感想一覧

▽感想を書く
[良い点]
東風吹かば……、道真の歌をオマージュにした作品でしょうか。いきなり変わってしまった彼女のふるまいと、唇の色、かおりなどが意味深で美しくストーリーに色を、艶を添えていると思います。
[気になる点]
梅のかおりをクローズアップさせたい気持ちはわかりますが、なぜ梅のかおりで主人公が、別れを察したのか。そこで道真の歌とか、梅といえばみたいな説明があったらさらに読みやすかったのではと思います。
[一言]
ダリアと腕時計、読んでいただきましてありがとうございました。名前を伏せて最後の最後にばーんのほうがを展開としては心に残りますね。ご指摘ありがとうございます
  • 投稿者: 退会済み
  • 30歳~39歳 女性
  • 2015年 01月04日 07時26分
管理
青山藍明さん

拙作へのご高覧及びご感想ありがとうございます。

この短編は初稿としては十年以上前に書いたものでして、書き手としても未熟さが目立つので恥ずかしいです。

古歌にヒントを得た作品ではありますが、男主人公が別れを察したのは、彼女が明確に言葉で告げているからでして、彼の意識においては梅の香りは飽くまで背景というか小道具に過ぎません。

恐らくこの彼本人は古歌に興味を持つタイプではないでしょうね(苦笑)

ダリアには西欧的な華やぎがありますが、梅は高雅な白梅と艶麗な紅梅の二種があり、桜に先立って東洋を代表する花でもあるので、本編で取り上げました。

それでは、また。
[良い点]
滑らかな一人称の紡ぎ方に感嘆しました。
最初の彼の感情は、うんうんそうだな、そりゃ別れるわ、と思って読んでいたのですが、怪しくなる風向きに首を傾げ続け、彼が何かに気付いた時には、もう終わっていました。
あまりに早い、刹那の失恋劇。途中で書かれた初々しいカップルの姿が痛いほどに、その幕は閉じてしまいました。

にしても何か納得行かない、と思って読み終えたのですが、タイトルの『東風吹かば』、どこかで聞いたことがあるような……と思って調べてみたら、菅原道真の和歌でしたね。

『東風吹かば匂ひおこせよ梅の花主なしとて春を忘るな』

飛び梅の伝説の歌ですね。梅の香りが別れの匂い、というのは非常にお洒落で、そして儚かったです。
小学校のころに、歴史好きの先生から百人一首のついでに習ったものだったのですが、意外と覚えてるものですね。当時は『こち』ではなく『とうふう』と読んでました。

短編としても綺麗にまとまっていて、最初の一文を上手く裏切られたお話でした。


[一言]
お久しぶりです。
作品を読ませていただくとかいいながら、感想がなかなか書けずに申し訳ありませんでした。

幾つか作品を読ませていただいたのですが、この作品が一番気に入りました。吾妻様の滑らかで表現豊かな文章は羨ましい限りです。

私は余りにも出来過ぎた、予定調和だけの何の面白みもない恋愛モノを書くことは出来るのですが、失恋はなかなか難しいです……。
吾妻様も、ところどころに『色』の表現を持ってきていらっしゃっていて、親近感がわきました。特に、口紅をつけた唇を『緋色』と表現していたところには唸りました。私だったらここで『緋色』は使えません。出てくるのはおそらく『朱色』か『紅色』だと思います。

長くなりましたが、総じて引き込まれる作品でした。
長く余韻に浸れる、綺麗な作品を有難うございました。


  • 投稿者: 退会済み
  • 2014年 04月20日 13時07分
管理
サヨさん

拙作へのご感想どうもありがとうございます。
せっかく丁寧な感想をいただいたのに、返事が遅れてしまってすみません。

さて、本編については男性の一人称なので、女性の書き手としてはわざとらしくならないように書く点には注意しました。

男性の書き手が女性の一人称で書くと本物の女性というよりむしろオカマに相応しいような不自然な女言葉になりやすいように、女性の書き手が男性の一人称で書くと本物の男性は却って使わないような言い回しを取りやすいので。

