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[一言]
 読者の戯言二つ目になります。
 これでこの会場は全部読み切りました。
 全部それぞれに魅力があって、何も惹きつけるものがない作品は一つもありませんでした。
 ただ言いたくなることもあったので、少しばかり辛辣になってしまったところもあるかもしれないので、先に申し訳ないと言っておきたいです……。
 あくまで私が思ったことに過ぎないので、あまり気にしないでいただけると幸いです。
 それでは感想の方になります……。

「セーラー服とファンタジー ~二代目召喚聖女と受け継がれし聖なる衣~」

 文章力があって読み進めやすく連載に向いた書き方をしているなと思いました。
 内容も面白いと思います。
 そもそものセーラー服が全然脱げないとか、タイトルと内容から見るにそれが誰かから受け継がれたものなんだろうとか、主人公を呼んだらしき青年の性格とか、連載すれば面白くなりそうな要素が多いです。
 思うことは、書き出しであっても、セーラー服に関する描写が少し多すぎるのではないかなというところでしょうか。
 タイトルになっていることなので力を入れるのはわかるのですが、それにしてもそれに比重が寄りすぎていてバランスを失しているような気がしました。
 半分くらいは主人公を呼んだ青年とのやとりとりかに割くなどした方がよかったような気がします。

「元エース、教官になって娘を拾う」
 あんまり難しい物理学とかの面倒な説明を省いた読みやすいSFで、とっつくやすいなと思いました。
 キャラもみんな立っていて、忘れずにいられそうな感じがします。
 もちろん面白いのですが、このタイトルだと正直、一話目で娘を拾うところまでいってほしいなと思ってしまいました。
 通常の連載ですと、一話目二話目を同時に投稿しておけるのでここでぶった切ってもいいと思うのですけど、この書き出し祭りだと消化不良で終わってしまう感じが少しありました。
 続きが読みたいと思ったので、そういう引きもかねて引っ張った、というのであれば掌で弄ばれているかもしれません。

「猫耳任侠道 ~開かずの社に住まう君~」

 かわいくて読みやすい、ほのぼのとした話のように感じました。
 最近、本屋で結構平積みされているような和風ファンタジーの趣があります。
 加えてこの構造だと毎回ちょうどいい具合に話を作りやすく、ミステリ的な展開も出来るし、そうではないただのほのぼの話も出来るし、そういう意味でも優れているなと思いました。
 語り口もいいし、盃を交わして家族となるは、子猫か任侠だけである、という言葉はセンスがあるなと思いました。
 あえて言うなら若干インパクトが弱い感じはありますが、これであんまりインパクトがあるエピソードを最初に持ってこられても面食らうだけかなとも思いますのでこの感じで正しいんじゃないかなと思いました。

「異世界転生者は減退しました」

 発想とか設定やキャラ設計なんかはかなりいいと思います。
 ただいかんせん文章がふらふらしているというか、作者自身が何をしたいのかが分かっていないところが文章に出てしまっているのではないか、と思いました。
 一番最初の文章から冗長だなと感じてしまい、ずっとそれが続いているなという印象です
 勿論、それだけをもって良くない、とは言い切れません。
 そういう書き方で語っている主人公のキャラを立たせる、というのはありうる手法です。
 ですが、読み進めるとどうやらそういった意図で書いているわけでもないということが分かってしまいます。
 加えて、主人公のキャラ自体も決めきれていないのかふらついている感じがします。
 最初は冷笑的な感じだったのに、コメディ寄りになったり、また戻ったり……二重人格っぽいというかそんな感じに見えてしまいました。
 おそらくはコメディ寄りの方を書きたいのだろうという感じがしますので、そうであるなら変に冷笑的な感じは入れすぎない方が良かったのではないかと思います。
 最後のミネルバのピカッ、も、そこまで読み進めた読者はどう受け取ればいいのか困惑して読むことになり、シリアスな危機として受け取ればいいのか、コメディ感のある比較的安心していい描写なのかを一瞬悩むと思います。
 全体的にそういった感じなので、まず何を書きたいか、どういう構成にするか、ということをはっきりと先に決め、読みやすい文章を心がけて、かつちゃんと伝わっているか推敲をしっかりすることが必要だと思います。

「運命の赤い剣で斬り結んだ二人」

 戦闘の描写がずば抜けてうまいなと思いました。
 どう動いているのかが頭の中に浮かぶようです。
 時代劇見てるような感じになる書き方も特徴的でいいですね。
 ただ描写が細かすぎて途中で諦める人もいるかもしれない、という気はしました。
 主人公の容姿や雰囲気の前に剣が振られている姿だけが先に浮かぶ感じだったので、もう少し先に、主人公のキャラクターが頭に浮かぶように描写しておいてくれると読者としてはありがたいのかなと。
 最後まで読むとキャラクターがみんな立っている感じもありますし、これならそちらの魅力を先に提示した方が人を掴みやすいのかなとも思いました。

「白雪姫の義母」

 文章自体に難があると言うわけではなく、スムーズに読み進めらることが出来ます。
 ただ、この書き出しですと主人公のいいところが何一つ分からないのでどうかなという気はしました。
 ただの嫌な奴で最後まで通してしまったと言うか……。
 もちろん何かしらの理由があってこういう性格をしているのでしょうが、そうであるならそういうことが分かる描写を少しでいいので入れた方が良かったのではないかなと。
 一番最後の白雪姫が出てくるところについては正直なところ今までの話とどんなつながりがあるのか一切分からないので、どう受け取ればいいのかよく分からずに読み終えることになってしまいました。
 主人公の過去なのか王様の過去なのかそれともこれから加わる新しいキャラなのか分かりませんが、せめてそれくらいは分かるようにしておくべきではないかな、と思いました。

「夕暮れ時のこっくりさん」

 なんというか懐かしい気持ちになりました。
 昔ながらの妖怪ものというか……。
 一話完結で毎回楽しみにしていたようなアニメをいくつか思い出します。
 文章も非常に読みやすく、すんなりと内容が入ってきます。
 キャラクターも立っていていいです。
 また、現代要素としてカードがあるので古臭い感じはありません。
 世界観もはっきりしているというか、どうしてこういうことになっているのか、ということを大した説明なく、状況だけで伝えきれているという点が優れていると思いました。 
 続きを読みたいです。

「白鬼と呼ばれる少女が独りではなくなる話」

 タイトル通りの話で最後まで読むと満足感があります。
 面白かったです。
 構成としては、一番初めの二行が強烈で、かつ吸引力があってすごくいいと思いました。
 しかも、その二行が働くのがコン自身のエピソードだけではなく、カバネの方にも利いてくると言う点に優れたセンスを感じました。
 ここから連載することを考えても、カバネとコンが一緒に旅をしてもいいし、円柱の豪邸を拠点に依頼を待ってもいいし、色々な展開がありうると思います。
 文章については少し読みにくいところがあるというか、最初の方は意図してのことだとは思いますが脚本感を覚える書き方でとっつきにくさがありました。
 徐々にコンの一人称に寄っていったので、最初からそちらで書いてた方が良かったのかもなという気がしました。

