エピソード402の感想一覧
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魔界編くらいから後付け設定されたパーティー制度だから仕方ない部分もあるけど
今まで全く触れられてこなかったのに急に何度もパーティー制度って連呼されると違和感半端ない……
ヒジリとエクリプスの掛け合い何気に好きなんだよね
今では殆ど見ることが出来なくなったハイセに惚れる前のエクリプスを垣間見ることが出来るし
エクリプスとロウェルギアのハイセ心酔コンビも面白い
セイクリッドが絡まないキャラの掛け合いは本当に面白くて好き
インダストリーは『自分の命も楽しければそれでいいと差しだす』なんて言ってた時はこんな奴どうやって屈服させるんだって思ってたから拍子抜けした
テンポよく進んである程度納得できた展開だけどインダストリーが一気に小物化した上に戦闘描写が殆どなくて残念な気持ちもある
今まで全く触れられてこなかったのに急に何度もパーティー制度って連呼されると違和感半端ない……
ヒジリとエクリプスの掛け合い何気に好きなんだよね
今では殆ど見ることが出来なくなったハイセに惚れる前のエクリプスを垣間見ることが出来るし
エクリプスとロウェルギアのハイセ心酔コンビも面白い
セイクリッドが絡まないキャラの掛け合いは本当に面白くて好き
インダストリーは『自分の命も楽しければそれでいいと差しだす』なんて言ってた時はこんな奴どうやって屈服させるんだって思ってたから拍子抜けした
テンポよく進んである程度納得できた展開だけどインダストリーが一気に小物化した上に戦闘描写が殆どなくて残念な気持ちもある
エピソード402
インダストリーが小物化して残念。頼れる兄貴分だったレイノルドがチンケな間男になった流れと同じ。
ハイセ、エクリプス、ヒジリの活躍する場面がそろそろ欲しいところ。
ハイセ、エクリプス、ヒジリの活躍する場面がそろそろ欲しいところ。
エピソード402
ベレッタをクルクル回してホルスターにしまい、シム-ンの作ったナイフを抜いてインダストリーに接近……すると、サーシャもハイセの隣へ。
ナイフを作ったのってリネットでは?
ナイフを作ったのってリネットでは?
エピソード402
また戦闘を挟むよりもこういうシンプルな方が読みやすくて好きですね。
エピソード402
死者の蘇生ができるにしてもそう言うのはパーティ内での綿密な打ち合わせや互いの信頼が必須(こいつなら俺が死んでも必ず蘇生してくれる。一回しかできない大魔法や使いきりのアイテムで、クッソ金がかかっていて持ち逃げしたらボロ儲けだけど絶対やらないと言う信頼)。
作戦とするならこんなに雑に扱ってはいけないし、話の盛り上げ用ならもっと緊迫した場面で出すべき。
最大の問題は「他人に命を軽んじられた経験がある」ハイセが「仲間が死ぬ危険性」を容認した行動を取ったこと。
やるんだったら確実に成功するようにエクリプスに条件にあった魔法[首から下を凍りつかせたり拘束したりして行動の自由を奪うとか強烈な幻覚で意識を乗っとる]を準備させて確実に救助するまで自分の感情は押し込めておくべきだった。
助けた後に空条承太郎がダービー(弟)に右?ノウ、左?ノウ、オラオラですか?YES!YES!YES!、したみたいにボコれば納得できたんですが。
作戦とするならこんなに雑に扱ってはいけないし、話の盛り上げ用ならもっと緊迫した場面で出すべき。
最大の問題は「他人に命を軽んじられた経験がある」ハイセが「仲間が死ぬ危険性」を容認した行動を取ったこと。
やるんだったら確実に成功するようにエクリプスに条件にあった魔法[首から下を凍りつかせたり拘束したりして行動の自由を奪うとか強烈な幻覚で意識を乗っとる]を準備させて確実に救助するまで自分の感情は押し込めておくべきだった。
助けた後に空条承太郎がダービー(弟)に右?ノウ、左?ノウ、オラオラですか?YES!YES!YES!、したみたいにボコれば納得できたんですが。
エピソード402
“そう、誰よりもインダストリーに対し怒りを覚えていたのは、ハイセだったのだ。
レイノルドは止める立場だが、ハイセと並んでインダストリーに向かっていた。”
誰よりも怒りを覚えて、真っ先に飛び出すのは、レイノルドであってほしかったです。
ああ、そうか、蘇生係が居たんですね……。一度死なせる事に大した葛藤も無く、結局「そいつに人質の価値は無え」で解決するなら、始めからそれで良かったんじゃ…
レイノルドは止める立場だが、ハイセと並んでインダストリーに向かっていた。”
誰よりも怒りを覚えて、真っ先に飛び出すのは、レイノルドであってほしかったです。
ああ、そうか、蘇生係が居たんですね……。一度死なせる事に大した葛藤も無く、結局「そいつに人質の価値は無え」で解決するなら、始めからそれで良かったんじゃ…
エピソード402
>「わかった。この場合だけ、パーティー制度のルールを曲げよう」
後付設定にしても適当すぎるだろ・・・
メタ的には常に全員登場させたら執筆カロリーがとんでもないことになるから
後付パーティー制度を作ったんだろうが
後付設定にしても適当すぎるだろ・・・
メタ的には常に全員登場させたら執筆カロリーがとんでもないことになるから
後付パーティー制度を作ったんだろうが
エピソード402
あのクズ野郎レイノルドがなぜ自分の汚い行為を謝らなかったのか、それとも作者はヘイズをただの人間、神聖なるものの召使い、レイノルドと売春婦サーシャの間にロマンチックな状況を作り出すためだけに利用した人間として見ていないのだろうか。
目を覚ますと、大きな背中だった。
「お、起きたか」
「…………レイノルド?」
「おう。グースカ寝てたな。大丈夫か?」
「え、あ……」
現在、サーシャはレイノルドにおんぶされている。
慌てて下りると、ピアソラが抱きついてきた。
「あぁぁん!! サーシャ、平気? かすり傷も完璧に治したわ!! 痛くない? 大丈夫?」
「ピアソラ……お前が? というか、タイクーン、ロビンも」
「全く、心配をかけさせないでくれ」
「えへへ。みんなお仕事中断して、サーシャのところに駆けつけたの」
「みんな……」
レイノルドたちは、『サーシャがロランを助けに一人で濃霧の森に入った』と報告を聞いて、すぐに動き出した。
レイノルドは言う。
「クランになろうとも、オレたちはチーム『セイクリッド』だ。リーダーが動くんなら、オレたちも動くさ。それが仲間だろ?」
「レイノルド……」
「へへ、カッケェだろ?」
「ああ。ふふ……お前が助けてくれたんだな? ありがとう」
「気にすんな。運んだだけさ」
サーシャは、自分を助けた大きな背中がレイノルドと知り、嬉しくなった。
そして、ハッとなる。
「待て、ロランは!? まさか、まだ森に」
「ううん。ロランはプレセアが助けたよ。森の入口近くでサーシャと一緒にロランも倒れてたの」
「そう、なのか? プレセアは?」
「帰っちゃった。たまたま近くにいただけみたい」
「……そうか」
もしかすると、ハイセもいたのだろうか?
