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[良い点]
ねっとりした悪意の描写が素晴らしい。恨みとか辛みとかじゃなくて、純粋な嗜虐っていうのが質悪いよね。主人公がラジオの生殺与奪を握った気分でいたのに、彼女に見つかって立場が反転する構図がとても好み!
[一言]
王道ホラーで、最後まで読み応えたっぷり。「波長が合う」って表現はホラーでは定番だけど、ラジオだからこれ、二重の意味で波長が合ってるんだね。上手いこと言ってるのは認めるが、歯のない紫のドヤ顔はどうかと思うんだ。怖すぎるから!
かなりいわくつきのブツみたいだけど、これたぶん祓えなかったんだろうなぁ。例の箱みたいに、保管して薄める作戦だったのかな。興味を示した時点で、既に呼ばれていたのかもしれない。ラスト、この後どうなったのか想像するのが怖いのは、見事な引きのテクニックのおかげだろうな。流石わかってる! 映像にしても映えそうだよねぇ。
本筋には関係ないけど、祖父ちゃんと坊さんの関係性が、何か好きですw 鵜狩さんの作品って、こういうモブが良い味出してるのが好きなのよね(*´艸`*)
面白かったです!

  • 投稿者: 雪麻呂
  • 2022年 08月22日 08時28分
 感想ありがとうございます。
 怨念怨恨ですらなく、「ただちょっと楽しいから」でやってくるこういうのが一等悪質だと思います。
 幼心のなんとない行為が時にひどい残酷となるように、した側の「ちょっと」が、される側にとってどれほどのことか、思いつきもしないのでしょう。
 いや作中のラジオ女は、そこを踏まえてなお楽しむ節がありますが。自分もかつてはされる側だったろうにね。

 とまれ拙作を王道ホラーと評していただけて嬉しく存じます。
 ラジオはご推察の通り、爺たちがなんとかしようとしてどうにもならなかったブツです。お寺さんより祖父さんの方が強かったので預かってました。ちゃんと隔離もしておいたのだけれど、子供は大人の目を盗んで入っちゃいけないとこに入るの得意ですからなぁ。
 あと語り手をロックオンした直後に邪魔されたので、そのぶん執着が増して手に負えなかったってのもあります。この手の人(?)種って、障害があればあるだけ勝手に盛り上がるから……。 

 ラストは、詳細に描写しても露悪的になるだけだど、想像できるだけの仕込みを撒いて敢えてぶつ切りにしました。
 そしてサイドに存在感があると世界に奥行きが出るとは常々思いますところ。そんな次第で仲良し爺どもを描いてみました。
 どちらもお褒めに与れ恐悦至極にございます。大変励みになりました。
[良い点]
ホラー描写がとてもお上手ですね。
背景がおどろおどろしく見えてとても良いです。
救いがないエンドもホラーならでは。
 感想ありがとうございます。
 描写をお褒めに与れ、大変嬉しく思います。ホラーを書く時は常に、「これ本当に怖い? 怖くなってる?」という感情につきまとわれるので、おどろおどろさを出せていたなら何よりなのです。
 ラストはこれ以上描写を入れても露悪的になるばかりだと、さっくりいかせてもらいました。こちらも無常の具合が醸せていいたならよいのですけれど。
[一言]
靄の後ろで、鷲掴みの体勢に入ってるじいさん幻視したのは自分だけかな?
  • 投稿者: 夢追い
  • 2022年 08月17日 14時29分
 今にも鷲掴みせんとする祖父さんと、それをにこにこ笑顔の腕組みで見守るお寺さん。
 そんな爺タッグが降臨してくれていたなら、まあ勝ち確もいいところだったのですけれど。
[良い点]
ド直球に恐ろしいホラーでした。本人に何の責任もないのに、たまたまチューニングが合っちゃっただけで(ラジオだけに!)災厄に見舞われるとはね……事実を知るお祖父ちゃんがいなくなって、さらにその葬儀で怨霊のテリトリーに戻ってしまうなんて、皮肉としか言いようがありません。
[一言]
お祖父ちゃん、曰くつきアイテムのコレクターだったのでしょうか。人助けのために預かっていたのかもしれませんが、そう考えると骨董部屋にあった「錆びた自転車」や「半ば焼けた木魚」なども何やら禍々しく思えてきます。主人公と相性がよかったのがたまたまラジオだったのでしょうね。
ラジオの持ち主で、悪い男に殺されたと思われる女の幽霊の造形が最高に怖いです。影のような全身に歯茎の腐った口腔、そして病み衰えた声帯と、長い時間で悪いモノに変わってしまったのだろうと感じられます。「ぷつん」という幕切れも、子供の頃の主人公がラジオの入切(=生殺)を楽しんでいたこととリンクしてぞっとしました。ほんとにねえ、お祖父ちゃん、さっさと粉砕廃棄しておけばよかったんですよ。
ラジオ女はこれで満足して成仏するのでしょうか。高齢化社会における終活の重要性を痛感いたしました。
  • 投稿者: 橘 塔子
  • 女性
  • 2022年 08月06日 15時19分
 こちらへの感想もありがとうございます。
 いつもながら各所を読み込んでいただけて、欣喜雀躍の心地です。
 タイトルや「チューニングが合ってしまったら」という感覚は、ご指摘通りラジオってテーマから引っ張り出してきました。
 そして先にも述べましたが、恐ろしいと仰っていただけるのが大変に嬉しい、嬉しい。

