感想一覧
▽感想を書く[良い点]
拝読しました。雨宮さんの作品はどれもそうですが、本当に誠実に文章を紡がれているなと感じました。奇を衒うでもなく修辞に走るでもなく美しい日本語表現だと思います。
[一言]
作中でどうにも気になる一文がありました。
「私」が金魚を育てることについて述べた「私がそこまで一生懸命になったのには理由がある」という一文です。答えは明確には描かれていなかったように思います。正直、一読した時は謎のままでした。でも同じく作中に「私は父から愛情を受けたと感じたことがなかった」とあり、それで自分なりに答えを見つけられた気がします。
私は愛するという行為の意味や、愛するという感情そのものを知りたかったんじゃないかと。父に愛されていないと感じていた私が、せめて金魚には愛を向けてあげたいという代償行為的なものだったかもしれません。
鉢の中で見えざる目標を目指して泳ぐ二匹の蘭鋳はお互い生き方が不器用な父と私のかつての姿のようにも映り、なんて陰影の深い作品なのだろうと思いました。大好きですこの作品。
拝読しました。雨宮さんの作品はどれもそうですが、本当に誠実に文章を紡がれているなと感じました。奇を衒うでもなく修辞に走るでもなく美しい日本語表現だと思います。
[一言]
作中でどうにも気になる一文がありました。
「私」が金魚を育てることについて述べた「私がそこまで一生懸命になったのには理由がある」という一文です。答えは明確には描かれていなかったように思います。正直、一読した時は謎のままでした。でも同じく作中に「私は父から愛情を受けたと感じたことがなかった」とあり、それで自分なりに答えを見つけられた気がします。
私は愛するという行為の意味や、愛するという感情そのものを知りたかったんじゃないかと。父に愛されていないと感じていた私が、せめて金魚には愛を向けてあげたいという代償行為的なものだったかもしれません。
鉢の中で見えざる目標を目指して泳ぐ二匹の蘭鋳はお互い生き方が不器用な父と私のかつての姿のようにも映り、なんて陰影の深い作品なのだろうと思いました。大好きですこの作品。
感想ありがとうございます。
早速ありがとうございます。良くも悪くも自分なりの言葉の表現を信じていることがそうした感じ方に通じたのかなとは思います。技巧的に云々する能力がないことが、却って良い結果を生んでいるのだとも言えるかもしれません。
なるほど、その一文ですね。
仰るようにこの部分はあえて明白な形での答えを置きませんでした。
そこで近江さんなりの答えを読んでいくと、なるほどなあと思わされる部分が多々ありました。当たり前のことながら小説というものは人によって感じ方や見方が変わってくるものですから、こうして感想を頂いて初めて気付くことがある、というのも珍しいことではないと思います。
私の作者としての力量は大したものではありませんが、大したものではないなりに上手くやれた部分があったのなら、それはとても嬉しいことです。
そして大好きな作品と仰って頂いたことが素直に一番嬉しいです。
近江ハタケさん、ありがとうございました。
早速ありがとうございます。良くも悪くも自分なりの言葉の表現を信じていることがそうした感じ方に通じたのかなとは思います。技巧的に云々する能力がないことが、却って良い結果を生んでいるのだとも言えるかもしれません。
なるほど、その一文ですね。
仰るようにこの部分はあえて明白な形での答えを置きませんでした。
そこで近江さんなりの答えを読んでいくと、なるほどなあと思わされる部分が多々ありました。当たり前のことながら小説というものは人によって感じ方や見方が変わってくるものですから、こうして感想を頂いて初めて気付くことがある、というのも珍しいことではないと思います。
私の作者としての力量は大したものではありませんが、大したものではないなりに上手くやれた部分があったのなら、それはとても嬉しいことです。
そして大好きな作品と仰って頂いたことが素直に一番嬉しいです。
近江ハタケさん、ありがとうございました。
- 雨宮吾子
- 2019年 11月14日 22時41分
[良い点]
>>田舎の闇夜はどこまでも湿っている。
素晴らしい表現力だと思いました。田舎の夜の情景が、こちら側にすっとはいってきました。ここから続く黒のイメージ。そして締めの金魚の鱗からくる光の金のイメージ。美しかったです。
[一言]
金魚はむずかしいです。
夜店の金魚はペットショップのものより、格段と飼育がむずかしく、小学生の知識では偶然がかさならない限りまず失敗します。しかも長時間の格闘の末にもらってきたという事は、この時点で金魚たちは満身創痍のはず。お父さんにも多分わかっていたと思います。それでも主人公にしてみれば、言われたくない一言だったのでしょうね。わかります。わたしが彼の立場であったとしたら、やはりムッとしたはずです。
