エピソード14の感想一覧
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[良い点]
エイプリルフール2024ありがとうございました~!
レオノーラ(レオ)とエミーリアお祖母様の関係が好きなので満足満足。
レオがレーナに遠慮したり、エミーリアお祖母様の贈り物に葛藤しているところに胸打たれます。
そして解説のアルタ様もよい仕事している。
いつの日にか更新されるかもしれない、というかされると信じて疑わない還俗期間残り一日半に巻き起こる大惨事の更新をお待ちしております。<(_ _)>
ふざけんなっ!>by.レオノーラ被害者の会(BL)
(¬_¬ ) ヽ(`Д´#)ノ
被害者Bさん 同じくLさん
[気になる点]
超長文感想消去事件のダメージあんどその後の復旧チャレンジ時に再び消去でダメージ……
気が付けばエイプリルフール更新からアッー!という間に(いや、いわない)二週間も経っていました。
なんてこったい!(ノД`)
光陰矢のごとし、春眠暁を覚えず。
(まるで同じ意味のように並べるな)
ダメージでかすぎて立ち直るのに時間掛かった……
『ふつつかな悪女ではございますが 8巻』『猫かぶり令嬢アリアの攻防 コミックス1巻』購入してまいりました。
『ふつつか』は書泉ブックタワーさんで購入しました。
エレベーター上がった正面の棚に展示コーナーがド一ン!と作られ、颯希先生のサイン入り扇子がデーン!と飾られておりました。(笑)
(8巻は書泉限定版のアクリルコースター付も販売中ですよ奥さま!)
『アリア』はゲ○マ○ズさんで購入しました、ブロマイド付だから。
(ウヒョー! 表紙カッケー!(≧Д≦))
あと『ふつつか』では5月1日までキャラ人気投票やってるみたいですね! 壁紙も貰えるのでまだの人は忘れず投票だ!
……あっるぇー?「鋼様」も「事故物件掴んじゃった人」も「真のヒロイン」もおらんが?
その他になるんか???
(名前でおぼえろ)
[一言]
ー還ってきた無欲の聖女ドッカーン2024 #02revenge!!!(※ループ3回目……)ー
「朝だわ……」
「朝だな」
「火曜日がやって来たわ……」
「まだ火曜日なんだな」
両者とも、声に疲労が滲み出ている。
一週間の内、最もダルい月曜日を乗り切ったブルーノとレーナだったが、本日これから繰り広げられる『ハーケンベルグ侯爵家のハーケンベルグ侯爵家によるレオノーラの為の大甘やかし大会』のことを考えると頭痛と不安の種しかない、思わず顔がおちょなんさんになっしまったレーナは「寝よう」と言って現実逃避の二度寝をするため布団に潜り込もうとするが。
ゴン!ガラーン!
「イダっ!?」
何処からともなく降ってきた金の盥がレーナの頭を直撃する。
――おはよう、二人とも。よく眠れた?
同時に、金盥から柔らかな声が響く。
金の精霊・アルタのものだ。
「目覚めない眠りにつくとこだったわ!」
――こちらでは、「レオノーラ」のためのモーニングパーティーin崖っぷちを開こうとしているところよ。
「in崖っぷち?」
レーナの苦情はするーっとスルーされてしまった。
「レオの体だっていうのに中身が私だと容赦なさすぎっ! 善良でか弱い美少女の頭に金盥が直撃してんのよ? ちょっとは労るとか慰めるとかないの!? 泣くよ!? レオの体と声で全力のギャン泣きしちゃうよ!?」
「おちょなんさんの顔(怒り)でそんなこと言われてもな」
――そう。昨夜のパーティーは、皇子はじめ、身分が高い人向けの内輪のもの。でも、ほかにも「一目『レオノーラ』に会いたい」という人が引きも切らずに押しかけるから、ハーケンベルグ侯爵邸のホールにも入りきらなくなって、急遽屋外モーニングパーティーという形で、某監獄近くの崖っぷち岬に集まって、ささっと皆にお披露目を済ませてしまう意図のようよ。
精霊の解説を聞いて、レーナは相変わらずの高度なスルーっぷりに唸る。顔はレオに戻した。
さて置き、還俗日延長のために多くの人々の力を借りた以上、彼らには報いなくてはならないし、自慢の孫娘を見せびらかしたい。けれど自分たちとの時間は奪われたくない。
だから、ほぼ一日を取られてしまうイブニングパーティーではなく、非常識で簡素でも許される(※普通、非常識は許されない)モーニングパーティーに、謁見と贈り物を望む「その他大勢」をぶち込もう、そして「気に入らない贈り物をした奴」は崖下にぶち込もうというわけだ。なんという贈り物&鳥人間コンテスト。
――ほら、見えるかしら。今、非常識な侍女がクジラの背に乗って華麗な舞を舞っているわ。
○ルマのエ○マによる普通じゃないお・も・て・な・し♡もバッチリである。
ちなみに当初はエル○の「今日は両方狩れたので」という理由でドラゴンのステーキとフェニックスのから揚げを朝食として供しようとしていたのであるが「朝からおもたい」と却下された。
エ○マは「やはりヒュドラのから揚げ(塩味)の方がよろしかったでしょうか」としょんもりしていたがそういう問題じゃない。
――ほら、見えるかしら。今、エミーリア夫人が手配した職人たちが、プレゼントを運び込んでいるわ。
メロススタイルのカイ(フル○ン)を先頭に、様々な箱や物品を手にした職人が、全力ダッシュでプレゼントを広間に運び込む図を見て、レーナは顔を引き攣らせた。
「なにこの危険人物の人数。去年の三倍以上に増えてない?」
「変質者の人数もかなり増えているようだぞ。これは……全員捌くのも骨が折れそうだな」
なんだか腕は一流だけど紙一重な職人達が集まってしまった。
レーナは夫人の人選に唸る。
こんな見た目でも中身は超一流の職人みただから仕方ない。
――なにしろ、社交界の重鎮・エミーリア夫人が直々に目利きをするのだもの。「レオノーラ」還俗日に贈られた品物、というだけで、今や「皇室御用達」以上の価値があるそうよ。
「なにそれ」
――ちなみに、「レオノーラセレクション」と呼ばれているそうよ。
「なにそれ!?」
レーナが二連続で叫んだ。
なるほどこの場には、「あのレオノーラに捧げられた」という箔ほしさに、大陸最高水準の紙一重達が集められているというわけだ。
――ごめんなさいね、私の愛し子が。変人を引き寄せる性質があるばかりに……。
アルタは詫びるが、その声はどことなく嬉しそうだ。なんで?
