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[一言]
 完結ありきの読み手なので、完結間近、完結しているものから読ませていただくことにしています。
まずはこちらに(連載中の作品と同じ主人公でもあるようだったので)。
 レトロ感一杯にイマジネーションしながら、楽しませていただきました。
 美人局、莉莉の心の中の言葉が、古き時代の猥雑で、危険で、魅力的な街、上海を容易に想像させてくれるようで、同時に、彼女の心の動きもページをめくるたびに伝わって来て、ラストの展開には、この時代がそういう時代だったのか、この出来事自体が彼女の元に巡って来たドラマティックな運命だったのか、少し頬が緩みました。
 興味深く読ませていただきました。

  • 投稿者: 竹比古
  • 2014年 05月15日 15時42分
シンさん

拙作へのご感想ありがとうございます。

本作の第一稿が完成した小説らしい小説の第一号で、その意味では処女作と言っても良い作品なので、わざわざこの作品からご感想をいただけて嬉しいです。

西洋人が闊歩し、ジャズが流れる1930年代のモダンな上海の都市風景を意識して描いたので、そうした雰囲気を感じ取っていただけたのであれば、幸いです。

当時としては「モダン」で最先端であっても、現代の感覚からすればむしろ「レトロ」な光景かもしれないですね。

紹介文にも書きましたが、本作は中国映画「花の影」(原題:風月)にインスパイアされた作品でして、小説中の「彼」に該当する立場の人物が映画では主人公なのです。

ちなみに「花の影」は1920年代の上海を舞台にしており、小説はその10年後の1930年代を設定しています。

1920年代の上海も混迷していましたが、1930年代に入ると外国からの侵略はもちろん、中国人同士の争いも激化・複雑化する混沌とした状況に陥りました。

今日の友人が明日の敵、隣人がいつ牙を剥くか分からない、そんな時代だったのです。

ヒロインの莉莉を巡るドラマティックな運命はそうした時代だったという背景も確かにありますね。
[一言]
大切なものを自分で壊すのはつらいことなので、この形で「彼」を失ったのは彼女にとってはある意味良かったのかもしれません。
この後については明るい想像ができませんが、一方的に裏切った、裏切られたの関係にならなくて安心しました。

  • 投稿者: もぐら
  • 2014年 03月31日 12時54分
モグラさん

こちらの作品にもご感想どうもありがとうございます。

オールド上海物の第一号というか、原点となった作品で、書き手としても思い入れの深い作品なのでとても嬉しいです。

確かに、彼女にとっては「見る目がなくてそんな男に引っかかった」という点で自業自得でもありますが、一方的な加害者にならずに済むという点では救済でもありますね。

「純粋な彼を陥れた」というのが彼女にとっては一番辛いことですから。

主人公男女のその後については書き手としても色々想像していただきたいところです。
[一言]
 美人計《ツツモタセ》、読了してまいりました。

 決してその時代の知識に明るいわけではない僕にも世界観がスムーズに入ってくる構成力と、一息で読ませてしまう柔らかい文章に、まずは感服いたしました。
 そして深い知識。
 それを淡々と説明するようでなく、読み手の飲み下せる量だけ少しづつ出してくるところに上手さを感じます。
 正直言うと、羨ましいです。こんなふうに書けるようになりたいと思う見本のような作品でした。


 こちらの作品と『 賊星《ナガレボシ》』とが『上海リリ』とリンクしているということだったので、2作品は『上海リリ』のプロローグのようなものなのでしょうか?
 全体的にしっかりとした作品なので逆にちょっと気になってしまったのですが、ラストに向かうに連れてちょっと展開が加速していくのを感じました。
 これがあくまで他作品のプロローグ的な意味を持ったものならばそれでも良いのかもしれませんが、セリフ五つで男の正体を明かそうとするのはちょっと大股かな、と感じます。それまで主人公の心情を丁寧に書き込んでいたからこそ、ちょっと物足りなさを感じてしまいました。
 ただこれはあくまで今の時点での感想です。『上海リリ』を読み切らせていただいた際の満足感が楽しみです。
 更新頻度も高いですよね。
 頑張ってください、楽しみに読ませていただきます。

