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[良い点]
作品全体に、読者をぐいぐい引き込む、強い力を感じました! 実は昨日微熱が出て「今日は早く寝よう」と20時に布団に入ったのですが、なかなか寝つけず、スマホで「なろう」にアクセスしたところ、本作を見つけました。眠くなるまでの時間潰しにと読み始めたのですが、最後まで一気読みしてしまいました。理屈抜きで、とても面白かったです!

読後の感想としては……まず、最近のライトノベル・ファンタジーによく見られるようなゲーム用語を用いず、独自の物語をつくり上げておられるところに、作者様の「我が道を行く!」というスタンスが感じられ、好感を覚えました。昨今のライトノベル業界におけるファンタジーは、「レベル」や「ステータス」「スキル」といったゲーム用語が当たり前のように地の文や会話文の中で使われるゲームファンタジーが主流になっているように思いますが、本作はそのような言葉を用いずとも面白いファンタジーは書けるのだということを示す好例ではないかと思います。

また、女主人公のボーが「優しい」「可愛い」「萌え」「デレ」「エロ」といった、男性読者がヒロインに期待しがちな属性を持たず、「したたかさ」「賢さ」「大胆さ」「権力に対する野心」「時として為政者に必要な非情さ」を持った、強く自立した女性として描かれているところにも、読者に媚びない作者様の気概とオリジナリティを感じました。きっとボーの胸には、古代エジプトのハトシェプスト女王や唐の女帝・則天武后のように、男性優位の時代にあっても自らの意思を貫き、強く生きようとした女傑たちと同じ、不屈の魂が息づいているに違いありません! ←ちょっと大袈裟かもしれませんが(汗)
[気になる点]
物語が始終一貫して、三人称でボーの立場に寄り添う(彼女を肯定する)ように語られるため、時にボーの考えが独善的に感じられることもありました。ボーの言動は、作中の彼女の置かれた立場(父王は暗君で今は廃人同然、貴族は権力闘争に明け暮れるばかりで頼りにならず、むしろ王家にとって脅威)を考えれば、おおむね読者も共感・賛同できるものだと思うのですが、基本的に周囲の誰とも(一番身近にいるゾーイとも)相談せずに判断・行動するため、独りよがりと感じる読者もいるのではないでしょうか。平和と民主主義のぬるま湯に浸かってきた日本人ゆえの感想かもしれませんが、勇者様&ゾーイと三人でがんばる彼女を応援したくなる一方で、「宮廷内にも自分の理解者・支持者がいないか探して、相談してみては」とか「お忍びで城下町へ出て、民衆の声を聞いてみなさいよ。第2次世界大戦時のイギリス首相チャーチルさんだって、映画の中では地下鉄に乗って、民衆の意見を聞いたりしてるよ!(史実じゃないけど)」などとも思いました。

もう一つ、ボーは酒乱癖を除けば欠点らしい欠点のない有能王女様なので、安心してお話を読み進められる反面、幾分かわいげがないな……とも感じました。「冴えた判断ができるのはお酒に酔っているときだけで、酔いが醒めると頭が上手く回らず、肝心なときにピンチに陥ってしまう」などという二重人格的なキャラにすると、「あかん、ボーは酒が切れたらただのお嬢や! ピンチやで!!」みたいなドキドキ&ハラハラする場面もつくれて面白いのでは……と思うのですが、いかがでしょうか? ←一読者の意見です。

また、第13話の終盤に「懸命なカスであれば、ボーが何故このような「暴挙」に出たか理解していることだろう」という一文がありますが、「懸命」ではなく「賢明」ではないでしょうか。

[一言]
個人的には勇者様や、ボーが「最大の政敵」と見なすレオ軍務卿が、ボーのことを内心どう思っていたのかが気になりました。勇者様はボーと(言葉では)必要最低限の意思疎通を図るのがやっとのお方ですし、レオ軍務卿にいたっては台詞がなく、地の文で動向が語られるだけの人物なので、内心どんなことを考えているのか、細かいところまではわかりません。特にレオ軍務卿は、ボー寄りの三人称視点で綴られた地の文で、始終彼女にとっての排除すべき障害として語られ、自害に追い込まれたのは、物語の中での話とはいえ、ちょっぴり可愛そうでした。

最後に……はじめまして、中蟻喰様。当サイトの日陰者、諸葛亮と申します。『酒乱王女と蛮族勇者』、昨日拝読させていただきました。「気になる点」の欄にいろいろと細かいことを書いてしまいましたが、本作は歴史小説が持つ骨太さと昨今のライトノベルに見られる軽妙さを見事に融合させたような、魅力ある物語だと思います。今後、他の読者の意見も参考にブラッシュアップしていくことで、さらなる良作となるのではないかと自分は思います。わたくしの感想も、参考程度でいいので、今後の校正の際に役立てていただけますと光栄です。

それでは改めまして、新年の初めにとても面白い物語を読む機会をくださり、ありがとうございました! 
お互い創作、がんばりましょう!



ご感想、ありがとうございます。
多少なりとも、楽しんでいただけたようで幸いです。

ご指摘をうけましてレオにセリフがなかったことに初めて気づきました。
びっくりしました。

様々なご意見も今後に活かしていけたらと思います。

誤字のご指摘もありがとうございました。
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