金の精霊の言葉に、レーナは自分の体が変人を引き寄せるのか、それともレオに関わる人間が皆変な人なのか、どちらにしても自分がレオに関わっている時点で微妙な気持ちになった。
「ああもう! ああもう! あああ、もう!!!!」
レーナは地団駄を踏んでいた。
どうしていつもこうなるのだ。
その間にも、とっくに開始されていたレオノーラによるなんでも鑑定団は進行していき、鑑定待ちの列は進んでゆく。
次は列の五番目に並んだ、カイゼル髭が立派な男性。菓子箱と思しき箱を恭しく掲げ持っている。
――彼……。
アルタ様の不審者センサーがビンビンに反応しているのをよそに、順番が回ってきた男性は夫人に呼ばれてしまった。
『お次は、お菓子よ。チョコレート工房、サロン・ド・ゴヂバの職人、ヤヴァイヒト。こちらへ』
『はい!』
どうやら彼は、チョコレート職人であるらしい。
ヤヴァイヒトは顔を伏せたまま粛々と歩み出ると、深々と夫人に一礼し、遠目にもわかるほど美しい菓子箱を、段上の少女へと差し出した。
『レオノーラ様はチョコレートがお好きで、お土産には毎年、大陸で最も優れたサロンのものが選ばれていると伺いました。三回目にして、有名な『サロン・ド・ハンニンコノヒト』のものではなく、当サロンの作品が選ばれたこと、誠に誇りに思います』
そうして、恭しい仕草で、宝石箱のように豪華な箱を開けてみせる。
『最高級チョコレートのアソートです。どうぞ、ご賞味を』
装飾が施されたハート型の容器には、お値段に対して中身はチョコレート(仮)が5粒、整然と並んでいた。
「ああっ! あれ、聞いたことがあるわ。下町にすら名前が轟く、超有名工房の最新作じゃないの! お値段に対してチョコはたったの五粒で容器が本体といわれる例のやつ!」
……G○DIVAに謝れ
実際小物入れやアクセサリーを仕舞うのに重宝するのだが、せっかくお高いチョコレートを買うなら季節限定とか美味しいのを買う。
『いりません』
まるで、汚物を見るように冷ややかな拒絶。
「え?」
『え?』
「ど、どうしたの、レオノーラ? あなた、チョコレートは好きでしょう?」
向かいに掛けたエミーリアが、困惑した様子で立ち上がる。
彼女が驚いたことに逆に驚きつつも、チョコレートは好きと答えようとして、
「あっはい、大好き、です――」
と訂正しかけてしまったが、なんとか踏みとどまって顔を背けた。
「が、このチョコレート(仮)は、いやです」
顔を背けた先で、不自然に大きなカイゼル髭をはやしている職人・ヤヴァイヒトと目が合う。
レオは、思わず顔をおちょなんさん(怒り)のように歪めてしまった。
「なぜなの、レオノーラ? そんな風に言われたら、わたくしは悲しい。職人のガラスのハートだって、きっと傷付くわ。いえ、美少女に拒絶されたら悦ぶドMもいるのかしら? せめて理由を言ってちょうだい。体の具合でも悪いの?」
体調不良、と聞いた途端、背後でクラウスがガタッと立ち上がり、「担架を取ってこい!」とカイ(フル○ン)に命じる。
レオは咄嗟に、
「いえ、体の問題では、ありません!」
と声を張った。
が、時すでに遅く、カイ(フル○ン)は全力ダッシュで広間を出てしまった後だ。
伸ばした手の行き場を失い、言葉すらも、どう続けてよいのかわからなくなってしまった。
というかなんで誰もカイ(フル○ン)について触れないの? オリンピアスタイルだからそれが普通なの?
クジラと戯れる非常識侍女に助けを求めるように視線を向けると、「普通です」と言わんばかりの自信たっぷりの表情で肯いた。(ゝω・)b
あ、やっぱこれ異常なヤツなんだと納得する。
○ルマの“普通”は非常識なので間違いない。
エル○は一瞬目を見開き「なんで!?」と、抗議のアイコンタクトを送ってきたが、とりあえず無視した、今はそれどころじゃない。
「そうではなくて……」
「では、このチョコレート(仮)のなにかが気に入らないというの?」
「ええと」
冷や汗を滲ませながら、ぐるぐると素早く思考を巡らせる。
(くそだよね!? どう見てもウ●チだよね!? なんかキラキラ宝石みたいなのが光ってるけど!? 与えられたものにはがっつくばかりで、断ったことなんかねえけど、さすがにウ●チを高級菓子って言われても食えないよ!? でもどう言えばいいのかわかんねえけど金の匂いもするんだよなぁ? ひとまずレーナの言うとおり難癖つけりゃいいのか?)
値切るために、商品のちょっとした瑕疵を突くなんて、数え切れないほどやってきた。
だが目の前に差し出されているのは、難癖しか付けようもない、完璧に高級菓子ではないブツだ。
しかし、さすがにチョコレートと言っているものに対して「これウン●じゃん!」なんて言おうものなら暴言判定アウトになるに決まってる。
どこから批判していいのかわからなかったレオは、ふわっとダメ出しをした。
「なにがというか、こう……だめです!」
「どこがなの?」
「こう、すべてというか! なにもかも、だめです!」
なんでわかってもらえないの? 某喫茶リコリコの冬季限定メニューがセーフ⊂(・∀・)⊃だったから?
レオは、かっと目を見開き、ウンチョコを見据えた。
(ウンチョコはぶどう味チョコだろ、いっしょにすんな)
なんでもいい。とにかく観察し、とにかく気づいてもらえそうな点を探し出すのだ。
(ウ●チ……ウ●チの特徴ってなんだ……茶色い……茶色いな!)
それしか思いつかなかったレオは、びしっとウンチョコレートを指差した。
「だって、このチョコレート(仮)は、闇を、感じさせる色を、しています!」
「そ、そうね。まあ、良質なカカオ豆とミルクをふんだんに使ったからこその色だけれど……」
「ふ、深い闇です! 想像もつかないくらいの、深~い、闇です!」
気づいてくれない祖母相手に、形容を重ねて凄んでみせる。
が、エミーリアは取りなすように、「ほら、食べてみて」とウンチョコレートを摘まもうとしたので、レオは「ギャーーーッ!」と、全力で止めようと絶叫した。その結果、ちょっと喉を焼いた。
「エミーリア様の手、汚れてしまいます!!!」
口溶けよく調整されたチョコレートなら指で摘まめばたちまち溶けてしまうだろう。でもそれウ●チ。
ウ●チへの勇気の人差し指は見ているだけでも心臓に悪い。あ、やっぱり担架必要かも。
「それはそうだけれど……後で拭けばよいのではなくて?」
「そ、そういう、簡単な問題では、ありません……っ」
全然っ!? いーや全然っ!?
例えばGを触った手を後で拭いても安心できないでしょ!? そうゆうこと!!
あれ、でももしかして孫のおしめを交換するお祖母ちゃんの気持ち? 孫のウ●チは汚くない?
それなら納得できるかな? ってそれなんのウ●チかわかんないんじゃん!? やっぱりアウトーッ!!
