉がこの小説から見つかりますようにという願い、読み手の皆様が立つどこかへと続く道の第一歩を物書きの端くれとして後押しできればという希望を込めました。

まぐろさんに面白いと言ってもらえると、めっちゃ嬉しいです。
素敵なご感想をありがとうございました。


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