感想一覧

▽感想を書く
「音」という目に見えない要素を軸に、物語が構築されており、非常に引き込まれる一編でした。
犯人から「理解者」として見初められた主人公の記者・名倉響一が、これから否応なく「音の事件」に巻き込まれていくプロローグのような短編でシリーズを期待したい。
白鷺館の空気が、文章から“音”として立ち上がってくるのがすごかったです。
寄木床の靴音、ガス灯の揺らぎ、桜の湿り気、香水と煙草の混ざった匂い――視覚だけじゃなく聴覚と肌感まで運ばれてきて、読みながらずっと館の中にいました。

主人公・名倉響一の「耳の良さ」が、ただの特殊能力じゃなく“記者としての武器”になっているのも気持ちよかったです。音の違和感を拾うたびに、読者側も「何かある」と緊張が積み上がっていく構成が巧い。
そして、声を持たない使用人の存在が本当に効いていて、「証言できない」もどかしさがそのままサスペンスになっていました。手話の断片が出るたびに、こちらも必死に繋ぎたくなる感じがたまらないです。

タイトルの『最後の音』が、読み終わったあとに重く刺さりました。
“音楽の美しさ”と“静かすぎる死”が同じ場所で同居していて、余韻が不穏なのに美しい。次の予告まで含めて、一話で終わらない背筋の寒さが最高でした。続きを待っています。
  • 投稿者: 麗奈
  • 23歳~29歳 女性
  • 2026年 01月14日 12時59分
↑ページトップへ