大体なんでウ●チとか持ってくんの? なんなのこのウ●チ! コアラとかカバの赤ちゃんが親のウ●チ食べるとかそうゆうこと!? それとも肥料にでもしろって!?
レオは、冷静に混乱していた。自分が、ウ●チというブツにさえ可能性を見出そうとして難癖をつけきれない人間なのだと痛感した。
(くそっ、ていうかクソッ! こうなりゃウンチョコ本体じゃなくて、作り手批判だ!)
勢いよく立ち上がり、再びヤヴァイヒトを見下ろす。
ぎょっとしている職人に、内心で「すまねえ!」と謝りながら、ひとまずレオは、目に付いたおしゃれな髭を批判した。
「その髭、ないわー、です! この、はげちゃびん!」
「レ、レオノーラ。たしかに料理人は衛生に気を使うべきだけど、べつに髭なんておしゃれさんの範疇だわ」
「いいえ! 許されません! 許しません! ゆ”・る”・さ”・ん”…!」
窘めるエミーリアを遮り、レオはあえて高慢なお嬢様風に、ぴしりと言い切ってみせた。
「彼の作るチョコレート(仮)なんて、自分は、食べたくありませんわ! オーホホホッ!」
***
あまりに一方的な言いがかりに、広間はすっかり困惑の雰囲気に包まれていた。
徐々に、当惑から不快へと傾いていく空気。
金盥越しにもそれを感じ取ったレーナは、怪訝さに眉を寄せた。
「な、なによ。たしかに感じ悪く断れとは言ったけど……予想以上にうまくやるじゃない。あいつ、チョコ嫌いだったっけ?」
――なにを言っているのよ、レーナ。
すると、呟きを拾った金の精霊・アルタが、呆れたように指摘する。
――あれ、どう見てもウ●チじゃない。
「はあ!?」
そんな気はしていた。
でもかりんとうとかそうゆうものに見えるお菓子もあるし
(かりんとうに謝れ)
どう見てもゲ□に見えるもんじゃ焼きとかあるし。
(もんじゃ焼きに謝れ)
ワンチャン、ウ●チに見える高級チョコレートの可能性に賭けていたけどやっぱウ●チ?
まさか「無欲の聖女」への贈り物、「レオノーラセレクション」の選定の場にウ●チなんて持ってくる奴なんかいないよね? という先入観でウ●チがチョコレートに見えていた。
まるで“裸の王様”の話のようだ。
ちなみに、先日ブルーノによっておこなわれた読み聞かせでは“裸の皇子様”と改変され、アッー!でデュフフ……な物語として幼年組に流布され、大変好評を博したのだが、それはまた別のお話。
『大変です、侯爵閣下! 侯爵夫人!』
ばん! と扉が開き、外から勢いよく変質者が飛び込んで来た。
誰かと思えば、この数年でずいぶん背丈を伸ばした元レオノーラ付き侍従・カイ(フル○ン)である。
彼は、弛まぬ「まっするばでぃ!」の筋トレによって、すっかりマッチョと呼んで差し支えなくなった体格でポージングを決め、侯爵に向かって叫んだ。
『どうかただちに、ゴヂバの職人ヤヴァイヒトに扮した、その厚顔な男を捕らえてください!』
***
クラウスは一瞬たじろいだものの、職人が「おたすけ~」と腰を浮かせたのを見逃さず、すぐさま衛兵に指示を飛ばした。
「捕らえよ!」
「はっ!」
「ひ、ひえ……っ! 侯爵閣下! わ、私が、なにをしたと言うのです!」
「なにをしたか、ですって?」
両側から腕を取られ、もがきはじめた男に、カイ(フル○ン)が獲物を狙う獣のような視線を寄越す。
「それは本物のゴヂバの職人であるヤヴァイヒトに聞くことですね。僕が今さっき担架を取りに倉庫に向かったら、身ぐるみを剥がされ両手足を縛られ三角のお馬さんに蝋燭まみれになって乗せられていましたよ。なんでもあなたに襲われ、アッー!されたとか」
カイは、筋トレの成果を遺憾なく発揮し、押し倒した男の衣服を引き裂いた。
「ウホッ(以下略)。それに――」
ついで、男の頭を掴み、なんとあるもの、、、、をむしり取った!
「こんな変装をしてまで、言い逃れできると思わないでください!」
広間がざわつく。
「まあ!」
「髪が……ない」
そう、ヤヴァイヒトを名乗る男は、ヅラを被っていたのである。
「これはどういうことなの?」
エミーリアは呆然とつぶやき、それから、あることに気が付いて、傍らの孫娘を振り返った。
「レオノーラ。あなた……さっき、『この、はげちゃびん!』と言っていたわね? まさか、このことを意図していたの?」
「えっ」
対するレオは声を上擦らせた。
言った。
言ったけれど、そんな意図は込めていない。
ただ颯希先生のお話に、ウ●チとはげちゃびんは欠かせないから無理矢理混入させた。
(なんで!? by.颯希先生)
というか、一生懸命感じ悪く振る舞っていただけなのに、語彙力のない悪口はかわいい判定されて暴言基準セーフ⊂(・∀・)⊃だったようである。
ア○ニャも使ってるし。
「いえ、ええと――」
「『去年ハンニンコノヒトのチョコレートをもらったときから、今年は受け取らないと決めていた』。まさか……そういうことなの!?」
どういうことでしょう。
レオは絶句するしかできずにいたが、なんと、カイ(フル●ン)がきっぱりと頷きを返した。
「その通りです、大奥様。この男は、今年躍進したサロン・ド・ゴヂバの職人ではない。今年のレオノーラセレクションに漏れ、見当違いの恨みに燃えた、サロン・ド・ハンニンコノヒトの職人、ハンニンコノヒトなのです!」
「――……っ」
(どぅおええええええええ!?)
レオは素っ頓狂な声を上げかけて、見事失敗し、結果的に喉を焼いた、はげちゃびんはセーフだったのに。
「この男、ハンニンコノヒトは、過去二回レオノーラセレクションに選定されたことで調子に乗り、多額の借金を重ねていたようです。それが原因で、原材料を異世界の魔獣の糞に変えてごまかし、過剰に高額な商品を売りつけていたのは、大奥様もご存じのところ」
「そうね、カイ(フル○ン)。だからわたくしは、今年の選定から彼を外したのよ」
「ところが彼はそれを逆恨みし、新たに選ばれたゴヂバの職人を襲ってアッー!させ、彼に成り代わったのです」
カイ(フル○ン)は蔑むように、むしり取ったヅラを見せつけた。
「もっとも、真実の瞳を持つレオノーラ様は、即座にチョコレート(仮)の正体を見破ったようですけれどね」
「――……っ」
(でしょ!? やっぱりそうだよなっ!? ウ●チ ウ●チ ウ●チーーーーー!!!(※暴言判定アウト))
喉焼き、再び。
レオは喉を焼かれたが、隣に立つエミーリアは納得の表情を浮かべるばかりだった。
「だからレオノーラは、彼の番になった途端、こんなにも受け取りを拒否した……。わたくしが摘まもうとすると、『手が汚れる』と言って、それを止めたのね」
「さようでございます」
(さようでございます!)