サーシャはそんなことを考え、濃霧の森がある方角を見た。
◇◇◇◇◇
「ね、いいの?」
「何が」
「サーシャを助けたの、ハイセだって言わないの? 気を失っちゃったロランと一緒にして、私が引き渡すだけなんて」
「いいんだよ。いちいち言うことでもないし、余計に感謝されるの面倒くさい」
「そ。まぁいいけど」
ハイセは一足早く、王都へ戻ってきた。
サーシャを助けた後プレセアの元へ戻ると、緊張の糸が切れて気を失ったロランがいた。ハイセはサーシャをプレセアに任せ、一足先に王都へ。すると、二人を引き渡したプレセアも合流した。
向かっているのは、冒険者ギルド。
ガイストに、サーシャを助けたこととレイノルドたちに任せたことを説明する。
「そうか、無事だったか……よかった」
ガイストは安心していた。
そして、ハイセはアイテムボックスからいくつか回収した『モノ』を出す。
「ガイストさん、ちょっと気になったことが」
「む?」
「これを。あと、以前俺に教えてくれた、S級冒険者の『能力』について何ですけど……」
「…………」
ハイセはガイストから話を聞き、回収した『モノ』と照らし合わせ、確信。
その確信をガイストに説明すると、ガイストは頭を押さえた。
「…………そう、か」
「ガイストさん、そいつを呼びだせますか?」
「……可能だ」
「お願いします」
「…………」
ガイストは無言でうなずき、ベテラン受付嬢を呼んで手紙を書き始めた。
◇◇◇◇◇
「……チッ、来たか」
「頭?」
「ギルドの出頭命令だ。場所は……あぁん? なんで郊外の森?」
「行くんですかい?」
「ああ。ギルドの呼び出しは無視できねえ。まあぁ、大したことねぇだろ」
「へい。じゃあ、気を付けて」
呼びだされたS級冒険者ことケイオスは、軽い気持ちで呼びだし場所へ向かった。
そこで待っていたのは、ガイストではない。
漆黒のコート、眼帯を付けたS級冒険者ハイセ。
ハイセはアイテムボックスから『モノ』を出して投げる。
カランと、ケイオスの目の前に『柵』が投げられ、転がった。
「この柵、腐食毒が塗られてるそうだ」
ケイオスの前に立つのはハイセ。
わざわざケイオスをハイベルグ王国郊外にある森に呼んだ。
来る方も来る方だが、ケイオスは何も言わずにハイセを見る。
「お前の能力は『毒ヴェノム』……毒の体液を出せるんだったな。ガイストさんから聞いたよ。それをナイフや武器に付与して戦うのが戦闘スタイル、だったか?」
「……で?」
「ロランは言ってた。誰かに殴られたって……そもそも、ロランたちが受けた依頼もおかしい。あいつらは薬草採取がメインで、危険度が高い濃霧の森に来るなんてあり得ないんだよ。濃霧の森には薬草なんて生えていないしな。誰かが情報を操作し、あいつらが受けるように仕向けて、ロランを置き去りにするよう、森で潜んでいた誰かがロランを陥れた」
「…………」
「サーシャだけが自由に動ける状況でだ。レイノルドたちがクランに不在である時間帯を狙って、サーシャだけが森に行くように仕向けた。で……サーシャが腐った手すりを掴んで谷底に落下するように仕向けた」
「…………まさか、それがオレだとでも?」
ケイオスはニヤニヤしながら首を傾げた。
認めるには、証拠が弱い。
「手すりに毒が付いてたからってオレが犯人だとでも? 戦闘中、飛び散った毒がたまたま手すりにくっついいただけだろ? だったら、手すりのチェックを怠った冒険者ギルドに非があるだろうよ。しかも、腐った手すりを掴んで谷底に落ちたのはサーシャだろう? 前方不注意もオレのせいかぁ?」
「…………」
「こんな郊外まで呼びだして、ドジ踏んだサーシャは陥れられた、その犯人はオレです……ってか? おいガキ、S級冒険者だからって、そんな言い掛かり付けていいのか?」
「言い掛かりじゃない。犯人はアンタだ」
「証拠もなしにンなこと言うのかねぇ? 随分と傲慢だなぁオイ。禁忌六迷宮を踏破した冒険者サマはよぉ?」
「…………」
「まぁいい。用事はそれだけなら、帰らせてもらうぜ」
ケイオスはニヤニヤしながら振り返ると、手を振った。
すると、ハイセはアイテムボックスから、別の『柵』を放り投げる。
ケイオスの頭上を通過し、ケイオスの目の前で転がった。
「チッ……ンだよガキ、まだあんのか?」
「その柵、よく見て見ろよ」
「あぁ?」
その柵は、やはり腐食毒が塗られていた。
最初の柵と同じ。
だが───ケイオスはギョッとした。
「な……ッ」
その柵には、『折れたナイフの先端』が突き刺さっていた。
「サーシャの傍に落ちてた柵だ。アンタのナイフ、先端部分が刺さってる。アンタ……自分の能力を使って柵に切りこみ入れたんだろ? その時、ナイフが折れたんだよ。安物使うからこうなるんだ、バカめ」
「う、嘘だ!! オレのナイフは折れちゃいねぇ!! 柵削って毒流し込んだ程度で折れる安物使うワケねえぇだろうが!! ちゃんと確認───……」
ケイオスはハッとなる口を押さえた……が、もう遅かった。
ハイセはニヤニヤする。
「ちゃんと確認、ね……ガイストさん、聞きました?」
「ッ!?」
「ああ、聞いた」
