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特定の役割を押しつけられて、必死で動かないとそこから逃れられないという点で、このジャンルにはうっすらホラー要素があると思っているのですが、
こちらの小説では次第に、拷問の域に入っていきますね。
国が拷問を推奨しているようなもので、昔の中国では美人の条件が纏足だったというような雰囲気と近いものを感じますが、そちらは民衆にも広まっていったようなので、また違う。

この世界では、いわゆる貴族の中でも相当断絶があるようですね。下位の貴族は、上位貴族が具体的にどう体を変えているのか知らないし、変えなくてもいい。
体が変わっていくと同時に、精神的なものも変わっていくのかと思います。自分たちのやっていることは大事なこと、あのドレスを着られることが美しいこと、というように。
  • 投稿者: mkmk
  • 2025年 06月08日 12時28分
爵位が高ければ国の中核として国家の為に「駒」となるのです。
長年時間をかけてその立場に立たされても問題のない人材(エルゼリア)を育成したのに、その立場で育成された人材を破棄してまで割り込んだのが主人公ソフィア。
勿論出来ないなんて許されませんし優秀でないのならその代価は「矯正用補助器具(拷問器具)」を使ってでも補正し、熟してもらうしかありません。
命を使ってでも立場に相応しい「装具を身に着けて」立ち振る舞いをしてもらいます。
「公爵夫人になれてラッキー」ではありません。
その立場に立ち役目を果たせなければ国家に不利に働き外交的に問題となるのです。
国家運営の素晴らしい学園で「夢」を見たのですから。
後は夢を見た代価を払ってもらい立場にあった「現実」を見て「働いて」もらうのですよ。

上位貴族と下位貴族の違いは戦う相手が違ってくると言う事でしょうか。
下位貴族は国内向けの領内統治。
上位貴族は国際的・国家間でのやり取りとなります。
その時点で必要な立ち振る舞いは全く別の物が求められますね。

公爵家は勿論外交を担当します。
そして海外に対して「国威」を示す事が求められるのです。
オースヴァイン王国は長い時間をかけて夫人と高位爵位を持った令嬢達に催し物で「美しい花」となる様に着飾ってきました。
それこそ変わらぬ立ち姿。変わらない着飾ったドレス。まるで「型」に嵌まったかのような美しさを「量産」して国威を示してきたのです。
「王国は意思を統一した大きな一枚岩である。
令嬢達は同じ姿でいる事がその団結の証明!」
それが伝統となり他国に対する「大国であり統一された強国である事の証明」となりました。
それを率いていたのがソフィアが婚約破棄させた悪役令嬢エルゼリアが嫁ぐはずだったボルフォード公爵家なのです。
ボルフォード家の公爵夫人と令嬢は「変らない国家の美しさの象徴」となるべく育てられその役割を果たす事を求められるのです。
そんなボルフォード家に嫁ぐのですからソフィアは未来の公爵夫人として、その役目を体が壊れようと絶対に果たさなければいけません。

「変らない美しさを催し物で他国に見せつけなければオースヴァインは弱体化している」

他国の外交参加者に判断され報告が上がります。
催し物に参加した他国の上位貴族が見ればすぐに動きます。
国境の兵士がちょっかいを掛けてきても、反応が鈍い。
増員が来ない。派兵されず反応が鈍ければ本格的に領土の切り取りが行われるのです。
催し物に参加したすべての国境を隣接した国から同時に侵攻されるのです。
それに抗うだけの戦力をオースヴァインが大国と言えど直ぐには用意出来ないでしょう。
国は確実に荒れ平民は強制的に徴兵され国境に送られ消耗する事になります。
話し合いで平和的に国境を決める事なんてありえません。
既に国境には血の川が流れているのです。
「実効支配できるのなら直ぐにでも」がこの世界です。
人が減り国力が減少し更に苦しい国家運営をする事になるのです。

そうならない為にソフィアは役目を果たすべく表舞台に立てるように、
国家として公爵家としてもあらゆる手段を使って「矯正」します。
「美しい公爵夫人」を作る為に制限はありません。なんだってやります。
末端で命を張って国を守る数千人の兵士達の負担が少しでも減る様に。
それだけの命もソフィアの肩にはのしかかっています。
ソフィアが「できない事」で「国境で誰かが死ぬ」のです。
逃げる事ももう許されないのですよ。
  • VLS
  • 2025年 06月09日 05時47分
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