エピソード181の感想一覧
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[気になる点]
素晴らしい作品をありがとうございます.数年前に読み,それから何回か読み返しております.
ただ,1つ悩ましいのは,読む度に,バルドとアイドラの関係についてどんより考えてしまい,今回は,いろいろ妄想してしまうまでに至りました.長文になりますが,吐き出させてください(やばかったら削除してください).
私が出した結論は,他にも言っている人がいるかもしれませんが,
1.アイドラは生きているのではないか.
2.「森の国の姫と騎士」になぞらえたバルドとアイドラの物語は完結していないのではないか.
ということです.
-----(以下,妄想ですが,ネタバレ・長文注意)-----
1について,根拠は後に示しますが,問題になりそうなのは「最終話 雲海」の内容だと思います.ここで,亡くなったとバルドが考えている人たちが立ち現れ,最初にアイドラが出てきます.気になるのは,亡くなったことを知らない筈のバリ・トードが出てくるなどした後,ジュルチャガが死ぬ出来事に繋がっている点です.
しかし,これはかなり意識がもうろうとした状態で見た幻覚と理解することも出来ます.
続編が出るなら,冒頭のところで,その直前に誰かからの手紙でバリ・トードの死を知らされ,その後,夢うつつの状態で雲海の動きに見てしまった,というような挿話を入れることで簡単に上書きできます.
「最終話 雲海」があるおかげで,読者にバルドが救われたように思わせ,荘厳な物語の完結を演出しますが,上記の妄想が正しければ,これは著者のミスディレクションだと言えます.
2については,バルドは物語中で死んでいないので,(大部おじいちゃんですが)その後に話を続けることは可能です(スタボロスは,馬が死んだ上,精霊剣も手放したので,どう繋げるか気になりますが).
このように考えるに至ったのは,物語を読んでいると,明らかにもっと詳細な背景を考えているのに,核心部分を抜いてそれを連想させる欠片を文章中に残すような書き方になっているからです.読み直す度に気付いた点が繋がり,もやもやが増えていくような感じで,とくに「序章」の内容について考え込むと滅入ってしまいます.
そのため,いつもはこんなことをしないのですが,スッキリするために書きました.
意図的に抜いている内容のうち,デコイもあると思いますが,最も意味がありそうなのは,アイドラ関連とくにアイドラから見たエピソード,ウェンデルラント王との謁見がなかった経緯,ジュールランの死去の知らせがなかった経緯,などです.
外伝,漫画,漫画中の挿話も含めて,アイドラの視点から見たエピソードが全くと言っていいほどないのは,どう見ても不自然で,基本的に読者はバルドの視点で物語を見ることになります(漫画にはウェンデルラント王とのエピソード辺りなど若干あるかも).ただ,バルドは極度のにぶちんで,(多分,結婚の申し出を断られた後で出来上がった)理想化された完璧な淑女,女主人のイメージを読者は植え付けられます.ですが,漫画に挿入された少女時代のエピソードでは,手作りの料理を出してバルドの反応を見るなど女性として心が揺れており,また,致命的な失敗も2回(バルドを迎えに行って魔獣に襲われた時,コエンドラに嫁入りしてしまった時)しているなど,恋愛に憧れる普通の女性の一面もあることがわかります.ジュールランを連れて帰ってきてからは,バルドの視点では,事情はどうあれ,結婚した夫・息子のため操を守り通す女性として描かれていますが,ジュールランの視点では,父親がバルドか尋ねた時に悲しい表情をして答えられなかったり,周囲は2人が何時結婚するのかと思っていたなど,2人が思い合っていることはわかりやすかったことが見て取れます.
アイドラがコエンドラに輿入れしたときの経緯がほとんどないので想像するしかないが,おそらく,最初はバルドが救いに来てくれることを願った時期もあったのだと思います.ただ,バルドは別方面に遠征しており,帰ってきたときには輿入れは済んでしまっていた.漫画では早い時期にカルドスと遭遇したシーンがあるので,バルドのことは知っており,罠を仕掛けたということではないでしょうか.テルシア家としては強要されたわけではないので,助けに騎士を出すわけにはいかず,やるのだとしたら単身で行くことになりますが,見つかれば,それを理由に攻められるのでテルシア家から止められた.アイドラは留め置かれる間に不安になり,ウェンデルラント王からの熱烈なアプローチに身を任せてしまった.
