エピソード8の感想一覧

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[良い点]
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【物語は】
予言ような夢から始まる。物語はその後、学校での日常風景へ。
主人公には数人の仲の良い友人がおり、弄られるようなポジションに見える。しかし、主人公は彼女たちを大切に思っている様だ。恐らく、この穏やかな日常が変わっていまうのではないだろうか。

【変わりゆく主人公の日常】
いつも通り、友人に対して振舞う主人公。しかし、既に変化は訪れていたようである。回想と共に明らかになる、その日の出来事。彼女が狙われたのは、たまたまだったのかも知れない。しかし彼女の性格や言動は、恋人が求めたものに合致してしまう。

大好きだった元恋人に裏切られるだけでなく、自分勝手な彼の思想の元に、命まで奪われそうになる、主人公。絶体絶命の危機。だが、彼女が死ぬことはなかった。代わりに転がっていたのは、元恋人。
何が起きたかもわからず、雨の中を無我夢中で逃げ帰る主人公。何度も繰り返し、起きたことを考えてしまう。彼の言葉と共に。それでもなんとかこの日は眠りにつく。

そんな彼女を、翌朝待ち受けていたものとは?

主人公は、死神だという男から、詳しく自分の能力について聞くこととなる。自分がしてしまったことを、受け入れることができない彼女であったが、徐々に理解し罪悪感に苛まれていく。それでも、いつも通りの自分でいたい。友人の心配をかけないと望む。しかし気持ちの、限界が訪れてトイレに駆け込むのであった。

【自分と向き合い、受け入れる主人公】
この物語の主人公は、とても弱い人間だと感じる。弱いからこそ、人に迷惑をかけないように、自分を抑え込み感情を隠す。きっとそうしなくてはならない何かがあったのだろう。

ある日突然人を殺せる力を手にしたら、確かに誰だって怖いと思うはずだ。ましてや、恋人を殺してしまったというのならば。
いい子でいたい気持ちもあったのだと思う。だが現実は黒い感情で、恋人を殺してしまった。しかも誰にも言うこともできない。自分を責め続け、いつもと違う友人の優しさに、救われたりもした。だが拒否したところで、この力が無くなることはない。

そんな彼女から、本心を引き出そうとする死神。やり方は手荒だが、ようやく主人公が生きることを受け入れたように感じた。

【物語の全体像】
一章は、まだ主人公が”ウィンクだけで人を殺せる力”を手に入れ、罪悪感と戦う様子が描かれていると感じた。この物語の方向性や全体像が分かってくるのは、二章に入ってからだと思われる。
一章では友人たちとのやり取りがあり、主人公だけが自分を出せていないのかと感じられた。しかし物語が進むにつれ、それぞれが心に何かを抱えているのではないかと思い始める。

悲しい事件を乗り越え、ようやく自分の力を受け入れる主人公。これから彼女に、どんな日々が待ち受けているのだろうか。

【物語のみどころ】
この物語には、ところどころにメッセージが盛り込まれている。それは、対人だったり、生きることそのものであったり。
はじめは人と上手くやろう、心配や迷惑をかけないよにと思っていた主人公。死の危険が訪れることによって、死神の力を奪ってしまう。
その力で生き延びたものの、簡単に受け入れることが出来なかった。

罪の意識で潰れそうになるも、事実は変えられない。自分は生きていていいのだろうかと思いながらも、生きたいと思ってしまっている。良心の呵責が自分自身を追い詰めているのではないだろうか。

やっと生きることを受け入れることは出来たけれど、力までは受け入れられなかった。そんな彼女に、ある出会いが訪れる。この出会いがターニングポイントだったのではないだろうか。この事件で初めて主人公は、自分の意志で力を使うのだ。しかし、新たな恐怖が彼女を襲う。

この物語はヒューマンドラマであり、人の心理そのものがモチーフなのではないだろうか。その為、焦る気持ちや恐怖心、不安などが丁寧に描かれていると感じた。

あなたもお手に取られてみませんか?
主人公が自分の力を受け入れた時、彼女の日常はどう変わってくのだろうか。
ぜひ、その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。
[良い点]
繊細な描写に、わかりやすい文章。その上、ユーモアもあって、面白すぎですなぁ。
魔導師さん、沢山の感想をありがとうございます! また、誤字報告も大変助かりました。

それにしても、こうやって要所要所で率直なコメントを頂けるととても嬉しくて、疲れた身体に鞭打って夜通し喜びの舞を踊ることが出来そうな気がします。……大人しく寝ますね。

現在は天界編を執筆中ですが、小ネタ(?)のようなものはそちらの方が比較的多いかもしれません。
拙作は長編ゆえ、今後ともお付き合い頂きたいなどと贅沢なことは申しませんが、もし気が向きましたら、またこの物語に足を運んでくださると嬉しいです。またお立ち寄りいただけた暁には、一晩中舞を踊り明かすかもしれません。……大人しく寝ますね。
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