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[一言]
第3章 不死に至る病・Ⅲ 感想&解説
前回より、なぜか灰色コートの男の所業を透視しているクラリス。
聖母子像を見ながら何事を呟いているかと思えば、親父に文句を言っているらしい灰色コートの男、挙句に不審者扱いされるところが面白い。
このオーギュスタン美術館でエティエンヌらと接近遭遇しそうだったらしいことがわかる。
老人のエティエンヌ評が続く。「〜なにしろお前は多くを知らない上に考える頭もなしでここにいる」
その通り、初対面なのによく分かっていらっしゃる。
「余程に親切で優秀な人間か、あるいは厚顔で狡猾な人間が側にいる」と、マフィアの老人はさりげなく教えているが、その親切は届かないようだ。脳筋ゴリラ女の面目躍如のエティエンヌ。
あまりに考えるということをしない、したがって主人公らしい葛藤を抱えることもない、「無邪気な騎士」と老人がいうのは言い得て妙と言える。
「清廉たる勇者なのだ」とクラリスは白日夢の中で思うが、身内びいきに聞こえてしまうのがつらいところ。
この過度の賞賛がひいきの引き倒しに聴こえてしまうのは、私の心が純朴ではないからだろう。
第3章 不死に至る病・Ⅲ 感想&解説
前回より、なぜか灰色コートの男の所業を透視しているクラリス。
聖母子像を見ながら何事を呟いているかと思えば、親父に文句を言っているらしい灰色コートの男、挙句に不審者扱いされるところが面白い。
このオーギュスタン美術館でエティエンヌらと接近遭遇しそうだったらしいことがわかる。
老人のエティエンヌ評が続く。「〜なにしろお前は多くを知らない上に考える頭もなしでここにいる」
その通り、初対面なのによく分かっていらっしゃる。
「余程に親切で優秀な人間か、あるいは厚顔で狡猾な人間が側にいる」と、マフィアの老人はさりげなく教えているが、その親切は届かないようだ。脳筋ゴリラ女の面目躍如のエティエンヌ。
あまりに考えるということをしない、したがって主人公らしい葛藤を抱えることもない、「無邪気な騎士」と老人がいうのは言い得て妙と言える。
「清廉たる勇者なのだ」とクラリスは白日夢の中で思うが、身内びいきに聞こえてしまうのがつらいところ。
この過度の賞賛がひいきの引き倒しに聴こえてしまうのは、私の心が純朴ではないからだろう。
エピソード14
[一言]
第3章 不死に至る病・Ⅱ 感想&解説
「〜迷いなき者だ〜視野が狭く選択肢がないのだろう」マフィアの老人の、正鵠を得たエティエンヌ評。
脳筋にもほどがあるエティエンヌだが侮辱には敏感だったと思う。果たして効いているのかいないのか。
要するにこの老人は、もう少し頭を働かせろ、とエティエンヌに言っているようだ。
「さもなくば誰かに利用されるだけだ」と。
気づく気配もないエティエンヌ。
エティエンヌの、ある意味での愚かさは演出意図であることはわかる。愛すべき愚かさの表現であり、その分クラリスやマリアに知能のパラメータを振ってキャラの個性を差別化させている。しかしながら、あまりに愚鈍が過ぎ、粗暴が過ぎると読者は感情移入できなくなる。それは問題だ。
無垢で迷いがないのはいいが、そうなると読者は入り込めない。読者が自己投影するべき弱さも一分の隙もなくなる。
キャラクターが見えない、と言う意見を当時戴いたが、そこだけは当たっていると認めざるを得ない。
しかし、自重せよと語るクラリスに対し、「先制攻撃が重要」と返すギャグ。老人に先制攻撃してしまう絵が浮かび、ちょっと笑ってしまった。
第3章 不死に至る病・Ⅱ 感想&解説
「〜迷いなき者だ〜視野が狭く選択肢がないのだろう」マフィアの老人の、正鵠を得たエティエンヌ評。
脳筋にもほどがあるエティエンヌだが侮辱には敏感だったと思う。果たして効いているのかいないのか。
要するにこの老人は、もう少し頭を働かせろ、とエティエンヌに言っているようだ。
「さもなくば誰かに利用されるだけだ」と。
気づく気配もないエティエンヌ。
エティエンヌの、ある意味での愚かさは演出意図であることはわかる。愛すべき愚かさの表現であり、その分クラリスやマリアに知能のパラメータを振ってキャラの個性を差別化させている。しかしながら、あまりに愚鈍が過ぎ、粗暴が過ぎると読者は感情移入できなくなる。それは問題だ。
無垢で迷いがないのはいいが、そうなると読者は入り込めない。読者が自己投影するべき弱さも一分の隙もなくなる。
キャラクターが見えない、と言う意見を当時戴いたが、そこだけは当たっていると認めざるを得ない。
しかし、自重せよと語るクラリスに対し、「先制攻撃が重要」と返すギャグ。老人に先制攻撃してしまう絵が浮かび、ちょっと笑ってしまった。
エピソード13
[一言]
第3章 不死に至る病・Ⅰ 感想&解説
前回後半にて、マリア奪還の命を受けたエティエンヌ。今回はインターバル回。
今はとにかくマリア奪還が最優先なのは当然として、ここで一つの疑問が浮かぶ。
ゾンビと戦う目的で新十字軍入りしたにもかかわらず、ゾンビ繁殖の手伝いをしている。このことを彼女はわかっているのだろうか?