パクラに帰ってきた当初は,ジュールランの将来,ウェンデルラント王への気持ち,助けに来てくれなかったバルドへの怒りで結婚の申し出を感情的に拒絶するが,その後,その時の事情を理解するとともに,献身的なバルドの愛情にほだされて以前の気持ちが戻ってきたのだと思います.おそらく,ジュールランが成人(15歳?)するまでは,バルドの庇護のもと,ほとんど家族のようにすごしていた.ウェンデルラント王については,15年も便りがなければ諦められていたと思う.
その辺りで,指印の話やフォークの柄に仕込んで印形を託されていたというエピソードがあるが,アイドラの方が14歳若く,バルドは戦闘中に死ぬ危険性もあることを考えれば,そのやり方は疑問に思えてしまう.この時点までに,テルシア家の家長であるヴォーラには事情を話していた可能性もある(と言っても,ウェンデルラント王は偽名だろうし,大きな貴族の子息である程度のことしか伝えてなかったろう)が,庇護者であったバルドにも伝えようとしたのかも知れない.ただ,物語中ではそのような話は出てこないので,ひょっとしたら,例えば,バルドを裏切って苦しめたことへの罪悪感で大事な部分を話せなかったのかもしれない.印形に気付いたのはほぼ偶然だったので,もしかしたら,その時点で,ウェンデルラント王への対応は投げやりになっていたのかも.
ジュールランは成人後,家から離れて鍛えられるようになっていき,バルドとアイドラの間の距離は広がり,アイドラはジュールランが独り立ちするにつれ,女性としての幸福も考えるようになったのではないか.アイドラ(34歳辺り)はバルド(48歳辺り)への思慕が募っていたが,ジュールランの瑕疵になることは避けたいと思っており,バルドもアイドラの操を立てる様子を見てきたのと老境に入って枯れてきたことで,一緒になることを諦めていたのでは.一方,ヴォーラはアイドラがコエンドラに輿入れするきっかけを作った後悔と,2人が思い合っている様子を見て,何とか2人を一緒にさせようと試みたかも知れない.ただ,上記2人の事情と,ヴォーラがバルドに恨まれていたことで,そういった話は実らなかった.その後,経緯は書かれていないが,ヴォーラが死去し,その際,後悔の念をジュールランに伝えた.それから数年後,やはり経緯が書かれてないが,アイドラが病気がちになってしまう.書かれてないので妄想するしかないが,最後,バルドの旅立ちとほぼ同じくして亡くなっていることを考えると,バルドへの思いに苦しみ,それが病気につながったのかもしれない.ただ,最後にバルドがアイドラの手紙を読む際の達観した様子を見ると,2人は1線は越えずとも,それなりに思いを伝え合う機会はあったのだと思う.
ここまでで私が気になった大きな疑問として,
1.ウェンデルラント王のことを(王子であることを)知らなかったのに,かたくなに操を立て続けた理由がよくわからない.
2.印形はほぼ偶然に見つかり,バルドの八面六臂の活躍に繋がるが,出来すぎているように思う.
3.アイドラが死去したタイミングも出来すぎている思う.
1は,ジュールランが王子として認められることを後押しした大事な要素だが,ウェンデルラント王の正体を知らず,しかも迎えに来ることを諦めていた(と思われる)のに,何故そこまでできたのか.2は,経緯を見ると,あまりにも偶然に頼りすぎているように見え,不自然.3は,もう少し長生きすれば,事情が大きく変わり,大変なことになっていた可能性があるし,バルドは旅に出ず,アイドラは王妃になっていたかもしれない(そうするとバルドは苦しんだかも).
また,「序章」の空白部分について,後で中・短編に書くにしても,最後はアイドラの死で終わるやるせない話になってしまうため,何故このような文章構成なのか気になりました.