「上履きをはいたバレリーナ」

 青春が始まりそうな空気感、美しいバレエの描写、感じられる登場人物たちの複雑な感情。
 みんないいなと思いました。
 若干ヒロインが考えなしのような気もしましたが、高校生はこんな感じだったかもと古い記憶を引っ張り出すような感覚で読みました。
 柳田くんが少しばかり、なよつきすぎというか気障すぎるというかそんな感じもしましたが、岩松君との対比を考えるとこれでいいのかもなと。
 文庫一冊くらいの分量で最後まで一度に読み切りたいような話です。

「助けたご令嬢に惚れられた〜非モテ親父の何処がいいんだ?〜」

 タイトル的に異世界ものかな、と思ったのですが現代の話で少し意外でした。
 内容的にはタイトル通りで、私は個人的にはこう、唐突に大した理由もなく惚れられてすんなり受け入れてしまうような話は苦手なのでどうかな、と思ったのですが、そんな私でも面白く読める話でした。
 主人公が比較的冷静で常識的な考えをしているので、突然の幸運に変に舞い上がって調子に乗る感じがないのが好印象です。
 一体これからどういう話になるのかは分かりませんが、最後の部分でどうせ断ってくるんだろう、とそれこそ常識的な感覚からの正反対の頼み、というところで終わるのは引きという意味でもいいです。
 続きが読みたいですね。

「↑これ、面白いですよ」

↑これ、面白いですよ

 ふざけているのか、と思うタイトルであるのは間違いない。
 書き出し祭りに参加して、自分の作品のタイトルの上に他の誰かの作品タイトルが来るのが分かっているから、その状況を利用していわば出落ちとしてこのタイトルにしたのだと。誰もがそう想像するに違いないタイトル。
 実際に読んでみると喜寿を迎えようとする老人がただ本屋でポップを見ているだけの話ではないか。
 私はそこですっかり安心して、半ば馬鹿にしつつも、大した内容でないことを著者の筆力のみで読ませる往時の文豪たちの作品を心に思い浮かべながら読み進めた……。
 しかしそれが間違いであると知れたのは、最後までこの作品を読み終えた瞬間だった。
 なんて話なのだ。
 続きを、続きをくれ!
 そう叫びたくなった。

 けれどきっとそんなものは与えられない。
 これに手を出した人間は、もうこれからずっと、この作品のラストが頭から離れず、困惑し、恐怖し続けていくのだ……。
 そんな気がした。

 というわけで凄い面白かったです。
 連載というよりこれで完成している短編だなと思いました。

「そこのお前! 異世界転生した私を助けてくれ!」

 発想が非常に面白く文章も読みやすくていいです。
 理屈っぽい主人公ですが冗長とか必要以上に語ってるとかそういうこともなくて、すんなり読んでいけます。
 語り口はコメディなのに置かれてる状況はシリアス一辺倒で求めてることもかなりへヴィというギャップが笑っちゃいけないのに笑っちゃう感もありつつ、物語に真剣に飲める込めるような引きも与えていてそれもいいなと。
 一番最後の終わり方も正しくコンセプトに従っている感じで好印象でした。
 そして思ったのはこの主人公に与えられる助言は知恵袋に書けばいいよと言われてろくでもないアドバイスがベストアンサーにされる未来しか待っていないのではないかということでした。
 そしてそれがきっと面白いのではないかな……鬼畜過ぎるかもしれない感想でした。

「Sanity-XXX 童貞ダディと魔王のムスメ」

 清らかな体である設定……なくても面白かったんじゃない……?
 と思ったりもしましたが、あったからこそ面白かったんだろうと思います。
 シリアスと悪ふざけのバランスがいい感じにまとまっていて、続きを読みたいと思える話でした。
 文章も読みやすく、すらすらと頭に入ってきますし、キャラクターもみんな立っていて… …なんかいやらしく聞こえるな。そういう意味じゃないですが、立っていて、良かったと思います……ダメだこれは。
 とにかく面白かったです。

「謎解きなんてできないし、王太子殿下は苦手なので結婚なんてもっとできません!」

 比較的ありがちな書き出しかなと思っていたのですが、読んでいくと全くありがちでなかったので自分の見る目の無さを残念に思った次第です。
 よくよく考えればタイトルからしてちょっと違ったな、と思いました。
 よくある恋愛ものかなと思ったのですが、ここがミステリーの導入だとすると続きがとても気になります。
 この時点では全くどういった理由があってこういうことになっているのか分からないのに、なぜこんなことになったのか、と物凄く気になる展開をしているということが優れていると思いました。
 続きが気になります。

[一言]
毎回気になってみては何も感想書かずに終わっていたので、今回は感想書きたいなと思ってきました。
とりあえず全部に書くつもりでいますが、時間取れ次第なのでゆっくりです。
また、そんなに批評力がある方でもなく、気遣いに優れた人間というわけでもないのでちょっとうるせぇよと言いたくなるような書き方をしてしまっているところもあるかもしれません。
そしたら本当に申し訳ない……。
何にも感想書かないよりはいいかなと思って……。
あくまで一読者の戯言なので気にしないで流していただけると幸いです。

「パラサイト・ダンジョン」

 印象的な書き出しに見合った美しい文章だと思いました。
 物語としても面白いです。
 人が立ち寄ってはいけない、危険な場所にふと入り込んでしまった三人。
 これから何か恐ろしいことが起きる、ここがその始まりなんだ……あぁ、一体どうなっていくのだろう!
 そう楽しみになるような始まりです。
 過去の魔王と勇者の話や、王国と公国の戦い、それを取り巻く様々な環境や歴史などなど、広げられる裾野も大きく、色々な話が展開できそうだとも思いました。
 一番最後の引きと、タイトルからパラサイトとはそういう意味なのか、と感じさせるという点で簡素ながらも適切なタイトル付けでもあったのかなと思います。
 本文を読ませるまでにタイトルで惹く、という面では少しばかり簡素すぎる感もありますが、その辺りについては作者の選択の面が強いので何が正しいと言うのは難しいところです。
 続きが読みたいところですが、これは書き出し祭りなのでとりあえず断腸の思いで諦めるとして……。

 それでいてあえて何か申し上げるとすれば、もう一歩、何かが必要なのではないか、と思ってしまうような惜しさもありました。
 それが何か、とは私程度がはっきりと言えることではないのですが、あくまでも個人的な感覚として思ったことを述べます。
 まず文章自体は非常に美しい言葉選びが出来る高いセンスを感じましたが、よく読み込むと意味を掴みかねる部分が何度か現れました。
 文章自体の美しさもさることながら、それによって喚起される感情の流れの計算も出来ているように思いましたが、前述した、意味が一瞬掴みかねる部分で意識を断たれると言うか、仕切り直しになってしまうようなところがあったので、惜しかったかなと思います。
 ただ、これについては全然推敲しない人間である私が言うのもなんですが、推敲をよくされると完璧になるのではないかなと思います。
 それに加えて、物語に対し、読者に感情移入をさせる要素が少し弱いのかな、とも思いました。
 おそらくはこの後に展開される物語の中ではモブに位置するであろう三人がピックアップされた書き出しであるという構造上、仕方のないことかもしれませんが、キャラクターが薄い感じがします。
 それに起因して感情移入がしにくくなってしまっているのではないかなと。
 解決策としては、全員でなくとも構わないので、一人でもはっきりと頭に顔や雰囲気が浮かぶ癖のある人間を作っても良かったのかな、と思いました。
 