ただはげちゃびんと言っただけなのに、いつの間にか名探偵役に祭り上げられそうで、居心地の悪くなったレオは席を立とうとする。
だがそれよりも早く、今度は縄抜けしたハンニンコノヒトが、崖っぷちまで逃げた。
「はっ、『真実の瞳』は伊達じゃねえってか。闇が深いだとか、ことは簡単じゃねえとまで言われた以上、……俺の余罪も何もかも、見通されてんだろうなアッー!」
(なんか自白しはじめたーーーー!?)
被害者も探偵役も船越英一郎も不在だというのに、勝手に犯人が火曜サスペンス劇場を始めるのはなぜだ。
(というか始めているのは火サスのラストシーンだ)
だから火曜日設定だったんだ!?
(はい、伏線回収)
レオが滝のような冷や汗を流している間に、実質的な探偵・カイ(フル○ン)が「もしや」と声を低めた。
「襲われたゴヂバの職人が言っていましたが……〆切厳守のために、「印刷所さんにも泊まり込みで待ってもらってるんですよ!?」とかプレッシャーをかけて、あなたが違法に小説家(中○颯○先生)を長時間労働させたり、果ては、受け子を使ってBLの斡旋までしているというのは、事実なのですか」
「ふん、定期的な更新を維持するには、それなりのコストってもんが掛かるんだ。あんたら腐女子は、そういう作家様たちの、労働やら苦渋やらの末にやっと一粒生み出された甘露を、ばかすか「尊い…」やら「デュフフ」してんだよ。それくらいわかるだろ?」
「なんということを!」
(なんということを!)
健康第一!
声を荒らげたカイ(フル○ン)とロリうさに対し、(お前かいっ!)ハンニンコノヒトは「あーあ」とせせら笑うだけだった。
「ボーイズの後ろ狙いをしてようが、天下のハーケンベルグ夫人のお墨付きさえ貰えりゃこっちのもん。ゴヂバの職人のふりをして、薔薇(BL)の旗をかっぱらえば、いくらでも侯爵家を強請れると思ったのによお」
どうやら彼は、自らのウンチョコレートをゴヂバのものと偽って認証を得て、チョコとウ●チの違いすらわからなかったという悪評を盾に、エミーリアを脅そうとしていたらしい。
卑劣なやり口に、侯爵も夫人も、瞳に怒りを燃やして席を立ったが、そのときハンニンコノヒトが、ぽつんと漏らした。
「だが、まさか、食べる前から見破られるなんてな」
いやらしい笑みではない。アッー!されたような苦笑を、彼は浮かべていた。
「うわべだけを見るんじゃなくて、本当に真実を見抜く貴族が、いたなんてな」
静かに項垂れた彼を見て、やがて、ギャラリーの一人が呟いた。
「『ウ●チを見通す瞳』だ……」
その言葉は、唸りを立てるような勢いで、広間全体に広がっていった。
「一目見ただけでウ●チと見抜くなんて!」
「いいや、去年ハンニンコノヒトのチョコをもらったときからこの事態を見通していたということではないか!?」
「見目よく装われたウ●チになんか目もくれなかったわ」
「やはりレオノーラ様は、『無欲の聖女』なんだ!」
わああっ! と歓声が盛り上がる。
クジラに乗ったエル○も、海の上からぱちぱちと拍手を送ってきていた。
……どうしてこうなった!?!?!?
***
その頃、異世界で魔獣のウ●チを集めて帰還陣に必要な源晶石を採集しているター□さんは、最近手伝いにきてくれていた回収業者がこなくなってしまい、一人寂しくウ●チの中から源晶石を集めるのであった。
二か月毎の適性期のたびに、なんやかんやで三人の美少女たちに、あの手この手で引き留められているター□さんは、よく颯希先生に忘れられているので、まだ異世界生活を延長しまくって居ました。
もう君、立派なリア充だよ。…爆発しろ!
「大丈夫ですよ、ターロさん! 私たちが、いますから(無限∞ループ)」
***
ps.一回め・二回めに書いた感想と少し内容変わってしまいましたが(半分寝ながら書いたから憶えてない)さすがに三回めも消えたら泣くところ。(T_T)
あと、インクこぼしすぎて読みづらいわ。
(ウ●チ ウ●チ書きすぎ)
来年のエイプリルフール更新も楽しみにしております!!!
\(≧∇≦*)/
エイプリルフール2024ありがとうございました~!
レオノーラ(レオ)とエミーリアお祖母様の関係が好きなので満足満足。
レオがレーナに遠慮したり、エミーリアお祖母様の贈り物に葛藤しているところに胸打たれます。
そして解説のアルタ様もよい仕事している。
いつの日にか更新されるかもしれない、というかされると信じて疑わない還俗期間残り一日半に巻き起こる大惨事の更新をお待ちしております。<(_ _)>
ふざけんなっ!>by.レオノーラ被害者の会(BL)
(¬_¬ ) ヽ(`Д´#)ノ
被害者Bさん 同じくLさん
[気になる点]
超長文感想消去事件のダメージあんどその後の復旧チャレンジ時に再び消去でダメージ……
気が付けばエイプリルフール更新からアッー!という間に(いや、いわない)二週間も経っていました。
なんてこったい!(ノД`)
光陰矢のごとし、春眠暁を覚えず。
(まるで同じ意味のように並べるな)
ダメージでかすぎて立ち直るのに時間掛かった……
『ふつつかな悪女ではございますが 8巻』『猫かぶり令嬢アリアの攻防 コミックス1巻』購入してまいりました。
『ふつつか』は書泉ブックタワーさんで購入しました。
エレベーター上がった正面の棚に展示コーナーがド一ン!と作られ、颯希先生のサイン入り扇子がデーン!と飾られておりました。(笑)
(8巻は書泉限定版のアクリルコースター付も販売中ですよ奥さま!)
『アリア』はゲ○マ○ズさんで購入しました、ブロマイド付だから。
(ウヒョー! 表紙カッケー!(≧Д≦))
あと『ふつつか』では5月1日までキャラ人気投票やってるみたいですね! 壁紙も貰えるのでまだの人は忘れず投票だ!
……あっるぇー?「鋼様」も「事故物件掴んじゃった人」も「真のヒロイン」もおらんが?
その他になるんか???