すると、ケイオスの背後からガイストが現れた。
ゾッとするような、冷たい殺気を放っている。
ハイセは続ける。
「ああ、その折れたナイフは俺がやった。安心しろよ、お前のナイフは折れちゃいない。まぁ……間抜けっぷりは晒したけどな」
「て、テメェ……!!」
「腐食毒って聞いて、すぐにアンタを連想したよ。でも、柵だけじゃ証拠が弱かった。だから……アンタを嵌めることにしたんだ。絶対にボロ出すと思ったよ」
「く、っく……」
「アンタが、濃霧の森の柵に細工して、ロランを餌にサーシャをおびき寄せて、罠に嵌めた犯人だ」
「───……っく、クソが!!」
ケイオスはナイフを抜くと、ハイセに向かって来た。
ハイセはデザートイーグルを二丁構えるが、音もなくガイストがハイセとケイオスの間に割り込んだ。
そして、蛇のような腕の動きでケイオスの手首を掴んでねじり上げてナイフを落とし、股間、腹、首に高速の前蹴りを叩きこみ、最後に掌底を顎に叩きこんだ。
「大馬鹿者が」
冷たく言い放つと、ケイオスは地面に倒れた。
完全に気を失っていた。
何もできなかったハイセは、唖然としてガイストの背中を見つめていた。
サーシャの一閃、ヒジリの金剛の拳による叩きつけが真正面から激突し、閃光が輝いた。
意外なことに、衝突の音がしなかった。
どういう原理なのか、サーシャとヒジリの間には輝きだけがあり、金剛の拳と黄金の聖剣が激突し、力が反発し合っても音がしない。
眩しくて何も見えないが───ハイセは見た。
サーシャの黄金が消えかけ、ヒジリの金剛の拳に亀裂が入り……一気に爆ぜた。
ハイセは飛び出した。
「───っ」
だが、見えない。
ヒジリがどこに飛んだのか、サーシャがどこに飛んだのか。
飛び出した先に、どっちがいるのか。
ハイセは、自分の直感を信じ、手を伸ばした。
そして、その手が掴んだのは。
「───……ぅ」
サーシャだった。
完全に気を失っていた。だが、剣を手放していない。
閃光が消え、近くにヒジリも倒れていた。
サーシャの聖剣は、あれだけの衝撃にも拘わらず傷一つ、亀裂一つなかった。
だが、身体は酷かった。鎧は砕け、鎧下も引き裂かれ素肌が見えている。だが、大きな胸は抉れて血塗れになり、裸とは別の意味で目を反らしたくなった。右腕も砕けているのか、骨が一部飛び出している。
ぐったりするサーシャをそっと地面に置き、ヒジリを抱き起す。
「あ、アタしの……か、ち……っ」
ボロボロのヒジリ。
両腕が砕けているのか、肘から指先まで赤黒くなり、パンパンに腫れている。
全身ボロボロで血塗れだ。それでも、ヒジリの眼はギラギラしていた。
勝利への執念……ハイセは手を上げ、ガイストたちに言う。
「この勝負、ヒジリの勝利だ!!」
こうして───サーシャとヒジリの戦いは、ヒジリの勝利で幕を閉じた。
◇◇◇◇◇◇
意識のあるヒジリと、完全に気を失ったサーシャ。
勝負の結果は、ここにあった。
アポロンが杖でサーシャを軽く叩くと、傷と衣類、鎧まで完全に修復された。同じく、ヒジリの傷もアポロンによって完治する。
傷が治ると、二人は目を覚ました。
「サーシャ!!」
「む……レイノルド?」
「あぁあぁん!! サーシャ、無事でよかったぁぁぁぁん!!」
「ピアソラ……それに、タイクーン、ロビン?」
「お疲れ、サーシャ」
「お疲れ様。もうすごかったよぉ~!!」
仲間に囲まれ、サーシャは立ち上がる。
サーシャは、すでに立ち上がっているヒジリを、そしてハイセを見た。
「この勝負、ヒジリの勝利だ。最後の一撃、サーシャは完全に気を失っていたけど、ヒジリは意識があった。勝利への執念……ヒジリの方が上だったな」
「……そう、か」
目を覚ますと、大きな背中だった。
「お、起きたか」
「…………レイノルド?」
「おう。グースカ寝てたな。大丈夫か?」
「え、あ……」
現在、サーシャはレイノルドにおんぶされている。
慌てて下りると、ピアソラが抱きついてきた。
「あぁぁん!! サーシャ、平気? かすり傷も完璧に治したわ!! 痛くない? 大丈夫?」
「ピアソラ……お前が? というか、タイクーン、ロビンも」
「全く、心配をかけさせないでくれ」
「えへへ。みんなお仕事中断して、サーシャのところに駆けつけたの」
「みんな……」
レイノルドたちは、『サーシャがロランを助けに一人で濃霧の森に入った』と報告を聞いて、すぐに動き出した。
レイノルドは言う。
「クランになろうとも、オレたちはチーム『セイクリッド』だ。リーダーが動くんなら、オレたちも動くさ。それが仲間だろ?」
「レイノルド……」
「へへ、カッケェだろ?」
「ああ。ふふ……お前が助けてくれたんだな? ありがとう」
「気にすんな。運んだだけさ」
サーシャは、自分を助けた大きな背中がレイノルドと知り、嬉しくなった。
そして、ハッとなる。
「待て、ロランは!? まさか、まだ森に」
「ううん。ロランはプレセアが助けたよ。森の入口近くでサーシャと一緒にロランも倒れてたの」
「そう、なのか? プレセアは?」
「帰っちゃった。たまたま近くにいただけみたい」
「……そうか」
もしかすると、ハイセもいたのだろうか?
