エピソード7の感想一覧

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[良い点]
「うわあ、わかります、わかります、文学研究(大衆寄り俯瞰)から離れられない目線持ちとしてわかります」となりつつ拝読いたしました。
「ラノベもなろうもマンガも研究上は等しく文学ですよ、江戸期の黄表紙や読本を思えばね!」と思う大学時代中世説話専攻、副専攻江戸大衆文学してたみたいな者です。
まあ、私は「ライトノベルの定義は出版レーベルだけ」という従来視点からは外れられないのですが……(主義信条というより客観的事実としては現状それでしか定義できないと感じてるだけです)

倒置含めた貴種流離※としての色が強い場合、多いですよね〜、わかります、説話とか昔話大好き人間としてめっちゃわかります、ホントわかります。

※本来貴種流離は「貴種=権力の流れを汲む人が、流離=(やつしを含む)放浪によって成功の鍵を掴む」ですが、それが倒置された「流離によって貴種とする」ような文脈も結構あるかな、と。難題婿とかはその流離が謎解きに変わったみたいな……別の方がおっしゃられてるヒーローズジャーニーともちょっと被りますね。

[気になる点]
なろう系はタイトルだけで割りと中身がわかる場合も多いので、眺めてるだけでも最近は報恩系も多いなあって思ったりもします。
空海さん周りの伝説とか蘇民将来とか動物報恩とか、うーんわかりやすく触れやすい範囲だとグリム童話の「森の中の三人のこびと」とかかな……その辺りと比較すると多分顕著だと。
要は助けた人がチートな人/ナニカだったから、その人/ナニカからの恩返しでチートやります、的な。

[一言]
個人的には、なろう系の方がより伝承の文脈寄りだからこそ、ラノベよりもなろう系と呼ばれるもののの方が「ハイコンテクスト=共有観念の前提を念頭に置きがち」なんだなあ、と納得いたしました。
この辺り、全体的に「小説」よりは「物語」的であるという話も何かで見た記憶はあります(申し訳ないですが失念)けれども、それが綺麗に腑に落ちた、と言いますか、特にラノベ一般よりなろう系の方がそちらに突出しているという感覚を綺麗に言語化して頂けた、と言いますか。

口承伝承は現代のような通信・交通の便がなければ、本来的には土地に縛られがちですから、それが現代における広義のコミュニティというか、サイバーカスケード的な(そこまでとがりはしないはずだけど)趣味コミュニティに縛られるようになったというところでしょうか、大変に興味深いです。

同時に未来の文学研究者、このカオスの時代をどう読み解くのかなぁ、大変そうだなぁ、とちょっとワクワクしつつ、懸念もあったりします。
板久咲絢芽 様

ご一読頂き、たくさんの感想もありがとうございます!
頂いたこの感想が一つの作品であるかのようで、とても嬉しく思います。

【良い点】
なんと!
まさにバリバリの説話文学研究のご経歴をお持ちの 板久咲様にとっては、拙い論考でツッコミどころも色々あったのではないかと思います。
おっしゃる通り、文化的な価値というものは時代を置かなければ評価が分からないものかと思います。
江戸時代の人からすれば、現代の我々が狩野派の襖絵もポスター的な歌舞伎役者の浮世絵版画もともに高い価値を持つものとして鑑賞しているのを見たら、のけぞってしまうことでしょう。
「ライトノベルの定義はレーベルだけ」とするのが最もシンプルかつ分かりやすいアプローチかとは思いますが、そう定義してしまうとウェブ発の作品の多くもライトノベルレーベルから刊行され論考が全くなりたたなくなってしまうため、今回はこのような定義を用いました。

【気になる点】
おっしゃる通りかと思います。なろう系作品の大ヒット、流行を受け、ライトノベル側でもそちらに寄せていく向きが強く、分けて考えることはますます難しくなっているかもしれません。