(名前でおぼえろ)
[一言]
ー還ってきた無欲の聖女ドッカーン2024 #02revenge!!!(※ループ3回目……)ー
「朝だわ……」
「朝だな」
「火曜日がやって来たわ……」
「まだ火曜日なんだな」
両者とも、声に疲労が滲み出ている。
一週間の内、最もダルい月曜日を乗り切ったブルーノとレーナだったが、本日これから繰り広げられる『ハーケンベルグ侯爵家のハーケンベルグ侯爵家によるレオノーラの為の大甘やかし大会』のことを考えると頭痛と不安の種しかない、思わず顔がおちょなんさんになっしまったレーナは「寝よう」と言って現実逃避の二度寝をするため布団に潜り込もうとするが。
ゴン!ガラーン!
「イダっ!?」
何処からともなく降ってきた金の盥がレーナの頭を直撃する。
――おはよう、二人とも。よく眠れた?
同時に、金盥から柔らかな声が響く。
金の精霊・アルタのものだ。
「目覚めない眠りにつくとこだったわ!」
――こちらでは、「レオノーラ」のためのモーニングパーティーin崖っぷちを開こうとしているところよ。
「in崖っぷち?」
レーナの苦情はするーっとスルーされてしまった。
「レオの体だっていうのに中身が私だと容赦なさすぎっ! 善良でか弱い美少女の頭に金盥が直撃してんのよ? ちょっとは労るとか慰めるとかないの!? 泣くよ!? レオの体と声で全力のギャン泣きしちゃうよ!?」
「おちょなんさんの顔(怒り)でそんなこと言われてもな」
――そう。昨夜のパーティーは、皇子はじめ、身分が高い人向けの内輪のもの。でも、ほかにも「一目『レオノーラ』に会いたい」という人が引きも切らずに押しかけるから、ハーケンベルグ侯爵邸のホールにも入りきらなくなって、急遽屋外モーニングパーティーという形で、某監獄近くの崖っぷち岬に集まって、ささっと皆にお披露目を済ませてしまう意図のようよ。
精霊の解説を聞いて、レーナは相変わらずの高度なスルーっぷりに唸る。顔はレオに戻した。
さて置き、還俗日延長のために多くの人々の力を借りた以上、彼らには報いなくてはならないし、自慢の孫娘を見せびらかしたい。けれど自分たちとの時間は奪われたくない。
だから、ほぼ一日を取られてしまうイブニングパーティーではなく、非常識で簡素でも許される(※普通、非常識は許されない)モーニングパーティーに、謁見と贈り物を望む「その他大勢」をぶち込もう、そして「気に入らない贈り物をした奴」は崖下にぶち込もうというわけだ。なんという贈り物&鳥人間コンテスト。
――ほら、見えるかしら。今、非常識な侍女がクジラの背に乗って華麗な舞を舞っているわ。
○ルマのエ○マによる普通じゃないお・も・て・な・し♡もバッチリである。
ちなみに当初はエル○の「今日は両方狩れたので」という理由でドラゴンのステーキとフェニックスのから揚げを朝食として供しようとしていたのであるが「朝からおもたい」と却下された。
エ○マは「やはりヒュドラのから揚げ(塩味)の方がよろしかったでしょうか」としょんもりしていたがそういう問題じゃない。
――ほら、見えるかしら。今、エミーリア夫人が手配した職人たちが、プレゼントを運び込んでいるわ。
メロススタイルのカイ(フル○ン)を先頭に、様々な箱や物品を手にした職人が、全力ダッシュでプレゼントを広間に運び込む図を見て、レーナは顔を引き攣らせた。
「なにこの危険人物の人数。去年の三倍以上に増えてない?」
「変質者の人数もかなり増えているようだぞ。これは……全員捌くのも骨が折れそうだな」
なんだか腕は一流だけど紙一重な職人達が集まってしまった。
レーナは夫人の人選に唸る。
こんな見た目でも中身は超一流の職人みただから仕方ない。
――なにしろ、社交界の重鎮・エミーリア夫人が直々に目利きをするのだもの。「レオノーラ」還俗日に贈られた品物、というだけで、今や「皇室御用達」以上の価値があるそうよ。
「なにそれ」
――ちなみに、「レオノーラセレクション」と呼ばれているそうよ。
「なにそれ!?」
レーナが二連続で叫んだ。
なるほどこの場には、「あのレオノーラに捧げられた」という箔ほしさに、大陸最高水準の紙一重達が集められているというわけだ。
――ごめんなさいね、私の愛し子が。変人を引き寄せる性質があるばかりに……。
アルタは詫びるが、その声はどことなく嬉しそうだ。なんで?
金の精霊の言葉に、レーナは自分の体が変人を引き寄せるのか、それともレオに関わる人間が皆変な人なのか、どちらにしても自分がレオに関わっている時点で微妙な気持ちになった。
「ああもう! ああもう! あああ、もう!!!!」
レーナは地団駄を踏んでいた。
どうしていつもこうなるのだ。
その間にも、とっくに開始されていたレオノーラによるなんでも鑑定団は進行していき、鑑定待ちの列は進んでゆく。
次は列の五番目に並んだ、カイゼル髭が立派な男性。菓子箱と思しき箱を恭しく掲げ持っている。
――彼……。
アルタ様の不審者センサーがビンビンに反応しているのをよそに、順番が回ってきた男性は夫人に呼ばれてしまった。
『お次は、お菓子よ。チョコレート工房、サロン・ド・ゴヂバの職人、ヤヴァイヒト。こちらへ』
『はい!』
どうやら彼は、チョコレート職人であるらしい。
ヤヴァイヒトは顔を伏せたまま粛々と歩み出ると、深々と夫人に一礼し、遠目にもわかるほど美しい菓子箱を、段上の少女へと差し出した。
『レオノーラ様はチョコレートがお好きで、お土産には毎年、大陸で最も優れたサロンのものが選ばれていると伺いました。三回目にして、有名な『サロン・ド・ハンニンコノヒト』のものではなく、当サロンの作品が選ばれたこと、誠に誇りに思います』
そうして、恭しい仕草で、宝石箱のように豪華な箱を開けてみせる。
『最高級チョコレートのアソートです。どうぞ、ご賞味を』
装飾が施されたハート型の容器には、お値段に対して中身はチョコレート(仮)が5粒、整然と並んでいた。
「ああっ! あれ、聞いたことがあるわ。下町にすら名前が轟く、超有名工房の最新作じゃないの! お値段に対してチョコはたったの五粒で容器が本体といわれる例のやつ!」
……G○DIVAに謝れ
実際小物入れやアクセサリーを仕舞うのに重宝するのだが、せっかくお高いチョコレートを買うなら季節限定とか美味しいのを買う。
『いりません』
まるで、汚物を見るように冷ややかな拒絶。
「え?」
『え?』
「ど、どうしたの、レオノーラ? あなた、チョコレートは好きでしょう?」
向かいに掛けたエミーリアが、困惑した様子で立ち上がる。
彼女が驚いたことに逆に驚きつつも、チョコレートは好きと答えようとして、
「あっはい、大好き、です――」
と訂正しかけてしまったが、なんとか踏みとどまって顔を背けた。
「が、このチョコレート(仮)は、いやです」
顔を背けた先で、不自然に大きなカイゼル髭をはやしている職人・ヤヴァイヒトと目が合う。
レオは、思わず顔をおちょなんさん(怒り)のように歪めてしまった。
「なぜなの、レオノーラ? そんな風に言われたら、わたくしは悲しい。職人のガラスのハートだって、きっと傷付くわ。いえ、美少女に拒絶されたら悦ぶドMもいるのかしら? せめて理由を言ってちょうだい。体の具合でも悪いの?」
体調不良、と聞いた途端、背後でクラウスがガタッと立ち上がり、「担架を取ってこい!」とカイ(フル○ン)に命じる。
レオは咄嗟に、
「いえ、体の問題では、ありません!」
と声を張った。
が、時すでに遅く、カイ(フル○ン)は全力ダッシュで広間を出てしまった後だ。
伸ばした手の行き場を失い、言葉すらも、どう続けてよいのかわからなくなってしまった。
というかなんで誰もカイ(フル○ン)について触れないの? オリンピアスタイルだからそれが普通なの?