サーシャはそんなことを考え、濃霧の森がある方角を見た。
◇◇◇◇◇
「ね、いいの?」
「何が」
「サーシャを助けたの、ハイセだって言わないの? 気を失っちゃったロランと一緒にして、私が引き渡すだけなんて」
「いいんだよ。いちいち言うことでもないし、余計に感謝されるの面倒くさい」
「そ。まぁいいけど」
ハイセは一足早く、王都へ戻ってきた。
サーシャを助けた後プレセアの元へ戻ると、緊張の糸が切れて気を失ったロランがいた。ハイセはサーシャをプレセアに任せ、一足先に王都へ。すると、二人を引き渡したプレセアも合流した。
向かっているのは、冒険者ギルド。
ガイストに、サーシャを助けたこととレイノルドたちに任せたことを説明する。
「そうか、無事だったか……よかった」
ガイストは安心していた。
そして、ハイセはアイテムボックスからいくつか回収した『モノ』を出す。
「ガイストさん、ちょっと気になったことが」
「む?」
「これを。あと、以前俺に教えてくれた、S級冒険者の『能力』について何ですけど……」
「…………」
ハイセはガイストから話を聞き、回収した『モノ』と照らし合わせ、確信。
その確信をガイストに説明すると、ガイストは頭を押さえた。
「…………そう、か」
「ガイストさん、そいつを呼びだせますか?」
「……可能だ」
「お願いします」
「…………」
ガイストは無言でうなずき、ベテラン受付嬢を呼んで手紙を書き始めた。
◇◇◇◇◇
「……チッ、来たか」
「頭?」
「ギルドの出頭命令だ。場所は……あぁん? なんで郊外の森?」
「行くんですかい?」
「ああ。ギルドの呼び出しは無視できねえ。まあぁ、大したことねぇだろ」
「へい。じゃあ、気を付けて」
呼びだされたS級冒険者ことケイオスは、軽い気持ちで呼びだし場所へ向かった。
そこで待っていたのは、ガイストではない。
漆黒のコート、眼帯を付けたS級冒険者ハイセ。
ハイセはアイテムボックスから『モノ』を出して投げる。
カランと、ケイオスの目の前に『柵』が投げられ、転がった。
「この柵、腐食毒が塗られてるそうだ」
ケイオスの前に立つのはハイセ。
わざわざケイオスをハイベルグ王国郊外にある森に呼んだ。
来る方も来る方だが、ケイオスは何も言わずにハイセを見る。
「お前の能力は『毒ヴェノム』……毒の体液を出せるんだったな。ガイストさんから聞いたよ。それをナイフや武器に付与して戦うのが戦闘スタイル、だったか?」
「……で?」
「ロランは言ってた。誰かに殴られたって……そもそも、ロランたちが受けた依頼もおかしい。あいつらは薬草採取がメインで、危険度が高い濃霧の森に来るなんてあり得ないんだよ。濃霧の森には薬草なんて生えていないしな。誰かが情報を操作し、あいつらが受けるように仕向けて、ロランを置き去りにするよう、森で潜んでいた誰かがロランを陥れた」
「…………」
「サーシャだけが自由に動ける状況でだ。レイノルドたちがクランに不在である時間帯を狙って、サーシャだけが森に行くように仕向けた。で……サーシャが腐った手すりを掴んで谷底に落下するように仕向けた」
「…………まさか、それがオレだとでも?」
ケイオスはニヤニヤしながら首を傾げた。
認めるには、証拠が弱い。
「手すりに毒が付いてたからってオレが犯人だとでも? 戦闘中、飛び散った毒がたまたま手すりにくっついいただけだろ? だったら、手すりのチェックを怠った冒険者ギルドに非があるだろうよ。しかも、腐った手すりを掴んで谷底に落ちたのはサーシャだろう? 前方不注意もオレのせいかぁ?」
「…………」
「こんな郊外まで呼びだして、ドジ踏んだサーシャは陥れられた、その犯人はオレです……ってか? おいガキ、S級冒険者だからって、そんな言い掛かり付けていいのか?」
「言い掛かりじゃない。犯人はアンタだ」
「証拠もなしにンなこと言うのかねぇ? 随分と傲慢だなぁオイ。禁忌六迷宮を踏破した冒険者サマはよぉ?」
「…………」
「まぁいい。用事はそれだけなら、帰らせてもらうぜ」
ケイオスはニヤニヤしながら振り返ると、手を振った。
すると、ハイセはアイテムボックスから、別の『柵』を放り投げる。
ケイオスの頭上を通過し、ケイオスの目の前で転がった。
「チッ……ンだよガキ、まだあんのか?」
「その柵、よく見て見ろよ」
「あぁ?」
その柵は、やはり腐食毒が塗られていた。
最初の柵と同じ。
だが───ケイオスはギョッとした。
「な……ッ」
その柵には、『折れたナイフの先端』が突き刺さっていた。
「サーシャの傍に落ちてた柵だ。アンタのナイフ、先端部分が刺さってる。アンタ……自分の能力を使って柵に切りこみ入れたんだろ? その時、ナイフが折れたんだよ。安物使うからこうなるんだ、バカめ」
「う、嘘だ!! オレのナイフは折れちゃいねぇ!! 柵削って毒流し込んだ程度で折れる安物使うワケねえぇだろうが!! ちゃんと確認───……」
ケイオスはハッとなる口を押さえた……が、もう遅かった。
ハイセはニヤニヤする。
「ちゃんと確認、ね……ガイストさん、聞きました?」
「ッ!?」
「ああ、聞いた」
すると、ケイオスの背後からガイストが現れた。
ゾッとするような、冷たい殺気を放っている。
ハイセは続ける。
「ああ、その折れたナイフは俺がやった。安心しろよ、お前のナイフは折れちゃいない。まぁ……間抜けっぷりは晒したけどな」
「て、テメェ……!!」
「腐食毒って聞いて、すぐにアンタを連想したよ。でも、柵だけじゃ証拠が弱かった。だから……アンタを嵌めることにしたんだ。絶対にボロ出すと思ったよ」