 色々言いましたが、本当に続きが読みたい物語です。
 この後に主人公や中心的な登場人物となるような人々が現れれば、引きも強くなるような気がします。
 全体としてこの分量の書き出しだけだと評価しにくい物語だったのではないかなと思います。

「ゲートバスター!! HIBIKI」

 完成度の高い作品であると思います。
 内容も面白いです。
 現代に実際に存在する社会問題を捉えて風刺するコメディというのは筆者にかなりのバランス感覚がなければ書くのが難しいように思いますが、全体的に丁度いい塩梅で書かれているなとも思いました。
 非常に読みやすく、それでいてどういう場面かすぐに理解できる描写がなされているのもいいなとも。
 主人公……なのかどうかは続きを読まないと分かりませんが、大地君に対して読者が感情移入しやすいのも読みやすさの理由かなとも感じました。

 何か言うべき部分をあげるとすれば、この物語はこのエピソードだけですでに完成されているのではないかな、というところです。
 強制ではないにしろ、書き出し祭りということですから続きがあることも想定して書く、というのが通常の形態かなと思うのですが、この作品については次回予告も含めてネタになっている感覚が強く、短編としてこれで完成されているのではないのかなと。
 ここから次の話を書き続けて、面白さを維持し続けるのは中々に大変そうだなと思いました。
 もちろんそれは書かれていないことで、実際に読んでみなければ評価しようないところなので必ずしも問題ということではないのですが、気になる点としてそんなことを思いました。
 もちろん、書き出し祭りにあえて続きがある体の短編を書いた、という戦略もあるのかもしれないですが……。
 総じて、やっぱり面白かったので続きが見たいですね。

「シナリオ拒否!双子の妖狐は我が道を行く」

 設定が斬新というか珍しくていいなと目を惹かれますね。
 双子の妖狐で、片方が転生者。そして転生者でない方が主人公で、一人称で語られる物語。
 文章も優しく読みやすいです。また主人公の感情もストレートに理解できるのでいいなと思いました。
 タイトルを見るとこれから展開される物語は転生者の語るシナリオをまさに拒否して、何か面白いことをやるのだろうなという大まかなイメージが掴め、カタルシスを感じられる予感を読者に抱かせてくれるので、よいタイトル付けだなとおも思います。
 
 気になる点としては、まずものすごく細かい話かも知れませんが、主人公の名前がミクゥであり、一番最初に話しかけられる台詞が飛んでいる主人公に遠くから呼びかけられると言うシチュエーションのため、主人公の名前は「ミク」なのかな……という勘違いが一瞬生じ、しかし少し読み進めた後に、あぁ、「ミクゥ」だったのか……となってしまったのがありました。
 これは先にどっかに名前書いておいた方が分かりやすかったのではないかなと。
 もしかしたら勘違いするのは私だけかもしれませんが……だとしたら申し訳ない。
 それと世界観の薄さが少し気になります。
 書き出し三分の一までに分かる情報は、亜人がいて、二人は狐系の亜人なのだなということくらいで、登場人物二人がどういうところにいるのかほとんど分からないので、真っ白い空間で二人が話している様子しか頭の中に浮かびません。
 なんとなく空を飛べるような、村の開けた場所にいるのかなとは思うのですが、二人の存在以外の描写しかないのでもう少し何か存在するものを描写してくれた方が想像が掻き立てられるところがあるのかなと。
 ただ同時に、全体としてほんわかとした空気感があるので、あんまり事細かに書きすぎてもそれを損なってしまうので難しいところかもなという気もします。
 最後の辺りでここから戦いに入る予感がありますので、続きがあればその辺りも見れたのかなと思うと、やはり続きが読みたい作品でもあります。

 色々言いましたが間違いなく面白いお話です。
 もしも続きを書かれることがあったら嬉しいです。

「魔女は死体にキスをする」

 よく、わからない。
 けれど、ただひたすらに面白そう。

 物語の書き出しに必要な要素を端的に表せと言われたらそういう感じになるかと思います。
 この作品はまさにそういうことを強く感じさせてくれる強く印象的な書き出しでした。
 細かく言えばいくつも理由は上げられるように思います。
 文章それ自体の上手さ、話の流れのスムーズさ、各エピソードの取捨選択、誰が重要人物なのか一瞬で分かるキャラクター設計、そしてこれからの展開で明かされていくだろう世界観の大きさ。
 それらをしっかりと噛み合わせてこの書き出しを作り上げたのだなというのがこの書き出しだけで分かりました。
 何か申し上げるとしたら、重厚な話が展開されるのであろうと言うことが予想されるので脱落する読者も出るかもしれない、という感じは少しします。
 ただ、この物語はこの重厚さが最もいいのだろうとも思いますので、変える必要はないとも思います。
 続きが読みたいです。

「食人クズ野郎でもドラゴン幼女の子守はできますか」

 まずタイトルから想像される話にどんぴしゃの物語で、タイトルに惹かれて読みだして期待外れだと思うことはまずないだろうというのがとてもいいです。
 いきなり人らしきものを食べているのでそこを乗り越えられるかどうかで読者を選別する気はしますが、そこまで激しい描写というわけでもなくソフトな感じなのでスプラッタが苦手でも乗り越えることは容易に思えます。
 主人公の相棒と思しき人が主人公に敵の攻撃からの盾にされていきなり死ぬので、命の軽い世界なのかな、という気がしましたが、ガンガン復活するのでそうでもないのか、とちょっとした混乱がありますが、全体としてコメディ感が強いので違和感は余りないです。
 かといって全くシリアス要素がないというわけでもなく、むしろ世界観自体や本筋の物語はシリアスに進み、しかし登場人物のやり取りは軽快なコメディ、という感じでよく調和して話がこの後も進んでいくのだろうと感じさせるので、続きが読みたくなる話でもあります。
 ヒロインといえばいいのか、ドラゴン幼女の能力が高いので、最強ものみたいなカタルシスも続きがあれば期待できるかな、というのもいいかなと思いました。
 続きが予測しにくいのでそれもいいと思います。
 この部分をこうした方がいい、みたいなことはあまり浮かびません。
 感性のまま、書いていかれるのを追っていきたい作品です。