 ワイニスト
>それを淡々と説明するようでなく、読み手の飲み下せる量だけ少しづつ出してくるところに上手さを>感じます。

私は説明的な作品は読み手としても書き手としても嫌いです。
だから、歴史物に分類される作品を書く際でも、
極力ペダンティックな説明的記述は省いて
読んだ方にとって情景が浮かびやすい書き方を目指しています。

>正直言うと、羨ましいです。こんなふうに書けるようになりたいと思う見本のような作品でした。

このサイトでこんなお言葉をいただけるとは夢にも思いませんでした。感無量です。

「賊星」と「上海リリ」の物語世界は直接リンクしていますが、
「美人計」に関しては同名のヒロイン(『リリ』こと『莉莉』)ではあるものの、
完全に「上海リリ」と同一人物として設定しているわけではありません。
パラレルワールドにおけるもう一つの人生というか、そんな感じです。

独立した物語としての「美人計」について述べると、
飽くまでヒロイン目線の話ですので、必然的に彼の正体が急展開で明かされるラストになりました。

ただ、ワイニストさんが物足りなさを感じてしまったとすれば、
それは書き手としての私の力不足ですね……。

とにかくご感想どうもありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いします。
[良い点]
心情描写が美しいです。彼の瞳に映りこんだ主人公を描写しているところが特に好きです。
終わりもいいです。似たような二人が惹かれあったんですね。
[気になる点]
ダッシュや三点リーダーについてなんですが、小説の書き方の規則で、二回続けて使うようになっています。(…ではなくて……。―ではなく――)ネット小説ではそこまでうるさく言われませんが、気になる人は気になるようでて、この作法を守っていないと読むに値しないと判断する人もいるので一応守っておいたほうがいいかと。
[一言]
上海を題材にしているのがかっこいいです
  • 投稿者: 退会済み
  • 2011年 12月05日 07時44分
管理
九九人さん

拙作へのご感想どうもありがとうございます。

彼の瞳に映り込んだ自分の顔をヒロインが見詰める描写は、
自分としても工夫したところですので、そこに気付いていただけて嬉しいです。

相手にいい顔を見せたまま金を騙し取って姿をくらます普通の詐欺とも違って、
美人局という犯罪は、まずは見せかけの顔で相手を油断させ、
その後に恐ろしい本性を見せ付けることで成立する犯罪です。

まず、相手に魅力的だと感じてもらえなければ、成立しない。
そして、その後に恐ろしいと思われなければ、やっぱり成り立たない。

要は、「相手の目に映る自分」が全てなのです。

ヒロインの中に彼への恋心が葛藤が生じていくに従って、
彼の目に映る像にも歪みが生じていくわけです。

本編の第一稿は400字で書いたショートショートでして、
最後の彼の台詞だけはそこから殆ど変わっていません。

1930年代当時の上海は「青幇(チンバン)」や「紅幇(ホンバン)」と呼ばれる
マフィア組織が暗躍しつつ血みどろの抗争を繰り広げておりまして、
どの組織も構成員には過酷なまでに忠誠を強いています。

表の政界においても国民党と共産党が対立し、
孫文亡き後の国民党自体も内部分裂を起こしていました。

当時の上海は租界として列強の支配を受ける一方で、
中国人同士が殺し合う街でもあったのです。
主人公男女の関係性にそうした哀しみを象徴させたつもりです。

ダッシュや三点リーダーについてはご指摘を受けて訂正しました。
どうもありがとうございます。

調べてみたら、二回続けて使う方が正しいんですね。
「一回だけ使う方が正しい」と根拠なく思い込んでいました(恥)
追って、他の作品も訂正しないといけませんね……。

私自身も読み手として不正確な表記は気になる方なので、こうしたご指摘は本当にありがたいです。

P.S.
私は学生時代に現代中国文学や映画を専攻していました。

1930年代上海は正に激動の時代なので、
中国・香港・台湾ではよく三国志と同じくらい映像化されるテーマです
(特に香港は、戦後に共産化を嫌って上海から移住した映画人が
香港映画界の主体になった関係もあって、懐古的に戦前の上海を描いた作品が多い)。

日本で戦国時代や幕末がよくドラマ化される現象とちょっと似ていますね。
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