感想一覧

[良い点]
　剥製の人魚を初めて見た武雄の心情はいかばかりか、想像をかき立てられました。彼が人魚の実在を世間に広めたくなる気持ちも伝わってきます。
　主人公である荒木がタレコミを受けたオカルト雑誌『ムーチョ』の記者なのもあり、より客観的にストーリーを楽しめました。武雄の人魚への思いと写真を撮った状況の真実味に少しずつ恐怖が蓄積し、それが武志の登場で一気に高まります。
　第三者だった荒木の立ち位置が変わり、目線も一変したために一緒に怖さを味わえました。なぜ萩は公開を嫌がったのか。荒木が必死になった流れのおかげで理由が実感できましたね。短編作品ながらもっと長い物語を読んだような心地になりました。
　素敵な作品をコンテストにご応募いただきありがとうございます。

[良い点]
恐ろしさの中に、萩さんの愛しい人の側にいたいという切ない思いが見えてきて素敵なお話だと感じました。
そして上半身に掛けるものを供えると言われて許したところが、乙女でいいなとほっこりしました。

萩さん、弔われて天に魂が上ったら、愛しい人に会えるといいですね。
[気になる点]
もしあのまま命を落としていたら、便器に顔を突っ込んでトイレの水で溺死という、裸で見つけられるのと同じくらい嫌な発見のされ方をしていたのでしょうか。
本当にぎりぎりで許して貰えて良かったです。
[一言]
雑誌の名前がムーチョ、某有名オカルト雑誌のような、辛いスナック菓子のような名前で面白かったです。

人魚のミイラ、とされるものは日本全国にありますが、最近では科学のメスが入って作りものと判明したりしていて、ちょっと寂しく感じます。
世の中のどこかには、萩さんのような本物があるのでしょうか。
ただ、もし不用意に科学のメスを入れようとしたら……今回のような惨劇が起きてしまうかも知れませんね。

怖さの中に切なさのある、面白いお話をありがとうございました。