「いたい、いたい、いたい」

 遺体遣いと遺体売り、という単語を作り出し、そこに特殊な意味づけをして物語を構築したところに非凡さを感じました。
 遺体を操るというのは死霊術師などがありふれているなろうにおいては決して珍しくはないと思いますが、この作品における遺体遣い、というのはそれとは同じのようでいてかなり異なると思いました。
 遺体遣い、そこには歴史があり、宗教があり、そして技術が存在しているというのが分かりますし、目的もよくある無双するみたいなことではなく、亡霊と戦うため、死者を死者が葬るため、という直観的に正しそうだなと感じられるものであるのも良い点です。
 特にこの世界がどういう風に動いているのか、というのはそれほど語られてはいませんが、そういった職業や宗教に対する言及や扱われ方を見るだけで、陰鬱ながらも矜持を持った遺体遣いが生きていて、時代の流れなどによって少しずつ数を減らしつつも、強く生きているのが見えるようです。
 また、遺体遣いが一人では存在できず、その専用の武器である遺体を誂える遺体売りが必要だと言うことも構造的な面白さがあると感じました。
 しかもこの物語において、おそらくは主人公とヒロインになるであろう二人は、老人と幼い少女であり、この組み合わせは中々に見ないものです。
 けれども、遺体というものが主題に据えられたこの物語の主人公として、死に近い老人と、そこから遥か遠い少女という組み合わせは物語を作り上げるうえで必然的にそうなったようにも思えます。
 この後に続くだろう物語の中で、二人のそういった属性の違いが、立場や考えの違いとなって物語に波や重厚感を与えていくのだろう、という期待も出来ます。

 総じて続きが楽しみになる物語だと思いました。

 何か申し上げることがあるとすれば、少しばかり語り口が軽いかもしれない、というところでしょうか。
 遺体、遺体遣い、遺体売り、という存在が中心に据えられていながら、キャラクターたちの言葉が何と言いますが、軽いような印象を受けます。
 ケイマンが亡霊狩りを死体遣いがやるべきだと述べた部分については十分な重みが感じられましたが、そこの部分以外が何だか軽い。
 感情が乗っていないように感じられます。
 描写が薄い、というのと人に軽く話しかけすぎな感じがそう思わせるのかもしれません。
 もっと陰鬱な空気を文章で表現してもらえると、そういう印象も薄まるかもな、と少し思いました。

「絶対バッドエンドな僕たちの推理」

 幅広い人が読める物語が展開されて行きそうだな、と思いました。
 タイトルと内容から思うにもちろん、ジャンルとしてはミステリになると思います。
 続きもヒロインがなぜ亡くなったのかを二人で調べ、推理していくという王道になるのでしょう。
 ともすればよく見た物語のような気もしてきます。
 ただ、オリジナリティがあるのは死んだ本人が死んだ本人のままで主人公の前に現れる、というところでしょう。
 このタイプのワトソン役は幽霊として出てくる、というのが多いように思いますが、入れ替わった心がそのままの姿で現れると言うのは見たことがありません。
 しかも、死ぬ二日前の存在であるから、どう死んだにせよ何故死んだのかについて全く理由が分からない、という都合のいい立ち位置を獲得さえることに成功しているのも凄いと思います。
 これはたぶん、発明と言っていいのではないでしょうか。
 また、これから予測される展開として、自殺の可能性も他殺の可能性も十分にあり、どちらであろうとも説得力があるキャラ設定がされていることもよい点だと思います。
 どんでん返しとして予想されうる展開もあるように思えますが……。
 なんにせよ、続きを読みたいですね。
 どうして死んだのか、気になって仕方ないです。

「トランとミュカの魔道具工房」

 若干ですが、書き出しにちょっとしたとっつきにくさを感じました。
 ただ同時に、エピソードを最後まで読み終えるとバランスの良さも感じました。
 女神のエピソード自体はこの世界の神話に関する感覚を掴めるので会っては欲しいのですが、出だしはこういった知識からでなく、
 主人公の動きや独り言から始めた方がとっつきやすかったかもしれない、と思います。好みの問題かもしれませんが……。
 話自体に関しては非常に面白く読めました。
 主人公の過去について長すぎず短すぎず説明され、どういう人間なのかについてこのエピソードだけで大体理解でき、この後に続く話もすんなり入ってくるだろうと言うことが予測されます。
 また、ヒロインと思しき少女が唐突に嫁いでくる、というシチュエーションはなんだかんだ言ってボーイミーツガールの基本であり、どうなっていくのか楽しみになる引きがあります。 
 そしてそんなヒロインの突拍子に見える行動も、主人公が貴族になったときの寄り親の貴族に言われてきたのだ、という説明があるためにそういうことがあってもおかしくはない、と思える自然さがあります。
 全体として非常にバランスに優れた物語の構成で、安心して読んでいけそうだなと想いました。
 続きが読みたいです。

「青菜に死を」

 ジャンルとしては現代能力バトルものということになるのだと思います。
 主人公は何やら事情がありそうな姉から、やはり何か事情のありそうなヒロインを尾行するように指示された結果、何らかの大きな出来事に巻き込まれていく……という展開。
 主人公は能力バトルがひっそりと社会の影でなされている世界の中、能力を持たず、しかしそれでも戦闘能力が高く、彼自身も特殊な育ち方をしてきたのだろうということが察せられます。
 設定は色々と面白そうですし、戦闘描写も読みやすくていいと思います。
 ただ、肝心のストーリーというか主題がこの書き出しだけだと薄すぎて、これをぜひ読もう、という感じにはなりにくいのではないかなと思いました。
 何に注目すればいいのか分からないと言うか、芯がどこにあるのか分かりにくいと言うか。
 解決策を考えるとすれば……この後にどういった展開をなされるつもりなのかは分からないのですが、先んじて主人公や姉などについて、もっと説明を挟み込んでおくなどしておいた方が話に入り込みやすくなると思います。
 それか、今の状態ですと主人公がかなり唐突に特殊な鍛え方をしていることが分かる感じなので、先にその辺りについてある程度説明しておくとか、特殊な能力者がいる世界なので、青菜に出会う前にそういう人物と遭遇して一戦交えておくとか、色々考えられます。
 あえて説明せずに突拍子なく情報を出して驚かせる、という手段も物語を作るにおいては重要ですが、やはりある程度、読者がすんなりと読んでいけるような土台を作っておくことは必要です。
 その辺りを意識して書き出しを作られていけば、文章自体は大変読みやすく、キャラクターにもバリエーションをつけられる方だと思いますので、もっと評価がされるようになるのではないかなと思いました。

「片翼の女王とむよくの騎士」

 明確な物語や設定が作者の頭の中に、もしくはノートの中に存在するのだろうということが分かる書き出しでした。
 主人公であるだろうエリザ、彼女の兄グスタフとの関係はもちろん、タイトルになっている「むよくの騎士」であるだろう赤髪の男との関係。
 その辺りがこれからの物語で語られていくのだろうということも想像出来ます。
 初めに赤髪の男がエリザから玉座を奪ったことが明らかになっているので、どうしてそんなことになったのか、そしてそれでいて奪った王座を決してひけらかさない赤髪の男の心のうちには一体どんな考えがあるのか、そんなことが気になります。
 ただ、そういった展開性のありそうな設定があるのに、惜しいところは文章自体がどうしても読み進めにくい、というところです。
 指示語や代名詞が何を示しているのかが非常に分かりにくいところがいくつかあり、また一つ一つの文が冗長すぎてテンポを失わせているところがいくつか見られます。
 また情報の出し方が詰め込み過ぎだったり、不要な情報が入っていたりバランスがあまりよくないのではないかなとも。
 そういったところについてよく推敲していくとより読みやすい物語になるのではないか、と思いました。

