感想一覧

[良い点]
1話から、世界観を美しく彩る文章が綺麗で読みやすくって驚愕しました。そして「エスメラルダの宝石を守って死ね」に肌がぴりっとし、「二度も間違える愚か者は嫌いだよ」にぞっとすると同時に虜になってしまいました。綺麗で飄々した絶対的な強者であるお兄様の残酷さや厳しさが見えるたび、きゃ〜！と喜んでます。4話の、リーゼの愚かさをうきうきと語るお兄様の描写や、16話のリーゼへの「お嬢さん」呼びが魅力的すぎます。アルトゥルさんといいお兄様といい、呆れながらも過干渉はせずある程度主人公を好きに泳がせているのに、情けない結果にはようしゃなく怒るところが最高です。1度目の時の体罰の激しさが繰り返し語られすっかり冷淡なイメージだったアルトゥルさんが、弱ったリーゼに自らの血を飲ませるシーンはどきどきしました。なにを考えてるか分からない人の時たま見せる本音や感情が、素晴らしい塩梅で素晴らしいタイミングにくるのでどんどんキャラクターを好きになってしまいます。
そして一体どんな人間なのか全然つかめないジーク。リーゼ目線とイグルス目線で印象がまったく違い彼のことがさっぱり分からず怖いです。それでもというかそれ故というか、リーゼが金色は汚くないとジークに証明する場面が本当にロマンチックでかわいくて私の大のお気に入りです。「私の古いお友達」という言葉に「ジーク」のルビが振ってあるのにとてもじーんとしてしまい、うるっと来ました。
二人目の友達であるイグルスは18話ですっかりリーゼの飼い犬になっていて、7話のリーゼとイグルスの美しすぎる関係を思い出し「変わってしまったな…」としんみりしましたが、年上の彼がリーゼの脚にこてんと頭をもたれかけ、寂しい嫌だと駄々をこねる姿があまりに可愛く愛せざるをえませんでした。どこまでも従順なわけではなくがんがん反対も生意気も言う彼が好きです。イグルスもなかなか辛い境遇で、どうか幸せになってほしいです。
また、17話で明かされたリーゼとシンシアが何度も繰り返しお互いにかけた呪いの言葉は二人の強いパートナーシップと王族としての覚悟を象徴していて、シンシアはリーゼの回想の中でしか登場していないにも関わらず、二人の関係性が大好きになってしまいました。
ものすごく面白くて、世界観もキャラクターも華やかで絢爛豪華でずっとうっとり浸っていたくなります。本当にこの作品が大好きです。もし続きがあればずっと待っています。最高の物語をありがとうございます。