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「アイドル」という活動を通して、人と人との絆の在り方について考えさせられる作品でした。華やかに見える世界の中に潜む自分を見失いそうになるほどの悩みや葛藤が描かれていて「アイドル」に対する見方が変わりました。併せて、明確な夢を持つことの大切さも改めて感じさせられました。
アイドル経験者か関係者なのでしょうか…作者のアイドル愛が感じられる作品だと思いました。
  • 投稿者: Rabbit
  • 2026年 09月27日 14時50分
誰もいないステージでプリンセスと話すシーンが好き。“かもしれない”ってとこと、“あなたが知らないことを私が知ってるはずないでしょ”ってとこが良い。
何かの拍子に、ずっと昔からそこにあった扉が音もなく開く――そんな感覚のある物語の始まりだ。

蒼井真姫はアイドルオーディションに合格する。それだけならよくある話。だが窓ガラスに一瞬映るのは、水色のドレスをまとった、どこか寂しげな「もう一人の自分」だ。日常の表面に、別の世界の指先がふと触れて、また離れていく。本人はすぐ「疲れてるのかな」で片づけて歩き出す……。いや、片づけられるものなら苦労はない。気のせいにした違和感ほど、あとで効いてくるものはない。

16人が手を重ねる場面が、この物語の一番静かな核心だと思う。派手な出来事は何もない。手の上に手が重なるだけ。なのに「必ず、おそばにおります」という遠い声が滑り込んでくる。悲しみと後悔と再会の喜びが同時に来る。感情というのは単品では出てこない。いくつも一緒に押し寄せてくるものだ。

「立っているだけで目を引く」と言われて真姫が居心地悪そうにする場面も印象的だった。歌でも踊りでもなく、「そこにいること」自体が価値だと言われると、人は自分を疑いたくなる。前世で「たった一人のプリンセス」だった記憶と、案外地続きなのかもしれない。プリンセスというのは、何かを成し遂げる場所じゃなく、ただそこに在り続けるための椅子だから。

終盤、ペンライトの海が旗や花びら、白い城に変わる瞬間。前世で守られていた少女が、今世では16人の仲間と並んで立つ。守られる側から、共に立つ側へ――これがこの物語の静かなテーマなんだろう。

エピソード2以降で15人それぞれの「遠い記憶」がどう表に出てくるかを見てみたい。記憶というのは都合よく戻ってはきてくれないものだから。