ご感想を見る限り、そこは大きく失敗していないようなので良かったです。

途中で出した初々しいカップルについて言及した感想も今まで無かったので嬉しいです。

彼らは主人公カップルの過去のダミーでもありますが、それ故に眺める主人公の彼の苦々しさや痛みを増幅させる存在でもあるのです。

古歌から梅の香りを男女の別離と結び付けたのもありますが、一般に春や恋愛の儚さを表象するステレオタイプとして登場させられる桜に対して、梅を対抗させたかったのもあります。

口紅を引いた唇を「緋色」と表現したのも、「緋文字」など女性の情念を象徴する色としては「朱色」や「紅色」より「緋色」の方がしっくり来るという発想からなので、そこに着目していただけて嬉しいです。

繰り返しになりますが、独自の切り口でかつ書き手の狙いを正確に捉える感想をありがとうございました。
[一言]
このお話を何度か読ませていただきました。
二度目までは梅(花言葉に独立、厳しい美しさがある)の香と紅色(個人的なイメージでは女性らしくも落ち着いた色)を纏った彼女が気になり、以前のピンク色や桜色を纏った姿を甘えた性格を象徴したものと捉えていました。
しかし読み返して、最後に化粧を変えて今までと違う自分を見せた彼女ならば、華やかな明るい色も彼に見せたかった自分を象徴する色でもあるのだと思いました。
化粧っ気のない女性が好きな相手に魅力的に見られたいと化粧に目覚め、蒼白い顔に明るい色を添え、なりたい自分になれるように態度やふるまいもそれにふさわしいものに変えようと努め、彼もそれを優しく受け入れている状況が過去にはあったかもしれません。
彼の優しさに甘えきってしまうでは桜色やピンク色の似合う明るく可愛らしく彼に甘える、最後の凛とした姿とは別の魅力を持った彼女がいたと考えています。
  • 投稿者: もぐら
  • 2014年 03月29日 22時23分
モグラさん

ご感想ありがとうございます。

まず、何度も目を通して下さったとのお言葉が嬉しいです。
読まれた方の再読に堪えない作品では悲しいですから。

梅には白梅と紅梅がありますが、おっしゃる通り、紅梅の紅色には桜色や桃色(ピンク)より、もう少し艶やかで、ややきつい印象もあるので、決別する意思の強さを象徴する色として出しました。

ご指摘の通り、桜色や桃色だと柔らかでどこか甘えた雰囲気になりますので、交際中のある時期まではそれが彼にとって魅力ではあったはずですね。
結果としては色褪せて本編の状況になったわけですが……。

ただ、相手は自分を映す鏡ですから、冷めてしまった彼にも、相手の彼女の中では次第に魅力が失せていった存在なのでしょうね。

それでは、また。
[一言]
好意から始まった関係が互いに見下す(彼女の甘えも彼なら許してくれるという侮りからかと)、見下されるといった関係に移行し、痛みも感じずに終わることに安堵するような別れを迎えることは空しく、悲しいことだと思います。
だから、2人が痛みを感じる別れを迎えることが出来て良かったです。

彼女がずるいという意見もありますが、美しく装って自分から別れを切り出す彼女の姿を潔いと私は感じました。
彼に見下される彼女のままなら、身なりを整えることや態度を改めることも、自分から甘えていた相手に別れを切り出すこともなかった、それどころか切り出される別れに彼にすがっただろうと考えています。
もう彼の好意に甘え続けることもできない、終わりを覚悟した彼女なりのけじめ、彼の好意に甘えてグダグダとした別れをしたくないという意地があの装い、態度、言動に繋がったのでしょう。
相手を見下したまま別れに臨んだ彼よりも相手を見下さずに意地と覚悟をもって臨んだ彼女の方が次の恋を成功させるのではないでしょうか。
  • 投稿者: 退会済み
  • 2014年 03月20日 23時36分
管理
0874464さん