命令とはいえ、憎むべき仇敵の片棒を担いでることに、果たしてエティエンヌは気づかないのだろうか?
彼女は自分の任務の正当性について、疑念を抱かないのだろうか?作戦行動の一環として思考停止できるものだろうか?
ゾンビ=魂を失った者、自らの意志持たぬ者、とするならば、今の自分はゾンビそのものではないか?
自らが十字軍という組織に操られるだけの、意思を持たぬゾンビそのものではないか、憎むべきゾンビとは自分自身のことではないか、という自己認識に苦しみ、葛藤するドラマが欲しかった。意志持たぬゾンビにもなりきれず、マリアへの同情と任務との間で引き裂かれる描写が欲しかった。
これが本作の主眼であり、「ゾンビが一体も出てこないゾンビ物」の狙いであり、初期のゾンビ映画が持っていたゾンビ=現代人の暗喩、「ゾンビとは我々自身ではないか?」を継ぐものであります。それは同時に現代のゾンビもののアンチテーゼでもあります。
だからこそ、マリアは人間らしく。軍という強権の理不尽に翻弄され、保護の名目で人権蹂躙されながらも、果敢に抵抗しようとする少女の意志を鮮烈に描かなくてはならない。彼女の意志こそ物語の芯たるべき。
あくまで自由を希求する人間の意志、マリアの意思が見えれば見えるほどに、エティエンヌは引き裂かれる。
この劇的構図が見えなくなったのは痛恨の極みと言えるでしょう。
エティエンヌには、悩ませた末に「裏切り御免!」のカタルシスをやりたかった、というのが本音です。ここで大いに煩悶してもらわないと、カタルシスがなくなる。
彼女には、迷いを抜けた末に心を定め、自らの意思で叛旗を翻して欲しかった。
映画キングダムオブヘブンにあるように、騎士とは、自らの良心に忠実な者ではなかったか?それはしばしば王の命より優先されるという。
第3章 不死に至る病・Ⅰ 感想&解説
前回後半にて、マリア奪還の命を受けたエティエンヌ。今回はインターバル回。
今はとにかくマリア奪還が最優先なのは当然として、ここで一つの疑問が浮かぶ。
ゾンビと戦う目的で新十字軍入りしたにもかかわらず、ゾンビ繁殖の手伝いをしている。このことを彼女はわかっているのだろうか?
命令とはいえ、憎むべき仇敵の片棒を担いでることに、果たしてエティエンヌは気づかないのだろうか?
彼女は自分の任務の正当性について、疑念を抱かないのだろうか?作戦行動の一環として思考停止できるものだろうか?
ゾンビ=魂を失った者、自らの意志持たぬ者、とするならば、今の自分はゾンビそのものではないか?