「砂海のラメント」 
 
 異世界から来る艦隊、それが沈められた後に火事場泥棒に入って生計をたてる海賊の一味、その中に一人だけいる一般人じみた少年が主人公の物語。
 タイトルに砂海と書いてあるので砂の海で行われている営みなのかなと思いましたが、多分そういった描写はなかったので普通の海なのかな、とか思ったりしました。
 異世界の船には人は一見、一人も人は乗っていないけれども、主人公である少年が、ガラスに囲まれた小部屋に少女がいることに気づき、興味を抱く。
 この流れからボーイミーツガール的な展開かな、と思ったところ、最後に少年が異世界に転移ですっ飛ばされるので意外性がありました。
 この後で、異世界での少年ケルンの冒険が始まるのか、それとももっと違う話が始まるのか、予想が全くできず、続きが楽しみになる物語です。
 異世界がなぜ艦隊を派遣して領海侵犯しているのか、また艦に乗っていた(?)少女の正体は一体何なのか、など謎が提示されていて、それが明らかになるとよいカタルシスがありそうな感じもあります。
 気になる点としては、ケルンが若干能天気すぎると言うか、書き出しの時点だとあまりキャラクターとしての魅力が感じられないかなというところでしょうか。
 恋をして呆けているから仕方ないかなという気もしますが……戦闘している中での乱暴に感情をあらわにしているところは結構、人間性を感じられたので、もう少し呆け方をソフトにしたほうが良かったのかなという気もしました。



という感じで、大体半分くらいの作品の感想でした。
残りの半分の作品についてもまた後日、感想を書かせていただけたらと思います。
よろしくお願いします。
[良い点]
夕暮れ時のこっくりさん

少年漫画的作品キター!
オモシレェェェェ!
である。
コロコロとかに載ってそうな作風なんよね。題材もカードゲームだし。

主人公も「こっくりさん」という、有名だけどアヤカシ系では主役ではないキャラ。この辺も私の琴線にバンバン触れるのですよ(判官びいき万歳)
ぽろぽろと落とされる伏線も、良い感じ。あからさまにこれだと思わせるくらいで読者の脇をくすぐる感じ。

文字数的に半分くらいで「変化」してそこからグンと加速するのも少年漫画的で、非常にエンタメしてて好ましいのですよ。
わくわくさせてくれるというのは構造的に仕込まないとできないので「結構なお手前でございます」と述べた後に「続きを!」と強請るのであります。

  • 投稿者: 海水
  • 男性
  • 2019年 09月24日 11時25分
[良い点]
ゲートバスター!! HIBIKI

もうね、ノリが好き。人を選ぶ作風だからこそ声を大にして言う。
オモシレェェェェェ!
続きはどこで読めますか!(血涙

勢いで突っ切れるのは作者に筆力がある証拠と思ってる(個人的感想と経験)
だって、一気に書き上げるにしても精神的な高揚がないと結構くじけたりするし、数回に書き分けるにしてもその精神状態にしなきゃいけなかったりするので、かなり大変なのよ。
ギャグ、コメディってのはそれくらいキツイのよね(経験済み)
その上で、キチンとエンタメに振ってるし、ヘイトもわかりやすい形に落とし込んでる、と思ってる。作者さんの思惑は分からないんだけどさ!
  • 投稿者: 海水
  • 男性
  • 2019年 09月24日 11時13分
[一言]
感想の連続投稿、失礼します。
全作品を読んだ感想です。

いろいろ書きましたが、どの作品もそれぞれに味があり、楽しく読ませていただきました。
はじめは、面白かったものだけツイッターに感想書いておこう、と思ったのですが、読み始めたらどの作品も面白くてけっきょく最後まで読んでしまって。途中で読み進められなかった作品はひとつもありませんでした。

読み終わったいまは、もっともっと読みたい! と思っております。
そんなすてきな作品を書いてくださって、ありがとうございました。

参加された作者さまがた、もっとたくさん読ませてください。みなさんの考えた世界がもっと読みたいです。

楽しい時間をありがとうございました。
[一言]
真っ白い感想欄に足跡をつけにまいりました。
自分の勉強のためにも感想を書かせていただきます。
どんな感想が求められているかわからないので、自分の思ったことをつらつらと書いていきます。
オブラートの製法を知らぬもので、ことばがきつかったらすみません。ことば選び練習中です。
でも、作者さま以上に書いた自分がブーメランで大打撃なのでお許しください。
また、自分の意見はただの通りすがりのいち読者のことばです。気にしすぎないで、的はずれなことを言っていたら、どうぞ笑って流してやってください。
あ、細かいことばの間違いやらはスルーしていくつもりです。ざっくりいきます。


パラサイト・ダンジョン
ええと、まずは全体の感想として。
なんかヤバい禁域があって、物盗りに入ったひとが三人いる、という話ですね。書き出し部分では、それしか伝わってきませんでした。たぶん、ここを舞台にダークな物語がはじまるのではないか、と推測します。
ただ、読むほうとしては推測するにも情報が必要です。まず舞台の説明、その気持ちはわかりますが、ラノベですので、まず主人公、あるいは話の軸になるものを知りたい。舞台の説明はひとまずさらっと、詳しいところはあとあとで伝えても大丈夫です。
この物語がどこへ向かうかわからないのですが、森の説明は「王国の森、それは決して何人も立ち入ってはならないと言われる場所であった。消えぬ呪いを抱えていると噂されるその森は、公国の民であればだれもが恐れる禁域とされていた」とかぐらいでまずは済ませてしまって、主人公なり主要人物なりを描写して欲しかったです。
森の説明は書き出し部分にあることばを拾ってつなげた、てきとうなものなので、作者さんの意図を拾えてなかったらすみません。
気持ち悪い場所、という雰囲気は伝わってきました。限られた文字数のなかでどれだけ読者を引き込めるか、自分もまだまだ練習中ですので、がんばりたいです。

ゲートバスター!! HIBIKI
突き抜け具合が気持ち良かったです。誇張はギャグにつきものなので、腹立たしい老人たちもありだと思います。好まないかたにはめちゃめちゃ叩かれそうですけど。実際問題、用もないのに病院に通いつめるご年配のかたを見たことある身としては、笑えました。
主人公の辛さとやるせなさも感じられました。
ただ、この話はどこへ向かっているのか。タイトルの通りにゲートボーラーを主軸に添えるなら、いまひとつヒビキさんのことがわからないまま一話が終わってしまったのは残念に思います。
現時点ではゲートボールにおいて強い、他人を巻き込むのが得意ということしか伝わってきませんでした。そして、巻き込まれた主人公が不憫すぎてヒビキさんに好感が抱けませんでした。
ノリとせりふは最高に楽しかったです。第一話のタイトルや次回予告を入れるの、ありですね。うまく使えればすごくいい引きになると勉強させてもらいました。決め台詞的な「君の街にも、GATE Buster!」が昭和の香りで笑いました。
ところで次回予告のセリフにお医者さんが混ざってる気がするのですが、この街だいぶヤバいですね。面白いです。