拙作へのご高覧及びご感想どうもありがとうございます。
丁寧に読み込んで下さって、とても嬉しいです。

互いに裏に回って舌を出すようないじましい終わり方が一番空しいと私も思いますし、自分のためにも綺麗な終わり方を選ぶという価値観もあると思います。

梅の香る季節の話なので、ヒロインにも花も恥らう女性であって欲しいとの思いから、劇中のような造型となりました。

劇中の二人の関係が悪化していったのは、確かに互いに甘えや無意識の侮りがあったからでしょうね。

二人がこれからどんな恋愛をするか、読んだ方に色々想像していただきたいところですので、書き手の意図を捉えた読み方をして下さった点も嬉しいです。

それでは、また。
[一言]
男の感情を察知して、女が振る。実に、『ありきたり』です。その『ありきたり』が人間の喜怒哀楽を刺激し、共感を呼び、より親い作品になると思います。
この作品に描かれた普遍性は多くの支持を得るに違いない。
勉強になりました。これからも、僕の教科書にさせて頂きたいので、お気に入りに登録させて頂きました。

  • 投稿者: 時任 恭一
  • 男性
  • 2012年 06月24日 13時26分
時任さん

重ねてご感想、どうもありがとうございます。

確かに筋書きとしては特に真新しいものではありませんね。
それは書き手としても思います。

お気に入り登録どうもありがとうございます。
そこまで参考になるかとは作者としても疑問ですが、
他山の石にでもなれば幸いです。
[良い点]
「彼女の方から別れを決めていたようですが、彼の方には心当たりはなかったのかな?」と他の方が言われていますが、僕から言わせれば、「女は男を見抜けるが、男は女を見抜けない。そして、最後に途方にくれるのは男の方だ」です。
その女性側と男性側の質感が良く表現されていたと思います。
情景の描写も二人の心情にを透かすように、実に繊細で柔らかでした。
素晴らしい短編です。
  • 投稿者: 時任 恭一
  • 男性
  • 2012年 06月24日 05時13分
時任さん

拙作へのご感想どうもありがとうございます。
高い評価をしていただいて、恐縮です。

男女の認識のずれが本編のテーマですので、そこを汲んでいただけて嬉しいです。

男性が気付かない女性の一面もあれば、女性が見過ごしている男性の側面もあると個人的には思います。

そこが、時任さんのおっしゃる質感の違いなのでしょうね。

それでは、また。
[良い点]
別れを決意した主人公の苛立ち、戸惑い、未練(?)が、最後のデートの細かな描写によってよく表現されていました。
何でもない1コマが、主人公の視線を通して特別な意味合いを持つように伝わってきます。
特に劇的な何かが起こるわけではなく、それでもたぶん彼にとって、梅の香りとともに一生忘れられない1日になるのかなあと。

[気になる点]
彼女の方でも最後にすると決めていたようですが、彼にはまったく心当たりがなかったのかな…と少し思いました。
[一言]
吾妻さんの短編をつらつらと読ませて頂きました。
どの作品も、人生の何でもない1日、でも特別な意味をもつ1日が丁寧に描かれていて素敵です。
これからも執筆頑張って下さいね。
  • 投稿者: 橘 塔子
  • 女性
  • 2012年 06月02日 16時20分
橘さん

拙作へのご感想、どうもありがとうございます。

「何でもない1コマが、主人公の視線を通して特別な意味合いを持つ」
「梅の香りとともに一生忘れられない1日」
いずれも正に作者の意図していた通りの読解で、正に我が意を得たりという感じです。


悪い点に関しても作者自身が書いていて感じていた通りで、頭が下がります。
「彼女の方でも同じことを考えていたのに彼の方では気付かなかった」
「自分の非には自分で気付きにくい」というのが書く上での基本設定でしたが、
どうも生硬さが残ってしまいました。

橘さんの様に特殊な設定をリアルに描く技量は私にはありませんが、
平凡な日常や出来事の中に潜む痛みや喜びを自分なりに掘り下げて描きたいとは常に思っています。

それでは、また。
橘さんの作品にもこれから度々お邪魔すると思いますが、どうぞよろしく。
[良い点]
別れの瞬間を繊細に切り取っていて、まるで自分も過去に体験したことがあるような感覚に囚われてしまいました。
[気になる点]
一人称で統一しても良かったのではないでしょうか。
[一言]
とても面白かったです。
読み終わった瞬間、なぜか目頭が熱くなりました(それを認めたくないという気持ちはきっと主人公と同じです)。
  • 投稿者: 退会済み
  • 2012年 05月24日 17時06分
管理
YAMATOさん