これらの疑問点を眺めているうちに,かなり強引ですが,アイドラは死んでないのでは,と思うようになりました.そう考えると,いくつかとんでもない追加要素が必要になりますが,色々と腑に落ちるのです.
まず,死を偽装する幻影(魔法?)があることは,後の方のエピソードで出てきます.そのため,死ぬ(ように見せる)タイミングは自由に決めれます.ただし,そのためには,ルジュラ=ティアントか同様の能力を持った存在に協力してもらう必要があります.さらに,そのタイミングを決めるには,予見能力も必要です.予見能力があれば1,2もどうとでもなります(物語中で2回出てきたパドゥリ・オーラは予見能力を持っているように見えます).アイドラがバルドへ送った手紙の中で,バルドの活躍を予見し,後押しするような文章もあり,私としては腑に落ちた感じです.マヌーサ,ルジュラ=ティアントなどは見えない人には見えないという設定があるので,そういった存在なら連れていても露見しなかったかもしれません.
この強力な不可視の協力者が居ればアイドラはトラブルに巻き込まれない筈だが,いつも近くにいるのではなく,要所要所で現れるという設定だと思われます.また,死を偽装後,物語中にアイドラは表だって出てきません(これも先の死を偽装したエピソードの7年後に同じ人物が再度命を狙われ,その時にバルドが死を偽装するのであれば,思い切って離れた地に移り住むべきだったとしてフューザリオンへの移住を勧めたエピソードが連想される.当初,何故,これらのエピソードを入れてるのか不思議に思うこともあったが,読者にアイドラが生きている可能性を示唆しているのでは).
アイドラが死を偽装したとするなら,ウェンデルラント王を始め,彼女のことを知る王室関係者がほぼ亡くなり,王との結婚から解放されてからバルドのもとに現れることを考えたのではないか(大部長期戦です).実際,その後15年ほどの間に多くの関係者の死が伝えられています.
また,私の気付いた範囲で,少なくとも2箇所は彼女が関与しているのではないかと思ったエピソードがあります.1つ目は,エイナの民のライザのエピソードで,初めて話した時にバルドを「私の男」と言っているのだが,娼婦の手管としてもちょっと有り得ない気がする.15年後,ライザが生んだ自身の子ゲラ・ウォードと会い,その際,エイナの民は巫女でもあり,神々と交流するのだとある.ただ,ライザと出会った時の雰囲気は,1夜限りのものというよりは,本当にずっとバルドのことを思っている女性のもののようで,アイドラを連想した.妄想かも知れないが,姫キャラでない本音では,ドロドロにバルドを思っていたとすれば,「私の男」と言うのではないか.何らかの方法でバルドの旅を見続けており,これまで溜まっていた思いをライザを通して遂げたのでは.アイドラが生きていたとしたら,この時点で高齢(46歳?)だし,あるいは,精霊憑きになるなどしても子供を産めなくなるので,ライザに代わりにバルドの子供を産んでもらったのでは.
2つ目は,ジュールランが死去した際にバルドに知らせが来なかった件で,最初は書いてある経緯をそのまま受け入れましたが,アイドラが生きていたら,他の件はバルドに任せても,自分が産んだジュールランの死に目には間違いなく駆けつけたと思うようになりました.その場合,もしバルドも呼んでしまうと,アイドラを見つければ離れないと思うので,まだ旅を続けてほしいアイドラがバルドに知らせるのを止めたのでは.また,その後,残されたバルドランを守る王妃の暗闘にアイドラが協力した可能性もあるのでは.
(後にジュールランの死を知ったバルドは,心臓麻痺を起こして寝込んでおり,駆けつけても役に立たなかった可能性あり.)
それと,ウェンデルラント王との謁見が結局なかった件も気になります.バルドは蚊帳の外に置かれていた感じだが,実は,王はアイドラと内密に対面していたのかもしれない(色々と思うことはあったはずなので,話し合ってけりを付けたのだと思う).そうすると,ウェンデルラント王からバルドにアイドラの生存が伝わるといけないので,バルドとの謁見は取りやめになったのでは.