シナリオ拒否!双子の妖狐は我が道を行く
やわらかい雰囲気と明るい語り口で、取っつきやすかったです。
ただ、前半に説明が詰め込んであるせいか、テンポが悪く感じました。後半がスムーズに流れるぶん、余計に前半の詰まってしまうところが気になったのだと思います。
翼孤、かわいいですが、飛べる能力は魔物の群れに向かうときに判明するので説明もろとも後回しでいいかな、と思います。
まずはかわいい双子の妖狐が仲良しで、片方が前世の記憶持ちだということ、主人公の妹狐は半信半疑ながらもシナリオ回避のために備えていることがわかればいいかな、と思います。
そこからあとはとてもスムーズだったので、楽しく読ませていただきました。
前半に関して「私たちはすごく仲良し」「ほんと、スキンシップが好きだよねぇ。」のような記述は彼女らの行動で伝わってきますので、書く必要はないと思います。そのあたりの感想は読者側の胸のうちに湧いております。
ほわほわ狐姉妹、かわいかったです。

魔女は死体にキスをする
静かな雰囲気が終始ただよっていて、しっとりした気持ちになりました。
人物同士の関係も会話もしっくりくるのですが、時間軸が現在と過去をふわんふわんと入れ替わるので、あまり親切ではないと感じます。さらに後半、
この形式でいくなら、はっきりと「リナリアの脳裏に過去の記憶が蘇った」くらい書いてから過去を語る。そして語り終えたら「リナリアは過ぎ去った記憶から戻ってきて、いまそばにいる青年に向き直った」というくらい、ことばではっきりいまと過去とを区切らないと伝わりづらいかな、と思います。
あるいは、リナリアのなかでいまと過去との境があやふやになっているなら、その旨ひとこと書いておくと、ふしぎな雰囲気のまま楽しめるかもしれない、とも考えました。

食人クズ野郎でもドラゴン幼女の子守はできますか
あー、好きです。設定がそもそも大好物なので、まともな感想にならなかったらすみません。
キャラクターがいいですね。個性的。セリフも性格がよくわかる。しかもセリフのなかで何気なく設定を伝えてしまっているので、さらっと読めて楽しかったです。
気になる点としては、主人公の外観や後輩ちゃんの損傷具合が描写されていないこと。外観に関しては、詳細じゃなくてもいいです。顔色が悪いとか、ぼやっとイメージできるくらいで。
後輩ちゃんの損傷具合はまったく書かれていないので、そこで想像が途切れてしまいました。腕が落ちた、とか腹が裂けて腸がはみ出たくらいさらっとでいいし、それについて主人公たちは触れなくていいので、状況説明だけほしいな、と思いました。
もうひとつ、タイトルが気になりました。クズ野郎、というのはけっこうキツいことばだと思うのです。気軽に口にしにくいです。食人鬼くらいにしておいてもらえると、これおもしろいよ!とひとにお勧めしやすいかなあ、と思いました。主人公がクズなのは後輩ちゃんを気軽に盾にしているところでばっちり伝わってきました。気軽にグロテスクなところ、すごく好きです。

いたい、いたい、いたい
んんー、冒頭の青年はカットしてもいい気がしました。西部劇っぽい雰囲気はすてきなのですが。
それよりも後半の少女のほうがインパクトあるので、そちらと早く出会いたいです。
酒場での会話は店主とのやりとりだけに留めて、新しく入ってきた宗教に関しては、娼館あたりをぶらついてるときにエキストラあたりの会話でぺろっと出しておけばいいのかなあ、などと愚考します。
でもこの雰囲気を壊したくないから、ううん、むずかしいものですね……。

絶対バッドエンドな僕たちの推理
お焼香と言われてああ、あれだなと明確に浮かぶのは、ある程度の年齢を重ねたかただと思うのです。小中高生だと未体験の儀式で想像がつかない可能性がありますから、もうすこし具体的にどこに焼香台があってどこに棺桶があって、棺桶の顔の部分が開いてたりとかの記述があると、親切かな、と思いました。
席を立って走り出したところも、葬儀をしている室内で走り出したわけはないと思うので、早足で歩き部屋を出たところで駆け出したりしたのかな、と想像しました。
情景描写をもうすこしずつ親切にすると、より読みやすくなるかな、と思います。あまり描くと流れが悪くなるから、加減が難しいと自分も頭を悩ませております。
それから置き去りにされたほうのひよりちゃんなのてすが、立花ひよりそのものだ、ということは透けてたり足がなかったりはしない、実体を持った人間として存在していると思えばよいのでしょうか。
どんな状態かわからなかったので、想像がしづらかったです。
全体的な雰囲気とストーリーは好きでした。続きがあるなら読みたいなあ、と思います。タイトルからしてどうがんばってもひよりちゃんが生き返ることはなさそうなので、せめて憂いは晴れてほしいなあ、と思います。

トランとミュカの魔道具工房
やさしい雰囲気のお話、すてきです。心に抱えてるものがある主人公も好きです。
ただ、これが生産系になるのか、ヒューマンドラマになるのか、恋愛系になるのかがわかるともっといいのかな、と思いました。なろうはけっこう、そういうので読む読まない決めるかたいるような気がするので。
ああ、でも好きです。トランの心が救われるといいなあと思いました。

青菜に死を
尾行まではまだ、だいぶ変なお姉さんだな、で済んだのですが。
なんだか主人公氏が気配を察知して人数まで把握していて、え? なにごと? となり。当たり前のように殺す、捕らえる、と出てきてなめらかに戦闘がはじまってしまい、完全に物語に置いていかれました。
なんでしょう、主人公のなかで戦闘は常識なのかな、と思うのですが、読むほうは学生さんが戦うことを常識としていないので、付いていけないのかな、と思いました。
これが暗殺者の訓練を受けた学生、とかならそうなのかあ、と読めるのかもしれません。あー、そうだ、序盤がふつうの学生っぽいから混乱するのかもしれません。たぶん。
ほかに特に気になったのは、武士の袴と女の子の口調。
着流しに袴とか剣道の道着とか、どうでしょう。あと、女の子の口調はイメージ違うと言われても、主人公がどんなイメージを持っていたかわからないので、よくわかりませんでした。
作者さんが楽しく書いてるのだろうな、というのは感じました。戦闘シーンはわくわくするものがありました。
マッチョのビルドアップと破れそうな腰布を死守するあたり、とても好きです。
ところで主人公とヒロインとで同じ菜の字がはいっているのは、なにか意図があるのでしょうか。はじめタイトルだけ見たとき、青菜に死をだから青い菜っ葉に塩をふってしんなりさせる話かな、と思いました。ちがいました。すみません。

