感想一覧

[一言]
　ラキにとっては最後と決めたレース、必ず勝つという言葉ははたしてかなうのか。
「人型ロボットレース」は書きたいテーマだったので、ルトさんがどう料理するのか、わくわくしながら拝読いたしました。
　最初に、スタートの描写がとてもいいですね。スタートの混乱を避ける戦略として、あえて遅らせる。レース巧者の演出が巧みでした。
　そして、勝負は乱気流空域へ、ラキの本領発揮、優勝候補筆頭にまさかのアクシデント。千載一遇の好機を前に、ラキの下した選択は彼女らしいと感じました。
　助けた恩が誤解されたところは、ちょっと面白おかしかったです。
　遅れをカバーするのは人型ロボットの強み、二位まで順位を上げて猛追します。明らかになる幼い頃の因縁は、いい過去話でした。
　そして、終盤戦の人型ロボットならではの秘策、切り札は最後まで取っておくものですが、あの場面では本当にテンションが上がりました。
　激しい戦いの末、ついに勝敗が決します。試合に負けて、勝負に勝ったという感じでしょうか。
　ジェネレーターがダメになってしまいましたが、ラキの勝負にかける思いは変わりません。
　……ということで、ルトさんの好きが詰まった作品で、読んでいて「それな！」って気持ちになりました。
　わたしが書いたらどこで終わりにするか迷うところを、ちゃんと短編に仕上げてくるルトさんの技術が本当に凄いです。
　登場人物もとても魅力的でした。絶対王者のミオがクールで、熱血系主人公のラキとの対比が際立っていたように思います。このふたりの激しいぶつかり合いが読み進めていくなかで面白かったです。
　あと後書き、後書きだけでもなんか面白いのはちょっと卑怯ですが、共感できます。レッドブルエアレース……（泣）
　というわけで、完結お疲れ様でした！　また新作を楽しみにして待っております。