感想一覧

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静かに胸に沈むような短編でした。
「父の死に立ち会えなかった」という重たい題材なのに、感情を大きく動かさず、事実と所作だけを淡々と積み重ねていく書き方が逆に効いていて、読んでいる側の方がじわじわ感情を動かされました。
亡くなる三日前の「湯の温度を少し高くした。最近、ぬるく感じる」という一文が、本当に上手いモチーフだと思いました。そこから、自分も同じ温度の湯に浸かってみるシーンへつながっていく流れが自然で、それでいて残酷なくらい生々しいです。
父のことは「結局ほとんど分からないまま」なのに、最後に残るのが“湯の温度の感覚”だけ、というのがすごく納得のいく着地でした。分かり合えないままでも、同じ湯に浸かることはできた——というラストの一文も含めて、きれいに輪が閉じている印象です。
派手な起承転結がない静かな話なのに、読後感はしっかり残るタイプの短編でした。読めてよかったです。
 感想ありがとうございます。
 派手な感情表現を書くのが苦手なため、描きたかった感情が伝わるか不安もありましたが、そう感じていただけて幸いです。
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