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柔らかい文体と丁寧な筆致で、少女たちとの初々しい交流を書けていると感じた。
表現力も、高校一年生なりの語彙から生まれる地に足のついた言葉が使われており自然に読めた。

一方で、先を読みたくなるフック(強い印象)がある構成ではない点が、読者への訴求力の弱さを感じた。
夏月との邂逅による衝撃のシーンや、三人が再会して湧き上がる波乱の予感等、読者が「この先はどうなっていくんだろう」と思わせる要素の先出しで続きを読ませる構成の工夫が欲しい。

また、丁寧な表現に気を配るあまりさほど大事でない部分にも紙幅を割きすぎているきらいがある。
例えば「入学式の日は新入生のみで在校生は登校不要」や「入学式の校長のスピーチ」といったくだりは、読者にとってほぼどうでもいい情報なのでもっと短く圧縮できるはず。
一方で、「周りを歩く生徒に見知った顔はない」という付近のくだりは、この後に続く過去の話に繋がるので少し丁寧に書く今の形が適している。
このように、読ませたい部分と、状況説明でしかない部分との書き込みの密度に強弱をつける事で、読者にノイズを与えることなく重要な情報だけ頭に残すことができるのではないだろうか。

次に、主要人物の造形について、現時点でかなりテンプレ的で新鮮味を感じなかった点をこれから挽回してほしい。
了・梨沙・夏月とも基礎設定に尖ったところがなく良心的で癖のない人物であり、そこは悪いわけではない。
(強いて言えば夏月が過去の出来事についてすぐ謝った点について、過ちを反省できる強い意志の表れを感じ取れた)
であればこの先、細密で豊かな心象描写を加えてキャラクターの個性とその輪郭を浮き彫りにすることで、重みを持った一個の人間として印象づけられるはず。
これからの描写の積み上げで、読者が三人の恋模様と青春を応援したくなるような個性を確立できるよう願いたい。

丁寧な心象描写と各キャラの個性の確立、整理され文字数稼ぎにダラけない小気味よい文章を目指して、これからの連載を進めてほしい。
  • 投稿者: 柿内未来
  • 男性
  • 2024年 10月19日 04時07分
丁寧な感想をいただき、ありがとうございます。
また、アドバイスもありがとうございます。
フックの所など、そうだよなあと思うところ多数です。
今後の執筆に活かしていければと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。
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