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主人公がずっと淡々としているからこそ、六年間続けてきた仕事をあっさり奪われていくところが、じわじわ重く感じました。

特に「手が空になった。六年、いつも何かを持っていた。」という部分が印象に残りました。大げさに悲しませるわけでもないのに、主人公が失ったものの大きさが伝わってきます。

そして最後の、

「私は、三つとも書いた。書いて、出した。」
「私が書いたものは、どこへ行ったのだろう。」

ここ、すごく気になりました。

主人公はちゃんと記録して、ちゃんと届け出も出している。それなのに、その記録がどうなったのか分からない。

単なる追放ものではなく、ここから「記録そのもの」に何か裏があるのかな?と、一気に続きが読みたくなりました。

派手な展開ではないのに、最後にしっかり「何が起きてるんだ?」を残してくるのが良かったです!
  • 投稿者: 柴田 淳
  • 2026年 10月02日 19時51分
手が空になった、の一行は、その前の段で中身を数えてあります。干し肉、豆、塩、油。水袋は六つで、レームの分にだけ紙と炭が入る。六年いつも何かを持っていたというのは、六年いつも他人のために積んでいたということでした。空になったのは、書いた紙が窓口で他の届出と一緒に綴じ込まれて、彼の手から離れたからです。

最後の二行を本人が言えるのは、そこが街道の端だからでもあります。届出は、一度出すと書いた本人にも見せてもらえません。中身を訊ける窓口には、もう入れない。記録そのものに何かあるのかと気にしていただいたところは、本人もまだ知らされていません。
  • 0u0
  • 2026年 10月02日 23時27分