自らが十字軍という組織に操られるだけの、意思を持たぬゾンビそのものではないか、憎むべきゾンビとは自分自身のことではないか、という自己認識に苦しみ、葛藤するドラマが欲しかった。意志持たぬゾンビにもなりきれず、マリアへの同情と任務との間で引き裂かれる描写が欲しかった。
これが本作の主眼であり、「ゾンビが一体も出てこないゾンビ物」の狙いであり、初期のゾンビ映画が持っていたゾンビ=現代人の暗喩、「ゾンビとは我々自身ではないか?」を継ぐものであります。それは同時に現代のゾンビもののアンチテーゼでもあります。
だからこそ、マリアは人間らしく。軍という強権の理不尽に翻弄され、保護の名目で人権蹂躙されながらも、果敢に抵抗しようとする少女の意志を鮮烈に描かなくてはならない。彼女の意志こそ物語の芯たるべき。
あくまで自由を希求する人間の意志、マリアの意思が見えれば見えるほどに、エティエンヌは引き裂かれる。
この劇的構図が見えなくなったのは痛恨の極みと言えるでしょう。
エティエンヌには、悩ませた末に「裏切り御免!」のカタルシスをやりたかった、というのが本音です。ここで大いに煩悶してもらわないと、カタルシスがなくなる。
彼女には、迷いを抜けた末に心を定め、自らの意思で叛旗を翻して欲しかった。
映画キングダムオブヘブンにあるように、騎士とは、自らの良心に忠実な者ではなかったか?それはしばしば王の命より優先されるという。
エピソード12
[一言]
第2章 悪魔来たりて・Ⅴ 感想&解説
一見、銃vs魔法の圧倒的不利な戦いに見えるが、この世界に魔法は存在せず、いわゆる「発達した科学は魔法と見分けがつかない」を採用しているので、実際のところは「銃vs近未来の科学技術」の戦いです。
悪役の鏡のような憎まれ口を叩く、悪魔に扮する男。散々煽ってから最後に相手を勝たせて観客の溜飲を下げるのが悪役の仕事。
古風なセリフが年季を感じさせて本物の悪魔のように見える。
悪魔と闘うのは中世以来の十字軍騎士ならば本懐であるともいえるが、しかし、この世界には悪魔も天使もいない。少なくとも実体として現れることはない。現実と同じく。
いるのは百年前に湧いて出た不死者の群れで、彼らはそれぞれ天使や悪魔を演じようとしている。
しかし、悪魔ならそうこなくてはというセリフの数々が面白い。
このアルファベータというキャラから、使役するドラゴン、銃の選定、戦闘シーンの組み立てまで全てかすがまる氏の独創。微に入り細を穿つように描き込んでくれています。
第2章 悪魔来たりて・Ⅴ 感想&解説
一見、銃vs魔法の圧倒的不利な戦いに見えるが、この世界に魔法は存在せず、いわゆる「発達した科学は魔法と見分けがつかない」を採用しているので、実際のところは「銃vs近未来の科学技術」の戦いです。
悪役の鏡のような憎まれ口を叩く、悪魔に扮する男。散々煽ってから最後に相手を勝たせて観客の溜飲を下げるのが悪役の仕事。
古風なセリフが年季を感じさせて本物の悪魔のように見える。
悪魔と闘うのは中世以来の十字軍騎士ならば本懐であるともいえるが、しかし、この世界には悪魔も天使もいない。少なくとも実体として現れることはない。現実と同じく。
いるのは百年前に湧いて出た不死者の群れで、彼らはそれぞれ天使や悪魔を演じようとしている。
しかし、悪魔ならそうこなくてはというセリフの数々が面白い。
このアルファベータというキャラから、使役するドラゴン、銃の選定、戦闘シーンの組み立てまで全てかすがまる氏の独創。微に入り細を穿つように描き込んでくれています。
エピソード11
[一言]
第2章 悪魔来たりて・Ⅳ 感想&解説
メタコム先生とモイレイン修道女の剣戟シーン。巧みに両者の立場を説明しながらの、息の合った口喧嘩。この二人仲が良いのでは。
こうした、よくある、宙を舞い斬り結ぶ人間離れした剣戟の描写や、ドラゴンなどのファンタジー上の怪物、天使や悪魔、魔女、ゾンビ等々、これら映画やアニメではありふれた存在にどう理屈をつけるか?