また,死を偽装したなら,その後,アイドラがどこに居たかも大きな疑問だが,例えば,大きな勢力を持っていることは書かれているが,詳細の分からない神殿とか,灯台もと暗しで王都にいた可能性もあるかも.
オーヴァを渡るためにリンツまで旅していた場合,どこかでバルドともすれ違っていたかも.
何も説明がないですが,バルドの心の友だったバリ・トードが死んだ経緯もすごく気になります.単なる勘ですが,アイドラが王宮に密かに入ったとするなら,手引きをしたのはバリ・トードのような気がします.あるいは,アイドラをかばって死んだとか.
以上のように妄想しました.
当たってないとは思いますが,当たっていたとしても,「辺境の老騎士」におけるアイドラのイメージがバルド・フィルターを通してあまりにも高潔すぎるので,続編は難しいかも.
出るとしたら,前作終了から10年後の2024年くらい?
いずれにしろ,早く何らかの形で,ここら辺をスッキリさせる続編もしくは外伝がでることを願っています.
あー,ちょっとすっきりした.
素晴らしい作品をありがとうございます.数年前に読み,それから何回か読み返しております.
ただ,1つ悩ましいのは,読む度に,バルドとアイドラの関係についてどんより考えてしまい,今回は,いろいろ妄想してしまうまでに至りました.長文になりますが,吐き出させてください(やばかったら削除してください).
私が出した結論は,他にも言っている人がいるかもしれませんが,
1.アイドラは生きているのではないか.
2.「森の国の姫と騎士」になぞらえたバルドとアイドラの物語は完結していないのではないか.
ということです.
-----(以下,妄想ですが,ネタバレ・長文注意)-----
1について,根拠は後に示しますが,問題になりそうなのは「最終話 雲海」の内容だと思います.ここで,亡くなったとバルドが考えている人たちが立ち現れ,最初にアイドラが出てきます.気になるのは,亡くなったことを知らない筈のバリ・トードが出てくるなどした後,ジュルチャガが死ぬ出来事に繋がっている点です.
しかし,これはかなり意識がもうろうとした状態で見た幻覚と理解することも出来ます.
続編が出るなら,冒頭のところで,その直前に誰かからの手紙でバリ・トードの死を知らされ,その後,夢うつつの状態で雲海の動きに見てしまった,というような挿話を入れることで簡単に上書きできます.
「最終話 雲海」があるおかげで,読者にバルドが救われたように思わせ,荘厳な物語の完結を演出しますが,上記の妄想が正しければ,これは著者のミスディレクションだと言えます.
2については,バルドは物語中で死んでいないので,(大部おじいちゃんですが)その後に話を続けることは可能です(スタボロスは,馬が死んだ上,精霊剣も手放したので,どう繋げるか気になりますが).
このように考えるに至ったのは,物語を読んでいると,明らかにもっと詳細な背景を考えているのに,核心部分を抜いてそれを連想させる欠片を文章中に残すような書き方になっているからです.読み直す度に気付いた点が繋がり,もやもやが増えていくような感じで,とくに「序章」の内容について考え込むと滅入ってしまいます.
そのため,いつもはこんなことをしないのですが,スッキリするために書きました.
意図的に抜いている内容のうち,デコイもあると思いますが,最も意味がありそうなのは,アイドラ関連とくにアイドラから見たエピソード,ウェンデルラント王との謁見がなかった経緯,ジュールランの死去の知らせがなかった経緯,などです.