【一言】
やはり、なろう系が物語的と、私などが思いつく内容はすでに誰かがおっしゃっているのでしょうね。
そうですね、ウェブという時空を超えた媒体が拡散する口承文学というのは、現代にしかない装置なことは間違いありません。
果たして数百年後の人たちがなろう系作品をどのように評価するのか、とても興味深く思いますね。
[一言]
思わず最後まで読んでしまいました。
私もなろう系物語風な物を書いていますから、結構納得の七話でした。


  • 投稿者: いな@
  • 2023年 02月13日 04時33分
いな@様


ウェブエッセイとしては長すぎる作品を最後までお読み頂きありがとうございます。
そうおっしゃっていただけるのが、一番うれしいです。
[一言]
古典を含めて考えた場合、テンプレート作品とライトノベルを別と見るのは違うかなと思います。

根っこが古典→幹が以降の作品→成長点の部分がテンプレート作品で、まだ育ちきってない分樹皮(文章の修飾的表現や構成)が薄いから本質部分(エゴ、欲望)が露出して見える。

・・・といった感じかな?少なくともテンプレート作品はライトノベルから派生した枝の一つで、ライトノベル自体も文学系のどこかに根付いたモノであると思います。
文語の古典から口語の作品が生まれた時と同じ様な、その当時の執筆界隈にとって異形や堕落であり唾棄すべき作品とされた諸々。それの誕生の瞬間を時間経過と共に目撃しているんでしょう、多分。


・・・追加でコメントできない仕様なのかな?追記です。

お久しぶり。知りたいことは知れたので界隈から離れたつもりなんですがね(^_^;まあ仕方ないですが。

個人的な好き嫌いを含まずに見るとテンプレート作品は馬鹿にできない存在であると思われます。
十年以上綿々と継がれてきた(牽引役は多数ですが)のはそれなりの価値があって当然なんですよ。だから、文芸から枝分かれしたライトノベルのもう一つの枝としてちゃんと評価するべき(卑俗な存在では無い)かなと。
手慰みにテンプレート作品書いてみても、彼らが書く作品のように読み流せないんですよ(自分の基準ですが、引っかかりを覚える部分が全くない方が完成度は高いと判断されている気がします)。
簡易で分かり易くテーマのみの文章を書くのは本当に難しい。

ある意味でスレイヤーズやフォーチュンクエスト辺りの一人称ライトノベルを更に分かり易くした様な・・・ライトノベルを元にした進化の一形態と見た方が今となっては自然な気がします。


なので、嫌悪の対象であるのは変わりませんが別のモノとして区分するのは間違っていると思います。


書き直し失礼。

  • 投稿者: 橘 安正
  • 男性
  • 2023年 02月12日 17時52分
橘 安正様


度々の感想投稿ありがとうございます。
そのアプローチ法は文学史を縦の時系列で捉える、ごく一般的で自然と言えば自然な考え方かと思います。

ですが、そのように捉えてしまえば、すべての作品にある差異は、その元となる文学から生まれたとだけしか言えず、新しい発見もなく、論考として面白いものになるかは疑問です。

嫌悪の対象、唾棄すべきものであると捉えるのは個人の趣向でご勝手にしていただければと思いますが、私のエッセイを読んでそのような感想をお寄せになるのは、少々無神経が過ぎるのではないかと苦言致します。
百歩譲って私にそう言うのは良いとしても、なろう系作品を書いて投稿サイトのランキング上位でしのぎを削っておられる作家先生方に、そのような暴言を吐くのは絶対におやめください。
有名税と言えばそれまでですが、作家先生方はあなたのサンドバッグになるために作品を書き上げているわけではないですよ。

ブロック推奨とプロフィール欄に書けば公共の場であるウェブ上で、何を言ってもいいものであるとは私は思いません。
受け取り手がどのように感じるか想像せず文章を送る人間に、良い作品が書けるとも思えません。
その点、一度自省されてみてはいかがでしょうか。
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