「神話も、魔法も、随分と安っぽくなったじゃないか」このエティエンヌのセリフが示しています。
つまり、すべて偽物であって、偽物であるからこそ、それらは実体となって現れることができるという逆説を採用しています。
聖体拝領が偽物になった途端、不死という実体となるように。
イエスの肉体の象徴としてのパンと葡萄酒を口にする聖餐式が、かたちあるもの(実証可能なもの)へと置換されたとき、実際に血と肉を食らって不死を得る「人身御供」となってしまう。
救世主が、吸血鬼やゾンビの元祖と化す。全く真逆のものになってしまうこの逆説。ヒーローものの裏返し、これを物語のコンセプトとする。
奇跡の陳腐化をコンセプトとすることによって、パンドラの箱を開けたように、魑魅魍魎や神話伝説の怪物が実体となって溢れ出す。不死の民というフェイクの数々となって。形而上にあったものを形而下に置けば、たちまち陳腐化する。
こうして、いわゆる英雄神話やお伽噺の心象風景を作品コンセプトが要求する仕掛けを作る。影が光を模倣するように、遺伝子工学技術が、神話や聖杯伝説などのおとぎ話を模倣する。
そんな世界観を提示しているのが本作であります。
マリアにあらわれた両掌、両脇腹の聖痕を指し、「我ら不死にとっては恩恵たる傷口」と語る、悪魔に扮した男。このセリフは白眉で、このおはなしがどういうおはなしなのか、改めて気づかされます。これはまさしく反キリスト的表現で、あまりに冒涜的で、大丈夫か?と思ってしまうが、映画エクソシストが大丈夫なので、きっと大丈夫でしょう。
第2章 悪魔来たりて・Ⅳ 感想&解説
メタコム先生とモイレイン修道女の剣戟シーン。巧みに両者の立場を説明しながらの、息の合った口喧嘩。この二人仲が良いのでは。
こうした、よくある、宙を舞い斬り結ぶ人間離れした剣戟の描写や、ドラゴンなどのファンタジー上の怪物、天使や悪魔、魔女、ゾンビ等々、これら映画やアニメではありふれた存在にどう理屈をつけるか?
「神話も、魔法も、随分と安っぽくなったじゃないか」このエティエンヌのセリフが示しています。
つまり、すべて偽物であって、偽物であるからこそ、それらは実体となって現れることができるという逆説を採用しています。
聖体拝領が偽物になった途端、不死という実体となるように。
イエスの肉体の象徴としてのパンと葡萄酒を口にする聖餐式が、かたちあるもの(実証可能なもの)へと置換されたとき、実際に血と肉を食らって不死を得る「人身御供」となってしまう。
救世主が、吸血鬼やゾンビの元祖と化す。全く真逆のものになってしまうこの逆説。ヒーローものの裏返し、これを物語のコンセプトとする。
奇跡の陳腐化をコンセプトとすることによって、パンドラの箱を開けたように、魑魅魍魎や神話伝説の怪物が実体となって溢れ出す。不死の民というフェイクの数々となって。形而上にあったものを形而下に置けば、たちまち陳腐化する。
こうして、いわゆる英雄神話やお伽噺の心象風景を作品コンセプトが要求する仕掛けを作る。影が光を模倣するように、遺伝子工学技術が、神話や聖杯伝説などのおとぎ話を模倣する。
そんな世界観を提示しているのが本作であります。
マリアにあらわれた両掌、両脇腹の聖痕を指し、「我ら不死にとっては恩恵たる傷口」と語る、悪魔に扮した男。このセリフは白眉で、このおはなしがどういうおはなしなのか、改めて気づかされます。これはまさしく反キリスト的表現で、あまりに冒涜的で、大丈夫か?と思ってしまうが、映画エクソシストが大丈夫なので、きっと大丈夫でしょう。
エピソード10
[一言]
第2章 悪魔来たりて・Ⅲ 感想&解説
アルファベータの登場、こういうキャラはかすがまる氏の真骨頂で、大変面白い。
まさしく悪魔的なセリフのうまさに感心しながら読んでしまうのですが、「突然現れた第三者にマリアを連れ去られたから連れ戻そうとする、それだけの話になってしまい」という批判や、「謎の第三勢力は出すべきではない」との意見も、当時頂戴しております。
これは当時、この企画を一緒に進めていた会社からの、「ゲーム会社に売り込むため、三つ巴の戦いにしてほしい」とのオーダーは外せなかった、という理由です。
ちなみにこの企画、当初は聖杯(つまり聖母の子)を主人公とした逃亡劇、股旅ヒーローものを想定していたのですが、「女の子を主人公とした学園物にして欲しい」というオーダーにお応えした結果、今回のおはなしが生まれたわけで、痛し痒しといったところでしょうか。
