感想一覧

[良い点]
　歴史考察スキーにはたまらない検証、特に平治の乱は“ごちゃつきようの解らなさ”と“その後の歴史で勝ち組になったモノから逆算”で面白い読み物である「平家物語」の枠組みを越えた解釈が人口に膾炙されていない現状を思うとなかなかワクワクしますな(^◇^;)
[気になる点]
　乱の目的が信西をターゲットにしたにしては乱勃発の当初信頼•義朝の一派は直接信西を殺してないんですよね、都大路に晒されたとは言え信西自身は結局自分で自死してるわけで信西の息子たちも捕縛されただけで殺されて無いあたりえらくチグハグに感じるのも事実、例えばホントは“乱”などと大仰な軍事行動では無く権勢に驕り出過ぎた近臣を捕縛するぐらいの軽い警察行動をお上から指示された義朝親子が少数の寄り騎を引き連れ始まったのに「信西逃亡→都中を捜索する大捕物→信西の首が大袈裟に晒されるお祭り騒ぎ→都の剣呑な雰囲気に軍旅を固めて都入りする清盛→もう振り上げた拳は納められず、いっせのせ！で殴り合う源平の武者たち」ぐらい無駄に騒動が拡大しなし崩しの状況で近畿に郎党を多く抱えていた清盛が棚ぼた的な大成功をおさめたぐらいグダグダにも見えるこの状況に明確な黒幕がいるとかなり分かりやすくはなりますが果たして歴史の闇は暴かれるのか？(もしかして平治の乱って死んだ信西が後世の人間に魅力的だったら“本能寺の変”や“龍馬暗殺”並に新説奇説の宝庫になってたりして)
[一言]
　二条天皇黒幕説が弱いのはこの乱で一番の打撃を受けたはずの後白河院が最終的には二条天皇と並んで勝ち組の席にいるところなんですよね、つーか武家台頭期の荒れたこの時期に政治的に死なない後白河院の不死鳥っぷりは『実はコイツが全部の絵を描いてるんじゃねーのか？』と黒幕感増し増しになる後世から見た逆算の構図がムゴい(^艸^)