拙作へのご感想、どうもありがとうございます。

「繊細」との評価、嬉しいです
(自分の描写や構成は粗いのではないか、と書いていてよく不安になりますので)。
本編は実体験を元に構成しましたので、臨場感が出せていれば幸いです。

去っていく彼女もそうですが、主人公の彼の痛みを浮かび上がらせるのが主眼なので、
読み手のYAMATOさんがそこに共感していただけたのであれば、この作品は成功です。

この話は第一稿を書き上げたのが学生時代です。
当時はまだ書き始めたばかりでしたから書く上での人称がブレてしまって、
推敲しても視点のブレそのものには思い至りませんでした。
鋭いご指摘に感服します。
また、改稿することも考えてみます。

それでは、また。
YAMATOさんの作品にもまたお邪魔します。
[一言]
ラストまで読んでも、別れたとは一言も書いていないのですが、きっとこの二人は別れてしまったのでしょうね。お互いにやめようと思っていたのでしょうか。

彼女の方のお別れする動機が書いていないので少し唐突な気もしますが、彼の目から見ているので仕方ないことだと思います。

梅のイメージがうまく随所にちりばめられていて、すてきでした。

現実はこのようにあいまいな中で生きていて、そのどっちつかずな曖昧なところを上手に描写している、とても巧い作品だと思います。
  • 投稿者: 桐原草
  • 2012年 04月17日 10時25分
桐原さん

拙作へのご感想、どうもありがとうございます。
彼女側の動機については読む方に色々想像していただきたかったので、
一貫して彼側の視点で書きました。

桜はソメイヨシノの薄いピンク、
桃はその名の通り桃色の色彩が一般的なイメージですが、
梅というと、白梅と紅梅の両方がありますよね。

白梅は清楚で気品ある印象ですが、
紅梅だと艶やかで少しきつい雰囲気があります。
そうした両極的なイメージが作品の中で表現できていれば幸いです。

現実は白黒ハッキリさせたくても結局できなくて、
白に近いグレー、あるいは黒味の勝った灰色の中を転がっていくんですよね。
私が表現したいのはそんな色彩ですので、
その辺りを読み取っていただけて書き手としては本当に嬉しいです。

それでは、また。
桐原さんの作品もこれから拝見します。
[一言]
 書き慣れているなあ、と思いました。
 書き出しの一行から「なんだろう?」と興味を持ちました。巧いなあ……うらやましい。

 自分が振るのはいいけど逆だと受け入れがたい。そう思うのは自然なことだと思います。
 誰にでもある狡さですね、やはり人間いい部分だけではない。
 彼女への不満を並べ立てる主人公、けれど自分こそが彼女をちゃんと見ず、その優しさの上にあぐらをかいていた。
 こりゃ反対に言われるな、と思いました。
 読んでいて主人公がどうとっちめられるのか楽しみにしていたのですが……
 メイクを変え、遅刻の常習、男ができたと思わせておいてあの退場か、と正直いって残念に思いました。
 ラストでの涙、主人公はその狡さもふくめ、とても人間らしく共感もできたのですが、彼女のお綺麗な行動にちょっとがっかりしました。予想外というよりは肩すかしを食らった気分です(すみません
 とはいえ「この二人の幕引きはどうなるのか?」との関心が強力な引きになって最後まで楽しんで読むことができました。

 もちろん個人的な印象にすぎないので、こう受け取った人がいるんだな、くらいに思っていただければ幸いです。
海野さん

拙作へのご感想、どうもありがとうございます。

本編は、ストーリー的には確かに捻りがないというか、
むしろ冒頭の段階でオチが読めてしまう話だと作者も自覚しています。

彼女の行動についても漫画的にこっぴどく肘鉄を喰らわすよりは
常識的にありえそうな範疇に留めようと意図した結果、
小さくまとまった感はありますね。

ただ、「こんな女とは確かに手を切って正解」という安堵ではなく、
「彼女の方でも自分に愛想を尽かしていたのだ」という寂寥のラストに繋げたかったので
自然とそうなりました。

最後まで楽しんで読むことができたとのご感想、本当に嬉しいです。

海野さんの作品にもまたお邪魔すると思いますが、
どうぞよろしくお願いします。
↑ページトップへ