外伝,漫画,漫画中の挿話も含めて,アイドラの視点から見たエピソードが全くと言っていいほどないのは,どう見ても不自然で,基本的に読者はバルドの視点で物語を見ることになります(漫画にはウェンデルラント王とのエピソード辺りなど若干あるかも).ただ,バルドは極度のにぶちんで,(多分,結婚の申し出を断られた後で出来上がった)理想化された完璧な淑女,女主人のイメージを読者は植え付けられます.ですが,漫画に挿入された少女時代のエピソードでは,手作りの料理を出してバルドの反応を見るなど女性として心が揺れており,また,致命的な失敗も2回(バルドを迎えに行って魔獣に襲われた時,コエンドラに嫁入りしてしまった時)しているなど,恋愛に憧れる普通の女性の一面もあることがわかります.ジュールランを連れて帰ってきてからは,バルドの視点では,事情はどうあれ,結婚した夫・息子のため操を守り通す女性として描かれていますが,ジュールランの視点では,父親がバルドか尋ねた時に悲しい表情をして答えられなかったり,周囲は2人が何時結婚するのかと思っていたなど,2人が思い合っていることはわかりやすかったことが見て取れます.
アイドラがコエンドラに輿入れしたときの経緯がほとんどないので想像するしかないが,おそらく,最初はバルドが救いに来てくれることを願った時期もあったのだと思います.ただ,バルドは別方面に遠征しており,帰ってきたときには輿入れは済んでしまっていた.漫画では早い時期にカルドスと遭遇したシーンがあるので,バルドのことは知っており,罠を仕掛けたということではないでしょうか.テルシア家としては強要されたわけではないので,助けに騎士を出すわけにはいかず,やるのだとしたら単身で行くことになりますが,見つかれば,それを理由に攻められるのでテルシア家から止められた.アイドラは留め置かれる間に不安になり,ウェンデルラント王からの熱烈なアプローチに身を任せてしまった.
パクラに帰ってきた当初は,ジュールランの将来,ウェンデルラント王への気持ち,助けに来てくれなかったバルドへの怒りで結婚の申し出を感情的に拒絶するが,その後,その時の事情を理解するとともに,献身的なバルドの愛情にほだされて以前の気持ちが戻ってきたのだと思います.おそらく,ジュールランが成人(15歳?)するまでは,バルドの庇護のもと,ほとんど家族のようにすごしていた.ウェンデルラント王については,15年も便りがなければ諦められていたと思う.
その辺りで,指印の話やフォークの柄に仕込んで印形を託されていたというエピソードがあるが,アイドラの方が14歳若く,バルドは戦闘中に死ぬ危険性もあることを考えれば,そのやり方は疑問に思えてしまう.この時点までに,テルシア家の家長であるヴォーラには事情を話していた可能性もある(と言っても,ウェンデルラント王は偽名だろうし,大きな貴族の子息である程度のことしか伝えてなかったろう)が,庇護者であったバルドにも伝えようとしたのかも知れない.ただ,物語中ではそのような話は出てこないので,ひょっとしたら,例えば,バルドを裏切って苦しめたことへの罪悪感で大事な部分を話せなかったのかもしれない.印形に気付いたのはほぼ偶然だったので,もしかしたら,その時点で,ウェンデルラント王への対応は投げやりになっていたのかも.
ジュールランは成人後,家から離れて鍛えられるようになっていき,バルドとアイドラの間の距離は広がり,アイドラはジュールランが独り立ちするにつれ,女性としての幸福も考えるようになったのではないか.アイドラ(34歳辺り)はバルド(48歳辺り)への思慕が募っていたが,ジュールランの瑕疵になることは避けたいと思っており,バルドもアイドラの操を立てる様子を見てきたのと老境に入って枯れてきたことで,一緒になることを諦めていたのでは.一方,ヴォーラはアイドラがコエンドラに輿入れするきっかけを作った後悔と,2人が思い合っている様子を見て,何とか2人を一緒にさせようと試みたかも知れない.ただ,上記2人の事情と,ヴォーラがバルドに恨まれていたことで,そういった話は実らなかった.その後,経緯は書かれていないが,ヴォーラが死去し,その際,後悔の念をジュールランに伝えた.それから数年後,やはり経緯が書かれてないが,アイドラが病気がちになってしまう.書かれてないので妄想するしかないが,最後,バルドの旅立ちとほぼ同じくして亡くなっていることを考えると,バルドへの思いに苦しみ,それが病気につながったのかもしれない.ただ,最後にバルドがアイドラの手紙を読む際の達観した様子を見ると,2人は1線は越えずとも,それなりに思いを伝え合う機会はあったのだと思う.