クジラと戯れる非常識侍女に助けを求めるように視線を向けると、「普通です」と言わんばかりの自信たっぷりの表情で肯いた。(ゝω・)b
あ、やっぱこれ異常なヤツなんだと納得する。
○ルマの“普通”は非常識なので間違いない。
エル○は一瞬目を見開き「なんで!?」と、抗議のアイコンタクトを送ってきたが、とりあえず無視した、今はそれどころじゃない。
「そうではなくて……」
「では、このチョコレート(仮)のなにかが気に入らないというの?」
「ええと」
冷や汗を滲ませながら、ぐるぐると素早く思考を巡らせる。
(くそだよね!? どう見てもウ●チだよね!? なんかキラキラ宝石みたいなのが光ってるけど!? 与えられたものにはがっつくばかりで、断ったことなんかねえけど、さすがにウ●チを高級菓子って言われても食えないよ!? でもどう言えばいいのかわかんねえけど金の匂いもするんだよなぁ? ひとまずレーナの言うとおり難癖つけりゃいいのか?)
値切るために、商品のちょっとした瑕疵を突くなんて、数え切れないほどやってきた。
だが目の前に差し出されているのは、難癖しか付けようもない、完璧に高級菓子ではないブツだ。
しかし、さすがにチョコレートと言っているものに対して「これウン●じゃん!」なんて言おうものなら暴言判定アウトになるに決まってる。
どこから批判していいのかわからなかったレオは、ふわっとダメ出しをした。
「なにがというか、こう……だめです!」
「どこがなの?」
「こう、すべてというか! なにもかも、だめです!」
なんでわかってもらえないの? 某喫茶リコリコの冬季限定メニューがセーフ⊂(・∀・)⊃だったから?
レオは、かっと目を見開き、ウンチョコを見据えた。
(ウンチョコはぶどう味チョコだろ、いっしょにすんな)
なんでもいい。とにかく観察し、とにかく気づいてもらえそうな点を探し出すのだ。
(ウ●チ……ウ●チの特徴ってなんだ……茶色い……茶色いな!)
それしか思いつかなかったレオは、びしっとウンチョコレートを指差した。
「だって、このチョコレート(仮)は、闇を、感じさせる色を、しています!」
「そ、そうね。まあ、良質なカカオ豆とミルクをふんだんに使ったからこその色だけれど……」
「ふ、深い闇です! 想像もつかないくらいの、深~い、闇です!」
気づいてくれない祖母相手に、形容を重ねて凄んでみせる。
が、エミーリアは取りなすように、「ほら、食べてみて」とウンチョコレートを摘まもうとしたので、レオは「ギャーーーッ!」と、全力で止めようと絶叫した。その結果、ちょっと喉を焼いた。
「エミーリア様の手、汚れてしまいます!!!」
口溶けよく調整されたチョコレートなら指で摘まめばたちまち溶けてしまうだろう。でもそれウ●チ。
ウ●チへの勇気の人差し指は見ているだけでも心臓に悪い。あ、やっぱり担架必要かも。
「それはそうだけれど……後で拭けばよいのではなくて?」
「そ、そういう、簡単な問題では、ありません……っ」
全然っ!? いーや全然っ!?
例えばGを触った手を後で拭いても安心できないでしょ!? そうゆうこと!!
あれ、でももしかして孫のおしめを交換するお祖母ちゃんの気持ち? 孫のウ●チは汚くない?
それなら納得できるかな? ってそれなんのウ●チかわかんないんじゃん!? やっぱりアウトーッ!!
大体なんでウ●チとか持ってくんの? なんなのこのウ●チ! コアラとかカバの赤ちゃんが親のウ●チ食べるとかそうゆうこと!? それとも肥料にでもしろって!?
レオは、冷静に混乱していた。自分が、ウ●チというブツにさえ可能性を見出そうとして難癖をつけきれない人間なのだと痛感した。
(くそっ、ていうかクソッ! こうなりゃウンチョコ本体じゃなくて、作り手批判だ!)
勢いよく立ち上がり、再びヤヴァイヒトを見下ろす。
ぎょっとしている職人に、内心で「すまねえ!」と謝りながら、ひとまずレオは、目に付いたおしゃれな髭を批判した。
「その髭、ないわー、です! この、はげちゃびん!」
「レ、レオノーラ。たしかに料理人は衛生に気を使うべきだけど、べつに髭なんておしゃれさんの範疇だわ」
「いいえ! 許されません! 許しません! ゆ”・る”・さ”・ん”…!」
窘めるエミーリアを遮り、レオはあえて高慢なお嬢様風に、ぴしりと言い切ってみせた。
「彼の作るチョコレート(仮)なんて、自分は、食べたくありませんわ! オーホホホッ!」
***
あまりに一方的な言いがかりに、広間はすっかり困惑の雰囲気に包まれていた。
徐々に、当惑から不快へと傾いていく空気。
金盥越しにもそれを感じ取ったレーナは、怪訝さに眉を寄せた。
「な、なによ。たしかに感じ悪く断れとは言ったけど……予想以上にうまくやるじゃない。あいつ、チョコ嫌いだったっけ?」
――なにを言っているのよ、レーナ。
すると、呟きを拾った金の精霊・アルタが、呆れたように指摘する。
――あれ、どう見てもウ●チじゃない。
「はあ!?」
そんな気はしていた。
でもかりんとうとかそうゆうものに見えるお菓子もあるし
(かりんとうに謝れ)
どう見てもゲ□に見えるもんじゃ焼きとかあるし。
(もんじゃ焼きに謝れ)
ワンチャン、ウ●チに見える高級チョコレートの可能性に賭けていたけどやっぱウ●チ?