成人してからも金魚を飼育している彼は、かなりこの件にひっかかりを持ち続けていたみたいですね。しかし金魚のなかでも上級者むけのらんちゅうの世話をしているのですから、もうお父さんの発言については分かっているはず。なのに素直になれないあたりに、家族の面倒くさい面を感じました。
題名でドビュッシーかな? と思ったらまさにそうで嬉しかったです。「金色の魚」の、弾けるひかりの粒のような音が好きです。漆器に描かれた錦鯉をイメージしてつくられたので、たしかに金魚にしては雄大すぎるかもしれません。そこでフニクリフニクラがでてくるのが、らんちゅうの丸さかげんにピッタリでした。
>>田舎の闇夜はどこまでも湿っている。
素晴らしい表現力だと思いました。田舎の夜の情景が、こちら側にすっとはいってきました。ここから続く黒のイメージ。そして締めの金魚の鱗からくる光の金のイメージ。美しかったです。
[一言]
金魚はむずかしいです。
夜店の金魚はペットショップのものより、格段と飼育がむずかしく、小学生の知識では偶然がかさならない限りまず失敗します。しかも長時間の格闘の末にもらってきたという事は、この時点で金魚たちは満身創痍のはず。お父さんにも多分わかっていたと思います。それでも主人公にしてみれば、言われたくない一言だったのでしょうね。わかります。わたしが彼の立場であったとしたら、やはりムッとしたはずです。
成人してからも金魚を飼育している彼は、かなりこの件にひっかかりを持ち続けていたみたいですね。しかし金魚のなかでも上級者むけのらんちゅうの世話をしているのですから、もうお父さんの発言については分かっているはず。なのに素直になれないあたりに、家族の面倒くさい面を感じました。
題名でドビュッシーかな? と思ったらまさにそうで嬉しかったです。「金色の魚」の、弾けるひかりの粒のような音が好きです。漆器に描かれた錦鯉をイメージしてつくられたので、たしかに金魚にしては雄大すぎるかもしれません。そこでフニクリフニクラがでてくるのが、らんちゅうの丸さかげんにピッタリでした。
感想ありがとうございます。
あとがきに書いてあるように懇意にして下さっている方から頂いたお題で書いたもので(金魚、特に蘭鋳の泳ぐ描写を見てみたいとのことでした)、実のところ私自身は金魚を飼った経験がないのです。検索して拾える情報や蘭鋳の泳ぐ姿を動画で見た程度で、できるだけ無理のない描写をするように心がけました。らんちゅうが上級者向けであるというのも今初めて知ったくらいでして、運良くいったのかなという思いが強いです。
人間関係、特に親子関係というのは難しいもので、ちょっとした一言が大きく尾を引いたりすることがあります。距離が近いと特別そうなると思います。そうしたことを含めて子供を育てるということは本当に大変なものだと、子供を育てた経験がないなりに私は考えたりすることがあって、そうしたものが作品に反映されているところが大いにあります。
「金色の魚」を持ち出してきたのは全くの思いつきでした。特にドビュッシーが好きということではないのですが、一時期よく聞いていたこともあって、不意にとびだしてきました。仰るように金魚にしては雄大すぎるところがあるので、らんちゅうの泳ぐ描写には似合わないなと思っていたら、これまた偶然に「フニクリ・フニクラ」を思いつきました。これも思いつきにしてはぴったりとはまって、これまた運が良かったと思います。
カラスウリさん、ありがとうございました。
あとがきに書いてあるように懇意にして下さっている方から頂いたお題で書いたもので(金魚、特に蘭鋳の泳ぐ描写を見てみたいとのことでした)、実のところ私自身は金魚を飼った経験がないのです。検索して拾える情報や蘭鋳の泳ぐ姿を動画で見た程度で、できるだけ無理のない描写をするように心がけました。らんちゅうが上級者向けであるというのも今初めて知ったくらいでして、運良くいったのかなという思いが強いです。
人間関係、特に親子関係というのは難しいもので、ちょっとした一言が大きく尾を引いたりすることがあります。距離が近いと特別そうなると思います。そうしたことを含めて子供を育てるということは本当に大変なものだと、子供を育てた経験がないなりに私は考えたりすることがあって、そうしたものが作品に反映されているところが大いにあります。
「金色の魚」を持ち出してきたのは全くの思いつきでした。特にドビュッシーが好きということではないのですが、一時期よく聞いていたこともあって、不意にとびだしてきました。仰るように金魚にしては雄大すぎるところがあるので、らんちゅうの泳ぐ描写には似合わないなと思っていたら、これまた偶然に「フニクリ・フニクラ」を思いつきました。これも思いつきにしてはぴったりとはまって、これまた運が良かったと思います。
カラスウリさん、ありがとうございました。
- 雨宮吾子
- 2019年 01月30日 21時02分
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