ここまでで私が気になった大きな疑問として,
1.ウェンデルラント王のことを(王子であることを)知らなかったのに,かたくなに操を立て続けた理由がよくわからない.
2.印形はほぼ偶然に見つかり,バルドの八面六臂の活躍に繋がるが,出来すぎているように思う.
3.アイドラが死去したタイミングも出来すぎている思う.
1は,ジュールランが王子として認められることを後押しした大事な要素だが,ウェンデルラント王の正体を知らず,しかも迎えに来ることを諦めていた(と思われる)のに,何故そこまでできたのか.2は,経緯を見ると,あまりにも偶然に頼りすぎているように見え,不自然.3は,もう少し長生きすれば,事情が大きく変わり,大変なことになっていた可能性があるし,バルドは旅に出ず,アイドラは王妃になっていたかもしれない(そうするとバルドは苦しんだかも).
また,「序章」の空白部分について,後で中・短編に書くにしても,最後はアイドラの死で終わるやるせない話になってしまうため,何故このような文章構成なのか気になりました.
これらの疑問点を眺めているうちに,かなり強引ですが,アイドラは死んでないのでは,と思うようになりました.そう考えると,いくつかとんでもない追加要素が必要になりますが,色々と腑に落ちるのです.
まず,死を偽装する幻影(魔法?)があることは,後の方のエピソードで出てきます.そのため,死ぬ(ように見せる)タイミングは自由に決めれます.ただし,そのためには,ルジュラ=ティアントか同様の能力を持った存在に協力してもらう必要があります.さらに,そのタイミングを決めるには,予見能力も必要です.予見能力があれば1,2もどうとでもなります(物語中で2回出てきたパドゥリ・オーラは予見能力を持っているように見えます).アイドラがバルドへ送った手紙の中で,バルドの活躍を予見し,後押しするような文章もあり,私としては腑に落ちた感じです.マヌーサ,ルジュラ=ティアントなどは見えない人には見えないという設定があるので,そういった存在なら連れていても露見しなかったかもしれません.
この強力な不可視の協力者が居ればアイドラはトラブルに巻き込まれない筈だが,いつも近くにいるのではなく,要所要所で現れるという設定だと思われます.また,死を偽装後,物語中にアイドラは表だって出てきません(これも先の死を偽装したエピソードの7年後に同じ人物が再度命を狙われ,その時にバルドが死を偽装するのであれば,思い切って離れた地に移り住むべきだったとしてフューザリオンへの移住を勧めたエピソードが連想される.当初,何故,これらのエピソードを入れてるのか不思議に思うこともあったが,読者にアイドラが生きている可能性を示唆しているのでは).
アイドラが死を偽装したとするなら,ウェンデルラント王を始め,彼女のことを知る王室関係者がほぼ亡くなり,王との結婚から解放されてからバルドのもとに現れることを考えたのではないか(大部長期戦です).実際,その後15年ほどの間に多くの関係者の死が伝えられています.
また,私の気付いた範囲で,少なくとも2箇所は彼女が関与しているのではないかと思ったエピソードがあります.1つ目は,エイナの民のライザのエピソードで,初めて話した時にバルドを「私の男」と言っているのだが,娼婦の手管としてもちょっと有り得ない気がする.15年後,ライザが生んだ自身の子ゲラ・ウォードと会い,その際,エイナの民は巫女でもあり,神々と交流するのだとある.ただ,ライザと出会った時の雰囲気は,1夜限りのものというよりは,本当にずっとバルドのことを思っている女性のもののようで,アイドラを連想した.妄想かも知れないが,姫キャラでない本音では,ドロドロにバルドを思っていたとすれば,「私の男」と言うのではないか.何らかの方法でバルドの旅を見続けており,これまで溜まっていた思いをライザを通して遂げたのでは.アイドラが生きていたとしたら,この時点で高齢(46歳?)だし,あるいは,精霊憑きになるなどしても子供を産めなくなるので,ライザに代わりにバルドの子供を産んでもらったのでは.
