感想一覧
▽感想を書く>廊下に出た瞬間、ミレイユが堪えていた息を吐き、クラリッサが無言でハンカチを差し出した。エレノアはそれを見て、初めて少しだけ笑った。おかしな連帯だった。恋敵になるはずだった三人が、同じものを見て同時に降りる。
え、そうだったの? それはまあ乙女ゲームチックな3人だったな。
全員に粉をかけていった女好きのだらしない振る舞いをしてきたわけでもないのに、その歳になっても殿下に婚約者がいない事情も察せない辺り、世事に疎くて気楽な立場の3人娘だったな。
だからこそ、会う人毎にペルソナを変えていく理想の王子様との二人きりの時間にときめきを覚えていただなんて、うぶなのね。
もっとも、要介護者と知って その生活困難を支えようと思わずに 真っ先に逃げ出したのは破局が目に見えているということで賢い選択だったと言えるので、白昼夢でも見ていたと思ってスッパリ忘れることだ。
>王子は誰からも愛される存在ですが、その“愛され方”があまりにも綺麗に成立しすぎている。
>その裏で、侍女が恋人・妻・母という役割を引き受けながら、感情より先に運用している――という構図です。
二人の好きなようにさせて最終的に結婚までしているのは、王宮も能力は認めているが不気味ということで腫れ物に触らないようにしているからなのだろうな。
だから、役割を遂行してくれるのなら何でもいいとして、主従逆転;ヘレン・ケラーとサリバン先生みたいな一心同体の関係を黙認されて実績を積んできて、のびのびと役割にはまってはいるけれど、
それでも、3つの顔を新たに生み出すほどに3人娘に三者三様の運命を感じるぐらいには、周囲との隔絶に相当苦しんできていたのだろう。
>「皆さまは、殿下が殿下であるために必要なお方でした」
だからこそ、王宮での扱いを知らないような世事に疎い3人娘の接近が心地よかったのに、無自覚に欲張った結果、あっちから接近してきて全員からフラレるとは哀れな……。
しかし、フラレるように仕向けたのも侍女なのも事実であり、殿下のやりたいことをやらせたら確実に3人娘にフラレるとわかっていて、3人娘から一人を選ぶように諭そうとしなかった辺り、普通の人間の幸せを与えようとは思っていない。
ややこしいことに、会う人毎にペルソナを使い分ける特異性を殿下自身が変えようとは願っていないことを考えれば、結果としては心の奥底の望みを叶え続けているのだから、途方もない献身よな。
こんなヘンテコな自分自身のことをそこそこ好きでいられるぐらいには理解を示して、自分の形を憶えていてくれる自身の半身のような存在を得たことは至上の喜びではないか。
それこそ、世間一般で言うところの愛の形ではなく、特別なあなたのためだけの愛を実践されていたら、運命的な出会いやときめきを感じるふれあいは一時あったとしても、実際のところはもう他には何も要らんよな。
結果、言う事無しの人生。道を違えることなく、名君と呼ばれるまでになった。それをもたらし続けたものが最初からずっと側に在り続けたのだから、足るを知っていたのだ。
>王を怪物にしなかったのは愛ではなく、恋人であり、妻であり、母である一人の侍女の、完璧な管理だった。
え、そうだったの? それはまあ乙女ゲームチックな3人だったな。
全員に粉をかけていった女好きのだらしない振る舞いをしてきたわけでもないのに、その歳になっても殿下に婚約者がいない事情も察せない辺り、世事に疎くて気楽な立場の3人娘だったな。
だからこそ、会う人毎にペルソナを変えていく理想の王子様との二人きりの時間にときめきを覚えていただなんて、うぶなのね。
もっとも、要介護者と知って その生活困難を支えようと思わずに 真っ先に逃げ出したのは破局が目に見えているということで賢い選択だったと言えるので、白昼夢でも見ていたと思ってスッパリ忘れることだ。
>王子は誰からも愛される存在ですが、その“愛され方”があまりにも綺麗に成立しすぎている。
>その裏で、侍女が恋人・妻・母という役割を引き受けながら、感情より先に運用している――という構図です。
二人の好きなようにさせて最終的に結婚までしているのは、王宮も能力は認めているが不気味ということで腫れ物に触らないようにしているからなのだろうな。