 祖父さん。
 パワフルでエネルギッシュな人だったので、昔からお寺さんと組んであれこれしてました。お寺さんの手に負えないものを預かったりもしていました。
 語り手が「大人の目を盗んで」離れに入っているのは、そういう事情だからです。
 大体は祖父さんがなんとかしてたわけですが、孫をロックオンしちゃったこいつばかりはどうにもならなかった模様。ご指摘通り、粉砕廃棄しておけばねぇ……。
 元々は被害者だからなんとかしてやりたいという仏心が、結果仇になった格好です。

 幽霊造形。
 ラジオといえば黒塗りにシルバーのスピーカー部分みたいなイメージがあるので、全体黒で喋る部分だけ明確な具合で仕立てました。
 こちらも怖いと仰っていただけて、そしてその由来に想像を巡らせていただけて大変嬉しく思います。

 ぷつん。
 作中で、「ぷつんと命とそれ以上の何もかもを失って、そのままこれに囚われる」と描写したのに加え、汲んでいただけました通り、子供の無邪気さで生殺を玩具に弄ぶイメージでした。
 これで切るのはわかりにくいかとも思ったのですが、被虐描写をねちねちやっても露悪的なばかり、ということで、ざっくり参りました。

 ちなみにラジオ女は満足なぞしませんが、帰宅した祖父ちゃん似でエネルギッシュは母上に、直感でラジオごと完膚なきまでに粉砕されるという俺設定です。
 語り手が久々に祖父さんちを訪れた時も、通夜の席でも、女がすぐさま手を出さなかったのはこの母親の存在があったから、みたいな裏設定なのです。
[一言]
怖かったこわかった。めっちゃ怖かったです。
夕焼けで染まった部屋に、子供とラジオという設定だけで、ぞわわときます。

チャイムで、「やった。たすかった」と脳内で小躍りをした私は甘ちゃんでした。まさかの展開に「ひいいいっ!」となりました。
お寺さん宅から戻ったお母さんのことを考えると……いたたまれません。
 ご高覧ありがとうございました。
 ホラーを書いていると自家中毒に陥って、「これ怖い? 本当に怖い?」となりがちなので、怖かったと仰っていただけてひと安心の心地です。
 夕暮れはホラーのみならずノスタルジックやリリカルといった、色んなシチュエーションで使える秀逸な色合いですよね。