まさか「無欲の聖女」への贈り物、「レオノーラセレクション」の選定の場にウ●チなんて持ってくる奴なんかいないよね? という先入観でウ●チがチョコレートに見えていた。
まるで“裸の王様”の話のようだ。
ちなみに、先日ブルーノによっておこなわれた読み聞かせでは“裸の皇子様”と改変され、アッー!でデュフフ……な物語として幼年組に流布され、大変好評を博したのだが、それはまた別のお話。
『大変です、侯爵閣下! 侯爵夫人!』
ばん! と扉が開き、外から勢いよく変質者が飛び込んで来た。
誰かと思えば、この数年でずいぶん背丈を伸ばした元レオノーラ付き侍従・カイ(フル○ン)である。
彼は、弛まぬ「まっするばでぃ!」の筋トレによって、すっかりマッチョと呼んで差し支えなくなった体格でポージングを決め、侯爵に向かって叫んだ。
『どうかただちに、ゴヂバの職人ヤヴァイヒトに扮した、その厚顔な男を捕らえてください!』
***
クラウスは一瞬たじろいだものの、職人が「おたすけ~」と腰を浮かせたのを見逃さず、すぐさま衛兵に指示を飛ばした。
「捕らえよ!」
「はっ!」
「ひ、ひえ……っ! 侯爵閣下! わ、私が、なにをしたと言うのです!」
「なにをしたか、ですって?」
両側から腕を取られ、もがきはじめた男に、カイ(フル○ン)が獲物を狙う獣のような視線を寄越す。
「それは本物のゴヂバの職人であるヤヴァイヒトに聞くことですね。僕が今さっき担架を取りに倉庫に向かったら、身ぐるみを剥がされ両手足を縛られ三角のお馬さんに蝋燭まみれになって乗せられていましたよ。なんでもあなたに襲われ、アッー!されたとか」
カイは、筋トレの成果を遺憾なく発揮し、押し倒した男の衣服を引き裂いた。
「ウホッ(以下略)。それに――」
ついで、男の頭を掴み、なんとあるもの、、、、をむしり取った!
「こんな変装をしてまで、言い逃れできると思わないでください!」
広間がざわつく。
「まあ!」
「髪が……ない」
そう、ヤヴァイヒトを名乗る男は、ヅラを被っていたのである。
「これはどういうことなの?」
エミーリアは呆然とつぶやき、それから、あることに気が付いて、傍らの孫娘を振り返った。
「レオノーラ。あなた……さっき、『この、はげちゃびん!』と言っていたわね? まさか、このことを意図していたの?」
「えっ」
対するレオは声を上擦らせた。
言った。
言ったけれど、そんな意図は込めていない。
ただ颯希先生のお話に、ウ●チとはげちゃびんは欠かせないから無理矢理混入させた。
(なんで!? by.颯希先生)
というか、一生懸命感じ悪く振る舞っていただけなのに、語彙力のない悪口はかわいい判定されて暴言基準セーフ⊂(・∀・)⊃だったようである。
ア○ニャも使ってるし。
「いえ、ええと――」
「『去年ハンニンコノヒトのチョコレートをもらったときから、今年は受け取らないと決めていた』。まさか……そういうことなの!?」
どういうことでしょう。
レオは絶句するしかできずにいたが、なんと、カイ(フル●ン)がきっぱりと頷きを返した。
「その通りです、大奥様。この男は、今年躍進したサロン・ド・ゴヂバの職人ではない。今年のレオノーラセレクションに漏れ、見当違いの恨みに燃えた、サロン・ド・ハンニンコノヒトの職人、ハンニンコノヒトなのです!」
「――……っ」
(どぅおええええええええ!?)
レオは素っ頓狂な声を上げかけて、見事失敗し、結果的に喉を焼いた、はげちゃびんはセーフだったのに。
「この男、ハンニンコノヒトは、過去二回レオノーラセレクションに選定されたことで調子に乗り、多額の借金を重ねていたようです。それが原因で、原材料を異世界の魔獣の糞に変えてごまかし、過剰に高額な商品を売りつけていたのは、大奥様もご存じのところ」
「そうね、カイ(フル○ン)。だからわたくしは、今年の選定から彼を外したのよ」
「ところが彼はそれを逆恨みし、新たに選ばれたゴヂバの職人を襲ってアッー!させ、彼に成り代わったのです」
カイ(フル○ン)は蔑むように、むしり取ったヅラを見せつけた。
「もっとも、真実の瞳を持つレオノーラ様は、即座にチョコレート(仮)の正体を見破ったようですけれどね」
「――……っ」
(でしょ!? やっぱりそうだよなっ!? ウ●チ ウ●チ ウ●チーーーーー!!!(※暴言判定アウト))
喉焼き、再び。
レオは喉を焼かれたが、隣に立つエミーリアは納得の表情を浮かべるばかりだった。
「だからレオノーラは、彼の番になった途端、こんなにも受け取りを拒否した……。わたくしが摘まもうとすると、『手が汚れる』と言って、それを止めたのね」
「さようでございます」
(さようでございます!)
ただはげちゃびんと言っただけなのに、いつの間にか名探偵役に祭り上げられそうで、居心地の悪くなったレオは席を立とうとする。
だがそれよりも早く、今度は縄抜けしたハンニンコノヒトが、崖っぷちまで逃げた。
「はっ、『真実の瞳』は伊達じゃねえってか。闇が深いだとか、ことは簡単じゃねえとまで言われた以上、……俺の余罪も何もかも、見通されてんだろうなアッー!」
(なんか自白しはじめたーーーー!?)
被害者も探偵役も船越英一郎も不在だというのに、勝手に犯人が火曜サスペンス劇場を始めるのはなぜだ。
(というか始めているのは火サスのラストシーンだ)
だから火曜日設定だったんだ!?
(はい、伏線回収)
レオが滝のような冷や汗を流している間に、実質的な探偵・カイ(フル○ン)が「もしや」と声を低めた。
「襲われたゴヂバの職人が言っていましたが……〆切厳守のために、「印刷所さんにも泊まり込みで待ってもらってるんですよ!?」とかプレッシャーをかけて、あなたが違法に小説家(中○颯○先生)を長時間労働させたり、果ては、受け子を使ってBLの斡旋までしているというのは、事実なのですか」
「ふん、定期的な更新を維持するには、それなりのコストってもんが掛かるんだ。あんたら腐女子は、そういう作家様たちの、労働やら苦渋やらの末にやっと一粒生み出された甘露を、ばかすか「尊い…」やら「デュフフ」してんだよ。それくらいわかるだろ?」
「なんということを!」
(なんということを!)
健康第一!