「く、っく……」
「アンタが、濃霧の森の柵に細工して、ロランを餌にサーシャをおびき寄せて、罠に嵌めた犯人だ」
「───……っく、クソが!!」
ケイオスはナイフを抜くと、ハイセに向かって来た。
ハイセはデザートイーグルを二丁構えるが、音もなくガイストがハイセとケイオスの間に割り込んだ。
そして、蛇のような腕の動きでケイオスの手首を掴んでねじり上げてナイフを落とし、股間、腹、首に高速の前蹴りを叩きこみ、最後に掌底を顎に叩きこんだ。
「大馬鹿者が」
冷たく言い放つと、ケイオスは地面に倒れた。
完全に気を失っていた。
何もできなかったハイセは、唖然としてガイストの背中を見つめていた。
サーシャの一閃、ヒジリの金剛の拳による叩きつけが真正面から激突し、閃光が輝いた。
意外なことに、衝突の音がしなかった。
どういう原理なのか、サーシャとヒジリの間には輝きだけがあり、金剛の拳と黄金の聖剣が激突し、力が反発し合っても音がしない。
眩しくて何も見えないが───ハイセは見た。
サーシャの黄金が消えかけ、ヒジリの金剛の拳に亀裂が入り……一気に爆ぜた。
ハイセは飛び出した。
「───っ」
だが、見えない。
ヒジリがどこに飛んだのか、サーシャがどこに飛んだのか。
飛び出した先に、どっちがいるのか。
ハイセは、自分の直感を信じ、手を伸ばした。
そして、その手が掴んだのは。
「───……ぅ」
サーシャだった。
完全に気を失っていた。だが、剣を手放していない。
閃光が消え、近くにヒジリも倒れていた。
サーシャの聖剣は、あれだけの衝撃にも拘わらず傷一つ、亀裂一つなかった。
だが、身体は酷かった。鎧は砕け、鎧下も引き裂かれ素肌が見えている。だが、大きな胸は抉れて血塗れになり、裸とは別の意味で目を反らしたくなった。右腕も砕けているのか、骨が一部飛び出している。
ぐったりするサーシャをそっと地面に置き、ヒジリを抱き起す。
「あ、アタしの……か、ち……っ」
ボロボロのヒジリ。
両腕が砕けているのか、肘から指先まで赤黒くなり、パンパンに腫れている。
全身ボロボロで血塗れだ。それでも、ヒジリの眼はギラギラしていた。
勝利への執念……ハイセは手を上げ、ガイストたちに言う。
「この勝負、ヒジリの勝利だ!!」
こうして───サーシャとヒジリの戦いは、ヒジリの勝利で幕を閉じた。
◇◇◇◇◇◇
意識のあるヒジリと、完全に気を失ったサーシャ。
勝負の結果は、ここにあった。
アポロンが杖でサーシャを軽く叩くと、傷と衣類、鎧まで完全に修復された。同じく、ヒジリの傷もアポロンによって完治する。
傷が治ると、二人は目を覚ました。
「サーシャ!!」
「む……レイノルド?」
「あぁあぁん!! サーシャ、無事でよかったぁぁぁぁん!!」
「ピアソラ……それに、タイクーン、ロビン?」
「お疲れ、サーシャ」
「お疲れ様。もうすごかったよぉ~!!」
仲間に囲まれ、サーシャは立ち上がる。
サーシャは、すでに立ち上がっているヒジリを、そしてハイセを見た。
「この勝負、ヒジリの勝利だ。最後の一撃、サーシャは完全に気を失っていたけど、ヒジリは意識があった。勝利への執念……ヒジリの方が上だったな」
「……そう、か」
エピソード402
「ハイセ。お前……ディザーラ王国への報告、すっぽかしたな?」
冒険者ギルド。
入るなり、新人受付嬢が大騒ぎ。ギルド内がハイセに注目し始めた頃、ガイストが現れギルマス部屋へ。
「ガイストさん、久しぶりなのに、会うなりそれですか……」
「よくやった、と褒めてやりたいがな。ハイセ……ディザーラ王国が、禁忌六迷宮を踏破した冒険者として、お前をパーティーに招待したいそうだ」
「パスで」
「そう言うと思った。一応、ディザーラギルドのシャンテが「負傷により故郷のハイベルク王国へ帰った」と言い訳したようだがな」
「ええ……なにその言い訳」
「それと、『巌窟王』のクランマスターも、お前がサボったフォローをしたようだぞ? というか……普通はあり得んからな。ディザーラ王国が管理する禁忌六迷宮をクリアした冒険者が、挨拶もせずに翌日に帰るなんて」
「うぐ……」
久しぶりのガイストの説教は、やはり堪える。
だが、ガイストは笑って言った。
「だが、よくやったぞハイセ。まさか……一人で、デルマドロームの大迷宮を踏破するとは」
「…………」
ふと、ハイセの頭をよぎる……カオスゴブリンの男。
魔獣と組んで踏破した。そう言ってもいいが、面倒になる気がした。
が……ガイストにだけは、噓をつきたくなかった。
「俺だけじゃないです」
「……なに?」
「もう一人いました。そいつがいなかったら、俺は死んでたかもしれない」
「……仲間、か?」
「いえ。最初は敵でしたけど、勝手にくっついて来ました」
「は?」
説明が難しいので、ハイセはそれ以上説明しなかった。
すると、ドアがノックされる。
入ってきたのは、新人受付嬢……さすがに半年経過しているので新人ではない……だった。
ちなみに、名前はミイナ。
「失礼します!! ハイセさん、あの金色の魔獣の査定、終わったんですけど……」
「ああ」
「えーっと……その、素材がどれも未知の素材で、金額がとんでもないことになっちゃって……ディザーラ王国にも卸したんですよね? あっちではいくらだったんですか?」
「あっちは寄付したからわからん」
「き、寄付……で、ハイセさんに素材のお金を渡すと、ギルドの金庫が空っぽになっちゃうので……というか、それでも足りないというか」
「あの蛇、そんなに高いのか。全部だと四つあるけど」