 そしてチャイムからの流れも、上手く運びましたようでにんまりです。
 二度の怪は定番ではありますが、やはりこう、ガードが緩んだところを狙うのはホラーの定石と考えるのです。

 そしてお母さんは、やはりダメージが大きいでしょうね……。
 自分で書いておいてなんですが、対処しきれなかった祖父さんと、ここが一番後味悪い箇所であろうと思います。
[良い点]
「ざああああ」と、しゃべる怪異ですか。靄の中の歯のない、紫の歯茎の持ち主というのが、ホントにもう、えぐい相手だと想像力をかき立てますね。

結局、作中では謎は謎のまま終わるのですが、かえってモヤモヤさせてそれがいい。
僕がホラーを書くと、どうしても超自然現象を説明しすぎてしまうきらいがあり、むしろ嘘臭くなってしまいます。その匙加減がお手本のようでした。

読ませていただき、誠にありがとうございました^^
  • 投稿者: 尾妻 和宥
  • 男性
  • 2022年 08月03日 16時58分
 ホラーと短編は想像してもらうことが肝要と、憶測できそうな概要だけをばら撒いて全部は語らないスタイルです。
 書いている時はこれでちゃんと伝わるかどうかはらはらなのですが、本作ではが上手く機能しましたようで、匙加減をお褒めいただき嬉しく思います。

 徹底解明、解説系にも挑んでみたくはあるのですけれど、私的にその種の最高峰は京極夏彦さんなので、なかなかにハードルが高い。
 真相と人間心理を語り尽くした上で、そこに妖怪としか言えない感覚が立ち込めるあの筆は、本当に凄いと思うのです。

 話が少々逸れましたが、こちらこそご高覧とご感想、誠にありがとうございました。
[良い点]
わあああん!こわいよぉ!!
おじいちゃんとお寺さんがいい性格でニヤッとしちゃったり、ピンポンで助かったぁってなったあとに!!!
緩みにつけこんでくるのがホラーのだいごみ!涼しくなりました、ありがとうございます!
 ご高覧ありがとうございます。怖いと仰っていただけて何よりです。
 祖父さんとお寺さんは戦友みたいな感じなので、お互いいい性格として描きました。お気に召していただけてこれまた嬉しい限り。
 そして仰る通り、ガードを緩めたところにボディブローを叩き込むのがホラーの基本にして醍醐味。
 なのでぴんぽん関係は、そこらを意識した構成となっております。演出として上手く機能していたなら重畳至極にございます。
 重ねてになりますが、こちらこそご感想ありがとうございました。
[一言]
うああああん(´;ω;`)
お爺さんはどうしてこれを持ってたのでしょう。いわくつきと知りながら持っていたようだし、亡くなったのも、やはりこれのせいっぽいし……
起こしてくれてたのもお爺さんなのかな。
波長が合うのが良いこととは限らない……チューニングせずに合っちゃうものは、怖いですね。
  • 投稿者: ながる
  • 2022年 08月02日 21時43分
 ご高覧ありがとうございます。
 祖父さんはお寺さんより、色んな意味で強かったので、お寺さんの手に負えないものを離れに預かっておりました。
 語り手が「大人の目を盗んで」離れに入っていたのはこのためです。一応監視はしてたんですが、子供はそういうのすり抜けるの得意ですから……。
 仰る通り、波長が合うのがいいことばかりとは限りません。
 特にこのチューニングは、向こうから歩道に乗り込んで撥ねに来る自動車みたいなものですから、もう運が悪かったとしか申せません。 

 余談として裏設定を添えるなら、祖父さんの死はこのラジオとは無関係の天寿です。語り手が大学生になるまで余裕で抑え込んでました。ただまあ、後のことが上手くいかなかったという。
 そしてチャイムで語り手を起こしたのは、祖父さんでなくノイズ女です。
 お清めの塩を上がり框で撒かれてしまったので、そこまで語り手を誘き出した、ってな寸法です。
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