第2章 悪魔来たりて・Ⅲ 感想&解説
アルファベータの登場、こういうキャラはかすがまる氏の真骨頂で、大変面白い。
まさしく悪魔的なセリフのうまさに感心しながら読んでしまうのですが、「突然現れた第三者にマリアを連れ去られたから連れ戻そうとする、それだけの話になってしまい」という批判や、「謎の第三勢力は出すべきではない」との意見も、当時頂戴しております。
これは当時、この企画を一緒に進めていた会社からの、「ゲーム会社に売り込むため、三つ巴の戦いにしてほしい」とのオーダーは外せなかった、という理由です。
ちなみにこの企画、当初は聖杯(つまり聖母の子)を主人公とした逃亡劇、股旅ヒーローものを想定していたのですが、「女の子を主人公とした学園物にして欲しい」というオーダーにお応えした結果、今回のおはなしが生まれたわけで、痛し痒しといったところでしょうか。
エピソード9
[一言]
第2章 悪魔来たりて・Ⅱ 感想&解説
モイレインとマリアの、さらに哲学的な問答。主に堕胎をめぐっての。
改めて読み返すと、前回の私の注文に対する答えのように感じる。
モ「一人の女性としては当然の権利なのではなくて?」権利という言葉が甘く響いた。〜など。
しかし、モイレインが口を開くと禅問答のようで、ここのマリアとのやりとりは全篇のなかでも難解なところだと思う。
後半は、十字軍と不死人の協定の存在に勘づいているマリアと、単細胞なエティエンヌとのすれ違い。ここもちょっと難解。
第2章 悪魔来たりて・Ⅱ 感想&解説
モイレインとマリアの、さらに哲学的な問答。主に堕胎をめぐっての。
改めて読み返すと、前回の私の注文に対する答えのように感じる。
モ「一人の女性としては当然の権利なのではなくて?」権利という言葉が甘く響いた。〜など。
しかし、モイレインが口を開くと禅問答のようで、ここのマリアとのやりとりは全篇のなかでも難解なところだと思う。
後半は、十字軍と不死人の協定の存在に勘づいているマリアと、単細胞なエティエンヌとのすれ違い。ここもちょっと難解。
エピソード8
[一言]
第2章 悪魔来たりて・Ⅰ 感想&解説
モイレイン登場、マリアとのやりとりから、悪阻に苦しむマリアの哲学的な独白。
実はこの辺り、意見が分かれたところで、当時のやりとりから抜粋すると、
マリア、ものわかりが良すぎるかも。もっと自分の境遇を呪ってもいい。
受胎告知シーンでは、天使に激しく抗議してもいい。 処女懐胎だなんて冗談じゃない、人の体に勝手なことするな、などと啖呵切ってくれた方が人間味があるというか、見てる方も安心できる。
当然、女性の権利として堕胎を考えるマリアだが、そうはさせないように監視せよと命令されているエティエンヌがそれをさせない。(長年の聖母協定によって、聖母として選ばれた少女の行動パターンは分かっている。)
体内にわけのわからないものを孕まされた恐怖、早くなんとかしないと、という切迫感を描いて、読者にマリアを心配させたい。
ここは、堕胎を考える主人公をよしとしなかった、かすがまる氏の良識を尊重しました。
エティエンヌの部下二名、コミックリリーフの役割を演じつつ、さりげなく状況説明。ダレ場も無駄にはしていない。
第2章 悪魔来たりて・Ⅰ 感想&解説
モイレイン登場、マリアとのやりとりから、悪阻に苦しむマリアの哲学的な独白。
実はこの辺り、意見が分かれたところで、当時のやりとりから抜粋すると、
マリア、ものわかりが良すぎるかも。もっと自分の境遇を呪ってもいい。
受胎告知シーンでは、天使に激しく抗議してもいい。 処女懐胎だなんて冗談じゃない、人の体に勝手なことするな、などと啖呵切ってくれた方が人間味があるというか、見てる方も安心できる。
当然、女性の権利として堕胎を考えるマリアだが、そうはさせないように監視せよと命令されているエティエンヌがそれをさせない。(長年の聖母協定によって、聖母として選ばれた少女の行動パターンは分かっている。)
体内にわけのわからないものを孕まされた恐怖、早くなんとかしないと、という切迫感を描いて、読者にマリアを心配させたい。
ここは、堕胎を考える主人公をよしとしなかった、かすがまる氏の良識を尊重しました。