「えぇぇぇぇ!?」
討伐後にヤマタノオロチの生首は六つ残っていた。
そのうち一つはチョコラテが装備として使い、二つは粉々になったようで、残りの五つはなんとか回収できたのだ。バンカーバスターを身体に受け、爆破の衝撃で首が千切れ飛んだ結果だった。
「えーと……そういうことなので、ギルドじゃなくてハイベルク王国が買い取ることになりました。あの蛇の鱗で、王様専用の黄金鎧と剣を作るって」
「ま、好きにしてくれ」
「なので、お金はもう少々お待ちください」
「ああ」
「あのー……人生二十回くらい遊んで暮らせるお金になりますけど、使い道は?」
「……特にない」
「じゃあじゃあ、あたしにご飯奢ってくださいよ。今話題のS級冒険者とご飯!! なんかすっごく特別な感じしません? あ、デートですデート」
「ガイストさん、今夜一杯どうです?」
「無視ぃ!? ハイセさん酷い、ひどすぎる!!」
「わ、わかった、わかったから引っ張るなっての」
ミイナに腕を掴まれグイグイ引かれる。
ガイストは苦笑していた。
ハイセはミイナに腕を掴まれたまま言う。
「ガイストさん。今夜一杯ってのは本気ですけど、どうです? こいつと二人とか普通に嫌だし」
「はぃぃぃ? ハイセさんひどい!!」
「ああ、構わんぞ。それとミイナ、玉の輿を狙うならハイセはやめておけ」
ハイセがジトーッと見ると、ミイナはパッと離れた。
「やだなぁ~、そんなわけないじゃないですか」
「ガイストさん、やっぱ二人で行きましょう」
「わーわー!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
ミイナは、ハイセの腕に掴まりガクガク揺らした。
すると、ギルマス部屋のドアがノックされる。
「失礼します。ガイストさん、S級冒険者『銀の戦乙女ブリュンヒルデ』サーシャ、帰還の報告、を……ぁ」
「……よう」
サーシャだった。
後ろには、レイノルド、タイクーン、ピアソラ、ロビンがいる。
ハイセは、腕にミイナがしがみついているという状態で軽く手を上げた。
サーシャは、ミイナをチラッと見る。
「……随分と、仲がいいようだな」
「そりゃマブダチですから!!」
「うるさい。というか離れろ。仕事に戻れ。消えろ」
「ひどいっ、でも仕事には戻りますー!! ではハイセさん、夜にお会いしましょうっ」
ミーナはビシッと敬礼して部屋を出た。
サーシャは、久しぶりに会うハイセを見て言う。
「半年ぶりか。ハイセ」
「ああ」
すると、ピアソラがニヤニヤしながら言う。
「ふふぅん……で? いきなり女性と夜の約束とは、ずいぶんとお盛んなことねぇ」
「ピアソラ……お前、生きてたんだな。てっきり死んだのかと。お前、弱いし」
「はぁぁぁぁぁ!? テメェ、舐めんじゃ「ピアソラ」……むぅ」
「すまないな。その……お前が生きてて、安心したぞ」
「ああ、ありがとな」
ハイセは立ち上がる。
すると、レイノルドと目が合った。
「よう、ハイセ」
「ああ、レイノルド」
「……髪、延びたな」
「一人じゃ切れない。まぁ、そのうち切る」
「そうかい。あー、サーシャ、オレの髪、また任せていいか? ダンジョンの中でやってくれたようにな」
「何? だが、私より散髪屋に任せた方が」
「いい。お前の腕が気に入ってんだよ」
「……まぁ、いいが」
「おう。っと……悪いな、会話の途中に」
「いや……じゃ、ガイストさん、また」
そう言い、ハイセが部屋を出ようとすると、ロビンがハイセの手を掴んだ。
「ハイセ、待って!!」
「っと……ロビン?」
「あのね、あたしたち、近いうちにパーティー開くの。禁忌六迷宮をクリアしたお祝い!! ね、ハイセも来て!!」
「……は?」
「ハイセも一緒にパーティーやろ!! あたしがお祝いしたいの!!」
「……お前がそうでも、他の連中が嫌がるだろ」
レイノルド、ピアソラ、そしてタイクーン。
タイクーンは、手に何かを持っていた。
「ん? タイクーン……その本、『コダイ、リョコウキ』?」
「───!? ハイセ、この本が読めるのか!?」
「あ、ああ。読めるけど……」
「……素晴らしい。ハイセ、個人的な想いはあるだろうが、ボクに古代文字を教えてくれないか? どういう経緯で、ハイセが文字を知ったのかも知りたい。ああ、もちろん報酬は支払お「待て待て待て!! ったくもう……落ち着けタイクーン」
レイノルドが割り込んだ。
そして、サーシャの隣に立ち、言う。
「悪いなハイセ。これから、ガイストさんに報告がある。席を外してくれないか」
「……わかった」
「あ……」
サーシャが手を伸ばすが、ハイセは部屋を出てしまった。
半年ぶり───この時間が、ハイセやサーシャだけではない、レイノルドたちとの関係を、再びギクシャクさせるには十分な時間だった。
エピソード402
作者がヘイズとあの卑怯なゴミレイノルドとの友情を強要することに固執する理由が分からないし、彼は自分の行動について謝罪すらしていない。
それは不快なエピソードだった。
以下はレイノルズ氏の発言の一部です。
「レイノルド。相変わらず立派な『守護士ガードナー』だな。不都合なことからも、主人をしっかり守ってる」
「もう黙れ。何度も言うが、お前を追放したのは、お前が弱かったからだ。なんの能力も持たないお前じゃ、オレたちに着いてこれないから追放したんだよ。その優しさを理解できないお前なんて、もうこのチームは必要としていない」
「あっそ」
パーティーが終わり、サーシャたちはクランへ戻った。
