感想一覧

[一言]
"夜"のとらえ方が独特で、表現方法がきれいだと思いました。
　見えないものを中心に書く、という手法は読み手に疑問を残すという形で成功しているように思えますし、見えないものが感じさせる存在感というものがこの小説の魅力だと思います。
　冒頭の部分ですが、物語に入り込みづらい書き方だと思いました。その理由として、いきなり心理面の描写から始められてしまったからというものがあります。読み手としてはやはり、状況や背景などの情報がほしいのです。それによって読者は映像をイメージします。そのため、夜が来るのを待っていた、などのいわゆる理解の難しい描写が先頭に来ると困るのです。
　冒頭の部分を物語の真ん中、つまり母親との会話シーンのあとに持ってくるだけでも少しは違くなるかもしれません。とにかく最初のところはわかりにくかったです。