エピソード1の感想一覧

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この物語は、王道ファンタジーの骨格の中に、絶妙な“ズラし”と“脱力”を仕込んだ異色の英雄譚であり、読者の期待と緊張を見事に裏切るユーモラスな余韻が印象的でした。以下、いくつかの観点から感想を述べます。



【1. 世界観の完成度と“星座信仰”の設定】

冒頭に提示される「十二の星座神に守護された世界」「凶星の邪神ファントム」など、神話的な厚みを感じさせる土台がしっかり構築されており、非常に没入感があります。
•各国に対応する星座という構造は、後の展開やキャラクター背景にも深みを持たせやすく、続編を見据えた設定としても魅力的。
•星と運命、異世界からの勇者召喚など、ファンタジーの王道要素を外さずに丁寧に組まれている点は、物語世界に対する信頼を読者に与えます。



【2. ジェイソンとヘレンの“非典型的英雄像”】

この物語の最も魅力的な点は、勇者ジェイソンと狩人ヘレンという二人のキャラクターです。
•ジェイソンは、聖剣を持つにも関わらず見た目はボロボロで口も悪く、まるで“修羅場をくぐってきた戦士”そのもの。
 一方でその姿にこそ“本物の英雄”としての説得力があります。
•ヘレンは、ビジュアルは幻想的で妖精のような美しさを持ちながら、武器はハルバートと戦斧という異常な重装備。そして戦いの最中でも「そーだ、そーだー」と気の抜けた返し。
 このビジュアルと人格・武力のギャップが絶妙で、笑いを誘いながらも“ただ者でない感”が漂います。



【3. 魔王タナトスの“圧倒的存在感と脱力的終幕”】

登場時のタナトスの描写は圧巻で、
•「髑髏の仮面」「星空のマント」「死を無効化する手」など、神格化された死の象徴としての荘厳さが際立っています。

しかしその後、まさにクライマックスの攻防の最中――

「……ぐー、すぴー」

この展開には唖然とすると同時に、緊張感を解き放つ脱力の魔力に思わず笑ってしまいます。
•これは単なるギャグではなく、むしろ読者の想像力を裏切り、物語の“固定された英雄物語”という定義すら揺さぶる巧妙な演出だと感じました。



【4. 総評:王道を踏みながらも、読者の“慣れ”を裏切る構造】

この物語は、壮大な神話的背景と王道ファンタジーの筋書きを持ちつつ、
キャラクターと語りの“抜け感”によって読者の期待をずらし、笑いと余白を生むことに成功しています。

まるで「英雄譚に疲れた英雄たちの物語」であり、
それでいて世界はまだ滅んでおらず、続きが気になる作りになっている。
  • 投稿者: あああ
  • 2025年 05月09日 21時51分
語彙力があって羨ましい。
私は1年前から小説を書き始めたのですが、どうにも語彙力がなくてかなわんのです。精進します。
ジェイソンはちょっと笑ってしまった。どこかの厚切りのせいで。
勿体ない言葉ありがとうございます。すっきりと読める物は私もまだまだ修行中です。アウトプットするにはまずはインプットから……色んな書物を読んでいくと語彙力も自然とついていきますよ!

後難しい漢字?をひらがなにするかどうかなのですが、個人的に漢字による表現も文章表現する上での魅力だと思っているのでひらがなにすることはありませんが……、難しそうだなと思ったものに関してはフリガナを振らせて頂こうと思います。ご指摘ありがとうございます。
  • 瞬々
  • 2025年 03月26日 19時48分
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