2つ目は,ジュールランが死去した際にバルドに知らせが来なかった件で,最初は書いてある経緯をそのまま受け入れましたが,アイドラが生きていたら,他の件はバルドに任せても,自分が産んだジュールランの死に目には間違いなく駆けつけたと思うようになりました.その場合,もしバルドも呼んでしまうと,アイドラを見つければ離れないと思うので,まだ旅を続けてほしいアイドラがバルドに知らせるのを止めたのでは.また,その後,残されたバルドランを守る王妃の暗闘にアイドラが協力した可能性もあるのでは.
(後にジュールランの死を知ったバルドは,心臓麻痺を起こして寝込んでおり,駆けつけても役に立たなかった可能性あり.)
それと,ウェンデルラント王との謁見が結局なかった件も気になります.バルドは蚊帳の外に置かれていた感じだが,実は,王はアイドラと内密に対面していたのかもしれない(色々と思うことはあったはずなので,話し合ってけりを付けたのだと思う).そうすると,ウェンデルラント王からバルドにアイドラの生存が伝わるといけないので,バルドとの謁見は取りやめになったのでは.
また,死を偽装したなら,その後,アイドラがどこに居たかも大きな疑問だが,例えば,大きな勢力を持っていることは書かれているが,詳細の分からない神殿とか,灯台もと暗しで王都にいた可能性もあるかも.
オーヴァを渡るためにリンツまで旅していた場合,どこかでバルドともすれ違っていたかも.
何も説明がないですが,バルドの心の友だったバリ・トードが死んだ経緯もすごく気になります.単なる勘ですが,アイドラが王宮に密かに入ったとするなら,手引きをしたのはバリ・トードのような気がします.あるいは,アイドラをかばって死んだとか.
以上のように妄想しました.
当たってないとは思いますが,当たっていたとしても,「辺境の老騎士」におけるアイドラのイメージがバルド・フィルターを通してあまりにも高潔すぎるので,続編は難しいかも.
出るとしたら,前作終了から10年後の2024年くらい?
いずれにしろ,早く何らかの形で,ここら辺をスッキリさせる続編もしくは外伝がでることを願っています.
あー,ちょっとすっきりした.
エピソード181
眼龍緑人 様
一点だけ。
アイドラは、ウェンデルラントの正体を、ある程度は気づいていたと思います。
一点だけ。
アイドラは、ウェンデルラントの正体を、ある程度は気づいていたと思います。
- 支援BIS
- 2023年 04月18日 12時24分
[良い点]
大河ドラマにしてほしい。もしくはアマプラでシーズン10とかあるドラマかアニメにでも。
あと本編から読み取れはしたが、ジャン王のチートハーレム俺TUEEな物語も読んでみたい。
大河ドラマにしてほしい。もしくはアマプラでシーズン10とかあるドラマかアニメにでも。
あと本編から読み取れはしたが、ジャン王のチートハーレム俺TUEEな物語も読んでみたい。
- 投稿者: ニック
- 2022年 12月10日 16時17分
エピソード181
ニック 様
ジャン王で書くと、SFになりそうですね。
ジャン王で書くと、SFになりそうですね。
- 支援BIS
- 2022年 12月25日 11時57分
[一言]
二周目!
素晴らしい最終話です。
二周目!
