感想一覧

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[良い点]
・人間の勇気と思いやりに希望が持てる、素敵なストーリーですね。

・いくつかのできごとを経ながら徐々に過去のことが明らかになっていくという構成が、短い話の中でうまくまとまっていると思います。
[気になる点]
(1)
・「おい、天霧、優花って名の娘、どこの誰か分かったぜ」……
 長谷川は無言で頷き、自分が調べ上げた少女の身元を記したメモを差し出した。

・「あの……、その娘さんの名前は……何と?」……
「優花、という名です」
 天霧は絶句した。目の前が真っ白になる気さえした。

 この二つのシーンが、どうも矛盾しているように思います。つまり、
・長谷川は、優花が社長の娘だということまで調べたのか
・天霧は、社長が優花の父親と分かっていて話しかけたのではないのか
・社長は、優花の命を救ったのが天霧だということを知らなかったのか
という点が曖昧であるように思います。

 「優花、という名です」という答えは予想していたけど、「もう一度あの娘の笑顔を見たい」という(不吉な)言葉の後だったから絶句した、ということでしょうか。


(2)
 呆然と問う天霧に、間伐入れずに長谷川が両手を合わせるようにして言葉を続けた。

 ここは多分、「間髪入れず」と書きたかったのでは。

[一言]
 山風……細かい男だな……。
  • 投稿者: 山風勇太
  • 23歳~29歳 男性
  • 2012年 07月20日 21時54分
もうひとつ、修正でした。

「分からなかった」の表現がかぶっていましたので、
前者のほうを直しました。

「混乱のなかでは、どこの誰かまでは知ることができなかった。」

なんだか、感想の返信が、すごいことに……。
びっくりされてたらすみません!
山風さま。

ありがとうございました。自分なりに考えまして、以下の通りの修正を入れました。
このお返事が、ものすごく長くなってしまい、本当にすみません。

これに関してもご指摘がありましたら、またご指導くださいませ。

その前に、心よりお礼申し上げます。
ありがとうございます。


-------以下、加筆修正箇所の説明になります。

※ ネタバレも含まれますので、山風さま以外で読まれるかたはご了承くださいませ。




社長が天霧のことを知らなかった事実に繋げるための加筆部分:

事故当時の混乱のなかで、赤の他人である天霧は運ばれる少女に同行したわけではないため、名前までは知られなかった事実を伝えるために、以下のように修正しました。
ダイレクトですが、これで伝わるといいな……と思います。

(修正前)そして、必死の抵抗を続けていた天霧の意識がさすがに途切れかけたとき、ふたりは救助船に引き上げられた。少女はすでにぐったりとしており、陸に到着後すぐにどこかに運ばれていった……。



(修正後)そして、必死の抵抗を続けていた天霧の意識がさすがに途切れかけたとき、ふたりは他の乗客とともに救助船に引き上げられた。少女はすでにぐったりとしており、陸に到着後すぐにどこかに運ばれていった……。

 混乱のなかで、どこの誰かまでは分からなかった。




長谷川が渡したメモ:

表記はありませんでしたが「少女の名前と住所」であり、「今の状態」は記されていないという設定です。
その部分をどう読み手に伝えるのか、ということを考えますと、ご指摘がありました通り記載なしのままでは無理があると考え直しました。
いろいろな解釈があると、その後の話にブレが生じると思ったからです。
修正後の会話で「今は分からなかった」と長谷川に言わせていますが、さすがに記者兼カメラマンである長谷川は刑事ではないので、そこまでは調べられなかった、もしくは天霧自身に結果にたどり着いて欲しかった、という思いがあったのでは、ということにしたいのです。
「奇跡」が起こらなければ、少女の現在の状態は、ひたすらに悲しいものなので。
これで無理がなければよいのですが。――下記が修正箇所です。

(修正前)長谷川は無言で頷き、自分が調べ上げた少女の身元を記したメモを差し出した。



(修正後)長谷川は無言で頷き、自分が調べ上げた事実を記したメモを差し出した。

「これは当時の記録から拾い上げた名前と身元だ。今は――さすがに分からなかった」

「これで十分だ……ありがとう。この先は、自分で確かめる」




社長とのやりとりで、天霧が絶句した部分に繋げる箇所:

天霧の心の動きとしては、以下の通りになります。

天霧が知っているのは名前と身元だったが、社長の言葉から事実である確認ができた。だが「もう一度でいい……あの娘の笑顔を見たいものです」という言葉を同時に聞いてしまったため、名前をはっきりと確認したと同時に、もはやこの世のものではないのでは、という怖ろしい事実に思い当たってしまい、天霧は並ならぬショックを受けてしまった。

