感想一覧

　土佐藩主山内豊重の時代にまでつづく土佐藩士の上士・下士（郷士）の身分の区分の始まりと原因は、江戸時代初期、関ヶ原の戦いの論功行賞の場である小山評定において、山内一豊が改易された長曾我部氏に代わり、率先して徳川方に従った功績により賜った事までさかのぼります。
　山内氏は土佐国9万8千石を与えられ、その後高直しにより20万2,600石に加増されています。
　関ケ原の戦で負け改易された長曾我部氏の家臣たちは、当初領地を奪われた後釜に着任した新藩主である山内氏に対し反発、不服従の姿勢を見せていました。
　しかし一豊は、不穏な空気の新旧家臣たちの和解の場を設け、酒宴を開くと偽り、長曾我部氏の主だった家臣たちをだまし討ちし、力で封殺、生き残った長曾我部家臣たちを（実質武士の身分とは言えない）郷士として服従させています。
　その後幕末まで続く藩士の厳しい身分制度は、代々郷士たちの不満を燻らせ続け、この物語の後の回で登場する土佐勤王党の母体となっています。