声を荒らげたカイ(フル○ン)とロリうさに対し、(お前かいっ!)ハンニンコノヒトは「あーあ」とせせら笑うだけだった。
「ボーイズの後ろ狙いをしてようが、天下のハーケンベルグ夫人のお墨付きさえ貰えりゃこっちのもん。ゴヂバの職人のふりをして、薔薇(BL)の旗をかっぱらえば、いくらでも侯爵家を強請れると思ったのによお」
どうやら彼は、自らのウンチョコレートをゴヂバのものと偽って認証を得て、チョコとウ●チの違いすらわからなかったという悪評を盾に、エミーリアを脅そうとしていたらしい。
卑劣なやり口に、侯爵も夫人も、瞳に怒りを燃やして席を立ったが、そのときハンニンコノヒトが、ぽつんと漏らした。
「だが、まさか、食べる前から見破られるなんてな」
いやらしい笑みではない。アッー!されたような苦笑を、彼は浮かべていた。
「うわべだけを見るんじゃなくて、本当に真実を見抜く貴族が、いたなんてな」
静かに項垂れた彼を見て、やがて、ギャラリーの一人が呟いた。
「『ウ●チを見通す瞳』だ……」
その言葉は、唸りを立てるような勢いで、広間全体に広がっていった。
「一目見ただけでウ●チと見抜くなんて!」
「いいや、去年ハンニンコノヒトのチョコをもらったときからこの事態を見通していたということではないか!?」
「見目よく装われたウ●チになんか目もくれなかったわ」
「やはりレオノーラ様は、『無欲の聖女』なんだ!」
わああっ! と歓声が盛り上がる。
クジラに乗ったエル○も、海の上からぱちぱちと拍手を送ってきていた。
……どうしてこうなった!?!?!?
***
その頃、異世界で魔獣のウ●チを集めて帰還陣に必要な源晶石を採集しているター□さんは、最近手伝いにきてくれていた回収業者がこなくなってしまい、一人寂しくウ●チの中から源晶石を集めるのであった。
二か月毎の適性期のたびに、なんやかんやで三人の美少女たちに、あの手この手で引き留められているター□さんは、よく颯希先生に忘れられているので、まだ異世界生活を延長しまくって居ました。
もう君、立派なリア充だよ。…爆発しろ!
「大丈夫ですよ、ターロさん! 私たちが、いますから(無限∞ループ)」
***
ps.一回め・二回めに書いた感想と少し内容変わってしまいましたが(半分寝ながら書いたから憶えてない)さすがに三回めも消えたら泣くところ。(T_T)
あと、インクこぼしすぎて読みづらいわ。
(ウ●チ ウ●チ書きすぎ)
来年のエイプリルフール更新も楽しみにしております!!!
\(≧∇≦*)/
エピソード14
[一言]
すごい、レオもレーナも祖母もみんな善意や思いやりを向けてるのに、全部少しずつずれてる!
芸術点たけーな・・・さすがエイプリルフール・・・(関係ない)
すごい、レオもレーナも祖母もみんな善意や思いやりを向けてるのに、全部少しずつずれてる!
芸術点たけーな・・・さすがエイプリルフール・・・(関係ない)
エピソード14
[一言]
ごめんよスーゲさん、さぞゲスな真似をしたんだろうと思ってたけど、まさか別人だったとは、、
ごめんよスーゲさん、さぞゲスな真似をしたんだろうと思ってたけど、まさか別人だったとは、、
エピソード14
[良い点]
ハッピーエイプリルフール!
今年も楽しませて頂きました
[一言]
>「ふ、深い闇です! 想像もつかないくらいの、深~い、闇です!」
>「エミーリア様の手、汚れてしまいます!」
>「その髭、ないです!」
>「彼の作るチョコレートなんて、自分は、食べたくありません!」
レオの 台詞(いちゃもん)チョイスから
「レオノーラセレクション」の名誉よりも、『無垢な美少女に己の体の一部を食べさせたい』という歪んだ欲望を爆発させた変態さん発見のお知らせかな、と予測したけどハズレでした
ハッピーエイプリルフール!
今年も楽しませて頂きました
[一言]
>「ふ、深い闇です! 想像もつかないくらいの、深~い、闇です!」
>「エミーリア様の手、汚れてしまいます!」
>「その髭、ないです!」
>「彼の作るチョコレートなんて、自分は、食べたくありません!」
レオの 台詞(いちゃもん)チョイスから
「レオノーラセレクション」の名誉よりも、『無垢な美少女に己の体の一部を食べさせたい』という歪んだ欲望を爆発させた変態さん発見のお知らせかな、と予測したけどハズレでした
エピソード14
[良い点]
更新ありがとうございました
見事なエイプリルフール小説でした(≧∇≦)
[気になる点]
来年はどうなることやら(^_^;)
[一言]
どんなネタになるのかと思いきや
斜め上の素晴らしいエイプリルフールでした(^O^)/
ありがとうございました
更新ありがとうございました
見事なエイプリルフール小説でした(≧∇≦)
[気になる点]
来年はどうなることやら(^_^;)
[一言]
どんなネタになるのかと思いきや
斜め上の素晴らしいエイプリルフールでした(^O^)/
ありがとうございました
エピソード14
[良い点]
レオのリアルラックが高いこと
[気になる点]
レオのリアルラックが高いこと
ところで下町でパン屋をしてるレーナの両親は……?
[一言]
> 理性を取り戻し
一瞬「野生を取り戻し」に見えたw
いつか入れ替わりのことも知った上で愛して貰えるといいなぁ
レオのリアルラックが高いこと
[気になる点]
レオのリアルラックが高いこと
ところで下町でパン屋をしてるレーナの両親は……?
[一言]
> 理性を取り戻し
一瞬「野生を取り戻し」に見えたw
いつか入れ替わりのことも知った上で愛して貰えるといいなぁ
エピソード14
[一言]
え?、どうなるのって思っていたら
まさかの展開。
板チョコでいいので食べたいなぁという気分 です!
え?、どうなるのって思っていたら
まさかの展開。
板チョコでいいので食べたいなぁという気分 です!
- 投稿者: 退会済み
- 2024年 04月01日 23時50分
管理
エピソード14
[良い点]
楽しかった〜!
ブル〜ノ〜久しぶり〜♪
レーナ、、、ドンマイw
レオの通常運転最高♪
[気になる点]
まだ、1日半残ってますね、、、
前回は1日分、
今回は半日分、
まさか次回は1/4日分、、、
[一言]
エイプリルフールに間に合って読めました、先生ありがとうございます!
本も届きましたし、良い一日でした〜!
明日からも頑張れそうです、声出していきます!
(。・ω・。)o"エイ
(。・ω・。)o"エイ
(`・ω・´)ノ"オゥ!!
楽しかった〜!
ブル〜ノ〜久しぶり〜♪
レーナ、、、ドンマイw
レオの通常運転最高♪
[気になる点]
まだ、1日半残ってますね、、、
前回は1日分、
今回は半日分、
まさか次回は1/4日分、、、
[一言]
エイプリルフールに間に合って読めました、先生ありがとうございます!
本も届きましたし、良い一日でした〜!
明日からも頑張れそうです、声出していきます!
(。・ω・。)o"エイ
(。・ω・。)o"エイ
(`・ω・´)ノ"オゥ!!
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