感想一覧

[一言]
こんにちは。企画より参りました。
連載形式ではなく短編で2万字近くということで、開くまでちょっとドキドキしていたのですが、一気に読んでしまいました。場面転換の部分にはしっかり区切り線があったので、場面転換もわかりやすかったです。タイトル回収も気持ちよかったですね。

早苗とアリスの出会いから、少しずつ近づくふたりの距離。けれどその関係はどこか歪んでちょっといびつなんですよね。この世のものではない耽美な世界。閉じられたふたりの世界でずっと一緒にいることができたら、早苗は幸せだったのでしょうか。嫉妬を抑えることができず、感情を上下させながら、アリスのために美味しく育ったのでしょうか。

残念ながらふたりの世界は外部から無理矢理こじ開けられて、早苗は全く異なる世界を歩むことになるのですね。狂気やあちらの世界の象徴だったアリスよりも、か弱く力無き人間だった早苗が少しずつ狂っていく様がなんとも鬼気迫る物語でした。

[良い点]
雰囲気作りがとても上手で、鮮明な街や部屋の映像をバックにキャラクターが微笑み、目を細め、ほんの少し指を曲げ、呼吸で胸がわずかに上下するさままでが思い浮かんでくるようでした。
その世界の雰囲気、キャラクターで魅せる作品でしたのでその描写力が絶大な武器になっていました。どちらかというと、吸血鬼のアリスより人間であった早苗の狂気のほうが人外短編企画寄稿作らしい、ヒトならざるものの不気味さを感じて良かったです。
小説として読み応えのある文章でありながら、昨今のラノベに必須といわれるコミカライズ映えする作風で、羨ましい限りです(笑)。
[気になる点]
場面転換と時系列の前後、時間経過が多すぎて、非常に読みにくいです。
上でコミカライズ映えというのを褒め言葉として使いましたが(本心で褒めてます)、短編小説としては構成の完成度が低いと思わざるを得ません。漫画かアニメを、上手に文字起こししたという印象です。
上記の通り文章力や表現力はとても高いので、魅せたいシーンをギュッと絞り、出しておきたい情報は「そのシーンをそのまま放送」ではなく前後の会話に入れ込むなどしてカット数を減らし、文字数に合う構成をプロット段階から考えていたなら、コミカライズ原作小説として高く評価される方だと思います。
[一言]
寄稿ありがとうございました！

[良い点]
吸血鬼を崇拝する不健康な百合が描かれていて素敵だと思いました。
そして最後にタイトル回収。
見事だと思いました。

[一言]
最後、前向きなようで、早苗の瞳が実は狂気に満ちているエンドはとても好きな終わり方です。
素敵な話をありがとうございます。