感想一覧

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[良い点]
やっぱり、文章うまいなー!と思いました!
りくくん怖かった!でもかわいそうやった!!!
なんでりくくん成仏できなかったんや……そして息子2人を完全魅了するママンすごい
ほとんど、家とベランダしか舞台がないのに、しょうまくんに好感を抱いてしまった!モテそう
ありがとうございます!
しょうまくんコミュ障じゃなさそうだし、就職して収入安定したらリアル充実しまくりそう。それまでしょうまくんのままでいれば……。
あまりにかわいそうなので、数々の不運な偶然が起こらなかったif世界を想像して最大幸福を得ようとしました。(感想)
[良い点]
日常に穴がある。思い出した時にこわごわと覗くような。

意識してしまったがために、後悔を置いてきぼりにする変貌が迫り気付けば追憶の中にいた。沢山の『もしも』が泡のように浮上する、狭いベランダなのに深い淵を感じる作品でした。主人公翔真の一本の煙草の出会いから展開する世界は、思春期のアンバランスさでも、学校での悲喜こもごもでもなく下の子。翔真の周辺は仲の良い先輩、クリスマス会が出来るコミュニティ、優しい母親、とても平和で温かい。しかし一貫して視点は翔真のまま。しかも翔真とベランダが中心。それが温かい翔真の人間関係を薄め、霞め、逃げ場を断ち、狭い空間に閉じ込めている。誰が翔真を閉じ込めているのだろう?とても大きな、でもささやかな染みを感じる。
翔真と下の子との出会いは読者からすると、一見下の子を見守るお兄ちゃん、まるで翔真自身も保護者・大人の一員になったような責任感の目覚め・成長のように感じます。しかし、煙草の本数の気付き、窓に近づくと吸わずにいられない誘惑、何より"視線"。依存症になるにしては不自然で、翔真の意志だけではくみ取れない異質さがあの空間にある。読者すらもその異質さに気付くのが遅すぎる。窓は開いている。巧みな情景描写がこれは恐怖なのだと思い出させてくれる。

母親との煙草でのひと悶着と謝罪までの流れはリアルで、読者もほっと胸をなでおろす感覚がする。私たちの心にも覚えがある安堵、登場人物たちの架空の方言が感情を持たせているからかもしれない。西日本の方は『あ~』と思う地元の言葉に満ちているのでより会話に入ってしまうかも知れない。個人的には音読したくなる感じ。彼らを身近に感じたい。

人間の中身は赤いのだ。それは翔真も母親も私達読者も間違いなくだ。下の子もだ。愛も嫉妬も憎しみも派閥争いも生まれた瞬間から始まっている。年齢に関係なく、欲しいもののために私たちは血眼にならざるを得ない。翔真もそうだった。それが正しく本能である。例えそれが身内でも関係ない。見境の無い幼い欲望が、無垢な渇望がこのベランダを、ひいては部屋を、母親を、翔真を飲み込んでいる。欲しいもののために翔真は境目を失う。私たちは翔真を見失う。私達が見てきたあの部屋には何がいた?部屋から出ても続くのだろう?穴がある。またこわごわと覗く。頁を繰る。終わらない確認を始めるように。
再読する必要性にかられる良作です。
[一言]
長文となってしまいすみません。新作に心躍らせ拝読出来たことは幸せです。どうかお体に気を付けて。これからも一ファンとして応援しています。
  • 投稿者: はた
  • 2019年 04月21日 21時16分
ライター級の感想ありがとうございます、いつも!
空間的な狭さと珍しくもない一つの家庭という身近さがちゃんと世界や空気感として味になってくれたみたいで、ほっとしました。
いつも楽しみと言ってくれ完成したときは全力で楽しんでくれて、支えられます。
感想、レビュー共に、読んでいるとお客さん的な感覚で「改めて読みたい!」ってなってきます。再読してきます!
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