だから、役割を遂行してくれるのなら何でもいいとして、主従逆転;ヘレン・ケラーとサリバン先生みたいな一心同体の関係を黙認されて実績を積んできて、のびのびと役割にはまってはいるけれど、
それでも、3つの顔を新たに生み出すほどに3人娘に三者三様の運命を感じるぐらいには、周囲との隔絶に相当苦しんできていたのだろう。
>「皆さまは、殿下が殿下であるために必要なお方でした」
だからこそ、王宮での扱いを知らないような世事に疎い3人娘の接近が心地よかったのに、無自覚に欲張った結果、あっちから接近してきて全員からフラレるとは哀れな……。
しかし、フラレるように仕向けたのも侍女なのも事実であり、殿下のやりたいことをやらせたら確実に3人娘にフラレるとわかっていて、3人娘から一人を選ぶように諭そうとしなかった辺り、普通の人間の幸せを与えようとは思っていない。
ややこしいことに、会う人毎にペルソナを使い分ける特異性を殿下自身が変えようとは願っていないことを考えれば、結果としては心の奥底の望みを叶え続けているのだから、途方もない献身よな。
こんなヘンテコな自分自身のことをそこそこ好きでいられるぐらいには理解を示して、自分の形を憶えていてくれる自身の半身のような存在を得たことは至上の喜びではないか。
それこそ、世間一般で言うところの愛の形ではなく、特別なあなたのためだけの愛を実践されていたら、運命的な出会いやときめきを感じるふれあいは一時あったとしても、実際のところはもう他には何も要らんよな。
結果、言う事無しの人生。道を違えることなく、名君と呼ばれるまでになった。それをもたらし続けたものが最初からずっと側に在り続けたのだから、足るを知っていたのだ。
>王を怪物にしなかったのは愛ではなく、恋人であり、妻であり、母である一人の侍女の、完璧な管理だった。
ご感想ありがとうございます。丁寧に読み解いていただいて、嬉しいです。
三人の令嬢についての「世事に疎くて気楽な立場のうぶさ」という見立て、まさに狙いでした。王子側の事情が“見えてしまう層”ではなく、恋愛コメディの配置として成立する層だからこそ、あの連帯が成立して、同時に「降りる」という選択が一番現実的になる……という形にしたかったので。
王宮が二人(王子と侍女)を黙認してきた理由も、まさに“能力は認めているが不気味なので腫れ物扱い”くらいの距離感を想定していました。制度として切れない、しかし踏み込みもしない、という冷たさですね。
そして一番大きいところとして、侍女が「殿下のやりたいこと」を分かった上で諭さない点を拾ってくださったのが刺さりました。普通の幸福を与える気がない/それでも結果として望みを叶え続けている、という両義性は、この話の核だったと思います。献身に見えて管理で、管理に見えて“特別な愛”でもある、という気味悪さを残したかったので……。
最後の一文まで含めて受け取っていただき、ありがとうございました。
三人の令嬢についての「世事に疎くて気楽な立場のうぶさ」という見立て、まさに狙いでした。王子側の事情が“見えてしまう層”ではなく、恋愛コメディの配置として成立する層だからこそ、あの連帯が成立して、同時に「降りる」という選択が一番現実的になる……という形にしたかったので。
王宮が二人(王子と侍女)を黙認してきた理由も、まさに“能力は認めているが不気味なので腫れ物扱い”くらいの距離感を想定していました。制度として切れない、しかし踏み込みもしない、という冷たさですね。
そして一番大きいところとして、侍女が「殿下のやりたいこと」を分かった上で諭さない点を拾ってくださったのが刺さりました。普通の幸福を与える気がない/それでも結果として望みを叶え続けている、という両義性は、この話の核だったと思います。献身に見えて管理で、管理に見えて“特別な愛”でもある、という気味悪さを残したかったので……。
最後の一文まで含めて受け取っていただき、ありがとうございました。
- 月白ふゆ
- 2026年 02月28日 09時02分
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