片翼の女王とむよくの騎士
ううーん、壮大な物語っぽいことは伝わってきました。
ただ、なんとなくしか伝わって来なかったです。描写が少ないからかな、と思いました。
たとえば冒頭、甲冑を着た兵士が整列しているのはわかるのですが、甲冑は和風、洋風、あるいは蛮族の戦士風? 人によっていろんな甲冑を想像してしまいます。
それから整列しているのは、どんな場所に? 草木も生えない荒野? 緑に包まれた平原? あるいは、人の営みがあったはずの瓦礫が散らばる場所でしょうか。せっかくかっこいい始まりなので、もっと惹きつけられる光景を見せてほしいです。
そのあとの過去編では主要人物が登場したようですが、だれの内面にも触れていないまま終わってしまうので、もったいないと思いました。
主人公が周囲にどう思われているかはわかりました。でも、主人公は周りをどう思っているのか、それが伝わって来ないので、いまいち物語に馴染めないままでした。
なんでかなあ、と思ったら、兄王が微笑している以外、人物の表情が書かれていませんでした。無表情なら無表情、いつもと変わらない顔をしているなならその旨を書いていただくと、より物語を想像しやすくなるかな、と思います。
雰囲気はおもしろそうな感じがするのですが。

砂海のラメント
うわあ、面白そう!
色ことの詳細はわからないのに、状況と人物の説明がほどよくされているから楽しめました。情景描写といい感じに軽い人物のやりとりがうまいことまとめられてて、うまいなあと思いました。
少年の戦闘シーン、めちゃめちゃかっこよかったです。
砂海のってことは転移先は砂漠みたいなとこなのかな。ラメントはどういう形で表現されるのだろう。
わくわくがたくさんで、続きが気になります!
あ、ひとつだけ、艦隊ってどのくらいの規模なんでしょう。そこが気になりました。

セーラー服とファンタジー ~二代目召喚聖女と受け継がれし聖なる衣~
お風呂ですね。呪われた聖衣を着た聖女さんがお風呂に入っております。
お風呂の描写、ちょっと長いかなと思いました。第一話ほぼまるまるお風呂で誰かとの会話もないから、主人公さんの性格やらもわからないままでした。美青年の描写も欲しいところです。
あと、めちゃめちゃ気になったのですが、セイラさん二十五歳のイケメン恋人は、セーラー服の良く似合う美少女が本命なのですね? カミングアウトしちゃったんですね。

元エース、教官になって娘を拾う
端的に言って、好きです。描写がすごく好き。キャラクター同士の会話も気持ちいい。
でもこれ、戦闘と恋人との会話を入れ替える必要ありますかね? 冒頭が現在、戦闘がすこし前、恋人との会話がさらに前、とだんだん遡ってから現在に帰ってくるより、現在、恋人との会話からの戦闘でまた現在の絶望に戻ったほうがわかりやすいかな、と思いました。スムーズだし、じゅうぶん惹きつけられるものがあります。
ところで、βさんの遭遇率が極めて低いのに、年若い主人公が撃墜数トップというのは、訓練での撃墜数のことでしょうか。いつもの敵、というのは仮想敵と同じ形状ということかな、と想像しました。
あと、民間の船団と護衛艦の位置関係なんかもあるとイメージしやすいかな、と思いました。民間の船団の規模も知りたいです。
戦闘シーンもめっちゃかっこよかったです。
このあとの展開としては、絶望のまま数年が経過して教官になった主人公が女の子をひろって物語が動き出すのかな、とタイトルから想像してわくわくしました。

猫耳任侠道 ~開かずの社に住まう君~
キャラクターがいいですね。みんな個性があって、好ましいです。猫耳さまとの会話で黒猫氏の真面目だけどトンチンカンなところが伝わってきて、面白かったです。
黒猫氏の視界で世界が描写されているので、はじめは点だった世界がだんだん広がっていくのが楽しかったです。
盃を交わして家族となるは、子猫か任侠にんきょうだけである、も笑いました。タイトルはここから来るのか、と。
ただ、黒猫氏の猫っぽいしぐさがはじめだけなので、終始ちょびっとずつ入ってると、よりお猫さま感があっていいかなあ、と思いましたもふもふ。

異世界転生者は減退しました
うあ、読点がほしいです! 自分が教わった読点の打ち方ですが、口に出して読んでみてください。息継ぎするところで読点を入れると、ぐっと読みやすくなると思います。
あとは、主人公の語りが長いので、もうすこし会話やひとの行動しぐさなどから設定が伝わってくるといいかな、と思います。

運命の赤い剣で斬り結んだ二人
わお、破廉恥な書き出し! と思った自分は心が汚れているのでしょうか。はい、すみません。
戦闘描写かっこよかったです。剣で語り合うふたり、すてきでした。
ただ、ことばの並びをもっと気にかけてもらうと、もっともっと戦いがスピーディで盛り上がるかなあ、なんて思いました。たとえば「少女が体重を己の剣に移すことで」なんてところは「少女が己の剣に体重を移すことで」のほうが何をどうする、が近いので想像しやすいかなあ、などと。いや、ほんと細かくてすみません。ここまでくると好みの問題もあるので、気にしなくて大丈夫です。今はじゅうぶん伝わるので。
あとは、マーティンは慣れていた。っていきなりマーティンなる人物が現れて、唐突だなあ、と思いました。少女側にカメラがあったと思ったら、気づかないうちにマーティン側からのカメラに切り替わってたから違和感があるのかな、とか。
「おやめくだされ、お嬢様」で登場したほうが誰かいるぞ、カメラが切り替わったぞとわかっていいのかな? うーん、難しいですね。
「くれぐれも真剣は」のあとは、※はいらないかな、と思います。せっかくのスピード感が鈍ってしまうように感じました。
いや、でも好きです。この剣戟。このふたりが剣で語る以外にどんな関わり合いができるのか、興味深いです。

白雪姫の義母
冒頭の部分、すごく漠然としていますね。タイトルからして、たぶん物語が相当進んだ時に絡んでくるのかな、と想像するのですが、ううん、もうちょっと具体的なイメージができる描写がないと、完全なる想像のままで終わってしまいます。ある程度は想像しますが、もっと見せてほしいです。魅せてほしいのです。
それから、ベラドンナさんと王さまくんのやり取り、どちらにも共感や親しみを覚えなかったのがさみしいな、と思いました。ベラドンナさんが王さまくんを拒否する理由が、述べているとおりなのだとしたら冷たいひとだな、と思ってしまいます。弟としか見られなくても、伝え方ってあると思うので。
ベラドンナさんに語っていない思いがあるのなら、それを匂わせてほしかったです。それもまた、読者が気になって続きを読む原動力になると思いますから。
人型スライム仮面執事くんは、便利そうでいいなあ、と思いました。
最後の白雪姫の入りも唐突だなあ、と感じました。ここで終わったとして次話はどこから語り出すのだろう、と考えたときに、いろいろ半端になりそうだな、と思いました。

夕暮れ時のこっくりさん
冒頭の雰囲気、楽しそうでいいなあと思ってたのですが、突然の「こっくりさん知ってる?」発言でええ、唐突だなあ、と思いました。「にえ」に関しても、もうちょっと自然な流れで持って行ってもらえると話に入り込みやすいと思います。
姉ちゃんのカードデッキの一番上にこっくりさんのカードがあった、とか。なんかあったか、って姉ちゃんに聞かれてにえの話をするとか。
長身の女、のようなモノだと漠然としすぎているので、長身の人影、とかいかがでしょう。
もひとつ気になったのは、少年の口調やしゃべる内容がちょっと幼く感じました。小学生じゃだめですかね? 長身のきれいなお姉さんとおどおど系小学生男子の物語、いいと思うのですが!
カードバトル、になるのかな? わくわくする展開、続きが気になりました!

