感想一覧

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[良い点]
ある程度先が読める感じではありましたが、全体的なストーリーは面白かったです。
アイリスが「自分の身体」なのにやけにアッサリ切り捨てるなあ、と思っていたので、最後にひとひねりあってハッピーエンドで終われたのはスッキリして良かったです。
[気になる点]
気になった点が3点ほど。

・「王配」の用語について
王配とは一般的に女王の配偶者たる男性に与えられる称号であり、「王妃」の対義語になります。作中でリゲル王子がアイリスに使ってますが、王となるリゲル(男性)の妻となる予定のアイリス(女性)に対する称号になるので、そこは普通に「王妃」でいいんじゃないかと。


・リゲルの新たな婚約者について
リゲルに対する断罪が「顔の醜いラフィーユとの婚約」というのが、ちょっと。なんだかまるで容姿で差別する譜ルッキズムを思い起こさせるので、不快に感じる読者さんもきっとおられると思います。
ラフィーユがそんな顔になってしまったのはアイリスを呪おうとして呪い返しに遭ったから、というのであれば、容姿よりも「競争相手を呪うような性根の曲がった女」という点を強調するほうがまだしも問題ないように感じます。容姿が醜いのはその結果であり、あくまでも「ついで」ということにすれば、話の流れとしてもそこまで変わらないように思います。


・「生命の欠片」について
一番気になるのはこれですね。
独自の世界観設定で物語の肝になる設定ですが、アイリスとライラが入れ替わったことによって非常にややこしくなってしまっています。

「生命の欠片」は魂の一部を母から受け継ぐものであり、魔法の素養や人格形成に影響を与えるとされ、母の欠片を受け継いだアイリスは魔力も強く人格も清くまっすぐです。一方で魔力のない叔母の欠片を移植されたライラは魔法耐性も弱く人品も卑しいと。それでアイリスが妹の人格を矯正してあるべき姿に戻そうと考えて転魂の魔法を使ったと。ここまでは矛盾なく理解できます。
ですが、魂だけ入れ替わったとして「生命の欠片」はどうなるのでしょう?後半部分でライラの性格が穏やかになっているあたり、ライラの魂が入っているアイリスの身体には「母の欠片」がそのまま在ると見るべきですが、ならばアイリスの魂が入っているライラの身体には、アイリスには合わないはずの叔母の欠片がそのまま残っているはずです。なのにアイリスの性格が変容した様子も、魔法の力が衰えた描写もありません。
ライラが合わなかったのなら双子の姉であるアイリスにも合わないはずで、そのあたりをどう設定してあるのかいまいち分かりませんし、アイリスがどう判断したのかも分かりません。自身のの変容を顧みず妹を救ったのなら見上げた覚悟ですが、どうもそのあたりをご都合主義的にウヤムヤになさっているように見えてしまいます。

あるいは、ラストシーンよりさらに未来でアイリスが本当にそうなってしまって、今度はライラがそれを救おうとする………みたいな続編があってもいい気はしますが、アイリスは何やら隣国の王子に見染められているようですし、ちょっとそのあたり「明るい未来」が待っているように思えないです。アイリスには叔母の欠片は影響しない、とか言うのであれば別ですが。


以上3点、特に下の2点がスッキリ解決できればいいなあ、と思います。お話自体はとても良かったので、余計に目についてしまいました。
[一言]
長々と失礼しました。
今後に活かして頂ければ幸いです。
  • 投稿者: 杜野秋人
  • 男性
  • 2022年 05月28日 11時53分
感想ありがとうございます。
参考にしつつ、変更させていただきました。
色々とご指摘くださり、どうもありがとうございました。
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