依頼に関して、サーシャではなくレイノルドが中心となり決める。チーム『セイクリッド』のリーダーはサーシャだが、今回に関してはレイノルドが臨時リーダーとして依頼を進めることになる。
サーシャはドレスを脱ぎ、普段着に着替え自室のソファに座る。
すると、部屋のドアがノックされた。
『サーシャ、いるか?』
「レイノルドか」
ドアを開けると、ラフな普段着に着替えたレイノルドがいた。
手にはワインボトルと、グラスが二つ。
「ちょっと付き合ってくれ。話ばかりで飲み足りなくてな」
「ふふ、構わんぞ」
場所を変え、空き部屋のテラスで飲むことに。
サーシャはワインを開けると、レイノルドのグラスへ注ぐ。
自分のグラスにはレイノルドが注いでくれた。
「じゃ、乾杯」
レイノルドがグラスを掲げ、サーシャも掲げる。
一口飲むと、まろやかな味わいが広がり、サーシャは口元を押え驚いた。
「おいしい……! いいワインだな」
「だろ? 祝い用のとっておきだ。さ、飲め飲め」
「ああ、ありがとう」
しばし、ワインを飲む二人。
ボトルが半分ほどになると、レイノルドがグラスを置いた。
「思えば、お前との付き合いも長いな」
「……ああ。私とハイセが十三歳だったか? お前のいたチームが解散して、新しいチームを探していた時期、だったかな」
「ああ。新人二人が楽しそうに依頼掲示板の前ではしゃいでるの見て、お兄さんとして新人の面倒見てやろうと声かけたのが始まりだったか。ははっ、驚いたぜ……お前もハイセも、『マスター』の能力持ちだってわかったからな。むしろこっちからお願いしてチーム入りしたもんだ」
「でも、お前には助けられた。当時の私とハイセは、防御面で圧倒的な不安があったからな。チーム『セイクリッド』は、お前がいなければ早々に終わっていただろう」
「おだてすぎだって。その後、ピアソラとタイクーン、ロビンと加入し……ハイセが抜けた。ハイセには悪いが、チーム『セイクリッド』はハイセが抜けて初めて『完成』したってオレは思う」
「…………」
「な、サーシャ」
「……ん?」
「前にも聞いたけどよ、お前……ハイセのこと、どう思ってるんだ?」
「…………わからん」
「ま、そう答えるだろうな」
レイノルドは、自分のグラスにワインを注ぎ、サーシャのグラスに注ごうとボトルを向ける。
「オレは、お前のこと好きだぜ」
「…………え」
「一人の男として、な」
そう言い───レイノルドは微笑み、サーシャのグラスにワインを注いだ。
気持ち
「どういうつもりだレイノルド!! その……こ、恋人、とか」
「別にいいだろ。ハイセも気にしてなさそうだったし」
古商業区にある、小さな個室カフェの二階。
中央から少し外れた場所にあるここは、二人きりで話をするのに最適な場所。レイノルドと一緒に入ったサーシャは、注文したアイスティーが届くなりレイノルドに言う。
「っその、恋人……」
顔を赤くし、うつむき、唇をキュッと結び、右手の指で銀髪をくるくる巻きながらモジモジするサーシャ……はっきり言って、めちゃくちゃ可愛い。
レイノルドはそんなサーシャに見惚れつつ、聞いた。
「なぁサーシャ。お前、ハイセのことが好きなのか?」
「ッッッ!? ななな、なんでそうなる!! っ私は、ハイセをチームから追放したんだぞ!? それだけじゃない……結果的に、私がもたらした情報でハイセは死にかけた。私は、あいつを裏切ったんだぞ!? 好きとか嫌いとか」
「追放したのは、戦いに付いてこれないハイセを守るためだろ。ってかそうじゃねぇ。好きか嫌いか、だ。幼馴染で、ガキの頃から一緒だったんだろ?」
「……それは、まあ、嫌いではない。私は嫌われているだろうけど」
「…………はぁ」
どう見ても、好きだった。
恋……なのかは、わからない。
だが、友人、幼馴染以上の感情はありそうだった。
もちろん、レイノルドは諦めるつもりなどない。今、こうして目の前に、サーシャの隣に立っているのは、レイノルドなのだから。
「なぁ、サーシャ」
「な、なんだ……」
「お前はこれから、クラン創設関係で忙しくなる。当然、オレも支えるつもりだ」
「あ、ああ」
「最高のチームで、禁忌六迷宮に挑むんだろう? だったら……今は、ハイセに構ってる場合じゃない。それに、見たろ? ハイセにはもう、仲間がいる」
「…………」
エルフの少女。
ボネット宰相が言った「プレセア」という少女に違いない、とサーシャは確信していた。
華奢で、とてもきれいな少女だった。ハイセとも距離が近く、ハイセも拒絶していないような気もした。
ハイセの隣を歩くプレセアを思い出すと、胸が苦しくなるサーシャ。
「ハイセを忘れろとは言わん。でも、今だけはあいつのことを考えるな。あいつは相変わらず、一人でダンジョンに挑戦したりして遊んでるみたいだしな」
「……遊ぶ?」
「ああ、言い方が悪かった。あいつもダンジョンに挑むつもりのようだが……一人じゃ絶対に限界がくる。その時に、お前の『最高のチーム』に迎え入れるか、あいつの道が間違っていることをお前が教えてやれ」
「…………」
サーシャは答えず、アイスティーに口をつけた。
「わ、私……ちょっと外に出てくる」
そう言い、サーシャは個室を出た。
レイノルドはため息を吐き、椅子に深く腰掛けた。
それは不快なエピソードだった。
以下はレイノルズ氏の発言の一部です。
「レイノルド。相変わらず立派な『守護士ガードナー』だな。不都合なことからも、主人をしっかり守ってる」
「もう黙れ。何度も言うが、お前を追放したのは、お前が弱かったからだ。なんの能力も持たないお前じゃ、オレたちに着いてこれないから追放したんだよ。その優しさを理解できないお前なんて、もうこのチームは必要としていない」
