エピソード21の感想一覧

▽感想を書く
感想絞り込み
全て表示
[気になる点]
「鉄の棒にステータという絶縁メッキされた銅線を3か所に巻くホルダを用意する。
ホルダは鉄板を打ち抜き、重ねていく。
銅線径が同じ場合、このホルダにいかに長く銅線を巻き付ける(コイル)かが、大きな力に変換することができる。
ホルダの銅線ホルダは回転する部分なので、ブラシという回転しながら電気を供給する機構によって回転導体に電気を供給する。
ブラシの回転体接触面が常に動き続けるので、摩擦熱というものが発生する。
熱は金属に対し伝わりやすいという特性があるから、発熱した熱を外に逃がす構造とすると、熱が上がりにくい。
あとロータというところに磁石から加工した磁石というものを固定する。」


この記述に関して、何点か。
不審な点が幾つかあったため断定はできないのですが、三相交流電動機をお考えなのではないかと思いました。

まず、ステータは日本語では固定子となり、その名の通り回転することはありません。回転体はロータ(回転子)です。そのため、この構造の電動機(モーターのこと)ではブラシは必要ありません。
鉄板を打抜き、重ねていくのは成層鉄心と言われるものです。この成層鉄心は渦電流の発生による熱損失を軽減するための構造であり、鉄板と鉄板の間は絶縁されてなければ機能しません。そのため、説明時に必ず鉄板間を絶縁しなければならないことを伝える必要があります。
「後ろに進むには、モータに流れる電気の方向を変える。」という記述は三相交流の場合正しくありません。三相交流には電流の向きというものは存在しないため、向きを変えることはそもそも不可能です。三相交流電動機からは電線が3本出ているのですが、この3本のうち、任意の2本の接続を入れ替えることによって逆転させることができます。
そして、三相交流電動機の場合、三相交流の電気を送電しなければ回転できません。単相交流や直流では回転しません。

直流電動機を作るならば、銅線を3箇所に巻く必要はありません。直流電動機を図示すると下のようなものになります。

 ┌───┐
 │   │
N│   │S
 │   │
 └┐ ┌┘
 □(  )□
 │   │
 └─電源┘

─:銅線
( ):整流子
□:ブラシ

直流電動機の回転においてこの整流子が重要てず。
整流子には切れ込みが入っており、ブラシが切れ込みを通過するたびコイルを流れる電流の向きが変わります。
例えば図のコイルが一つのみの直流電動機が回転した場合を考えます。
この電動機において、磁界は固定された両側の磁石によって生み出されています。ここで直流電流を右回りになるように流すと、電流の向きと磁界の向きが決まったため、力の向きが決まり、左側が手前に右側が奥に動き出します。コイルが回転し、導線が磁石と磁石の中央に来たとき、フレミングの左手の法則によって発生した力が無くなります。惰性によりさらに回ろうとしますが、これ以上回転すると、コイルからみたときに磁界の向きが逆転するため、力の向きも逆転し、回ることができません。
ここで整流子の出番です。整流子の切れ込みが丁度このタイミングに来るように調整しておきます。このタイミングでブラシが整流子を通過することによって、コイルを流れる電流の向きが逆転します。これにより、先程は逆転してしまった力の向きが逆転することなく、一定方向に保たれ続けます。

直流電動機では、コイルの導線と磁石が近づくほど力が強く離れるほど弱くなります。この図の電動機ではコイルが一つのみなため、回転力が一様ではありません、では既存のコイルと90度ずらしてコイルを同軸上に追加してみましょう。回転力の変動する周期が半分になりました。ではこれらからさらに45度ずつずらしてコイルを2つ追加してみましょう。回転力の変動周期が更に半分になります。コイルの数を増やす場合、その分整流子の切れ込みの数が増えます。そして磁石に最接近するコイルのみにしか電流は流せません。電流が流れていないコイルがもったいないですね。(この電流が流れていないコイルもエンジンでいうフライホイールの役割をして回転力の変動を穏やかにするのですが...)では、磁石を増やしましょう。SとNが交互になるように磁石を2セット増やします。今まで働いてなかったコイルを働かせる為にブラシを増やします。これで更に回転力が一様に回るようになりました。

このように直流電動機ではブラシよりも整流子の方が重要なため、ここをしっかりと説明する必要があります。
[一言]
最近読み始めた者です。
技術的な説明の不審点が大き過ぎた為、あまりの違和感に指摘させていただいました。
作品のさらなる発展をお祈りしております。
  • 投稿者: Lirte
  • 2022年 04月20日 05時46分
回答が遅れすみません。
感想をいただき、ありがとうございます。
また詳しい説明をいただき、ありがとうございます。

確かにモータを動かす手段として、今現在パワー半導体素子による制御(チョッピングによる制御や周波数や電圧を変動させる制御方式など。
また、ステッピングモータや三相交流モータなど、いろいろある。)ですが、この話の時点で、パワー半導体素子(IGBTなど)は発明されておらず、MOS FETも当然この世界ではまだ発明されていない、という前提です(Hブリッジも組めない)。
この時点で発明された制御方法とモータの構造でどのようにすれば、という前提で記述をしました。
この話の途中にも書きましたが、やはり半導体技術は重要なので、(PNPの作成工数の多さと難しさも等も)時を追って書き、VVVFなどの制御方式についても、しかる段階でIGBTを発明させ、書こうと思います。
  • うしねこ
  • 2022年 05月16日 01時14分
↑ページトップへ