エピソード11の感想一覧

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「さてトゥテラリィ教の聖典……一神教の教義集ですから高圧的かつ教条的な代物なのですが、文章の構成としてはなかなか興味深い点があるのです……イリス、わかるかな?」
「もう、敵国の、それも異教の聖典なんて知ってるわけないでしょ!」
「私もまるでわからない……なんだろうか……」
「それは、彼らの聖典の文面には『平等(グライヒハイト)』という単語が全く、ただの一語も現れないことなんだ」
「何よそれ……というか、よくもそんなこと知ってるわね……」
「もしかして、マティアス卿はそれをわざわざ確かめたというのか?」
「はい、以前お話しした通り、幼少の頃にはそういったことをする時間が結構あったのです」
「それは知ってはいるが……」
「もちろん、ただの暇潰しではありません。おかげで彼らトゥテラリィ教、そしてレヒト法国がフリーデンや『魔象界の恩寵』が犯した過ちをどれほど忌み嫌っているか伺い知ることができました」
「で、それが今後の法国に対する工作と何の関係があるのかしら?」
「それは私も知りたいところだ」
「まあまあ、もうちょっと待って……ええと、当時の高位聖職者が残した言行録には僅かに『平等』に関する記述があって、『故無き平等は悪を育む』という警句が残っている」
「……」
「それを発言したのは今で言う北方教会領にあたる地域の総主教格で、そして彼らの聖典に記されていないのは獣人族もなんだ……つまり、『故が無い』」
「……あっ、わかったわ!」
「ああ、なるほど、『故無き平等』という背教行為が、よりによってそれを戒めた地で行われていると」
「私の教え子たちは頭の回転が速くて誇らしいね……もっと言うと、獣人族への差別を緩めたことで普人族の下層民が割を食っているらしい。今は無理やり押さえ付けているようだけど」
「まるで他人事みたいに言ってるけど、もう何かしら手を打ってるのでしょ?」
「ああ、信仰深い下層民に慕われている幾人かの司教たちを扇動できないかと色々やってもらっているよ。うまくすれば宗派分裂にまでもっていけるかもしれない」
「……何とも、“千里眼のマティアス”の智謀は凄まじいな、遠く離れた地から、敵の手をあっさりと捻り返してしまえるとは……」
コメントありがとうございました。

ありそうな話で何度も読み直しました(笑)
参考にさせていただきます!

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