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[一言]
ネタバレありの感想です。未読の方はご注意ください。

冬童話2019より参りました。
少しずつ降り積もる負の感情。それがある臨界点を超えた時、どんな風に壊れていくのか。それをまざまざと見せつけられました。人が良いというのは都合の良い言葉ですよね。そう言われる人は良いように、それこそ感情のゴミ箱のように扱われていて、そのことを言えずに苦しんでいるということは現実でもままあることです。それを童話というオブラートに包み、柔らかな悪意で旅人にどんぐりを投げるように勧めるキツネの姿にぞくりとしました。

赤とオレンジ色の虹に変わったリスとヘビ。黄色と緑の虹にになったコマドリとアライグマ。青い虹になったクマに、藍色になりかけのキツネ。最後の一色は、この旅人で完成するのでしょうね。キツネの願い事はなんだったのでしょうか。この世で思い悩むことがないように、命あるものがみな光の輪の中に戻りますようにという願いだったとしたら、虹が完成したときに何が起こるのでしょうね。

淡々とした語り口が怖さを煽る物語でした。
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