エティエンヌの部下二名、コミックリリーフの役割を演じつつ、さりげなく状況説明。ダレ場も無駄にはしていない。
エピソード7
[一言]
第1章 恵まれた人・Ⅴ 感想&解説
滞りなく行われるマリアへの受胎告知。十字軍による軍事行動は行われず。
不死者の不死の命を生き長らえさせるための「生き餌」を産ませるため、逐次動員される代理母に過ぎないマリア。
生き餌と言っても、不死者にとっては救世主である。彼の血を聖杯として、あるいは彼の肉を聖餅として口にしなければ、命はない。
「私の血を飲み、私の肉を食べなければ、あなた方に命はない」「私はいのちのパンである。このパンを食べる人はだれでも永遠に生きる。このパンは人類の救いのために捧げる私の体である」
聖体拝領の始まりとなった、この謎めいた言葉が、二千年ののち、現実となった、というおはなし。
ワインとパンの聖体拝領はままごとに過ぎなかった、とスカイウォーカーは挑発する。二千年間、全く無意味な儀式を続けてきたのだと。
我々の聖体拝領こそが、聖体の秘跡によって、現実に、事実として、不死の栄光を賜るホンモノなのだ、と。
しかし、何人もの聖母(代理母)によって、何度となく行われる処女懐胎と受胎告知、その都度産み出される何人もの救世主(生き餌)が、その聖性を、奇跡の一回性を毀損している。
聖体拝領の物質化、ひいては奇跡の物質化、陳腐化、この指摘は認めざるを得ない。
そのことに気がついてなのか、彼らゾンビは精一杯恭しくこれらの儀式を執り行おうとする。今回の受胎告知シーンもその一環。
第1章 恵まれた人・Ⅴ 感想&解説
滞りなく行われるマリアへの受胎告知。十字軍による軍事行動は行われず。
不死者の不死の命を生き長らえさせるための「生き餌」を産ませるため、逐次動員される代理母に過ぎないマリア。
生き餌と言っても、不死者にとっては救世主である。彼の血を聖杯として、あるいは彼の肉を聖餅として口にしなければ、命はない。
「私の血を飲み、私の肉を食べなければ、あなた方に命はない」「私はいのちのパンである。このパンを食べる人はだれでも永遠に生きる。このパンは人類の救いのために捧げる私の体である」
聖体拝領の始まりとなった、この謎めいた言葉が、二千年ののち、現実となった、というおはなし。
ワインとパンの聖体拝領はままごとに過ぎなかった、とスカイウォーカーは挑発する。二千年間、全く無意味な儀式を続けてきたのだと。
我々の聖体拝領こそが、聖体の秘跡によって、現実に、事実として、不死の栄光を賜るホンモノなのだ、と。
しかし、何人もの聖母(代理母)によって、何度となく行われる処女懐胎と受胎告知、その都度産み出される何人もの救世主(生き餌)が、その聖性を、奇跡の一回性を毀損している。
聖体拝領の物質化、ひいては奇跡の物質化、陳腐化、この指摘は認めざるを得ない。
そのことに気がついてなのか、彼らゾンビは精一杯恭しくこれらの儀式を執り行おうとする。今回の受胎告知シーンもその一環。
エピソード6
[一言]
第1章 恵まれた人・Ⅳ 感想&解説
マリア登場。マリアと聞いて、冒頭の聖母との関連を思わない人はいないだろう。
なぜか十字軍の監視下にあることから、何やら裏を感じさせる展開。
監視の任をあてがわれたエティエンヌとマリアが何やら揉めているところに、メタコム先生登場。
メタコムといえばインディアンの酋長であるが、今は農業顧問に身をやつし、ギャグに専念する。
ユリの花を献上する彼は、マリアの明日の運命を知っていると思われる。
ピガール・ノワ、予告された受胎告知に向けての作戦行動をクラリスに命じる。クラリスの不信が強調される。
第1章 恵まれた人・Ⅳ 感想&解説
マリア登場。マリアと聞いて、冒頭の聖母との関連を思わない人はいないだろう。
なぜか十字軍の監視下にあることから、何やら裏を感じさせる展開。
監視の任をあてがわれたエティエンヌとマリアが何やら揉めているところに、メタコム先生登場。
メタコムといえばインディアンの酋長であるが、今は農業顧問に身をやつし、ギャグに専念する。
ユリの花を献上する彼は、マリアの明日の運命を知っていると思われる。
ピガール・ノワ、予告された受胎告知に向けての作戦行動をクラリスに命じる。クラリスの不信が強調される。
エピソード5
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