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[一言]
 失礼致します宮本先生。遅ればせながら感想を、シャワーツリーは唄う、惜しみつつゆっくりと読み進めながらも、遂に完読させて頂きました。完成した物語、読んでよかったとしみじみ思える作品をどうもありがとうございました。今はただ、物語の余韻に酔いしれております。
 物語の根底にあるのはとても生々しく、残酷な現実なのですが、全編を通してそれを感じさせない透明感に溢れていております。それは登場人物一人一人の優しげな人間性が言葉の端々に刻まれていて、主人公を支えているからでしょうか。投げかけられた疑問が水面を揺らして、周りの登場人物、主人公が波紋を広げてゆき、徐々にあらわになる真相。最後にはナナウエが大きな波を起こして全て持ち去ってゆく、感動しました。先生のストーリーセンスの素晴らしさに脱帽です。いつの間にか心を奪われておりました。
 読み終えた後のこの寂寥感は、強固な現実感が伴われているからこそでしょう。その裏には設定を支えるための膨大な情報、先生のたゆまぬ努力があるからだと思います。御疲れ様でした、そしてご執筆をありがとうございました。
 いつの日か書籍化されることを楽しみにしております。その際には是非、僕の本棚に入れさせてやって下さい。良い時間をありがとうございました。
  • 投稿者: 黒漆
  • 2012年 09月12日 23時38分
いつにも増して、丁寧な感想を本当にありがとうございます。
敬愛して止まない黒漆先生に読んで頂けただけでも、身に余る光栄ですのに、この上なく好意的な感想を頂戴して感激です。
「シャワーツリー」は、自分なりにホノルルを舞台にしたミステリーを、と意気込んで書いた上で、まだまだ力不足を実感した一作でもありますが、他ならぬ黒漆先生に褒めて頂けて、この先何度でも頑張ろうという気になりました。
貴重なお時間を拙作にお付き合い頂き、過分なお言葉まで頂戴しました。心よりお礼を申し上げます。
[一言]
最初面倒がっていた誠がいつの間にか真剣に綾を捜すようになっていたように、いつの間にか引き込まれている自分に気付いてなんだか興奮しました。私は本を読む時、陰の第三者としてその場に入り込んでいる感覚が好きなんですが、情景描写が巧みなために自然に入りこめて、ハワイの中に溶け込めました。といっても、私の妄想は実際のものとは全然違うのでしょうけれど……、本当にハワイに行ってみたくなりました。他の方の感想返しで書かれておりましたが、本当、複雑な話ではないんですよね。でも綾を探す過程で出会った人々のルーツや価値観が過不足なく描かれていて飽きさせません。本当に不思議なほどです。会話がなく地の文が多いのに全く目が滑らない。脱帽です。
ナナウエが好きです。途中、なんだか凄く泣けてきて、外で読んでいたので困りました。でも決して悲しかったというわけではなく。重たい話だと思うんですが不思議なほど重さはなく、でも胸に響いて涙が出る、そんな感じでした。すみませんなんだかうまく言えなくて感想にならないですが、この物語に出会えてよかったです。ありがとうございます。
  • 投稿者: 退会済み
  • 2012年 07月24日 22時02分
管理
大好きな作家さんに感想を頂けて、感激です。
どれくらい感激したか、お伝え出来ないほどです。
ご指摘がありましたように、シンプルな話なのですが情景描写も含めて、登場人物や過程を評価して頂いて、嬉しいやら照れくさいやらで正直、舞い上がっております。
泣いたと仰られたのには、驚きながらも冥利に尽きて、こっちが嬉し泣きしそうです。

