感想一覧

[良い点]
羊を数えるところの書き方はすごく良かったと思います。
カウントダウンと自分の心がスローモーションで交錯しているような。
[気になる点]
仙人掌が読めなかったです。一番最初くらいはルビをつけてもいいのでは？
主人公の女の子が大人しいのから一気に強気？に回ったプロセスっていうかきっかけの描写がもう少しあっても良かったかなと。
[一言]
手は届かないっていう題名でまずおっとなりました。
“が”ではなく“は”だったから。そこで何かトリックがあるんだなと感じました。
夢と現実の狭間の世界での大胆な行動の前、仙人掌の夢を見るとき、それが膨張とかしてあたかも主人公のはちきれそうな深層心理を表現していたら流れがもっとスムーズだったかもなぁと思いました。
でもそれはあくまでも個人的にはこうするってだけなので。
全体的にはまとまりもあったし、良かったのではないでしょうか。

[良い点]
・内気な女性が心に秘めた強い欲望を、檻に閉じ込められた仙人掌で巧く表現してある。
・欲望が棘だらけの仙人掌であることにより禁忌を演出、それを檻に閉じ込めることで主人公がそれを忌み嫌っていることを匂わせつつも、仙人掌が美しい花を咲かせそれが朽ちることを「寝覚めの悪い夢」とすることで、実はそれを解放したがっていることを暗示している等、巧みな計算された演出。
・内気な女性が強い官能に目覚める瞬間の表現。
・適度に硬めの文章。
[気になる点]
・主人公は男性のどこに惹かれたのかが不明瞭に感じた。その為、官能シーンに至る動機が薄いように思える。
・「対人コミュニケーション考察同好会」は「ＴＣＫ」ではないのか。
・セピアワールドというものがこの短編だけでは理解できない。
・官能シーンに入る際、もっと立間を魅力的且つ官能的に描くべきではないか。例えば上腕筋、胸筋、腹筋、首筋、唇、汗の香り、唾液の味等を表現すると違うのでは。主人公に対する煽りが弱いように思えた。

[一言]
　僭越ながら批評させて頂きました。
　上記した点については私の主観の上でのものであることをご理解頂ければ幸いです。
　私事により批評が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
　一人の女性が秘めた欲望とそれが吐き出される瞬間が描かれた作品で、「渇いた喉が水を欲すように、～」の一文が示すように、確かな文章力を感じさせます。
　ただ残念だと感じたのは、セピアワールドという世界観が全く不明瞭であった為に読み手が不可解なままで読み終わってしまう可能性がある点と、官能シーンでの煽りが弱い点です。
　前者はこれがシリーズの一作品である子と飲む弊害かと思われます。
　後者については、直接的な表現ではないにしろ、もっと性交について匂わす文章し、読者の心を煽るべきではないかと感じました。
　ただそれらを補って余りある魅力的な仙人掌の使い方をされており、とても優れた作品だと思いました。
　とても面白かったです。
　ありがとうございました。