エピソード185の感想一覧

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[気になる点]
第2部 第6章がある程度の終結を向かえたとこなのですが、
矛盾と言えるほどではないのですが、若干の腑に落ちない思いがありましたので。

・パレッティア王国とカンバス王国の関係性について
「過去の異端狩りから逃れたヴァンパイアがカンバス王国に移り住んだ」
とあり、これがもとでパレッティア王国への復讐を目論む派閥が起こったと思うのですが、
そこまでの執念を抱くほどの恨みを買いながらヴァンパイアという存在を
御伽話として語られる怪物という程度にまで霞むほど警戒心のうすいパレッティア王国が不自然だし、
そもそも、復讐をもくろんでいながらパレッティア王国に対し、
諜報活動を一切していないことがあまりにも不可解。
ヴァンパイアの特性から見てパレッティア王国に洗脳した手駒を紛れ込ませることはできただろうし、
そうしていれば、ヴァンパイアという種族が忘れられていることや
先王時代に国が荒れていたこと、レイニの騒動とつけいる隙がいくらでもあり、
ライラナが台頭する以前になんとでもケリがついたはず。
それこそ、意図せずレイニが起こした騒動を意図的に起こして
国を乗っ取ることくらい容易にできたと思われます。

・ドラゴンの魔力(魔石)とヴァンパイアの魔力について
アニスフィアは、結果としてヴァンパイアの侵蝕の影響も取り込んだことで
本来、適合するはずのないドラゴンの魔力を最適に扱える身体へと変質したとのことですが、
レイニがヴァンパイアだと発覚する切っ掛けが、
相性がそぐわない魔石同士だと反発し合うという性質から、
レイニの魔石とアニスフィアの刻印が反発したためだったはずで
それなのに、ヴァンパイアの魔力による変質がアニスフィアと
ドラゴンの魔力のつなぎになっている点が不可解です。
もう一ついえば、そもそもドラゴンの魔力を滾らせた状態のアニスフィアが
あっさりとヴァンパイアの魔力に侵食されたなと。
「竜であれと、強き者であれと言うかのように」っていう描写もあって
理知的な強者だと思ってましたが、ただの脳筋だったようで…。
いままで偉そうに振る舞ってたドラゴンの魔力しょぼいなと。

私の捉え方が間違っているのかもしれませんが、
今までの話に比べるとアニスフィアのドラゴン化という結果ありきで
そこに肉付けされた感が拭えなかったので長文にて失礼させていただきました。
 気になる点があったという事で、ご満足頂けるかどうかはわかりませんが解答したいと思います。

・パレッティア王国とカンバス王国の関係性について
 ヴァンパイアが復讐の執念を抱いたのは事実ですが、彼等はあくまで「魔法使い」であることに拘っているので、彼等における魔法への復讐というのは自分たちの存在が正しかったと認めさせるということで、パレッティア王国への否定という復讐ではありますが、侵略という意味での復讐ではないからです。

 だから彼等としては「自分の研究を邪魔されるのが何よりも嫌」っていうのは、穏健派であろうとも過激派であろうとも共通した認識だったので、謀略を働いて政治的だったり、軍事的にパレッティア王国を崩壊させることが目的ではないからです。

 一方、パレッティア王国にとってヴァンパイアが姿を潜めるにつれて記憶は風化していきました。これは故魔法省が徹底して異端を遠ざけた結果であります。結果として、誰も存在を知らなくなったのはいいけれど対処法を誰も考えることはなくなった、という流れになります。

 纏めると「それはヴァンパイアが望む復讐方法ではなかった」という事になります。あくまで「魔法使いとして自分たちが正しいと屈服させたかった」であり、精霊契約者に至る領域まで迫ったのはライラナだけだったので行動を起こさなかった、という事です。


・ドラゴンの魔力とヴァンパイアの魔力について

 まず前提として、アニスフィアのドラゴン化は進行していました。これは幕間でティルティが話していました。
 ただこれはもっと年数をかけてゆっくり定着していた予定なので、アニスフィアの意志とドラゴンの魔石の意志が重ならないと最大の効果を発揮しません。

 例えばフェンリルやレイニのヴァンパイアの力に晒されて防衛反応をすると、アニスもビックリして本人の防衛反応も働いて初めて抵抗する、という流れでして。

 ヴァンパイアの変質はライラナの力任せだったのも勿論ありますが、そもそもの話として魔石が万全な状態で、狂人レベルの意志まで乗って増幅された明確な指向性のある魔石の力と、砕かれて宿主ありきの出力で、かつ適合がこの段階での不完全な刻印紋では出力の差で負けてしまいます。

 更に面倒なことにヴァンパイ化の影響はアニスフィアの精神から搦め捕ったので、そのせいでドラゴンの魔石との繋がりが弱くなったのもあります。

 つまりアニスがヴァンパイア化の変質を受け入れてしまった起きた事故であり、その事故の後でアニスが否定したのでドラゴンの魔力との繋がりが戻ったり、ユフィからの魔力の補助を受けたので今の形に落ち着いた、という流れです。

 ドラゴンがショボいと馬鹿にされているようですが、そもそもドラゴンはアニスありきなので、アニスが心折れるなら結構あっさりドライに見捨てます。弱肉強食なので。食われるなら仕方あるまい、と。

 なので、あの状況でショボいのは実はアニスな訳です。その後リカバリーはしましたが、アニスにとって心の傷、メンタル面での蓄積ダメージはそれだけ大きかったという事です。
[一言]
76~77話と連続で読みまして、互いの存在理由とも言える譲れない想い同士をぶつけ合う二人の姿は熱く胸を打たれました。
でもライラナの在り様があまりに寂しく感じられ、どうか彼女にも救いがありますようにと、そう願わずにはいられません。
ライラナの在り方は上手く描けたかどうかはなかなか頭を悩ませましたが、何か感じ入ることがあったのであれば嬉しく思います。
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