「あっそ」
パーティーが終わり、サーシャたちはクランへ戻った。
依頼に関して、サーシャではなくレイノルドが中心となり決める。チーム『セイクリッド』のリーダーはサーシャだが、今回に関してはレイノルドが臨時リーダーとして依頼を進めることになる。
サーシャはドレスを脱ぎ、普段着に着替え自室のソファに座る。
すると、部屋のドアがノックされた。
『サーシャ、いるか?』
「レイノルドか」
ドアを開けると、ラフな普段着に着替えたレイノルドがいた。
手にはワインボトルと、グラスが二つ。
「ちょっと付き合ってくれ。話ばかりで飲み足りなくてな」
「ふふ、構わんぞ」
場所を変え、空き部屋のテラスで飲むことに。
サーシャはワインを開けると、レイノルドのグラスへ注ぐ。
自分のグラスにはレイノルドが注いでくれた。
「じゃ、乾杯」
レイノルドがグラスを掲げ、サーシャも掲げる。
一口飲むと、まろやかな味わいが広がり、サーシャは口元を押え驚いた。
「おいしい……! いいワインだな」
「だろ? 祝い用のとっておきだ。さ、飲め飲め」
「ああ、ありがとう」
しばし、ワインを飲む二人。
ボトルが半分ほどになると、レイノルドがグラスを置いた。
「思えば、お前との付き合いも長いな」
「……ああ。私とハイセが十三歳だったか? お前のいたチームが解散して、新しいチームを探していた時期、だったかな」
「ああ。新人二人が楽しそうに依頼掲示板の前ではしゃいでるの見て、お兄さんとして新人の面倒見てやろうと声かけたのが始まりだったか。ははっ、驚いたぜ……お前もハイセも、『マスター』の能力持ちだってわかったからな。むしろこっちからお願いしてチーム入りしたもんだ」
「でも、お前には助けられた。当時の私とハイセは、防御面で圧倒的な不安があったからな。チーム『セイクリッド』は、お前がいなければ早々に終わっていただろう」
「おだてすぎだって。その後、ピアソラとタイクーン、ロビンと加入し……ハイセが抜けた。ハイセには悪いが、チーム『セイクリッド』はハイセが抜けて初めて『完成』したってオレは思う」
「…………」
「な、サーシャ」
「……ん?」
「前にも聞いたけどよ、お前……ハイセのこと、どう思ってるんだ?」
「…………わからん」
「ま、そう答えるだろうな」
レイノルドは、自分のグラスにワインを注ぎ、サーシャのグラスに注ごうとボトルを向ける。
「オレは、お前のこと好きだぜ」
「…………え」
「一人の男として、な」
そう言い───レイノルドは微笑み、サーシャのグラスにワインを注いだ。
気持ち
「どういうつもりだレイノルド!! その……こ、恋人、とか」
「別にいいだろ。ハイセも気にしてなさそうだったし」
古商業区にある、小さな個室カフェの二階。
中央から少し外れた場所にあるここは、二人きりで話をするのに最適な場所。レイノルドと一緒に入ったサーシャは、注文したアイスティーが届くなりレイノルドに言う。
「っその、恋人……」
顔を赤くし、うつむき、唇をキュッと結び、右手の指で銀髪をくるくる巻きながらモジモジするサーシャ……はっきり言って、めちゃくちゃ可愛い。
レイノルドはそんなサーシャに見惚れつつ、聞いた。
「なぁサーシャ。お前、ハイセのことが好きなのか?」
「ッッッ!? ななな、なんでそうなる!! っ私は、ハイセをチームから追放したんだぞ!? それだけじゃない……結果的に、私がもたらした情報でハイセは死にかけた。私は、あいつを裏切ったんだぞ!? 好きとか嫌いとか」
「追放したのは、戦いに付いてこれないハイセを守るためだろ。ってかそうじゃねぇ。好きか嫌いか、だ。幼馴染で、ガキの頃から一緒だったんだろ?」
「……それは、まあ、嫌いではない。私は嫌われているだろうけど」
「…………はぁ」
どう見ても、好きだった。
恋……なのかは、わからない。
だが、友人、幼馴染以上の感情はありそうだった。
もちろん、レイノルドは諦めるつもりなどない。今、こうして目の前に、サーシャの隣に立っているのは、レイノルドなのだから。
「なぁ、サーシャ」
「な、なんだ……」
「お前はこれから、クラン創設関係で忙しくなる。当然、オレも支えるつもりだ」
「あ、ああ」
「最高のチームで、禁忌六迷宮に挑むんだろう? だったら……今は、ハイセに構ってる場合じゃない。それに、見たろ? ハイセにはもう、仲間がいる」
「…………」
エルフの少女。
ボネット宰相が言った「プレセア」という少女に違いない、とサーシャは確信していた。
華奢で、とてもきれいな少女だった。ハイセとも距離が近く、ハイセも拒絶していないような気もした。
ハイセの隣を歩くプレセアを思い出すと、胸が苦しくなるサーシャ。
「ハイセを忘れろとは言わん。でも、今だけはあいつのことを考えるな。あいつは相変わらず、一人でダンジョンに挑戦したりして遊んでるみたいだしな」
「……遊ぶ?」
「ああ、言い方が悪かった。あいつもダンジョンに挑むつもりのようだが……一人じゃ絶対に限界がくる。その時に、お前の『最高のチーム』に迎え入れるか、あいつの道が間違っていることをお前が教えてやれ」
「…………」
サーシャは答えず、アイスティーに口をつけた。
「わ、私……ちょっと外に出てくる」
そう言い、サーシャは個室を出た。
レイノルドはため息を吐き、椅子に深く腰掛けた。
エピソード402
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