エピソード31の感想一覧

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「第三十一話 重機工房」において、

>穴の縁には傾斜をつけておき、ゴムを『固定』して接着する。

とありますが、第一話における女神の説明によれば『固定』は

>時空ごと固定してしまう

という力だった筈で、「ゴムを時空ごと『固定』」してしまったのではゴムは全く変形しなくなりますから、「穴と蓋の間の隙間の形状に合わせて変形して隙間を埋める」事で水漏れを防ぐ事も出来なくなるので、ゴムを貼る意味が無くなるのではないでしょうか?

 後、

>あとは樹皮シートを『固定』して、棒を抜けばそれが水道管だ。

とありますが、管や前述のゴムの時空が固定されているのなら、“その場から動かす事が出来ない”筈ですから、井戸の掘削場所にまで持ち運ぶ事や、地中に打ち込む事も出来ないのでは?
 それどころか、もし作中の世界が地球と同様に惑星上に大地が存在している世界だった場合には、『固定』した瞬間に「惑星の自転運動に置いて行かれ」て(途中に存在している樹木や山等の障害物をなぎ倒しながら)高速で西方に飛び去ってしまったり、「惑星の公転運動に置いて行かれ」て宇宙へ飛び出してしまうのではないでしょうか?(もし午前0時~正午の午前中に『固定』した場合には、障害物である「惑星」を貫く事になります)
 因みに太陽系は銀河系の中心核の周りを秒速二百数十kmの速度で概ね公転運動に近い運動で移動していますし、銀河系もまた近傍の銀河の観測位置に対して約630km/sの速度で移動しています。

 あとそれから、物体が形状を保っていたり、物体に触る事が出来たりするのは、陽子や電子といった物体を構成している粒子同士の間に力が働いているためです。
 例えば、固体の物体が形状を保っているのは、その物体を構成している原子や分子が互いに力を及ぼし合って結びついているからですし、物体に触れる事が出来るのは物体や指先を構成している粒子同士の間隔が粒子のサイズよりも近くなると、粒子同士の間に反発力が働くためです。
 そして量子力学によると、粒子同士の間に力が働くのは、その粒子が「力の媒介となる別の種類の粒子」を放出・吸収する事で「力の媒介となる別の種類の粒子」を交換し合うためである事が判明しています。
 例えば原子核の中の陽子や中性子はグルーオンと呼ばれる粒子を互いに交換し合う事で強力に結びついていますし、電場による力や磁力は電磁力と言って、電子や陽子といった荷電粒子同士が互いに光子を交換し合う事で発生します。
 『固定』の力によって時空自体が固定されてしまっていれば、そのような時空の中では「力の媒介となる粒子」が移動する事も出来ませんから、固定された時空内にある物体中の原子や分子には力が働かなくなります。
 そのため固定された時空の中と外の間の境界面で、原子や分子同士の結合が無くなりますので、部分的に『固定』された物体は境界面のところで切断されたように2つの部分に分離してしまう事になります。

 従って『固定』の力が役立つような場面は殆ど無く、取り扱いが非常に難しい力になると考えられます。
[良い点]
なんだかロミオ節を感じる。
心地よい文章だ。
  • 投稿者: はの
  • 2023年 10月07日 15時33分
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