もっとも、羽鳥さんの作品にはいつも(感動して)泣かされているのですが……。
御作、「まさかの事件簿」連載を始め、ご健筆をお祈りしております。本当に本当にありがとうございました。
[一言]
 推理物の興味で読み進みましたが、普通の?小説という感じがしました。物語が地味ですね。もっと派手な展開がほしいぞー!と思いましたけど……そういう小説じゃないですね。
 ネット小説を読んでいてごく常識的な考え方の出来る人物たちが出てくるとほっとします。主人公がゲイで、かなり存在にリアルに迫ってますよね? ご本人……ではないと思いますが、お友だちでいらっしゃるんでしょうか? お店の同僚たちとの普通の友情がすごくいいと思います。自分が友人からカミングアウトされても、「ふうーん、そうなんだー」と受け止める心構え(?)が出来た気がします。第二章・第五話「遭遇」のライフセーバーのおじいちゃんのセリフがいいですね。このセリフがこの小説のテーマをそのまま語っているように思います。
 細かいどうでもいいエピソードかも知れませんが、第二章・第一話「過去」の閉店間際のカップルの話が好きです。間の悪いところに来てしまった空気の読めていない困った人たち。迷惑と言ったらとんでもなく迷惑でしょうが、人の可笑しみが感じられて好きです。それに対して第三章・第三話「有名人」の威張り散らした性格俳優は、嫌ですねー、こういう人間は。いますものね、実際に。
 善い人、悪い人、困った人を含めて、「いるんだろうなあ、こういう人」と納得するリアリティーが、どの登場人物にも感じられました。すべてがしっかりしているから、塩田綾の人物像も、ナナウエのようなよく解らない男も、すごく立体的に捉えることが出来ました。彼の心にどういう変化が訪れたのでしょうね?
 地味だなーと思いつつ、地味さ故に、困ったカップルやライフセーバーのおじいちゃんや、緑ちゃんのちょっとしたサスペンスなど、細かなエピソードが印象深く残る作品でした。
 今回もやっぱり読んでよかったなあと、読み終わってしみじみ思いました。
  • 投稿者: 岳石祭人
  • 男性
  • 2012年 02月22日 20時34分
 感想ありがとうございます。返信が遅れて失礼致しました。大好きな作家さんに読んで頂けて、感謝感激です。
 物語が地味、というのは仰る通りです。ハワイで暮らす普通の人たち目線で書いたもので、つい日常の話ばかりに流れた傾向があるかとも思います。ですので、細かいエピソードや登場人物を面白がって頂けたのは、本当に嬉しいです。
 主人公は想像ですが、執筆当時(初稿は拙作「吠える島」よりも前です)身近にゲイの友人や同僚が確かにいました。誠はいわゆる「純情ホモ」ですね(笑)。誰かにカミングアウトされても、受け止める心構えが出来た気がされたのでしたら光栄です。
 全然普通でないナナウエですが、もう少しトリックスターとして大きく動いてもらっても良かったかもしれません。しかし、周囲が地味なので浮きまくった可能性もありますね。
「読んでよかった」と、他ならぬ岳石さまに思って頂けたのが最高のご褒美になりました。ありがとうございました。
[良い点]
主人公に同化して、いつのまにか自分も塩田綾を探しています。先へ先へと読み進めていける自然さか良いです。
主人公と一緒に塩田綾という人物を知っていき、彼女の身の上に何があったのだろうかという、シンプルな謎に引きこまれていくのは、巧みな文章と自然な描写によるものだと思います。
[気になる点]
第二章一話、誠は「ああ、ええ」としどろもどろの応対になってしい、→しまいでしょうか?
[一言]
ネタバレを含みますので、未読の方は注意してください。


第二章、第一話

マットレスからよろよろと立ち上がり、キッチンカウンターの電話を取る。「ハロー」と言った声はひどく掠れていた。

この描写は自然でよいですね。特に「声がひどく掠れていた」というのがリアルです。

第二章第二話
 浅井友子が、紺のバックパックで水色のTシャツを着て来ると言った目印を、トレイシーに伝えておいて良かった。

浅井友子の服装をさりげなく伝えているテクニックに感心させられました。

「塩田綾の留守番電話と、郵便受けを調べなかった事を後悔した」
マンションへ行った時に、あの状態で留守電と郵便物を調べなかったのはなんとも頼りないですが、誠は探偵ではないので調べなかったとしても仕方がないですね。

読んで行くうちに新たな情報が次々と与えられて、塩田綾という人物に対する興味もどんどん膨らんでいきます。

不倫をしてハワイに渡った31歳。
裕福な暮らしぶりは父親の財力によるものなのか。
30過ぎてナイトクラブに出入りする理由はなんなのか。

先が気になります。





丁寧な感想をありがとうございます。
あまり複雑な話ではありませんので、途中飽きられてしまうかな、と懸念しながらの連載です。
>先へ先へと読み進めていける自然さが良い
と書いて頂けて、連載を続けて行く元気が出ました。

ご指摘の通り誠が留守電と郵便物を調べなかったのは、素人探偵の悲しさです(笑)。
これから、塩田綾がどんな人物で、誠は彼女にどう近付くのかというストーリーに、
気長にお付き合い頂ければ、本当に幸いです。
よろしくお願い致します。
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