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[良い点]
読了しました。
起伏に富んだ展開に大いに翻弄されました。特に中盤からの、一種の世界観的脱構築とでも申しましょうか、意表外のエクストラ・マトリョーシカを襲ねる手法には感嘆いたしました。とても読みごたえがありました。

何よりストーリーの構成によく工夫が施されていました。現実世界とバーチャル世界の二項共役的な構造の作品はよく見かけますが、その常套を脱したマトリョーシカ構造と、中盤の更なる脱構築。しばしば小説とはなんぞや、創作とはなんぞやといった考察が入っていて、このパート必要か?と疑問でしたが、それをあのような展開に運んだところにも小気味よい驚きを感じました。
会話文まで含めた行文の暢達ぶりも健在ですね。最後まで著しく筆が荒れた様子は見られませんでした。力まず弛まずの安定した筆力は良い点として挙げられるでしょう。

概ね満足した読後感をいただきました。完結おめでとうございます。
[気になる点]
誤字報告では伝えきれない措辞についての指摘をいくつか。

プロローグ「乗り合い馬車がゴトゴトと、心地よく小屋を揺らしている」など
馬車における旅客が搭乗する部分を「小屋」と呼称するのは違和感があります。小屋は、その躯体が地面に接している建物を言う際に用いる言葉ではないでしょうか。
シンプルに「客室」、または牛車の名所を準用して「屋形」ないし「車箱」などと呼称するのが適切だと思います。

プロローグ「度重なる狼藉には怒り心頭。」
文脈からすると「怒り心頭に発した」が正しい表現ですが、わざとコロキアルな表現として術語を省略したのであれば、それでも問題はないと思います。

プロローグ「私はをへぇと驚いた」
この「をへぇ」の「を」は衍字でしょうか?私には判断がつかないので、ここに報告しておきます。

第1話「その夜、犯人は被害者の葬儀に出席し」
この「葬儀」は「通夜」のことでしょうか?もし通夜ではなく、あくまで葬儀なのであれば、殺人事件の被害者の葬儀が死亡した即夜に執り行われるというのは考えにくい気がします。そもそも葬儀は日中に執り行われるのが一般的なような。
あるいは、ネストというゲームにおいて、司法解剖などの制度がなく、各種公的手続きも極めて簡略化されているという設定なのであれば、即夜に葬儀というのもあり得ないことはないかもしれません。

第1話「室井君は「私見を交えますか……」と先を続ける」
これは「私見を交えますが」の誤字でしょうか?判断がつかないので、これもここに報告しておきます。

最後に、全体を通して伯父と叔父の表記ゆれがありました。作中の記述からではどちらの表記が正しいか判然としなかったので、ここに報告しておきます。

以上です。失礼いたしました。
  • 投稿者: 孟 云去
  • 2021年 05月12日 03時11分
孟 云去さん

『ネスト』をお読み頂き、ありがとうございます!

『久遠のシオン』に引き続きの感想、そして数々のご指摘を頂きまして、本当に嬉しく思います!

どこか逸脱した作品を書きたいという思いから、このネスト(入れ子)構造の作品に着手したのですが、思っていた以上に大変で、我ながらよく最後まで書き上げることができたものだと思います……!

ご指摘頂いた点に関しましては、誤字・脱字と合わせて全て一つずつ確認の上、対応させて頂きたいと思います!

頂いたお言葉を励みに、これからも頑張りたいと思います!

改めまして、ありがとうございました!
  • 埴輪
  • 2021年 05月12日 07時53分
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