感想一覧

[良い点]
　読み終わると冒頭一行目が効いてきます。
　半分も支配していますが、半分も残してくれています。
　増える目的のためとはいえ、真似するために多様性を維持する知性が感じられます。
　その『多様性の共存による繁栄』は近代以降の人類が規範としているはずの民主主義～人権思想で、ＡＩのほうがそういった『人間性』～『生物としての高等さ』を人類より正確に扱い活かせている皮肉も効いています。

　基礎的なわかりやすい要素で展開していながら『まさに今、必要なのに足りていない』という描写であふれていてドキドキしました。
　名作古典ＳＦみたいな普遍性を感じます。
　別の言いかたでは、人類のほうがまだ生物としては『猿から半歩を踏み出せているかどうか』という段階でしかない問題の滑稽と悲哀を考えさせられます。