白鬼と呼ばれる少女が独りではなくなる話
好きです。名付けかたの雑さとか、雰囲気とか好き。好きだからこそ、タイトルをもっとひねってほしかった! 魂無し男が来た時点でタイトル回収されちゃうじゃないですか。もっと続いてほしいって思うじゃないですか。コンちゃん報われてくれよ、って思うじゃないですか!
ところで、四歳児って死ってわかるんでしょうか。もう動かないんだよ、って言っても「ふうん?」というイメージなのですが、どうなのかな。現代日本より死が身近な環境なら伝わるのでしょうか。
ああ、しかしなんで急にそんな嫌な力に目覚めたのでしょう。コンちゃん、幸せになれー!
少女を触りに来た男、なんとかしてくれ!

上履きをはいたバレリーナ
おおう、なんと美しい描写でありましょう。バレリーナちゃんの踊る姿が目に浮かぶようです。
教室での日常だけでは弱いからと、冒頭に彼女の落下シーンを持ってきてからのスタートというのも、きれいでした。作者さんの力量なら比喩表現でインパクトを与えておいてからはじめると、というのもありかとは思いますが、自分は現状の作りが好きです。
ただ、この話はどこに向かうのか。主人公ちゃんはここからなにをしていくのか。そこが見えないのが、なろうだと戦いにくいと思います。
純文学なら文句なしに好き! と言えるのですが。ここはなろうなので。
そうなると、冒頭の落下シーンをけずって未来の彼女を描くか、彼女の望むものを匂わせるか、でしょうか。同じシーンは一話の終わりで出るから、けずっても問題ないと思いますし。
ううーん、それにしても、心が洗われるような描写、ありがとうございました。読めてよかったです。階下で見ていた少年たちがスカートの中を見てただろうとか考える愚かな己の心もあらわれたものと信じます。ほんとうにすみません。

助けたご令嬢に惚れられた〜非モテ親父の何処がいいんだ?〜
あー、現代の話だったのですね。だいぶ読み進めないとそれがわからないので、ちょっとイメージができないままに話が進んでおりました。
知らない天井、を一話目でやるときの注意点ですね。舞台説明をどの段階で入れられるか、なるべくはやく入れなければ伝わらない。
まあしかし、うらやまけしからん話でありますね。かわいい女の子に惚れられて、しかもお金持ちで、父親公認の幼妻……。
主人公みたいに戦闘能力があって、それを発揮できる状況がそろえばワンチャンあるのでしょうか。まずは戦闘能力か……。

↑これ、面白いですよ
学者さんなんかのエッセイみたいな文体だなあ、と思いました。AだからB、BゆえにCみたいな段階を踏んだ進みかたと言えばいいのでしょうか。好き嫌いがわかれそうです。自分はわかりやすいし、読みやすいと思います。
ただ、そういう順序だったつくりなのに、いきなりポップ引き裂きに行ったよこのひと! という驚きがありました。引き裂きに行くまでにももうワンクッション、理由付けが欲しかったです。
それと、ポップをとても引っ張るな、と思いました。物書きさんなら、そんなポップをつけられちゃう本の方に気が向きそうと思いますので。ポップ三、本七くらいまで文量の割合を変えてもいいかな、と感じました。
あとは、いつの間に本を手に取ったのか。いつの間に読み始めて終わりまで読んでたのか、この辺が飛んでて、気になりました。
もうひとつ、この作品はここで終わりの短編、でしょうか。続くとしたらどんな風になるのか、想像できませんでした。自分の脳では蛇足しか描けなかったので、興味があります。

そこのお前! 異世界転生した私を助けてくれ
小説ならでは、それもネット小説ならではの遊び方ですね。文字だけで情報を伝える媒体だからできること。挑戦的だし、きちんと状況は伝わってくるし、作りがすごくじょうずで遊び心もあるから、プロの犯行とみました。
楽しませていただきました。
楽しませていただいたので、このあとにどう展開していくかについて、自分なりに考えて書けたらよかったのですが、ううーん、残念ながらいい案が浮かびません。ネットでいくら情報を仕入れても、それは情報に過ぎないんですよね。戦闘、爆薬、医療などの知識がいくらあっても、主人公の技能にはなり得ない。だったら知識を有効に使えるひとに繋ぎを取り、自身の有用性をアピールする? いや、でも主人公が接続できるのはなろうがある現代のネットのようだから、転生先で活用できるかどうか不明だし……。
ううーん、やっぱりいい案が浮かびません。ごめんなさい。

Sanity-XXX 童貞ダディと魔王のムスメ
……笑って手が震えるので、端的に書きます。
紳士然とした外見な悪魔さんのこと、もっと詳しく知りたいです。執事系? 肌は何色? ツノはあるんでしょうか。わたし、気になります! 
胴が消し炭と化した悪魔の姿、でもしゃべっておられる。落下前? 叩きつけられてる? この段階でもう転がってるのかな? 悪魔さんは血反吐とか吐かないタイプのひとでしょうか。首だけになってもいけるクチですね。
破廉恥な義父さんのお姿、悪魔さん、読者にももっと詳しくお伝えください! 義父さんは今のままのタイミングで気づいてくれればいいので、読者にも悪魔さんと一緒に笑える状況説明をおねがいします!
ネタ的に言いたいことはいっぱいありますが、まあ、読めばわかるから黙っときます。なにはともあれ、こんなカッコいい童貞、見たことない! どうぞ生涯童貞を守り切って、大魔導士におなりください。親子の未来が明るいことを願っております。

謎解きなんてできないし、王太子殿下は苦手なので結婚なんてもっとできません!
冒頭から説明が多いように思いました。テンポが悪くなるので、後から説明できるところはひとまず置いておいてもいいかな、と思います。
たとえば「普段書物を整理する手伝いをしているから立ちっぱなしには慣れているが」は、立ち仕事には慣れているから、くらいにしておくと、この令嬢なんの仕事してるのかな、という読者の興味にも繋がると思います。
「ドレスから投げ出された両足首が、ずるりと奥へあがった」これはどういう動きでしょうか。ちょっと想像ができませんでした。ここ、物語が動く大切なところだと思うので、わかりやすさを最優先していただきたいです。
「頑丈なリボンがレミーナの身体を支えてくれていた」リボン、どこかに引っ掛けてるのでしょうか? なくてもいいように感じました。
社交に出ない割に王子の顔が一発でわかる、殿下も主人公がわかるのは、どこかで顔合わせをしてのかな、と思ったら、どうやら会のはじめに挨拶をした、のですかね? 殿下の記憶に残るほど変わり者の令嬢なのでしょうか。
あとは、廊下を這いながら振り向かずに名前……呼ぶかな? 腰が抜けて動けないのでしょうか。
もうひとつ、こちらのご令嬢、おいくつなのでしょうか。幻と呼ばれるくらいだからそこそこ長い期間、招待状を断りまくっているのでしょうか。
令嬢×ミステリー×恋愛、好むかたが多そうな題材だなあ、と思いました。
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