この僅かな修正で、その微妙なニュアンスが伝わるかなぁ……というところが心配なところです。


(修正前)天霧はどきりとし、震える声で訊いた。→(修正後)天霧は胸の内に抱えていた予感そのままの言葉にどきりとし、震える声で確認するように訊いた。




社長との会話の最後の部分:

社長に向かって発する天霧の「問い」の言葉には伏線の意味もあり、最後の部分のはじめから2番目の文「白い石造りの、ほんの数段しかない階段をのぼり、優花という名の少女が、ひそやかに眠り続ける場所に向かう。」で「もしや墓に向かっているのでは」と読み手に錯覚してもらえると、「生きていた!」という事実と最後に「奇跡」が起こる喜びがよりいっそうのものになるかなという狙いがありました。
この部分、確かにおっしゃるように違和感が起こる原因になっていたので、見直してみました。

ちいさな言葉の違いですが、この変更で、「今」の状態を訊く言葉から「過去」の救命隊に運ばれたあとの経緯を問う言葉になるように狙ってみました。
あとは読み手側に伝わるかどうか、ですよね。

(修正前)まさか……。「それで……その娘さんはいま、どこに……」→(修正後)まさかもう……。「それで……その娘さんは事故のあと……どこに」




社長がなぜ赤の他人である天霧に、娘の居場所を教えたのか:

まず、社長が絵の前にいるのは何故か、時間があればここに通って見つめているからです。天霧との関係を知っていたからではありません。
天霧が、まさか自分の娘と繋がりがあり、幻のような姿で会っていることも知らないままです。

ただ(天霧にならば娘に会ってもらいたい)と思って娘の居場所を教えたのは、それを許すほどに天霧の描いた絵に魅力や感動を感じ、特別な思いを抱いていたからだと思います。
素晴らしい絵は、ひとの心を動かすものなので、特別な縁を感じたのかもしれません。



-------------


今回の修正につきまして、ご意見ときっかけをくださったことに心から御礼申し上げます。

本文をばっちり分かるように記載すれば解決なのですが、それだと空気感や雰囲気がなくなってしまうので、それとなくふうわりと、しかも解釈にブレがなく読み手に使えるって、本当に難しいなぁと痛感しました。
今回、山風さんにご指摘をいただいたからこそ、読み手側の解釈や気持ちにはじめてきちんと向き合うことができたように思います。
感謝してもし足りないくらいです。お世話になりました。


そして――。

山風さま。細かいって素晴らしいと思います。

心からありがとうございます。


2012.07.21 夕凪そら
ありがとうございます!
貴重なお時間を割いてくださり、的確なご意見とご指摘を下さったこと、感謝しています。
急ぎ、お返事を書かせていただきました。

(1)につきまして、
ご指摘くださったことを頭に入れて、もう一度流れを確認してみます。
読んだ流れを止めてしまったり、首を捻ってしまう箇所があるのは物語として厳しいと思うので、落ち着いて再考し、書き直したい考えです。

今すぐ答えられることとしましては――。

社長との会話につきまして、
・真っ白になった:現実を突きつけられて「やはり」という思いからショックを受けた。
・社長の娘だと分かっていた:天霧には分かっていた。
・社長にとって:天霧が命の恩人だとは分かっていない。混乱の中で運ばれたときには引き離されている。

です。

これらの自分が思い描いていたことと、ご指摘がありましたことを、きちんと繋げられるように、もしくは矛盾しているところはもう一度考え直して、筋を通すようにします。


(2)につきまして、
「間髪入れず」ですね、確かに。ご指摘ありがとうございます。
自分の漢字力が恥ずかしい限りです。


細かい、とは滅相もないですありがとうございます!!
ここまで丁寧に読んでくださって、感謝いっぱいの気持ちです。曖昧な点を含めまして、数日の間に綴りなおせたらと思います。またできましたら伝わるように報告差し上げます。

急いで書いたので、このお返事が変な文章になっていたらすみません。

ありがとうございます!
[一言]
こんにちは。

ドキドキしながら読ませていただきました。
いい意味で、早く読み終えて結末を知りたいと思う作品でした。
あと個人的に長谷川のキャラが好きです。

文章も綺麗でとても読みやすかったです。
  • 投稿者: 内藤来良夢
  • 18歳~22歳 女性
  • 2012年 06月14日 12時38分
ありがとうございます。

ドキドキしながらの初投稿に、こんなに早く感想をいただけて、大変嬉しいです。
これからの投稿の、勇気と励みになりました。

重ねてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
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