↓ ↑ページトップへ

感想一覧

▽感想を書く
感想絞り込み
全て表示
拝読いたしました。率直な感想をお伝えします。

私は本格的なファンタジー小説を読む経験が浅く、もし的外れな意見になっていたらご容赦くださいませ。

個人の視界から離れ、学校の歴史、警察や政府の対応、SNSの反応などを客観的に描写できる三人称と物語の世界観がとてもよくマッチしていると感じました。

冒頭から密度の高い描写が続き、『堂山高校集団神隠し事件』、『国土交通省 異界対策課』と引きのある言葉が出てきます。

作者様が情景描写が得意である方なのは第一話を読み始めてすぐにわかりましたが、キャラクターの描写も目を見張るものがありました。
神谷幸輝と橘愛花の描写を引用させていただきます。

――男はミスリルを思わせる銀色のプレートアーマーを急所に纏い、その下には細かく編まれた鎖帷子を着込んでいる。腰には鉄の剣が差されている。
女は魔力を帯びた生地で仕立てられたローブを身に纏い、先が仄かに発光する杖を握りしめている。首元には異界の国宝級の宝玉が嵌め込まれたブローチが輝いていた。

ファンタジー世界に詳しくない私でも、無理に頭で描かずとも、映像が浮かぶほどの描写力です。
伝わりやすい言葉を選ばれているところに、作者様の高い言語センスを感じます。
また白神水無瀬の描写も強く印象に残っております。

――右目は完全に焦点を失って白濁し、左目はあらぬ方角へと向き瞼と額は焼け爛れて皮膚が剥がれている、口は笑みと悲鳴を同時に作ろうとして頬肉を抉るように裂けさせている。鼻筋は歪み、ダラリと垂れ下がった舌が中からはみ出し、とめどなく涎と血を垂らしていた。
かつて女子高生であった頃の面影を残す、少し頼りないが優しかった美貌は跡形もなく消し飛んでいた。
そこにあるのは、死肉そのもの。

とても生々しく、視覚映像から腐臭が漂ってきそうな迫力があります。
ここまでの描写力を身につけられるまで、並々ならぬ鍛錬をお積みになったのだろうと感じました。
だからこそ、第九話で水無瀬の本当の姿が見られたときは、アクション映画を見終わったかのように、ほっと胸を撫で下ろしました。

最後に一点フィードバックをするのをお許しください。
冒頭から戦闘シーンまでと重要な場面が続く構成とも関係しているかと思います。
作者様がどのような読者層を設定して文を紡がれたのかわかりませんが、私のようなファンタジー小説に慣れていない読者にとっては、読み進めるのにかなりの体力と想像力を要しました。
作者様は素晴らしい文章力をお持ちだからこそ、意識しなくとも高密度の文章が書けてしまうと思います。
こうした文がずっと続くと、第二話・第三話と読み進めるうちに読者の目が慣れてきてしまい、せっかくの魅力的な文章が埋もれてしまったように感じられました。
説明やつなぎの「流す場面」と、読者を没頭させる力強い「魅せ場」で、密度に緩急がつくと、作者様の文章力がいっそう活かせるのではないかと思いました。
個人的には語彙レベルはこのままでいいと思います。あくまでも密度についてです。
出過ぎた真似と重々承知しておりますが、一読者の感想としてお受け取りいただければ幸いでございます。

以上になります。
お伝えしたいところが多く、長文になってしまいました。
素敵な作品に巡り会えたこと、心より感謝申し上げます。
今後のご執筆活動を陰ながら応援しております。
ありがとうございました。
一気に惹き込まれて最新話まで読み終えてました。
八年前、取り残された彼女が戻ってきた友人たちと信じられず、怪異だと思い込もうとする苦悩……最後に正気を取り戻した瞬間は心に来るものがありますね
しかし、残された謎も多く、気になることもたくさんですごく気になりますね
☆とブクマも入れさせて頂きました
更新を楽しみにお待ちしております
国土交通省が怪異や異界を処理するという発想に惹かれましたが、それ以上に水無瀬のキャラクターが強烈でした。
八年前に取り残された彼女が、帰還した友人たちを本物だと認められず、怪異だと思い込もうとする姿が痛々しく、引き込まれながら読みました。特に、狂人を演じていることを見破られてもなお現実を拒み、自分を傷つけながら戦うところに、単なる最強キャラではない危うさを感じます。
一方で、戦闘描写は一撃ごとの説明や強調表現が多く、同じ対決が長く続くため少し密度を重く感じる場面もありました。
続きを読んでみたい作品です。
第7話の激突は、水無瀬の危うさと少女神・清の存在感が最高潮に達する圧巻のエピソードでした。前話までの泥臭くデタラメな動きから一転、清の平手打ちによって目を覚ました水無瀬が、氷の武器を次々と変形させながら勇者たちを圧倒していく戦闘のスピード感には完全に引き込まれました。青龍刀から大剣、サーベル、長槍、そして蛇腹剣へと滑らかに移行する戦闘スタイルは、まさに「異界対策課の最高戦力」の名に恥じない格好良さです。

それ以上に心を揺さぶられたのは、幸輝の刃を自ら首元へ誘導しようとする水無瀬の痛々しい破滅願望と、それを本気で怒り叱りつける神・清の掛け合いです。神と巫女という主従関係でありながら、まるで不器用な親子や姉妹のように水無瀬を現世に引き留めようとする清の存在が、この血生臭く絶望的な戦場において唯一の救いのように温かく機能しています。

そしてラスト、後方への大規模爆発を囮にして幸輝の武器を弾き飛ばし、首元に刃を突きつける瞬間の緊迫感たるや凄まじいものがありました。お互いに大切な存在でありながら、すれ違った年月と意地が最悪の形で交差してしまい、まさかあの二人の関係と勝負がこんな結末の引きを迎えるとは……と息を呑まされました。