素晴らしい最終話です。
エピソード181
椎名ユズキ 様
作者が書いたというより、登場人物たちがそのように歩んだままを描写しました。
作者が書いたというより、登場人物たちがそのように歩んだままを描写しました。
- 支援BIS
- 2022年 10月12日 08時21分
[良い点]
これまで読んだ数多の異世界小説の中で一番面白かったです!登場人物たちの生き方が、死に様が、あまりにも生々しくリアルに描かれていてこの世界観に引き摺り込まれてしまいました。物語の展開も自然で、世界の真実にも説得力があり、〈あとから来た者〉から精霊までのくだりでは鳥肌が立ちすぎて一生戻らなくなってしましました。後の世代へと託されたものが多すぎてこの続きを読みたい気持ちが止みませんが、ローエン卿も「少々の不思議は残ったほうが人生は楽しい」と仰っていたので、この先の世界については1人思いを馳せようと思います。本当に素敵な物語をありがとうございました。
[一言]
狼は眠らないも読みました。こちらも物語に説得力があり、全ての登場人物に魅力があって素晴らしかったです。あなたはインターネットが産んだ宝です。これからも頑張って下さい。
これまで読んだ数多の異世界小説の中で一番面白かったです!登場人物たちの生き方が、死に様が、あまりにも生々しくリアルに描かれていてこの世界観に引き摺り込まれてしまいました。物語の展開も自然で、世界の真実にも説得力があり、〈あとから来た者〉から精霊までのくだりでは鳥肌が立ちすぎて一生戻らなくなってしましました。後の世代へと託されたものが多すぎてこの続きを読みたい気持ちが止みませんが、ローエン卿も「少々の不思議は残ったほうが人生は楽しい」と仰っていたので、この先の世界については1人思いを馳せようと思います。本当に素敵な物語をありがとうございました。
[一言]
狼は眠らないも読みました。こちらも物語に説得力があり、全ての登場人物に魅力があって素晴らしかったです。あなたはインターネットが産んだ宝です。これからも頑張って下さい。
エピソード181
ポニョ 様
ネット小説というのは偉大な文化ですね。
ネット小説というのは偉大な文化ですね。
- 支援BIS
- 2022年 06月10日 10時38分
[一言]
最高。終わり方カッコ良すぎる。
こんなにワクワクして、ハラハラして、美味そうで、綺麗に終わった話はそうないです。作者さん本当にありがとう。
そして願わくばバルドの旅先にラーメンと、できればカレーもありますことを
最高。終わり方カッコ良すぎる。
こんなにワクワクして、ハラハラして、美味そうで、綺麗に終わった話はそうないです。作者さん本当にありがとう。
そして願わくばバルドの旅先にラーメンと、できればカレーもありますことを
エピソード181
スーパーヤンバル 様
はじめの部分を書いてすぐに、ラストシーンを描きました。
そしてあとは、ただひたすらラストシーンに向かって書き続けました。
はじめの部分を書いてすぐに、ラストシーンを描きました。
そしてあとは、ただひたすらラストシーンに向かって書き続けました。
- 支援BIS
- 2022年 05月16日 12時52分
[一言]
本当に本当に最高でした…!!
辺境の老騎士をもう何も知らない状態で読むことができないのがなんとも言えない気持ちです。
本当に本当に最高でした…!!
辺境の老騎士をもう何も知らない状態で読むことができないのがなんとも言えない気持ちです。
エピソード181
あこ 様
別途外伝なども投稿しております。
別途外伝なども投稿しております。
- 支援BIS
- 2022年 04月08日 09時11分
[一言]
3日間かけて読みました。今もまだ、バルドとカーズとジュルチャガは旅をしているような気分です。3人の子供たちも、立派にそれぞれの道を歩くのでしょうね。素敵な作品です。
3日間かけて読みました。今もまだ、バルドとカーズとジュルチャガは旅をしているような気分です。3人の子供たちも、立派にそれぞれの道を歩くのでしょうね。素敵な作品です。
エピソード181
篁 様
三日とはまた根を詰められましたね。
お疲れ出ませんように。
三日とはまた根を詰められましたね。
お疲れ出ませんように。
- 支援BIS
- 2022年 01月22日 17時12分
[良い点]
ぐすっ……
何度読んでもジュルチャガの最期は涙なしには読めません……
ううっ、ジュルチャガ!今もバルドの胸に!
ぐすっ……
何度読んでもジュルチャガの最期は涙なしには読めません……
ううっ、ジュルチャガ!今もバルドの胸に!
エピソード181
暮伊豆 様
書いた私も、読むと泣きます。
書いた私も、読むと泣きます。
- 支援BIS
- 2022年 01月08日 15時34分
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